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ハドソン河端ノマド [マンハッタン無宿]

つらつら鑑みるに、真夏のマンハッタン厄偏庵に1週間も逗留するのは、もしかしたら初めてかも。だって、カーネギーもメトも、リンカーンセンター室内楽協会もシーズンオフ。長逗留して何か纏まったイベントなりショーを見物する季節ってば、秋から冬と相場が決まっている。ある時期までは、年明けのアメリカ室内楽協会年次総会は定番の逗留時期になっていたわけで、NYCといえば体感気温が摂氏で零下10数度、華氏でも零度、大雪でケネディ空港クローズ、なんてのが当たり前。ホントにさぶくて死ぬかと思いながら駆け込んで、部屋をガンガンに暖かくして裸みたいになってわあああぃ、って場所。夏は殆ど来ないよねぇ…

さても、鱈岬からピーターパンバスでマンハッタンに到着して何日になろーか。このところ、もういい加減な歳なんだから無茶はせずにぼーっとして暮らしましょう、と決意を新たにしたばかりということもあり、連日ホントにボーッとして過ごしておりまする。とはいえ流石にもう9月の声を聞く頃になると、いろいろと作文仕事も入ってくるし、早々にやっつけなきゃならぬ作文もある。流石にお仕事せんとねー、とつらりつらりとマンハッタン厄天庵から北に向けて古いビル群を眺めるに、そうだ、ノマド作業に格好の空間があるだろーに。庵からの距離といい、ポジショニングといい、佃厄天庵から大川端の定番ノマド場にそっくりの場所。そー、ウェストエンド・アヴェニュとリヴァーサイド・ドライヴを跨ぎ、2ブロック歩いた大川ならぬハドソン河端、格好のノマド場じゃああるまいか。冬は寒くて、あんなとこに何時間も座ってるなんて罰ゲームだけど、今の季節なら最高じゃんけぇ。

かくて、作文仕事道具を背負子に負って、厄偏庵を出て、ブロードウェイやセントラルパーク側とは反対に向かいます。この数日、もの凄く爽やかな夏の終わりの晴天が続いていて、今日も暑いは暑いけど、みんな《サマータイム》歌って水浴びしちゃうような7月頃の灼熱地獄ではありません。

コロンバスサークルからセントラルパーク南端を走り、天下の5番街に突っ込み、遙かワシントン広場やNYUまで行けるM5のバスもやって来るリヴァーサイド・ドライヴを、てこてこと渡り
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エラリー・クィーンが次々と殺人事件を解決した前世紀の初頭頃からある川沿いの公園に入れば、もうそこもしっかりとノマド場じゃわい。
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せっかくだから、今世紀に入ってトランプ絡みなんぞで整備が進んだ川っぷちまでおりてみましょうぞ。北のワシントン橋を潜ってマンハッタンに入ってくる高速の下をくぐり
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まだまだ延々と降りていけば
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今世紀になって南の端っこまでハドソン川に沿って整備された細長い公園が延々と広がっている。ほれ
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トーキョーでもお馴染みのメトライフ飛行船がポッカリ浮かぶ対岸は、かつて永井荷風も夏の盛りに涼を求め遊んだ、ニューヨークの広大な埼玉、ニュージャージー!

どこからどこまで繋がってるか知らないけど、ともかく昨今は走ったり自転車を転がしたりするだけでマンハッタンの北から南まで行ける勢いの自転車&ランナー道を目の前にした木陰のベンチに座り込み、さあ、ノマド仕事でありまする。ルーターさえ連れてくれば世界のどことも繋がるし、ちょっと川を下ればちゃんとした公共トイレもあるし(日本の公園のトイレの多さは世界に誇るべきだと思うですっ!)、ランナーや自転車が鬱陶しくなったら少し上には別の広大な机付きピクニック用ベンチもあるしさ。

背中の側のハイウェイは騒々しいとはいえ、間に木立が茂ってる夏はそんなに気にならない。それよりもこのノマド場、問題は空でありまする。ハドソン河上空は、平日の朝9時から夜まで、天気の良い日は観光ヘリコプターが高度500メートルくらいでぐるんぐるん飛び回っている。どうやらマンハッタン南のヘリポートを飛び立ち、摩天楼を右手に眺めつつハドソン河を上ってくる。で、いちばんお安いお手軽コースは、やくぺん先生がノマドしてる頭の上で引き返してくみたい。
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もうちょっと豪華なコースになると、やくぺん先生の頭の上をつっきって島の北の先っぽ、いつも渋滞してるジョージ・ワシントン橋まで行って、グルッと旋回して戻ってくるようです。観光ヘリ会社複数入り乱れ、もう3分にひとつくらい、器械蜻蛉が頭の上でぐるぐるしてら。
http://www.veltra.com/jp/north_america/new_york/a/13233
そればかりか、対岸のお金持ちのビジネスジェット専用ティータボロ空港とマンハッタンやらを結んでるらしい、空のキャデラックみたいな高級器械蜻蛉が川を横切りウォール街傍のヘリポートへと急ぐ。
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その上には、ラガーディア空港に降りていく定期便が高度1000メートルくらいで10分に1本くらい河に沿って北上。おお、見よや、葛飾オフィス厄偏舎や佃の上空12000メートルを夕方4時過ぎに東へと向かう大韓航空「ナッツは袋」号が、遙々太平洋と大陸を越え大西洋岸はJFKへと悠然と降下していくではないかぁ!
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どうやらハドソン河はマンハッタン側が北行き、ニュージャージー側が南行きの巨大な空のハイウェイになってるらしく、観光ヘリや社長さんヘリ、NYPD
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はたまた民放各社の渋滞報道ヘリと、時に上空に1ダースもの機械鳥が舞ってる大混雑状況。
その間に、半世紀も前の味わい深いおんぼろセスナやら
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日本の空ではほぼ見られないV字尾翼の初期型ボナンザやら
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無論、どこにでもいるチェロキーやらセスナ170やら、あれこれいろんなちっちゃな民間自家用機械鳥たちが、ふらりふらり。
ハドソン河は水上機は降りてはいけないようで(ここにエアバスを安全に降ろしたら奇跡なわけです)、イーストリバー側では見られる派手な水上機の着水がないのがちょっと残念…って、あんた、仕事してるんだろーに。

そして、その間を、さりげなくすり抜けていく猛禽類!葛飾厄偏舎上空でお馴染みのこんなんとか
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なんでやねん、と言いたくなるようなこんな方まで。
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空母所属じゃなくて、ノーフォークの教育部隊の奴みたい。それにしてもどうしてここまで出張ってるんねん?60マイルだか遡れば、天下のウエストポイント士官学校があるわけで、世界最強ヤンキー陸軍チヌークやら黒鷹君がのし歩くのは判るにしてもさ。

おっと、川の上じゃ、消防さんが楽しげに練習なさってるぞ。
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鳥さんたちと言えば、あの「ハドソンの奇跡」の原因となっちゃったカナダ雁さんの群れは反省も無くノンビリしているし
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鳩さん、イエスズメたち、それに日本なら珍鳥ホシムクドリくらいしかおらんけど、機械鳥の乱舞に時間を忘れ、川を渡る爽やかな風にノマド仕事もはかどり、昼には戻ると言ったのを忘れてると、いつまで戻ってこないのか心配になったお嫁ちゃんもチョコチョコやってきて、あらまぁ気持ちいいと、ちょっと離れたところに座り込んでお仕事の書類などを読んでら。
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と、おやぁ、なにやら小さな方々がやって来る。「くれないの、くれないの」と迫られてるぞ。
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はい、あげますよあげますよ、順番に待っててくださいね。
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かくてマンハッタンのノマド、午後の太陽が正面から照りつけるようになってきた。栗鼠らの神様となったところで、そろそろひきあげましょか。

全て世は事も無しの、やくぺん先生生誕記念日也。

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