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グラーツ旧市街で腹が減った貧乏人は南へ往け [たびの空]

とにもかくにもグラーツ到着。すでにコンクール弦楽四重奏部門の初日セッションは終わり、3団体を聴きました。グラーツ音楽大学のホールに座るまでにいろんなことがあったけど、ま、それはそれ。始まってしまえば、もうそこが南オーストリアだろうが、宇宙ステーションDS9のプロムナードだろうが、まるっきり関係ない。淡々と時が流れます。

シューベルトの殆ど弾かれない初期弦楽四重奏、それぞれ違う作品を3曲聴き、とても勉強になった(これまでライブで聴いたことがあるのは、古典Qが晴海で弾いた奴だけ)。シューベルトのまわりに、猛烈に腕の立つ第1ヴァイオリンがいたのかしら、と首をかしげるような妙な曲ばかり。うううん。

こういう曲、評価は難しいだろうあなぁ。

今回の審査員、ブレイニン氏が没してから調子がますます宜しくないと聞いていたニッセル先生(元アマデウスQ第2ヴァイオリン奏者、なぜか「ニッセルさん」じゃなくて「ニッセル先生」という感じなんです)がキャンセル。そればかりか、アルバン・ベルクQの初代ヴィオラ奏者ハット・バイエルレ氏も病気キャンセル。看板となる2人の重鎮がいなくなって、冗談ではすまない事態。
あわててライプツィヒQのチェロ奏者(同団のヴァイオリン奏者サイデルが最初から審査員でいるので、審査員団にボッセ爺さんの弟子が2人もいるぞ)と、グラーツ音楽大学の先生をしている元フィラデルフィア管首席ヴィオラ奏者(ヴィーン五重奏団のメンバーとのことですが、よーわからん)が入りました。
結果として、審査員の顔ぶれの殆どが現役のクァルテット弾きか、室内楽奏者ばかり。長老は元ラサールQのチェロ奏者フィッシャー氏のみ。審査委員長を務めるカルミナQのチェロ奏者シュテファン・ゲルナー社長の緊急判断、結果にどのような影響を与えるでありましょうかっ。

受ける方が2つ減ってるのは、まあ、こんなもんでしょう。だけど、ひとつがシュトゥットガルトのヤーデQなのは、彼らだけじゃなくて小生にも痛い。そーーです、去る5月の大阪国際コンクールで第3位に入賞した、シュトゥットガルトでロータスQの妹弟子をしてる汎アジア軍団です。この連中のレベルとのかねあいで、コンクール全体のレベルを評価できると思っていたので、これまた大いに残念。

コンクールの話はどうしても商売作文とのかねあいがありますので、あんまり書くわけにもいかんなぁ。とはいえ、こんなやり方があるのかぁああ、とぶっ飛んだ昨晩のアーロンQのハイドン「雲が往くまで待とう」緩徐楽章以来、睡眠時間はわずか数時間。列車の中は車窓をキョロキョロしてて殆ど寝なかったし(あんたは子供かいな)、コンクールはずっとパソコン開いてノート取りながらスコアべらべら捲ってるんで、どんなに眠くても寝てるどころじゃない。
かくて、まだ夜の9時前なのに、猛烈に眠い。夜はちゃんと作文をする予定だったんだけど、頭が動かない。スイマセン、S編集者さん、もう呆れてるでしょうが、もうちょっと待って下さい。朝6時に起きてやるから。

あと1時間は眠らないためにだけ、まるで脳みそを使わずキーボードを叩いてます。

                            ※

せめてひとつくらい、初めてグラーツへ旅行なさる方のための旅行情報。

貧乏旅行者の皆様、グラーツの旧市街にはいーかげんな食い物屋はありません(というか、小生には発見できてません)。バケットにハム挟んで売ってる店も、カバブをスライスして喰わせてくれるトルコ人の店も、寿司からビビンバまで取り揃えた中国人のアジア飯テイクアウト屋も、旧市街中央にはありません。昼に旧市街ど真ん中の宿に戻ってきたときには、急いで飯を食えるところがなく、宿のレストランも工事中でやっておらず、これから数日どうやって喰っていくか真っ青になりました。

とはいえ、22万人という世田谷区ほどの巨大な人口を抱えるオーストリア第2の大都市(とてもそうは思えないぞ)。人が溜まるところ、必ずや「悪所」はあるはず。しょーもないものを喰わせたり、ギャンブル好きのオッサンが溜まってるような場所は絶対にある。

それはどこなのか?

普通ならば、答えは簡単。駅周辺です。それも、できるだけデカイ駅。中央駅辺りが一番良い。どんな時間でも、なんかしら食い物や飲み物を手に入れられるはず。『地球の歩き方』なんぞには、「駅周辺は危険なので近づかないように」などと書いてあるでしょ。そういうところなら、逆に、食いっぱぐれることはない。

ところがこの街、中央駅が旧市街から川を越えた遙か西にある。距離はそれほどはないけど、印象としてはJR八戸駅と八戸市街地くらいかな。

さてどうするか。3団体を聴き終えるとさすがに長かった1日も暮れ、眠さと空腹感を耐えつつ、オペラ劇場の前を通り(本日のグラーツ歌劇場の出し物は「ホフマン物語」)、路面電車の線路を追いかけます。やがてあちこちから路面電車線路が集まり始め…ほらぁあった、旧市街の南に、路面電車とバスの市内ターミナルがあるぞ。おお、マクドナルドのらら灯がにじむ。文明だぁ、アメリカの侵略だぁ。ほーれ、電車降り場の前には、ソーセージとパンの露天もあれば、バケットにハムを挟んだものを山積みにする店もあるぞ。それにしてもこの街、駅でもそうだったけど、甘いパンとコーヒー、というのが好きみたいだなぁ。あの甘ったるそうな食い物、旨いんだろーか。

というわけで、とにもかくにも腹を押さえ、眠さだけをしっかり抱いて宿に戻り、機材の整理をしながらぼーぜんとユーロスポーツを眺めていると、日本国ナショナルチームの3人揃って滑るスケートのおねえさんが転んで泣いています。ライブ映像のようだぞ。へえ、3位決定戦だったのね。
オリンピック、やってるよなぁ。なんかの試合でドイツ人が金銀銅を独占したことぐらいは、知ってるぞ。リュージュでオーストリア人が勝ったのも知ってるぞ。今朝のヴィーン駅に置かれた無料新聞には、Gooooooold!!!!と、オーストリア人選手の活躍が踊ってたもん。

ま、小生には、リュージュやカーリングよりも地味な弦楽四重奏の国際大会の方が大事なんだけど。


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