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相互会社は究極のNPO経済システムではないのか [閑話]

音楽だとかアートとは一切無縁(じゃあないんだけど、ホントは)のしろーと雑談です。

昨日来、「日本で最初の相互会社」が社名の由来になっている「第一生命保険相互会社」が株式会社化される、という経済ニュースが飛び交ってますね。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071207AT2C0604U06122007.html
http://www.asahi.com/business/update/1206/TKY200712060340.html
少なくともアフリカの貧しい国の国家予算、東南アジアのその辺の国の年間軍事予算ほどものお金を毎月動かしているでっかい金融会社の資本そのものに関する議論だから、そりゃー日経やら東京12チャンネルとすれば大騒ぎになるわけでしょう。NTT以来の大物上場、なんて話もあるし。

さても、小生のような経済門外漢がこの話に思うこと。ええ、小生は世紀末から21世紀初頭にかけて、「第一生命保険相互会社」の資料室やらに相当入り浸って、この会社の社史だとか、日中戦争時代からGHQ占領下の時代のこの会社を取り巻く事情だとかを、それなりに細かく調べねばなりませんでした。この会社のお堀端の本社ビルに設置された集会室が日本の独立後に「第一生命ホール」として一般に開放され、1950年代にクラシック音楽のブロードウェイとなった日比谷通りでの小ホールとして機能した歴史調査、拙著『ホールに音が刻まれるとき』(ぎょうせい2001)のための資料調査でした。

その過程で、「相互会社」という考え方がどうやって日本に入ったか、なぜ「第一相互」(今は「第一生命」とか「いっせい」とか言いますけど、戦後のある時期までは「第一相互」という言い方が普通だったようです)の創設者矢野恒太がイギリスからこの考えを持ち込み、東洋初の相互会社を作ろうとしたのか、いやんなるほど初期の資料や広報文書を眺めることになったわけです。結果だけを述べれば、「第一生命の社長が集会室をホールとして外部に貸し出す、そのための子会社を作る、という決定をしたモーティヴェーションのひとつに、相互主義の考え方があった」と判断せざるを得ない。まだ「メセナ」なんて言葉の欠片もない、でも明らかに原智恵子や近衛秀麿への「タニマチ」とは一線を画した在り方。
ちなみに、日中戦争が始まった頃に今のお堀端の第一生命館が出来る前、この相互会社の本社だった京橋の「東京で一番立派なビル」は、「相互館」と呼ばれてた程です。この社史年表の上、真ん中の写真の建物。http://211.11.150.153/is/history.html
たまたまこの書物の執筆調査と平行して、東京でほぼ初めての音楽による文化NPOを発足させようとして、都庁に日参しては文句を言われ、イヤミを言われていた人たちが周囲にいた。

そういう中で見ていくと、この「相互会社」というシステムは究極のNPO経済の在り方じゃあないのかね、と思われてきたわけですよ。

ええと、米・独・日などのある世代に通用するスローガンとして「全てのことはスタートレックで教わった」ってのがある。まあ小生もそんなところがあるわけでして。
で、そういう視点には、「スタートレック世界の経済(但し、これまた究極の資本主義フェレンギ社会が本格的に出てくる前のTOS及びTNG初期時代)は究極のボランティア経済であり、あの経済システムは恐らくは猛烈に洗練された相互会社みたいなものなのであろう」という認識があった。

まともに世の中に生きてる人なら誰でも感じてることでしょうけど、21世紀初頭の現在、我々にとっても最も強力にして危険な敵は、「経済性」という奴です。この「経済性」のお陰で地球温暖化が起き、経済格差が起き、極論すればイラク戦争が起きてるわけですね。

世界を闊歩している「経済性」という怪物どのように退治するか、ちゅーか、どーいなすか。どう手なづけるか。それが22世紀から23世紀に向けての経済の課題になる。さもなければ人類の文明は怪獣「経済性」によって亡びるのは目に見えている。マルクスは20世紀の実験で終わったけど、その次にこの怪物と闘うヒーローが必要になってくる。それが既にあちこちで姿を見せ始めているボランティア経済であり、その原初的形態としての相互会社は再び脚光を浴びる可能性があるだろう。

ま、そんな風にしろーとの過激な妄想を膨らませてたわけですわ。頑張れ、相互会社!って。

というわけで、昨日来の報道は、いろいろ思うところがあるわけです。

経済のプロからは「苦笑」か「冷笑」で終わりになるようなアホ談義なんでしょうけど、世の中には相互会社の在り方にロマンを感じていたアホもいた。それだけ。

今でも埼玉やらにちょっとだけ生き残っているマルクス経済学者の諸君、相互会社って考え方を今風に展開させて資本主義の矛盾と破綻を乗り越える新たな経済学の基盤に出来ないんでしょうか。イスラム経済学の基本にもボランティア経済の考えはあるはずだし、そんなところとのブリッジのピンポイントとして相互会社という在り方は使えないのかしら。それとも、そんなの常識で、問題点はとっくに出尽くしているので捨てられているのかしら。しろーとには全然判らぬ。

出でよ、22世紀のマルクス!世界経済の崩壊は近い!


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