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祭りの頃 [新佃嶋界隈]

去る日曜日、平昌の音楽の祭りから戻ってくると、帝都湾岸佃は3年に一度の例大祭の真っ最中でありました。月島駅から荷物引っ張って島の北の外れの縦長屋に向かう道中、町内の公道は怪しげな睦連中が我がもの顔で闊歩し、路地も人で溢れてる。佃小橋の所まで来ると、正に八角神輿が一丁目御神域を抜けて出て行くとこ。
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なんせ我ら縦長屋住人は、同じ町内にありながら「お祭り」には無関係。縦長屋住民組織の回覧で「宗教的な理由から管理組合として住吉さんへのお祭りの寄付は断り、二丁目町会に託しました」とまわってきたけど、託された町会がどんなになってるかは容易に想像がつくなぁ…嗚呼。

佃堀を過ぎればお祭りの喧噪は一気になくなり、町神輿も中央大橋東詰まではやって来ない。なんとも不思議な、神様の町内出張を文字通り高みの見物。地べた民から縦長屋住民となり、そんな妙てけれんな夏の祭りにも慣れつつある自分が、なんだかちょっとオソロシイけどさ。

他人事でぼーっとしてる間に佃の表祭りも終わり、いつになったら佃堀に埋め戻されるやらよーわからぬ幟の柱がいつまでも聳えてら。
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大川に面した幟柱の足下、佃の佃に田中屋さんに行き、成田空港アプローチ下で墓を守って下さってるぼーさん用に4400円もする巨大詰め合わせを奮発、異教徒なりに世間に格好を付けるだけの墓参りをするのが、お袋が広島原爆忌の朝に没してからの縦長屋&葛飾住民たるやくぺん先生に残された唯一の夏の祭りなのであーる。

ヒロシマナガサキの皆様が灼熱の下で死んでくれなければ、日本国政府は敗戦の決定なんぞ出来ぬままズルズルと本土上陸作戦になり、親爺は九十九里に掘った塹壕から飛び出して上陸してくる米軍に殺されていただろう。当然、あたしゃ、この世には存在しない。誰に「ありがとう」と言って良いか判らないので、しょーがないから天を仰げば、目に入るのは遙か福建省は厦門から飛来し、成田へと高度を下げていく厦門航空のお腹。
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楽しい日本観光に向かう客を満載したあの787は、爺さんも関わった重慶空爆に向かった陸攻とは正反対に、ノンビリと夏空を渡ってきた。それがどんなしょーもない世界であれ、ちょっとは世界は良くなったと思いたいぞ。ねえ、爺さん。

戻って来た佃で世間に関係なく日常の作文作業に勤みお盆休みとやらが過ぎ、次の週末が近付くが、湾岸最後の夏祭りはいくら待ってももう来ない。なんせ、世界大運動会の開催が決まり、帝都に遺された最後の広大な空き地たる晴海埠頭が大手デベロッパー寄って集っての事業体に二束三文で売り払われ、「選手村」なる名称の高層マンションがニョキニョキ建てられることになり、東京都中央区民の夏の最大の娯楽、「東京湾大華火大会」は中止となってしまったのは数年前のことなのであった。

ところがなんとなんと、かつて栄華を極めた湾岸大華火大会のその夜に、遙か虹橋の向こうでテレビ局主導の花火大会が始まると知ったのは当日の午後。って、華火大会の日は相生橋南詰めで町会交通整理をさせたれていた頃は、新佃嶋近辺もお祭りの空気はあったものの、距離とすれば隅田川花火より遠いお台場サントリー本社の方じゃ、「へ、やってるの」ってもんでありまする。7時を過ぎても音はすれど林立してしまった縦長屋の向こう、微かに眺める虹橋が煙って、白い塗装がいろんな色に変化するのが見えるだけ。

…ったら、音の方向が違うようじゃ。あれ、なんでしょね、あれは。
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なんと、これまたアベバブルで高層オフィスやマンションが林立してしまい、都庁も首相官邸も警視庁も見えなくなった向こう、六本木ヒルズの彼方、トランプ来日時には橫田のイロコイやロンの海鷹がグルングルン舞っていた辺りが、花火で光ってら。なるほど、あれは遙か神宮の花火大会。帝都の東西で大花火打ち上げショーを同時にやるって、祭りインフレにも程があるわいのぉ。

既にその頃、お台場の一部も配下に収める門仲富岡八幡、昨年のドロドロどころか神社本庁やら日本会議の参与まで噂されるおぞましい宮司一家内殺人事件に揺れて今年の本祭りはどうなるかと心配されたけど、宮司がどうあれ祭りは祭り。既に花火二連発の日から祭りに突入。本日はあの「デカすぎて担げず、クレーンとトラックで移動するしかない」というギャグ状態の巨大本神輿も広大な支配領域に出て来て、その真ん中を突っ切る清澄通りを通る都バスはこんなことになってる。
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幸い、佃縦長屋から葛飾オフィスに向かうべく天樹下まで向かう我が都バスは、ギリギリ規制に引っ掛からない時間でクリアー。普段は敬老パスで混雑する車内は、今日は観光客で溢れ、車窓には町神輿があちこちで走りまわり、やってくるのを待つ人々。
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かくて、深川のハデハデな祭りを横目に、祭りもなにもなく、巨大柿の木とちっちゃな蜜柑が実りつつある新開地へと向かうやくぺん先生であったとさ。

さても、あとは、内紛で分裂した佃の盆踊りを分裂派が月遅れて開催するという新イベントが終われば、湾岸の祭りの季節はこれにて全て終了。嫌でも秋がやってくる。既に午後の5時ともなれば大川端には夕方の空気が漂い、ランナーたちは上がってきたちっちゃな蟹たちを踏みつけないように気遣いながら走り、チョウゲンボウが舞い…

往く祭り 他人事と化す Godzilla目線

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