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トッパンまでフェスティバル… [音楽業界]

15周年というお目出度いときに(なにしろ、15年間親会社に中止するという決断をさせずに頑張っている現場がある、ということなんだから)、こういうことを言うのは失礼千万と判ってるのだけど、敢えて大事なトッパンホールだから誰も言わないだろう嫌われるようなことを言います。小心者のやくぺん先生、先に謝っておきますう。

さても、1980年代バブルの時に次々と生まれた民間の「室内楽専用ホール」が失速していく21世紀初頭に、まあぶっちゃけ押っ取り刀で参入した大曲のトッパンホール、結果的にバブル期諸ホールの育てた最良の人材を集めることが出来、バブル期に生まれたホールの失敗の原因もしっかり分析し、結果としてこの類いのホールが息切れする10数年を超える時を生き延びてくることになりました。既にカザルスホール企画室よりも長く生き残っているのですから、それだけでもう大いに喜んで、いぇいとお祭りをしても良いと思うです。ホントに。あたしも、いっしょに「よく生き延びたことよ…」と感慨に浸りたいものであります。はい。

ということを踏まえて、敢えて言うのですが…

ああああ、トッパンホールまで「フェスティバル」かぁ…

これが15周年のフェスティバルの概要。昨日から始まってる。
http://www.toppanhall.com/15th-20160515/
あたしゃ、もう今日しか行ける日がないので、有り難く本日拝聴させていただきまする。

で、そういう人間が言うことではないのだが、ホントにフェスティバルはこの特別なお祭りだけにしていただきたいんですよ。トッパンホールの最大の存在価値は、「フェスティバル化しないで、日常的にシリーズやら通常公演でメイジャーなヨーロッパ系室内楽を続けている」ことにあるのだから。

ぶっちゃけ、このフェスティバルのラインナップって、シュヴァルツェンベルクとかロッケンハウスとか、ヨーロッパの「フェスティバル」の空気まんま。そもそも民間がやるのでチケットがもの凄く高いそういうフェスティバルに匹敵する顔ぶれを、この値段で遙か東京でやってるなんて、それだけでもの凄くポジティヴに評価するに値することです。それは百も千も承知です。でも、そこで敢えて言うのだけど、「御願いだから、トッパンまでフェスティバルにしないでちょーだいな」なんですよ。

ぶっちゃけ、フェスティバルは「仕方なくやること」なんです。ホントは日常公演が淡々と続いていくようなシステムが作れるのがいちばん良いのだけど、それをやるには予算がなかったり(スタッフやシステムを維持する予算です)、広報が難しかったり(まとめてドカンとやる方が広報宣伝は簡単だし、イベントとしても盛り上がるし)、なによりもディレクターシップのところでいろんな意味での目利きが必要になってくる。それが出来ないからフェスティバルにする、というのが今のヨーロッパの大きな流れ。

日本でも、サントリーが室内楽に本格参入するときには「フェスティバル」という形を取らざるを得なかったわけで、それは全く正しい、当然の選択だったわけですね(アカデミーという広報のしようがない日常系作業を同時にやらねばならない、というハンディも背負ってたわけだし)。トッパンは常打ち小屋として存続していることに意義がある、それも、これまた叱られそうだけど、なんでもいいから毎日やるというこれはこれでもの凄く崇高な野望を掲げた宗次ホールとは違った、超高級な常打ち小屋だった。そこが評価されて、自分らがやれないことをやってるからこそ、サントリー音楽賞だっていただけたわけです。

だから、15年のお祝いが賑々しく終わったら、御願いですからいつもの淡々とやってるトッパンに戻って、地味にやってくださいな。ちゃんと評価している人は評価していると親会社も理解してくれてるのでしょうから。

ぐぁんばれ、トッパンホール。そして、御目出度う御座います、トッパンホールの皆様。

[追記]

2日目の演奏会に行ってまいりました。乱暴な結論を言えば、これって、「フォークト氏がやってるテツラフくんと仲間達を集めた小さな個人フェスティバルを、大曲に持ってきたもの」でした。シーズンオフの週末にヨーロッパでは極めて普通に開催されている、教会やら山のロッジを舞台にした小規模音楽祭、でも出演者は著名人ばかり、って奴です。なるほどね、確かに、「フェスティバル」だわ、これ。

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