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Naxso Music Library畏るべし [音楽業界]

朝っぱらから月島の新ピアノアートサロンまでチャリチャリ行き、エクに定期当日プロに掲載される「エクは語る」原稿作成のためのインタビューをせねばならぬ。で、出かける前にもう一度、どんな曲か音で確認しておこうと、ナクソス・ミュージック・ライブラリーを開けたです。というのも、311で厄偏庵CD棚が崩壊して以降、引っ越し話もあったためにCD棚の整理が成されておらず、どこに何があるか全然判らぬ。地震に耐え健在だったのは1945年以降の二棚だけという有様。で、この半年、楽譜のレファランスはパブリックドメインのネットクラウド上に落ちている古いもの、音はナクソス音図書館、という状況が続いている。

さても、ドヴォルザークの作品105を出して下さいな、とナクソスさんに頼んだら、ほいよ、と出て来た在庫音源を眺め、腰を抜かしてしまいました。どうせナクソスが入れた東欧の素性の判らぬ団体のものが出てくるんだべー、と思ってたら、こんなリストが挙がってます。

※モイゼスQ←ああ、やっぱりなぁ。
※プラハ・ブラウQ←へえ、こんなのあるんだぁ。
※シマノフスキQ←おおおお、お久しぶりぃ、みんな元気ですかね。もうすぐ実に久しぶりの来日ですねぇ!
※ヴィーハンQ←なんとなんと、そういえば皆々様も、今、恒例の生活費捻出日本引き回しツアーをやってる最中じゃなかったっけね。
※スメタナQ←えええ!あ、デンオンじゃなくてBBCレジェンドですね。へえええええ…
※アルバン・ベルクQ←ええええええええええええええええええええ!!!!!!

ってなわけです。そー、なぜか殆ど話題になっていないようだが、夏の終わり頃にかの天下のEMI及びその傘下の会社が、ナクソス音楽図書館に入ったんでございましたっけ。アルバン・ベルクQがテルデックを出てEMIに移籍してからの全ての録音が、ネット上の雲内図書館に浮いてるんです。そればかりか、エベネQのモーツァルトやフォーレだって、アルテミスQのベートーヴェン全集だって、ベルチャQのシューベルトだって、みんなネット上に収まってしまった。

そー、ネットに接続出来る環境にあれば、もうクァルテットの基本レパートリーは音源を抱えている必要が無い、ってこと。ある程度以上信用出来るパッケージの演奏が出てくる。

それどころか、フルトヴェングラーの「トリスタン」だって、カラヤンの「ペレアスとメリザンド」や「ドン・カルロス」や「サロメ」だって、ギーゼキングの作品111だって、みんなそこにある。

レコード屋さんには申し訳ないけど、もうこれだけあれば、普通の人はわざわざCD屋さんに行く必要なんてないでしょーに。

21世紀になったなぁ、と思いつつ、山のようなEMIのでっかいオペラの箱などを遠い目で眺める秋の朝でありました。未来がとうとう僕等の手の中に…の筈なんだけど、感動よりも戸惑いを感じてしまうのは、もうオッサンだからなんでしょうね。これが当たり前になる世代がある。

どーする、「レコ芸」編集部!?

追記

コメント欄に、「EMIなんてありませんよ」という情報を寄せていただきました。なんだか訳が判らないけど、すくなくとも、小生のところからは今も普通に行けます。これがアルバン・ベルクQのベートーヴェンをナクソス音楽図書館さんに出していただいた画面。
008.JPG
なんなんなんだ?どなたか事態が理解出来る方、教えて下さい!ちなみにこれがご案内のひとつ。
http://uwmusiclib.blogspot.com/2011/08/naxos-music-library-adds-entire-emi.html

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コメント 12

ささき

初めてコメントします。いつも楽しく読ませてもらってます。ありがとうございます。
EMIの音源をNMLで聴けるということで、まさか!と思って日本版と米国版の両方に行っていくつか検索して見ましたがまったく見つかりませんでした。なぜ???
by ささき (2011-10-08 16:11) 

Yakupen

ささき様

あれぇ、どういうことなんでしょうねぇ。小生のところからはいけます。EMI CLasscもヴァージンも、全然平気で、今月の新加入というページにはハンプソンのマーラー歌曲集なんてものまでEMIで挙がってますよ。

もしもなにかあるとしたら、小生はアメリカに本拠地がある某音楽団体の会員になっていて、そこの会員はウェブ上のグローブ音楽事典が使えるとか、いろいろ会員用のサービスがあって、その中にナクソス・ミュージック・ライブラリーへのアクセスというのもある。だから、実は日本語では全くアクセス出来ず、全部英語なんです。ことによるとイギリスとかヨーロッパから入っているのかも知れません。

恐らく、詳しい方はいらっしゃると思うので、尋ねてみましょう。どんなページかは、上の追記の写真をご覧あれ。

by Yakupen (2011-10-08 20:12) 

hyamada

EMIとは関係なく、本当かどうか確認していない話ですけど、港区の図書館がNMLに入っていて、区の図書館カードを持っている人はNMLに自由にアクセスできるという話をきいたことがあります。
by hyamada (2011-10-08 21:18) 

ささき

ご指摘のリンクにいってわかったことですが、EMIはClassic Music Libraryというサーヴィスに加入していないと聞けないようで、ナクソスの会員用のとは違うようです。とんだヌカ喜びでしたw。
by ささき (2011-10-08 22:35) 

Yakupen

ささき様

なるほど、なにやらナクソス図書館にもいろいろ会員証の違いみたいなものがあるんですね。ぬか喜びさせてしまって、申し訳ないです。こんなスゴイことになったのに、音楽ファンの皆さん、案外冷静だなぁ、と思ってたら、そういうことなですね。

でも、そのようなシステムが既に存在しちゃってるということは、NMLも会員資格をEMI込みで倍額、とかすることもあり得るんでしょうねぇ。ってか、技術的にはもういつでも可能ってことなんだろうから。

EMIが本気で始めたら、いよいよSONYやDGも「オンラインで全部聴けてなんぼ」なんてことを始めるかもしれませんね。

by Yakupen (2011-10-09 00:25) 

Minochan

米国版のページには、EMIがはいったぞー、というバナーが派手に出ています。検索まではやってみませんでしたが、ひょっとすると、権利関係が違う可能性がありますね。
ヴァージンとともに、目下普通に行ける米国版NMLが新着ニュースのトップに挙げてはいるようです。
by Minochan (2011-10-09 08:47) 

Ken

全くもってご無沙汰しております。川向こう湊地区在住のKenです。愚生CD問屋勤務がいまだに成り立っているのが奇跡なような状況ですね。。。ヴィハンSQを昨日王子ホールで初めて聴く事ができました。あれほどの力量がありながら、招待客のみと思しき(私もだ)客層。あれは日毎に変わる共演者が箱代から何から全て出資しているんでしょうかね?演奏が疑いなく本物だったので心情的にはヨタ話の域を出ませんが摩訶不思議な光景。。
by Ken (2011-10-09 09:40) 

Yakupen

Ken様

ウィーハンQはこの電子壁新聞でも取り上げる予定だったのですが、忙しさにかまけて忘れてしまった。彼らは、主催者さんには失礼なんだけど、とても妙な来日をさせられてます。ロンドンで優勝したときはメニューインがスメタナの後続と大いに騒ぎ、確かにそれだけの力はある人たちで、小生もいまはなき絶版本「弦楽四重奏の名曲名演奏」の中でもアルテミスやヘンシェルと並んで意識的に言及していました。21世紀にはチェコ系の大メイジャーになる筈だ、と思ってたわけです。

ただ、あのような「バックバンド来日」を毎年重ね、日本は稼ぐ場所、という生活パターンが出来てしまってねぇ。2度目くらいの来日の時に、嫁さんが某横浜の区民ホールの方から相談を受け、この連中を強力にプッシュし買い取り、好きな曲をやってくれ、という演奏会をいちどだけ作ったことがあります。こっちはプフィッツナーとかベートーヴェン後期を期待したんだけど、超有名名曲三連発プログラムをやってくれましたっけ。

今回も、エルガーやらサン=サーンスのピアノ五重奏があるので、そこを大プッシュして少しで多くの方に…と思ったら、もう終わってら。アホじゃ。

by Yakupen (2011-10-09 10:15) 

Ken

確かに絶版本を読み返してみたら、アメリカの項で「民族音楽スレスレ」という言及ありましたね。昨日も「アメリカ」演奏されました。結成25年不動メンバーによるの円熟した演奏なんてものではなく、後半2楽章はノリノリでテンポの振幅が激しいスリリングなものでした。各奏者の技術力が高いのか私が知るチェコの諸団体と比べると格段に音量が大きい感じ(大ホール演奏も対応可能。)

またひっそりと来年来日するのかも知れませんが、もったいないなぁ・・と。
by Ken (2011-10-09 12:38) 

rodrigo

久しぶりにコメントさせていただきます。NMLのことです。

私も米国のサイトを見たところ、近々EMIが聴けるようになるとの告知がありました。そこで日本のNMLにメールで問い合わせをしたところ、次のような返信がありました。

=ご連絡が遅くなり、大変恐縮です。
お問い合わせの件ですが、EMI側が契約上日本での配信を許可していない
ため、日本での配信の予定はございません。また、英語版NMLに登録して
も日本からは再生することは出来ませんので、ご注意下さい。=

やくぺんさんはEMIを日本で実際に聴いていらっしゃるのですよね?「アメリカに本拠地がある某音楽団体の会員になっていて」とのことですが、その辺のことを少し教えていただけないでしょうか?

よろしくお願いします。

by rodrigo (2011-10-12 09:54) 

Yakupen

rodrigo様

ご無沙汰です。なるほど、そういうことですか。

小生も一応、業界の人間である以上、いかな「書いてあることはみんな嘘、信じるな」の当電子壁新聞とて、図書館の裏の窓口をどーどーと世間様にお教えするようなわけにもいきませんので、ホントは個人メールでお応えしたいところなんですが…

概要だけ申します。アメリカには、室内楽協会とか現代音楽協会とか、いわゆる演奏家&業界関係者&研究者学者らが組織する団体があります。聴衆の皆さんも、個人主催者だったりすればそういう協会に参加することは可能です。きちんとした音楽業界が存在していない日本で一番近いイメージなのは、かえって学会などかもしれません。会によっては、外国人でも会員になることが出来るものもある。

そういう団体は、みんなから年感に100ドルとか数百ドルくらいの会費を集めて運営し、会報誌を出したり、年次総会でいろいろ話し合ったりしているわけです。そのような会が、会としてNMLに契約しているわけですね。だから、法人使用というわけではないけど、一種の大学ライブラリーとの契約とかに近いのかもしれません。

小生はその会のIDナンバーを用い、その会のホームページからNMLに入っています。他にもグローブ音楽大事典や英語圏の音楽事典へのアクセスが出来ます。これらの特典を足し算すると、年間会費だけで良いんじゃろか、と心配になってしまうほどの特典があります。

以上が小生の状況であります。ただし、日本語でのアクセスは一切できませんし、日本のNMLの画面は一切使えません。また、日本からはアクセス出来るのかもしれないけれど、アメリカ合衆国の国内法の規定によりアクセス出来ないソフトがあったりもします。

なんであれ、こんなことになってる、ということ。ただ、EMIは正直、会社自身が風前の灯火ですので、このナクソスへのアクセスも新しい会社に買われたらどうなるか判らないですね。SONYが買う、なんて話もあるわけで、そうなったら恐らく配信は中止になるでしょうし。お役に立てずにスイマセン。

by Yakupen (2011-10-12 12:15) 

rodrigo

なるほど、事情はよくわかりました。
お忙しいところ、ありがとうございました。

正直言って、私はNML、そしてベルリンフィルのデジタル・コンサートホールの会員になってから、この3年間で買ったCDの数は1組2枚です。それも仕事の関係でどうしても必要だったからです。それまでは数千枚購入しておりましたが……

クラシック音楽業界と愛好者が共存していける道を、私なりに模索してみたいと思います。
by rodrigo (2011-10-12 14:39) 

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