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せーしゅんじゅーはちらー新帝都に戻る! [たびの空]

往路を記した以上、復路も書かぬ訳にはいくまいて。無論、復路が始まる前のお仕事本番関係は、巨匠の松本での最後になるかもしれない指揮姿目撃譚、記者団入り乱れる取材騒動を含め、某月刊音楽雑誌(って、日本語では既に最後の一誌のひとつだからバレバレだけどさ)に掲載予定なので、一切記せません。ゴメンです。

語れと言えば延々数十枚でも語れそうな7分間の演奏が終わり、涙が出そうにあたたかい聴衆がご老体を慮りたった2度の呼び出しで解散、熱狂というには余りにしっとりしすぎた不思議な空気が漂う松本ハーモニーホールを後に、若い頃にはお嫁ちゃんの同僚だった現ディレクターへの挨拶も出来ず島内駅に向かう人の流れに紛れていると、目の前を元讀賣新聞文化欄記者S氏が、いつものようなきっちり夏のジャケット姿で歩いていらっしゃる(業界専門誌関係者は、小生とSさんしか会場にはいませんでした)。小澤氏と一緒に歳を取ってきた長老先輩、楽屋にはいらっしゃらないんですか、と声をかけると、「いやぁ、今日は僕なんかには会ってくれる状態じゃないでしょ」なんて仰ってる。いやいや、今日、ご挨拶しておかないと、先生、絶対に後で後悔しますよ、と背中を押すと、そうかなぁ、なんて仰って、踏切越えて楽屋へと引き返していらっしゃいました。ま、次の大糸線でも最終あずさには間に合うから、千葉のお宅まで無事に戻れるでしょ。

そう、やくぺん先生なんぞの親爺の世代が、北アルプスの夕暮れのように美しく暮れていくのを、ニコニコ笑って眺めるべきなのであろー、わしら爺初心者共は。

※※※

さあ、お仕事終わった終わった、で、湾岸は佃縦長屋まで戻りましょ。まずは6時50分無人駅の島内発、大糸線たった二駅で松本まで至ります。この音楽祭が始まった頃はそんな感じでもなかったけど、21世紀も10年代が終わろうとする松本は、今や車がないと生きていけない社会。この駅が人で溢れ、2両編成の大糸線がラッシュ状態になるなんて、連休最終日の今日午後の上りくらいしかないんじゃないかね。
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長距離各駅停車の最大の敵は水物でありまする。昨今はどっかの車両にトイレがあるとはいえ、一度座ったら動かない方が安全に決まってる。かくて、松本ハーモニーホールのカフェでチキンカレーセット&ホットコーヒーで座り込んで以来、演奏会時間から佃帰着まで飲まず食わずが原則でありまする。松本駅ではいくらなんでも手ぶらでは戻れないマスオさん、ほぼ空っぽの売店で最後の1個になった野沢菜漬けを買い込み、保冷シートに入れていただきます。お客さん、まだ急がなくてもまだ大丈夫ですから、と7時25分だかくらいのあずさに乗ると思われるのを訂正もせず、7時35分発甲府行き3両の各駅停車が入ってくる1番線ホームへと向かうのであった。
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あとは特に記すこともなし。なんせ車窓はずーっと夜なので、撮影するべき絶景もなし。斯くて、以下は取材メモをパソコンに入れる作業すらせず、ひたすら紙の本を読みながら戻るつれづれ、Facebookに書き込んだ観察メモのコピペでありまするぅ。

向かいのホームのあずさは、意外にもガラガラ。Sさんには、まさか普通乗り継ぎで帰りますとは言えなかった小心者…あ、走り始めたあずさ車内、普通車はそこそこ人がおりました。あずさが出て行くと、急に雨が落ち始めた。

さて、各駅停車がやってきたぞ。始発じゃあないんだなぁ。ロングシートが丁度全部埋まって、立ってるのはお友達と一緒にいたいチューボーくらいのこの時間の上り各駅停車、車内を埋めるのは車を運転できないティーンエイジャーと、明らかにせーしゅんじゅーはちらー、あとは近場の熟年くらい。この子達も18歳になったらアルバイトして足りない分は親に出してもらい、50万円くらいの中古軽を買うんだろーなぁ。斯くてトヨタ以下自動車会社は栄え、文化にもジャンジャンお金を下さるのであろー。

岡谷駅ですれ違い列車が遅れ、延々と停車します。甲府での乗り換えが3分で、乗り継げないと東京まで辿りつけないんだわなぁ。上諏訪駅でも2分遅れを維持。この単線区間、もうどうする気も無いのであろーなー、我らがJR東日本さんは。あ、島内からずーっと一緒だった熟年ご夫婦が降りていきます。すっかり若者&バックパッカー専用列車になりました。

風光明媚な筈の八ヶ岳と日本アルプス、遙かに霊峰富士を見渡す辺りを真っ暗闇で走破、小淵沢に到着。「本日最後の新宿行き特急、本日最後の小海線に乗り換え」とアナウンスしてます。殆ど乗ってくる客はないままに動き出し、日野春駅であずさに抜かれる為に8分停車。なるほど、ここで数分の遅れは取り返せるのかぁ。車内、誰も動かず、人々は黙々と携帯に眺め入ってる。「マッタリ」という副詞はこういう状態です、と辞書編纂者さんに写真を見せて教えてあげたいよーな空気が流れる。
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横を、新宿への最終あずさが追い越していきました。

1時間と58分の乗車時間を以てして、21時33分に無事甲府駅到着。反対ホームの高尾行きに乗り換えます。どうやら身延線か甲府でコンサートがあったみたいで、たくさんのJKやら若い女の子ちゃんたちがもう座ってます。みんな楽しそうだなぁ。この駅、なんで発車チャイムが「木星」トリオ部コラール後半なの?

目の前でJK半ダースがスマホ眺めるかキャッキャするかしてるのをボーッと眺めながら、マッタリ各駅停車は午後10時くらいからいよいよ新帝都に向けた最後の山越え。大月からは女子大生くらいのねーちゃんたちがいっぱい乗ってきて、なんだか付属校付き女子大の放課後状態。四方津駅で、向かいに座って「はしがころがっさも可笑しい」をずーっと繰り広げていたJK六人組の半分が降りていく。ドアオープン・ボタンをポンと押して下車するや、かっこよく慣れた手付きで手を伸ばし自分でクローズ・ボタンを押し、お友達にバィバィ!残りの半分も上野原で下車し、車内は一気に淋しくなる。大月からの年長女子らは、みんなお疲れだし。こうなってくると、車内広告の寂しさがやたらと目に付いてくるぞ。アベノミクス、トリクルダウン、どこに行ったぁ?

11時1分に高尾到着、反対ホームの11時1分発各駅停車東京行きが待ってます。もう大丈夫、とホームで飲み物を買う暇もなく
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アッという間に帝都に向け、最後の各駅停車は出発!立川迄は下りる奴らばかりだったけど、随分と乗ってくるぞ。で、西国分寺、国分寺とドンドン人が下車していく。吉祥寺では若い酔っ払いがいっぱい乗ってくる。多摩県の人の流れは複雑じゃのぉ。それしにても、中央線沿線は諏訪湖からずーっと若者しかいないのか?こんなに車中に年寄りがいないなんて…。高円寺、車内満員也!車内平均年齢20代半ばくらいか。

深夜2分前、新宿でゴッソリと下車。共産党の横あたりで日付けが変わり、不吉な予感しかない世界大運動会メイン会場を眺め、公明党聖地はもうお盆休み明けの月曜。市ヶ谷で有楽町線に乗り換えようかとも思ったが、ここまで頑張ったんだから、終点は新帝都中央駅まで向かおうではないか。かくて、御茶ノ水で少なかった乗客の殆どが下車し、新帝都中央停車場の高いホーム帰着は0時17分。反対ホームでは、「高尾まで行く最終電車です」とアナウンスしてら。
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空気の熱さが息苦しい新帝都。八重洲口にたむろするのは、これからまだ宿へ向かおうかというインバウンドさんと、深夜発のバスを待つ若者ばかり。割増と赤く光るタクシーが次々と擦り寄ってくるけど、ここでそんなもんに乗ったら元も子もないじゃあないかい。誘惑に負けず、完成した新ブリジストン美術館前をまあああっ直ぐ歩く。コンビニのカウンターにボーッと立ってる黒いおにーちゃん、とっても暇そうじゃのぉ。君の国より暑いじゃろ、我が新帝都は。

斯くて午前1時前、大川端を渡るは、生暖かくもほんのちょっとだけ秋を感じさせる北からの風。天樹は既に光を落とし久しい頃、やうよう縦長屋に帰宅。松本から各駅停車乗り継ぎは甲府高尾共に待ち時間ほぼ皆無で、総計乗車時間5時間弱。ま、成田からハノイくらいと考えれば、そんなもんかいな。お値段は、普通料金にして正価4000円也でありまするぅ。ちなみに青春18きっぷは、本日分2370円、だっけか。
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Long Way Home!

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安曇野の 風をまといし 秋いずこ

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佐藤

木星の件、当該部を使った曲を歌われた平原綾香さんが山梨のライトダウンイヴェントの曲を歌っておられたそうで、それが理由と聞きました (聞いたっきり調べておりませんので正確かは判りませぬ)m(_ _)m

by 佐藤 (2019-08-25 18:19) 

Yakupen

佐藤様

なるほど、よーは、理由はなんでもいい、ってことなんですね(笑)。ありがとうございました。
by Yakupen (2019-08-26 18:37) 

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