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弦楽四重奏はルネサンスに向かう? [弦楽四重奏]

アムステルダムのムジークヘボウのロビーにいます。いよいよ、この街初の「クァルテット・ビエンナーレ」が昨日から始まっています。
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昨晩はいきなりハーゲンQ&ヴィドマンなんてスターが登場、連日夜の10時半に開演する「Late Quartet」なるベートーヴェンの後期を1曲づつやってくサイクルには、まずはダネルQが登場して作品127を弾き、賑々しく始まりました。っても、あたしゃ、開演後にハイデルベルクからアムステルダム中央駅に到着、やっと今朝から参戦した次第でありまするが。

てなわけで、やくぺん先生としては土曜日夜まで続くここアムステルダム運河が海に開ける場所での弦楽四重奏漬け一発目は、ブレンターノQでありました。11時からのコンサートで、なんと演目はこんなん。
http://www.sqba.nl/events/klankwereld-van-de-renaissance
いやはや、オケゲム、ジョスカン、ディ・ラッソ、ジュズアルド、そしてモンテヴェルディ、でっせ。これ、まるまる1時間、休憩無しで演奏し続けます。ってか、300人くらいかなぁ、聴衆にしても、どこで終わってるか判んないんで拍手のしようがない、ってがホントのところかしら。

最近では、去る11月のグランプリ・コンサートのプログラムBでアイズリQがジュズアルドなんかをやったりしてるし、エクがアンコールにバッハのコラールを弾いたり、所謂「古い時代の音楽」を弦楽四重奏で弾くのはそれほど珍しくない。バッハの《フーガの技法》は、ヴィオラの声部に低すぎるパートがある問題をクリアーすれば、今や普通のレパートリーになりつつある。

とはいうものの、1時間ベッタリ、ぜーんぶルネサンス期作品という演奏会、それもモダン楽器での再現は、流石に初めて経験したです。

ヴィブラートの問題、音程の問題、なによりも楽譜をどうするのか(アイズリはお友達の作曲家が譜面を作っていたそうだし、先程のブレンターノも一部は第1ヴァイオリン氏が作っていたようです)。そして、案外重要なのは、恐らくは誰も「正しい弾き方」を知っている人がいないし、先生もいないレパートリー。正直なところ、1時間続けて聴くと、もの凄く眠くなってきます。ああああ、俺は普段はホントに「ある種の決まった聴き方」に従って音楽を聴いてるのだなぁ、とあらためて思わされましたわ。

その意味では、「どういう聴き方をすればいいか、自分で考えねばならない」ということだから、ホントに「ゲンダイオンガク」と同じですな。古楽=現代音楽、という図式の正しさを証明してくれるような演奏会。

果たしてこの方面へのレパートリーの拡大は「弦楽四重奏」というメディアにとっての突破口になるのか、それとも一部の音楽家の趣味に止まるのか。まだなんとも言えない感じだけど、ま、そういう流れがあることは確か。日本では…そうねぇ、秀美さんたちはやりそうでやらないでしょうね。やるとすると、やっぱり古典の皆さんだろうなぁ。ホントは日本の若い連中の中に、この辺り(と、所謂「現代音楽」)を売りに突っ走ってくれるアホが出て来ると面白いのだけど…まあ、ルネサンス・ポリフォニー声楽曲へのある程度以上の知識が無いとなかなか手が出せないだろから、今の日本の室内楽教育のシステムではハードルは高いですかね。

おっと、下のロビーからハイドンのライブが聴こえてきた。どうやら若い団体がロビコンをやってるみたい。アムステルダムのクァルテット・ビエンナーレ、まだ始まったばかり。ブレンターノQの演奏会の前にも、ラジオも入ってのトークがあり、第1ヴァイオリンの光子さんお気に入りの知性派スタインバークくんが喋ってました。
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付帯イベントもいっぱいで、なにやらわけが判らぬぞ。

さて、これから今回の訪問で個人的には最大のイベント、「世界のコンクール優勝団体勢揃い」が始まります。昼飯、食いっぱぐれだぁ。その後は、ダネルQがクーパー御大と喋る「ベートーヴェン後期弦楽四重奏」なるワークショップ。夕飯も喰らう時間がないじゃなの、これじゃ。

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