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『ホールに音が刻まれるとき』絶版決定 [売文稼業]

私事か、それとも公共のことか微妙な急告です。

拙著『ホールに音が刻まれるとき』(ぎょうせい2001)が、絶版となり残り部数は破棄されることが決定されたとのことです。
http://www.dai-ichi-seimei-hall.jp/history/book.html
つきましては、この先、極めて入手困難になりますので、ご関心の方は、慌ててお買い上げ下さい。小生も10部くらいは買っておかないといけんだろうなぁ、とは思ってます。

担当編集者氏に拠りますと、現在の日本の税制では、出版社が在庫本を大量に抱えておくと財産と見なされて税金がかけられてくるので、在庫を出来るだけ減らさねばならない。ホントはこの類の本は長期にわたって保管し、絶版にしないようにする必要があることは判ってるのだけど、泣く泣くの判断とのこと。ご苦労様であります。

つまり、拙著は御上のお考えによって殺されるわけです。国有化された長銀の判断で嫁が勤めていたカザルスホール企画室が取りつぶしにあい、今度は御上のお考え故に拙著が切り刻まれて殺されるけど、あたしゃ愛国者の良い国民ですから、文句も言わずに素直に従いましょ。はい。

ふううううううう、「国」を愛するのは大変だなぁ…

著作の中身は、旧第一生命ホールの歴史、そして晴海の第一生命ホール誕生への道筋を描いたもの。幸か不幸か類書はありません(カーネギーホールの歴史でも日比谷公会堂の歴史でも、いくらでももっと売れそうなネタはありそうなのに存在しない理由なら、小生はきっぱり説明出来ます)。社内の全面的な協力を得ながらも、第一生命さんの広報宣伝本ではない、あくまでも一般出版物にせねばならぬ、微妙な仕事でした。あれから8年、創設メンバーの殆どが去り、オープニングのプロデューサーのひとりも今月末で去っていく瞬間にこんな知らせが飛び込んでくるなんて、なかなか象徴的であります…けど、あんまりそうは考えないようにしましょ。

なんであれ、ともかく、必要な方は急いで下さい。
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AB%E9%9F%B3%E3%81%8C%E5%88%BB%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%8D%E2%80%95%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%94%9F%E5%91%BD%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%B1%A5%E6%AD%B4%E6%9B%B8-%E6%B8%A1%E8%BE%BA-%E5%92%8C/dp/4324066957

なお、これまた全く偶然ですが、佃厄偏庵から世に出る新しい書物のご案内をいたしましょか。本日はさわりだけ。明日にでもちゃんとご紹介します。
http://www.amazon.co.jp/BEYOND-TALENT-%E3%83%93%E3%83%A8%E3%83%B3%E3%83%89-%E3%82%BF%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%88-%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E5%AE%B6%E3%82%92%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%AB%E5%B0%8E%E3%81%8F12%E7%AB%A0/dp/4880652105

うううん、やっぱり、象徴的に思わぬようにしようとしても、なかなか難しいぞ。そろそろこの庵もたたみどきかもなぁ。次はどこに移ろうかしら。←完全に根無し草の発想!

追記:今、Amazon.comを眺めたら、なんと小生と幸松さんの共著『黒沼俊夫と日本の弦楽四重奏団』が、26600円だかをつけてますっ!にまんえんっつ!ウォンじゃないよ、日本円だよ!なんなんだぁ…まあ、マリカルの全演奏データ集だけでも貴重な資料ですから、それくらいの価値はあるでしょう。うん。
なんにせよ、自分でこういうことを言うのは滑稽だけど、『ホールに音が刻まれるとき』もこまではいかないまでも、絶版後は値上がりするでしょう。だって、毒にも薬にもならぬ雑文を集めて綴じたようなどーでもいい書物じゃあなく、編集者と一緒にきっちり作ったあるジャンルの基本文献ですから。

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Minochan

この本、間違いなく中古市場で値上がりするでしょう。
30日の午前中には、アマゾンの中古で「1円」などという不届き千万な価格設定をしている中古ディーラーがいたのですが、今見に行ったら、それが全部消えています。おそらく、絶版になるという情報がいち早く流れたのでしょう。今中古ででているのは、600円と700円。これも遠からず姿を消すのでは。
by Minochan (2008-07-31 01:03) 

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