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マンハッタン無宿再び [マンハッタン無宿]

大平洋越え、アラスカの南で大陸に入り、エドモントン上空からミネソタ、ミルウォーキーの北でミシガン湖を跨ぎ、遙かデトロイトを眺めつつエリー湖を渡り、バッファローの南でNY州に入るや一気に南に舵を取り、ニューアーク空港上空を通り越してアトランティスの海に出て、マンハッタンをぐるりと巻くようにJRKに到着しました。なんか不思議な道だこと。
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昨年の11月以来、お嫁ちゃんは…2年ぶりくらいかしら。

今回は、商売でもなんでもないのだけどもう一種意地みたいになっちゃってるバーンスタイン《ミサ》の記念年唯一の作曲者本拠地での上演を眺めに来ただけ。ホント言えば、昨年夏、ラヴィニアでの「トーキョー・スタイル」ベートーヴェン・サイクルで黄金期メンバー最終公演となるパシフィカQのサイクルを聴くついでに、ちょっと寄る筈だったんだけど、シミンのご家族にご不幸があってサイクルが中止になり、渡米そのものを中止せざるをえなかった。そのリベンジで、お嫁ちゃんに足りなくなってるNYエナジーを補給に来た、ってのがホントかな。
更に言えば、そもそもこの時期、世界音楽教育者学会だかがジョージア(アメリカ合衆国の州にあらず)のバクーであって、お嫁はそっちに行くつもりだったのだけど、前回のグラスゴーの大会の内容がどうにもちょっとなぁ、北京とかせめてタシケントくらいの手近なところでやってくれるならまだしも、イスタンブールか北京で乗り換えていかねばならない面倒な場所なんで…と参加を止めてしまった。んで、それならマンハッタンいこーぜ、って、要は昨年来の結婚30年記念年シリーズのひとつになってしまったわけでありまする。

ってなわけで、毎度ながらの四半世紀の定宿に連絡したら、なんとまぁ、「その時期改装中でやってません、ゴメン」とのこと。「その代わり、お客様には私らの姉妹ホテルをご紹介しましょう」ってことで、地域としてはいつもと同じ、値段もまぁ、安全と安心は金で買うこの街のこと、これくらいは仕方ないだろーなー、という我が屋が使う宿としては最もお高いランクながら、マンハッタンでは部屋の広さや場所を考えればリーズナブルなところに泊まってる次第でありまする。

たしかに、丁度やら部屋のつくりなんぞは、いつもの定宿にいるのとまるっきり同じで気持ち悪いくらい。要は、アッパーウェストサイドのまともな夫婦ものが住むようなアパートの普通の調度、ってこと。問題は、定宿が基本はレジデンスも居る(というか、居た、でんな)アパートタイプなんだが、ここはホントのホテルで、キッチンや電子レンジどころか、冷蔵庫すらありませんっ!つまり、麦酒買って冷やしておいたり、テイクアウトの中華や近隣の世界一のスーパーのサラダを買ってきて、マンハッタンサイズですからひとりは胃がない夫婦とすれば3食分はあるもんを冷蔵庫に入れておいてチンして喰らう、ってことが出来ない。これ、食い物と宿が滅茶苦茶高いこの街とすると、そーとーに厳しい。果たしてこの先、どうなることやら。

この宿は、なにやらそれなりに有名なところで、特に1階のレストランは朝ご飯のエッグ・ベネディクトで有名で、定宿にいるときにわざわざ喰らいに来たこともあるくらい。だから、別に悪いわけじゃないけど、やっぱり気になっていつものところまで2ブロック南に下り、1ブロック西に歩き、ブロードウェイ越え、改装中という定宿を眺めてきたら、あらまぁ、店舗の回転が速いこの街、定宿にしたころからお世話になっていて、今や某在京オケの看板広報へと出世した女史がこの街に短期滞在していた頃に飯食った角のギリシャ料理店がとうとう潰れて、妙にお洒落なフレンチが入って数年頑張っていたのだが、無くなってしまって無難なイタリアンになってる。911数週間後に訪れた際にリンカーンセンター室内楽ソサエティの若手枠に入ったパシフィカQと延々話をした日本料理店も中華になってら。バス停前のデュランリードがなくなってしまってるし…

いつもの宿は、中は光が灯っていて、どうやら内装工事だけみたい。
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恐らく、遙かに眺めるトランプタワーに象徴されるアッパーウェストサイドの部屋代高騰に呼応し、お高くなるんだろうなぁ。もう10年も前、リーマンショック直前の経済加熱期にももの凄く高くなって、別の宿を探したこともあったっけ
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-12-04
またあの再来、マンハッタン無宿再び、ってことになりそうだけど…そもそも90年代、0年代に比べるとこの街に来る用事が圧倒的に減っていることを考えれば、そろそろ潮時ってことなのかもしれないなぁ。

世界最高のスーパーで$10ちょっとの牛が喰うような葉っぱだらけのステーキ・サラダを買い、冷蔵庫がないのでいちばん小さなオレンジジュースを買い、いつもと反対にブロードウェイを渡り、宿に戻ってくる。
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わずか数日のマンハッタン、爺婆初心者には「若い頃の街」になりつつあると感じつつ、長すぎる今日(いつから戯けた名前の休日になったんだ、ニホン国は?)はオシマイ。

故郷でもない街との関係って、いつかは疎遠になる知り合いに毛が生えた友人みたいなものなのか。葛飾住まいの永井荷風は、江戸川と国府台を眺めつつ、マンハッタンと対岸ニュージャージーの夏を懐かしく思うことがあったんだろーかなぁ。

凪の海 跨ぎ至って 夏無宿

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