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秋吉台閉館か? [音楽業界]

松本の奥座敷浅間温泉、今晩のこの街では貴重な素泊まり(朝ご飯付けちゃったけど)4桁の古い旅館におりまする。スゴく熱いお湯です。オバチャンは今日は変な天気と仰るが、湿っぽいけどすっかり秋の空気。

マリオならぬルイージ御大の棒の下、真面目な職人集団サイトウキネンがすっかりやんちゃ坊主になっちゃった一期一会のまらいちに熱狂する人々をかきわけ、本日ここまで来た理由のある演奏家さんにちょっとライブで挨拶するというご家庭内的な御用事を終えて、小雨ぱらつく中を歩いて戻って来ました。ったら、なかなかビックリするようなニュースが踊っている。こちら。
https://www.yomiuri.co.jp/local/yamaguchi/news/20190822-OYTNT50048/?fbclid=IwAR02-BcjCGzKkuAg2jO4O7yIJgIXwaMgMKhw7Pr-VLadr3N7oiwWZlR8VtA
この新帝誕生連休に利用させていただいた秋吉台国際芸術村が、どうやら廃館になりそうだ、とのこと。

うううん…なんというか、正直なところ、あああ来たか、という感じでありまする。アベ総理の地元(ではなく、選挙区は隣だけど)だし、あれだけいろいろ公共事業に資金が投じられている県だからなんとかなるのかなぁ、とか気楽に思ってもいたけど、そういうわけにもいかないんですなぁ。

ええ、この讀賣さんの記事では「利用低迷」と身も蓋もない見出しになってますけど、やくぺん先生が現地のスタッフから耳にしたのは、ちょっと違う、ある意味、もっと深刻な問題でありました。この記事で触れていないのは何か意味があるのかもしれないし、もしかしたらある方への「忖度」があるのかもしれないけど、別にこれは隠すようなことではない事実なんだから記しても良いと思うので、記します。無論、「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」をモットーとする当私設電子壁新聞ですから、まるで公式な事実みたいに引用したりしないよーに。

ええ、この施設、ゲンダイオンガク業界の方はよーくご存知のように、ノーノの《プロメテオ》を作曲者の指示通りに演奏することを目的とした極めて特殊なステージと客席配置のホールを中心に、練習室やスタジオが配された音楽棟(讀賣さんの写真の建物です)と、その手間のレストランなども備わった住居棟から成っています。つまり、アーティストが滞在しながら、いつでもデッカい音で練習したり作品を創ったり出来るようになっている。経緯をご存知の方はご存知のように、最初はゲンダイオンガク中心だったわけですが、今はスポーツ団体の合宿なんぞにも使われてるそうです。食事は正直、腹を減らせた高校生が合宿に使うには立派すぎるくらいのクオリティのものが提供されます。

ただ、現場スタッフに拠れば、ひとつ大きな悩みがあるとのこと。それ即ち、宿泊施設の老朽化。具体的に言えば、空調施設関連。宿泊棟のいくつかの部屋のエアコンがダメになっているそうな。

なにせ山口県の真ん中、松本みたいにまあ気候温暖爽やかな場所、というわけではありません。夏は暑く、冬は寒い。エアコンがアウトな部屋は、実質、使えない。かくて、宿泊棟のかなりの部屋が使用不可能になっているとのこと。

そんなの直せばいいじゃんかぁ、と思うでしょ。その通り。だけどね、それがそうもいかない。なにせこの宿泊施設、音楽棟と住居棟の全体が緑の谷間に存在する巨大なアートみたいな作りになっています。これが南側、施設入り口の辺りから眺めた住居棟。
IMG_0094.JPG
入口のところから眺めると、こんなん。やくぺん先生が数日滞在した部屋は一番手前でした。
IMG_0130.JPG
んで、奥の音楽棟から住居棟を眺めると、こんなん。
IMG_0103.JPG
問題は、この写真の右手の部分にあるそうな。

この施設、建築物の自然との調和を大事にするために、無骨な空調施設は住居棟の横の山の中に埋め込まれているのだそうです。んで、空調がダメになってる部屋の修理をするためには、山を掘り返さなければならない。莫大な費用がかかる。

なんだか、言っちゃいけないことを書いちゃったようにも思えてきたなぁ。でも、まあ、そういうことらしいのです。

施設のメンテナンスにもの凄くお金がかかる、さらに施設としてフル活用できるように整備する経費やらランニングコストと、入ってくるお金とを天秤にかけるとぉ…ということ。今、政治家さんだか行政の現場だかが、なんらかの判断をせねばならないタイミングになったのでありましょう。

などと記していたら、もうひとつ、ニュースが飛び込んできた。
https://www.jti.co.jp/knowledge/arthall/pdf/Release190823.pdf
なな、なんと、マッカーサー道路入りっ端のJTアートホールが貸し出しを停止する、とのこと。うううん…小ホール大盛況の今日この頃、勝ち組と思ってたんだが…

80年代終わりから90年代始め、バブル全盛期に生まれたホールがあちこちで寿命を迎えている、ということなんだろーか。先週訪れた松本ハーモニーホールも、よく見ると内装がかなりくたびれて来てたしなぁ。うううん…

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岩田中

この施設、元々は県庁内の「職員アイデア募集」で「何でもいいから人が集まるところを造る」というハコモノ構想案が採用され、じゃあ何作ろっかなーと担当スタッフがネタを探していたところ、別の課の上級職員が休日のドライブ中に秋吉台で音楽セミナーやっているのに偶然遭遇し、こりゃすごいとその担当スタッフに「県が支援すべきや!」と関西弁で熱く語り去り、その後いろいろなんだかんだでハコが建てられることになった。でも、音楽セミナーサイドは運営難で活動終了しようと思っていたのに、県は音楽をダシに建設を進めることにしてたので活動止めないでと泣きついてなんとか開設することにしたけど、その後県の大暴走で結局物別れ。中身が無くなったのに巨大施設がオープン。遠くに異動していた例の上級職員は「別にあんな建物なんか必要なかったのに。僕はこじんまりとした小屋程度のものをイメージしてたんだ
けど」とうそぶくのでありました。

だから、発端はゲンダイオンガクというソフトが先行したという経緯じゃないデス。
思い付きと偶然と勘違いと暴走。
by 岩田中 (2019-09-05 18:16) 

Yakupen

岩田様

情報及びご指摘、ありがとうございます。このようないろいろな視点からの意見が入ってくるのは、SNSの非常に有り難いところです。

実はこの取材、正にその「施設が出来る前からやってたセミナー」の方の筋で訪れていたわけで、そのような経緯もうかがってはおります。とはいえ、やはり世間的にはK氏が主催するセミナーより、《プロメテウス》を上演出来る特殊なホール、という方で世の中では(というか、世界では、ですかねぇ)知られているわけでありまして、上述のような記述にしております。

現実問題ととしていちばん困ってるのはセミナーで、「次は国際コンクールにする!」とK先生は頑張ってらっしゃいましたから、ホントになんと申して良いやら。

返す返す、別の視点の情報、ありがとう御座いました。

by Yakupen (2019-09-05 22:48) 

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