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夜を追う [たびの空]

葛飾は厄偏舎に戻って参りました。水曜日の夜、11時前です。

今回の超短期NY往復、なんせ実質4日間で宿にいるよりも演奏会場の方にいる時間の方が長いのではと感じられる無茶苦茶な日程、まだこれを乗り切れる自分を褒めるべきか、こういう馬鹿なことはもう止めなさいと呆れられるか、なんともなぁ。

さても、「書いてあることはウソばかり、信じるな」をモットーとする当電子壁新聞を旅の情報をお伝えする便利で人の良いブログと思い違いをなさっていらっしゃる方がいるとも思えぬが、ホントかウソか判らないたびの空情報をお伝えいたしましょうぞ。マンハッタン厄偏庵から葛飾厄偏舎までの帰り方について。

アンカレッジでの途中経由なしでNY東京半日超えの直行フライトが始まってそろそ四半世紀くらいかな。アンカレッジ空港の蕎麦屋も、今や歴史の彼方の伝説と消えて久しい。

んで、この直行フライトが当たり前になって以来、NYから東京に戻る便には殆ど選択の余地はありませんでした。
ノースウェストやユナイテドのケネディ発便、コンチネンタルがニューアークから参戦して以降も、基本的にアメリカ系航空会社の時間設定はどれも同じ。NYCの空港を昼前から昼過ぎくらいに発って、向かい風に煽られながら13時間以上、カナダ横切ってアラスカ越えて、アリューシャン列島に沿って南下してくる大圏コースを跨ぎ、太平洋のハブ空港の成田に午後3時くらいに到着する。ここで乗客をアジア各地に向かう便に振り分け、シンガポール行きで6時過ぎくらいだっけ、ともかく夕方に次々と送り出し、アジア各地の都市には深夜前から深夜過ぎに到着する。これが基本。

東京はあくまでも途中のハブで、航空会社さんとすれば、ここが最終目的地の数多くの日本国民は、ある意味、途中下車客だったんですね。NWのフラッグシップ、栄光の18便(西向きは17便だったっけ)も、成田からはシンガポールに向かう便名になっていた。JFKでは「シンガポール行き」という表示がなされていた。逆方向でシンガポールのチャンギから成田に戻るときは、朝の6時過ぎにニューヨーク行きに乗り込むことになるわけで、おおおお成田で下りたくないよぉ、といつも思ったものでした。

当時は日系の航空会社などまるで利用したことなく、JALがある時期にJKFから南米に繋がる便とで1日2便体勢を取っていたこともあり、それがどういう時間で飛んでいたか知らない。いずれにせよ、今世紀以降は、ANAさんもJALさんも、基本は午前11時頃にJFKを発ち、午後のそう遅くない頃に成田に到着する、という運航をやってた。理由は明らかで、この時間なら数少ない成田からの国内線にも繋げるし、羽田までリムジンバスで行かねばならない人もそれほど無茶はない。なによりも、東京駅に夕方前に着けますから、東北、甲信越、東海地域なら、まあなんとかその日のうちに家まで辿り着けるでしょ、ってこと。

さても、本日、やくぺん先生がたびの空、ってか、原稿1本半やったからたびのオフィスをやってたANAさんの便は、なんとJFKを夕方の5時過ぎに離陸します。だから、マンハッタンには午後1時過ぎまで余裕でいられます。橋やトンネルを渡りやすい場所にいる方ならば、2時半くらいまで仕事を引っ張ることもできます。あたくしめも、午前9時45分から午後1時前まで延々とやってるNYPのオープンリハーサルでフランク・ペーター・ツィンマーマンがショスタコの1番の協奏曲を聴いたりしてました。この晩から定期があるのだが、コンチェルトは流石にその日の午前中の練習でまだ細かいことやってましたね。

かくて今回の滞在で10個目のコンサート(と言えるのか)を終えて、バスでマンハッタン厄偏庵に戻り、スーパーでホワイトアスパラ10ドルくら買い込み、荷物に詰め込み、赤の1番で42丁目まで一駅下り、地下を1ブロック歩いてEのクィーンズ方面行きに乗り換え、んで、スカイトレインのもうひとつの駅まで延々と地下を行く。
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この路線、ずっと地下なんで嫌いなんだけど、A列車はやっぱりなんかあったら困るので、普段は使わないこっちにしたわけです。んで、3時前には無事に何故かBAとスターアライアンスが使ってる第7ターミナルに到着。チェックインし、かつての栄光のBAコンコルド用ラウンジが改装されたラウンジで午前中の仕事の纏めなどをしたわけであります。
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感謝祭(日本へはGHQが勤労感謝の日として持ち込んだわけですが)の休日が始まり、ターキー大虐殺がされている今日この頃ですから、搭乗が始まる5時前ともなればすっかり周囲は夜。JFK名物の夜の南米線&大西洋線出発ラッシュはまだ始まってませんので、おいおい感謝祭の翌日の点灯だろうにと突っ込みたくなる立派なロビーのクリスマスツリーもノンビリしたもの。
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東側の長い方の滑走路を北に向けて離陸し、遙か東京Qの故郷ニューヘイブンはあの辺りかな、などと闇の中の光を眺め北米バイバイ。あとはずーっと夜を追いかけて大圏コースを飛んで来て、成田には午後の9時過ぎに着陸でありました。この時間だから、もう国内線どころか、国際線の乗り継ぎもグアム線の一部などを除けば不可能で、乗客はみな成田が終着。もう到着便も少なく、イミグレーションも空いているので、タッチダウンが8時55分、スポットインが9時5分、入国し荷物拾い、税関を抜けると9時25分くらい。そのまま京成駅に進み、9時31分だかの京成本線特急上野行きに飛び込み、案外混んでるなぁ、と爆睡し、厄偏舎の駅に到着するのが午後10時36分でありました。

これで機内では寝ずにやってきた原稿を送り、実質NY時間では完全徹夜をやった海胆頭で風呂に入ってドカンと6時間も寝て朝の7時過ぎに起きれば、時差も完璧取れちゃってるし、その気になればもう朝から普通にゴミも出せれば働きにも行ける、ってわけ。なんて完璧なビジネスフライト!

どうしてこれまでこんな時間設定のフライトがなかったのか、まあ、ちょっと遅れると成田の門限に間に合わないとか(今は最悪、羽田にまわせるようになったし)、公共交通では東京駅着がどうやっても午後11時頃になり、東京首都圏の西側に住む人にはちょっとアブナイ時間になるとか、まあいろいろ理由はあるんでしょう。

今日のようなガラガラ状態で、ANAさんが午前11時発のこれまでのフライトと、この夕方発の完全ビジネスマン向けフライトの連日2便体勢を維持できるのか、なんとも判らないけど、少なくともやくぺん先生に限れば、これからNYから直行で東京湾岸に向かうときの基本は、この便になるでしょうねぇ。これ、使えます。

日付越え 鍵盤叩き 夜を追う

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上野のおぢさん

先生、いつもながら素晴らしい紀行文です。
是非一度、先生の紀行文だけ別のブログ、あるいは、サイトに立てていただき、飛行機、鉄道、夜行バスに分類していただくと、とても楽しいものになりそうですが。
by 上野のおぢさん (2012-11-26 12:25) 

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