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3年目のながらの春 [ながらの春音楽祭]

半島先っぽのイサン・ユン聖地を一足先に離れ、桜舞い散る帝都に春の成田名物強風横風にフラフラ揺られながら戻って来たのは、眼下で「ながらの春音楽祭」が始まっているからなのであった。
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この日本でもいちばん小さな(かな?)室内楽音楽祭、そもそもの発端は今を遡ること10年以上前になるのか、クァルテット・エクセルシオのチェロ奏者大友パパが4人の子育てと常設弦楽四重奏団運営という真面目に考えれば不可能としか言いようのないドン・キホーテ的な企てをなすべくヤンキー猛禽類乱舞する多摩の地を離れ、春から夏の羽田へのアプローチの真下に遙か成田から上がってくる民間巨大マシン鳥たち頭上行き交う房総半島付け根の真ん中、市原と茂原の間の山奥に引っ越してきたときに始まるのであーる。

常々、弦楽四重奏を続けていくためにいちばん大事なのは「自分達の責任で運営する音楽祭を持つこと」であると世界中で言われているわけで、行政の支援や大企業やお金持ちスポンサーのバック無しに演奏家の自主運営としてやるんなら、演奏家自身がどっか適度な田舎で地元に根付いた活動を続けた上でやってくしかなかんべぇ、と考えていたのかいないのか、冗談半分で「収穫期に畑の中でパンプキン音楽祭をやりましょー」という夢物語を語っておったとさ。

いつの間にやら、千葉のトーキョー・ネズミーランドが音頭を取ったか取らぬか、パンプキン祭の方は「都会でコスプレして大騒ぎする日」という訳の判らぬことになってしまったわけでありますが、千葉の山の中で妄想のように語られていた音楽祭はジワリジワリと形を取り、4年前の桜の頃に「長柄」という町の音楽教室を舞台にエクのベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏会が行われ、その打ち上げの場で「これって、よく考えてみたら音楽祭じゃね?」って酒の勢いで盛り上がり、演奏が全部おわっちゃった時点で「おおおおし、これを第1回ながらの春音楽祭と呼ぼうではないかぁ」となってしまったわけなのじゃ。

んで、翌年からは、それまでも折に触れて演奏会を開かせていただいたことがある音楽院から車で10分程の総合リゾート施設のゴルフクラブに会場を移し、この地でピアノ教室を開き合唱指導などをなさっていた先達の先生がなさってた手作り音楽祭を引き継ぐ形で、第2回「ながらの春 室内楽の和」音楽祭が開催されるようになったのであったぁ。

とはいえ、20世紀の頃は「年度の切り替わり時期で公共施設などが3月から4月を跨いだイベントをやりたがらない」という理由で実質上の閑散期だったこの時期に、小澤のオッサンがホーレンダー引き連れてヴィーンで作る出し物を日本でもやる音楽祭が桜で人が溢れる上野の森で始まり、小澤氏が実質隠居した後はディレクター不在みたいな不思議な形で「上野商工会議祭」って感じで続き、今は帝都のビックスリー・メイジャーオケとスポンサー絡みのベルリンフィル団員なんぞが関わる摩訶不思議は春祭りが現出してしまったり、対馬海峡の向こうでは岬の上のホールが出来てから統営音楽祭が規模と内容をドンドン拡大して開催されてたり、なんだか東アジアあちこちでイースター音楽際が盛んにやられる時期になってしまっているのは、当電子壁新聞立ち読みの皆様はよーくご存知の通りでありまするな。

もとい。で、そんな中に割って入る気があるわけでもないが、ともかく始まってしまった千葉の山奥の小さなちいさな音楽祭、現在の形になって3年目の第4回が、4月3日から開催されておるわけでありまする。

実質上、エクと地元音楽教室の共催イベントとなって、妙に地に足が付いたものになりつつあるこの音楽祭、やくぺん先生ったら初日は半島でアーヴィン様に付き合ってたので顔を出せなかったものの、昨日の演奏会2日目からはしっかりへっぽこしろーとカメラマンとして参戦しておりまする。なんせスタッフの手は全然足りない家内制手工業、写真撮影を任せられる輩がいるだけでもスタッフは楽になるわけで、爺初心者とすれば出来ることはいたそーぞ、ということなのじゃわい。うん。

クラブハウスの一室を会場にした実質上サロンコンサート規模。広大な目の前の駐車場に停まるのも、袖ケ浦、千葉、習志野ナンバーが殆どで、足立や練馬はチョボチョボ、多摩ナンバーなんてまるで見当たらない、って世界。今年はまだ桜が残るけど、昨日は強風で竹や松林がごーごー揺れていて、流石の桜も散り始めてる。大友パパ曰く、「ここは、いつもこんななんです」。

今年はエクのメンバー交代もあり、初年度のベートーヴェン、2年目のシューベルト、昨年のドヴォルザーク、みたいなテーマ作曲家は敢えて設定せず。当初はシューマン、という話だったが、ま、昨日はエク・メンバーによるブラームスのヴィラ・ソナタやらピアノ五重奏やらが披露され
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実質、ロマン派の年ということなのかな。ま、こういう緩さも小さな音楽祭らしいといえばそれまででありましょー。

この音楽祭、最大のウリは終演後のティータイムなのであります。会場から聴衆はゾロゾロとクラブハウスのレストランに移動し、ちゃんとしたケーキとお茶珈琲が振る舞われ、そこに一仕事終えたエク以下出演者がやってきて目の前でちょっと弾く、というのが恒例になってしまいました。
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まあねぇ、あくまでもオマケのアンコールなんで大きい声では言えないんだけど、文字通りのティータイム・コンサートに、意外にも地元のご隠居さんなどが殆どの聴衆も大喜びであります。ええい、映像公開しちゃいます。手ぶれバリバリのもんですから、ここで眺めるだけにしてね。ことによると一瞬で公開中止かもしれませんし。
もうひとつ、エクによるセミナーは今年も開設されており、こっちはこっちで実はとてつもない、腰を抜かすようなことをやってる。セミナー学生がエク3と一緒に弾き、まるでオーディションかぁ、と思うような本気のご指導をする……要は、参加者がエクという団体をまるまる雇って一緒に弾いて貰う、というわけです。これって、「1分間指揮者コーナー」なんて冗談企画とは意味の違う、とてつもないことなんだけどさぁ…

とにもかくにも、ながらの春音楽祭、本日はセミナー生の発表会があり、明日はいよいよ午前11時からフィナーレ。モーツァルトのクラリネット五重奏などが披露されます。お暇な方はどうぞ…って、まだ席、あるのかしら。
https://ameblo.jp/nagaranoharu/

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