さいごの「ふるさと」

当電子壁新聞でもお騒がせしました「中央区第九を歌う会」の歌舞伎座第九、昨日、無事終了しました。無事、とはいえ、小生は京都と大阪の境あたりでボッセ先生との興味深い数時間を過ごし、慌てて京都から品川まで陸路ひた走り（あたしが走ったわけじゃないですけど）、品川から浅草線に飛び乗って東銀座駅階段を歌舞伎座前へと駆け上ったときには、なかじゃあ終楽章のフーガくらいだったのかな。

やがて立派な扉が開かれ、友愛のコミュニティ創設を謳うシラーの言葉に感動した善男善女がワラワラと晴海通りに流れ出し、おお、あれは町会長さん、寄り添うは舞台上でバリトン声を張り上げていた筈の副会長夫人。朝から当日券を狙って並んだという日本チェロ協会W君やら、トリトン・アーツ・ネットワーク理事長さんやら。なかなかご町内イベントっぽいぞ。実行委員のトップに名を連ねるメセナ界の重鎮、銀座S堂のF氏は来られなかったそうですけど。

正直、出演者、聴衆、双方の意見の一致したところは、「歌舞伎座で第九がやられないのは意味がある」。そりゃね、バリトンが「おおふろおおおおおぃでぇぇ～」って叫びながら花道を登場したり（これホント！）、終演後に立派な緞帳が下がったり、歌舞伎座ならではの驚きと感動はあるものの、現代の音楽ホールの常識に慣れた耳には、哀しいかな余りにもデッドだそーな。指揮者さんに拠れば、響きが無くなるんでどんどんテンポが早くなっちゃって、「本番でこんなに声を出して叫んだのは初めて」だそうです。

ま、なんであれ皆様、ご苦労様でした。臨時出演のエク若干2名もお疲れ様でした。年末の第一生命ホール真下での無料第九には参加した我らがいねちゃん、前日がリサイタル本番で練習に出られず、泣く泣く参加できなかったそうです。そんな、歌舞伎座の空間にいられなかった人々を含め、お疲れ様でした。

終演後、近くの昭和通り添いのホテルに場所を移し、打ち上げパーティ。「中央区第九の会」の解団式でもあります。我らが区長は大喜びだし、言い出しっぺのひとりの銀座中学の校長先生は10分に及ぶ大演説をぶつし。でも、一番の拍手をさらったのは、３人の聴衆でした。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/archive/20080407
そー、あの伝説の「７０年前に歌舞伎座で第九を歌った乙女たち」が来賓として参加、大拍手で雛壇に呼び出され、コメントを求められて一発、「テンポは７０年前と同じくらいでした、でも、アルトがあんまり聴こえなかった」。おおお、現役な御意見だっ！

当電子壁新聞としましても、パーティで７０年前の第九乙女紹介の際やら当日プログラム記述やらで「やくぺん先生のブログでの呼びかけにより…」と何度も繰り返され、恥ずかしいやらかっこわるいやら。ええっと、これが発端。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-02-20
なにせ悪口やら非難を浴びたことしかない当電子壁新聞、まるで世のため人のためになる善行でも行ったかのように誤解され褒められちゃうと、なんとも肩身が狭いです。はい。

ちょっとだけ真面目になれば、こんなヌエ的な媒体とはいえ、人の繋がりを取り持つことくらいはできるのだなぁ。これで情報の神様も、ちょっとの間はその存在を大目に見て下さるじゃろかね…くらいは感じたりしてね。

だれにもまして、最初の一歩をつないで下さった玉川学園OB某さん、ホントに有り難う御座いました。表に出てないので誰も褒めないけれど、一番偉いのは元乙女らに向けてのリレーの最初を繋いで下さった貴方です。奥様ともども会場におられたようで、よかったよかった。それ以外にも、多くの書き込みを寄せていただいた皆様、返す返す、ホントにホントに有り難う御座いました。

最後に、解団式のおしまいにパーティ会場を埋めた、そこらへんにいた人々全員の合唱をおおくりして、この「歌舞伎座第九」顛末記をおしまいにしましょう。あまりに騒々しい空間が予想されたので、録音レベルは意図的に低くしてあります。悪しからず。

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なお、歌舞伎座第九が終わっても、年末のトリトン第九は今年もやろう、ってな勢いになってるそうな。地方各地の文化会館では、「年末市民第九はもう飽きられてるから中止しよう」なんて話があちこちで聞こえる昨今、第九でコミュニティ作り、なんて盛り上がる東京都中央区の筋金入りの田舎っぷりがお判り頂けよーて。

兎ならぬ鼠が地下鉄トンネルで追い回され、小鮒ならぬクラゲが運河で釣れるばかりの我らが故郷、高層マンションは好き勝手な色で、海水と淡水が入り交じる運河は澱む湾岸地区にも、新しい風物詩が出来るのかな。