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著者はどこまで趣味を主張できるのか [お詫びと訂正]

以下、愚痴ですので、読むべき内容はまるでありません。余程の暇人以外、読んでも何も得ることはありませんよ。

先程、先週に横浜盲学校を訪れてからダラダラと続いていた取材がやっと終わり、使用写真の許諾が面倒くさい対象なんで少しでも早く200ショットを越える写真データを編集者さんに渡すべく、池袋から神楽坂某出版社に周り、土曜夕方でも唯一働いていた編集長氏に託してまいりましたです。そのついでに、来週の月曜日に書店に並ぶ月刊誌最新号を、明日の《魔笛》会場で指揮者N氏に渡さねばならぬので一冊受け取り、ダラダラと坂を下りて地下鉄に乗り、さても新人担当編集者さんの最初のお仕事の手際はどんなもんじゃろかのぉ、とページを開き、おおおおおし、ちゃんとカメラマンさんのクレジットは落ちてないな、と一安心し、本文を眺めだして…

腰をぬかしました。

んで、以下、「お詫びと訂正」です。事実関係の間違いではないので、正確にはお詫びでも訂正でもないのだけど、ともかく、やくぺん先生とすれば空いた車内で思わずアッと声を挙げてしまったくらいの吃驚でありました。

明後日月曜日に全国書店に並ぶ予定の「音楽の友」誌7月号49ページの本文1段目前から13行目、やくぺん先生の世を忍ぶ仮の姿、ってか、やくぺん先生の世間としての「外の人」がやらせていただいている商売原稿に、「私の館内あちこちを巡る1日がスタート。」と記してあります。

これ、「私の」という一人称単数、あたくしめは記しておりません。編集さんが加えたものです。

ああそうですか、だからなんじゃい、と全ての方がお思いでしょうけど、これ、小生とすれば驚天動地のことなんですわ。何を隠そう、1980年代の終わり頃から商売で作文をするようになって以来、web原稿を含め少なくとも「雑誌」という媒体で発表した商売作文で、小生は一人称単数の「私」という言葉を用いたことは一度もありません。意図的に使わない言葉なのです。

例外的に用いたのは、記憶にある限り、単行本『ホールに音が刻まれるとき』(ぎょうせい、2001年)の一箇所で、どうしても作文構成上の問題から一人称単数を出さざるを得ないことになり、そこで使ったことがあるくらい。そのときも、「私」ではなく「筆者」だか「著者」だかだったと思うけど、今、現物が手元にないので調べられない。

とにもかくにも、この類いの原稿では絶対に小生はやらないことであります。なんでやらないかとなると、「やくぺん先生三文文章読本」が書ける話なんで、とてもこんな無責任電子壁新聞でやることではないけど、少なくともここで「私」が入ってしまうと、本来は文体を全部変えねばならない(具体的には、語尾を変えねばならない)。そんなことしたら、そもそもパツパツの字数でやってるこの類いの作文、とてもじゃないが字数がうんと減ってしまう。…ま、趣味と言えばそれまでと思っていただいても結構でありまする。

ええ、まさかまだまだ読んでらっしゃる方は、「そんなもの校正チェックでなんとでもなるだろう」と思うでしょ。ところがどっこい、我が業界の「雑誌」という媒体は、校正チェックなどないのが常識なのです。精密な校正をやらせていただける雑誌は、著者名を意図的に出さない特殊な媒体くらい。つまり、書き手は基本的に原稿を入れたらその先はどうなるか、編集者様次第なんです。でも、責任を取るのはこっち。愚痴じゃなくて、事実だから仕方ない。

今回の失敗は、新人さんだったのでともかくどういう風にするか好きにやらせてみようと、「貴方は編集者さんで書き手よりも偉いんだから、全部そちらにお任せします」と気楽に言ってしまったことにある。だから、文句が言える筋合いではないのでありまする。そんなことは百も承知なんだけど…まさか、こういう形の手の入れ方があるとは想像だにしなかったなぁ。ふううう…

以上、繰り返しますが、悪いのは小生で、編集者さんを非難しているのではありません。そこは、誤解無きよう。彼女は一生懸命頑張って、綺麗な記事を作ろうとしたのでありましょう。実際、マエストロNはどうお考えになるかは判らぬが、綺麗なページに仕上がったことは確かで、カメラマンさんも喜んでくれると思いますし。

てなわけで、この作文が意味があるのは…本気でプロの書き手になりたいという夢をお持ちの方くらいかなぁ。これが三文売文業者の現実なのじゃよ。善し悪しではなく。

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タッチ

いつもブログの更新を楽しみにしています。
一人称単数の件ですが、「筆者としては聞く耳はもっているつもりだ。ご批判、お願いいたします。」(245ページ、6行目)と記載されていました。
by タッチ (2018-06-21 18:10) 

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