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必読!最高の音楽ミステリー『バイエルの謎』 [音楽業界]

他人様の著作なんぞ読んでる暇なんかないのだけど、やっぱり読んでしまった。数週間前に音楽之友社から発売になりました、安田寛著『バイエルの謎』。
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もうなんのかんの面倒なことは言う必要はありません。お暇な方もあんまりお暇じゃない方も、絶対に読みなさい!図書館で借りようなんて考えずに、買って読みなさい!よっぽど貧乏な方は、何人かで買って回し読みしなさい。こういう本は買わないとダメです。

恐らく、日本語文化圏に育った人はほぼ全員が知っているであろう「バイエル」というピアノ教則本があります。1930年代後半から70年代始めくらいに一世を風靡したのかな。ま、ここは怪しいけど、感覚的にはそんな感じ。
とはいうものの、その作曲者のバイエルについては、殆ど何も知られていない。20世紀の終わり頃には「バイエルなんて無名の三流教本を有り難く使ってるのは日本だけで、だから日本の音楽教育はダメなのだ」なんてさんざんなバッシングがされるようになった。

奈良教育大学にお勤めになられる安田先生が、「果たしてバイエルとは誰なのか?なんで日本ではこんなに盛んに利用されたのか?」という真っ当この上ない疑問に真っ正面から挑み、バイエルなる謎の音楽家の正体に迫っていく。研究書っていうよりも、ドキュメンタリー。ってか、著者には叱られるかもしれないけど、読後の感じは「もの凄く良く出来たミステリー」ですわ。敢えて、「過去に日本語で書かれた最高の音楽ミステリー」と断言しましょうぞ。

ともかく、この本を読めば、バイエルが誰だったか(そもそもホントにバイエルなんて作曲家はいたのか、というところから始まるんだけど)、どうして日本で広まったか、しっかり判ります。見事すぎるほど、判ります。へええええええ、そーだったんだぁ、感はスゴイですよ。

小生、昨日、佃リバーシティの本屋に1冊だけあった在庫を買って、昨晩からツルッと読んでしまいました。ミステリーですから種明かしはしませんが、たまたま、バイエルを育んだビーダーマイヤー美学が日本に移入され展開した19世紀的ドイツ教養主義デカンショ旧制高校風音楽観を最も麗しく20世紀後半まで伝えた吉田秀和御大の訃報が飛び込むときにこの本を読んでいたなんて、偶然にしてもちょっとできすぎてるかな。

まさかと思うでしょうが、音楽にある程度以上の関心がある方ならば、最高のエンターテインメントです。いかな当電子壁新聞でも、これは嘘じゃない!安田先生、ご苦労様でした。

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コメント 5

大阪の大植さん大ファンの雪ん子☆

やくぺん先生☆いつも楽しく拝見させて頂いています。
さて「バイエルの謎」最高の音楽ミステリーとの事。
私もピアノ習い始めた頃はバイエルがどんな人なのか知らず「バイエル」
「バイエ」で…「バイエルの謎」是非読ませて頂きたいです。
by 大阪の大植さん大ファンの雪ん子☆ (2012-05-28 00:45) 

大阪の大植さん大ファンの雪ん子☆

何回もすみませんm(__)m上のコメント「私もピアノ習い始めた頃はバイエルがどんな人なのか知らず、バイエル、バイエルの毎日でした…」でございますm(__)mm(__)m失礼致しましたm(__)mm(__)m
by 大阪の大植さん大ファンの雪ん子☆ (2012-05-28 00:53) 

月島亭女房

もんじゃ通りの本屋さんで注文して読みます。
ちなみに、私はメトードローズでした。同じ先生なのに妹はバイエル。まさに、40年近く前のお話。ご指摘されている通り、20年近く前にピアノの先生を数年していた頃、脱バイエル。初めて見た教則本もあったりして、慌てて大人買いしてやっつけ勉強したことを思い出しました。
by 月島亭女房 (2012-05-28 09:17) 

Yakupen

月島亭女房様

西仲通り下りの本屋さんには在庫はなかったですか。まあ、神楽坂新潮社じゃない方ですからねぇ、リバーシティに1冊あっただけでも立派。この類の本は、初版以外で手に入らなくなることは確実ですので、皆様、みたら買いましょう。こういう書籍は全て「限定版」だと思うべし。

by Yakupen (2012-05-28 10:24) 

月島亭女房

今日、手に入れて先ほど、読み終えました。
久しぶりに一気に読み切りました。
私が感じていた疑問も解消され、気持ちいいです。

by 月島亭女房 (2012-06-11 18:38) 

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