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高崎芸術劇場騒動まとめ [音楽業界]

昨日、遙々上州空っ風の街(まだ吹いていないけど)高崎まで行って参りました。帰りの高崎線の中で当電子壁新聞をやるつもりが、パソコンそのものを忘れるという完全な老人性健忘症を発症し、おおお、一日作文系仕事が出来なかった。明日締め切りの原稿、まだテープ起こしすら始まってない。やばいぞっ。

もとい。で、めちゃくちゃにタイトな状況ながら、これは今出しておかねばならないネタなんで、手短に。数日前から話題の(話題なのか?)高崎芸術劇場照明器具入札情報漏洩で館長と副館長、及び出入りの業者逮捕という騒動のまとめです。まずは、最も詳細な第一報。基本、後述のように一般のわしらにとってこのニュースの情報源として最も信頼できるのは上毛新聞ですので、そちらを並べます。首都圏の中央メディアは、基本、ベタ記事に毛が生えたようなものですから。
https://gunmanodaidokoro.owst.jp/
夜明け前からのガサ入れなどの操作状況、市民の反応などを除いた事実関係は、リンクがなくなっても大丈夫なように、以下にコピペしておきます。見出しはカットします。

「群馬県高崎市の文化施設「高崎芸術劇場」で使う照明設備の同市発注の指名競争入札に際し、予定価格を漏らしたなどとして、群馬県警捜査2課と高崎署は19日までに、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、高崎財団副理事長の菅田明則(66)=安中市安中=ら3容疑者を逮捕した。県警は同日、市役所や同劇場、高崎財団など関係先を家宅捜索し、資料などを押収。詳しい犯行の経緯や3人の関係性などを詳しく調べている。高崎市長の側近3人の逮捕劇は、関係者に衝撃を与えた。(一部既報)
 ほかに逮捕したのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町=両容疑者。3人の逮捕容疑は共謀して1月ごろ、同劇場の照明設備の備品購入を巡り、同社に落札させようとして予定価格5800万円(税抜き)を漏らし、5680万円で落札させて入札の公正を害した疑い。県警は3人の認否を明らかにしていない。県警によると、備品は劇場に使用されるムービングライト32台。市内の電気工事関係の13業者による指名競争入札で市が発注した。3人はいずれも高崎高のOB。菅田、阿久沢両容疑者は長年の知人とされ、佐藤容疑者も菅田容疑者と親しい仲だったという。捜査関係者らによると、3人は大筋で容疑を認めているといい、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしているという。市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされ、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたとみられる。」
(上毛新聞2019年11月20日Webサイトより)

オープンしたばかりの高崎芸術劇場の館長と副館長が談合で逮捕されちゃった、ということ。こちら、高崎芸術劇場の公式ページ。事件についての言及はありません。
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/

さても、昨日、アルディッティQが高崎芸術劇場委嘱での細川作品世界初演があるので、遙か湾岸大川端からノコノコと高崎線各駅停車に揺られること2時間、高崎芸術劇場に初見参させていただきましたです。こちら。豪華バスターミナルじゃないよっ!
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なんせ新ホールの委嘱作品世界初演なんで、さぞや地元メディアが詰めかけているだろうと思ったら…全然おらんわいっ!なんなんねんっ!もー、終演後のアーヴィン達、もう、すっかりお茶目さん。顔を合わせたら社長一発曰く、「ホントにおまえの音楽趣味は判らんなぁ!」って…
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もといもとい。んで、群響からトップが逮捕されちゃった高崎財団に移り劇場のクラシック音楽系出し物の中心になっている方から、大ホールも聴いていけと言われ、そのまま居座り、みっちーのブルックナー&武満を聴かせていただきましたです。正直な感想を言えば…群響さん、あの響かない音楽センターでずっと作ってた響きはまるで古いシカゴ・オーケストラホールで鍛えられたシカゴ響サウンドみたいなところがあって、このホールに来たら響きを一から作り直さねばならないなぁ、でもまあ、長期的には「綺麗な響き」に向かうのは良いことじゃないの、と失礼なことを思った次第。

もといもといもとい。談合話です。細川新作&まるでブルックナーのような壮大な羽音をたてて五角形の庭に舞い降りたヒヨちゃんかムク軍団みたいな武満の間、流石にちょっと名前を明かすわけにはいきませんが、市役所から群響事務局、能力をかわれ似た状況にあった京都市響に移り事務局長として手腕を発揮し、今はご隠居となって群馬音楽センターの将来計画を一民間人としてお考えになられてらっしゃる業界長老さん(判る方にはバレバレ…)と、今回のことやこの芸術劇場のあり方を巡り、なんのかんのお話をさせていただきましたです。なにしろこういう話は一般論だけではまるでわからない、本当の意味でのローカル情報がないと意味すら不明なことなので。

結論からすれば、この談合騒動、全国区ニュースとして一般誌やら音楽専門雑誌に持ち込むものではなく、地元の記者さんがきっちり報道し、地元高崎の有権者に正確な判断材料を与えれば良い事件である、とやくぺん先生的には判断しましたです。この問題は、「高崎市の公共事業発注は市内業者に限る」という市長のやり方が高崎市納税者にとってどうなのか、という極めてローカルな話なのです。で、この無責任電子壁新聞ネタとして記すことにした次第でありまする。つまり、商売もんにはならない、ということ。

事件として意味がない、ということではなく、広く世界に伝える必要があることではない、ということです。高崎という場所に関心がある人には、とても大事な問題ではあるでしょう。

この問題を整理するために、これらの逮捕後の続報を眺めてくださいませ。いちばん大事なのは、この市長記者会見の記事。問題の根本は、「私は工事とか備品の購入は地元の会社を使えという方針は出している。」という発言に集約されています。
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/174667
んで、これが背景説明、刑事事件なら「動機」でんな。それにしても、こういうのって警察が記者会見してるのかなぁ?
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/175124

ま、以上終わり、といえばそれまで。てなわけで、全国区としてこのニュースが意味のある人は、高崎市外の舞台照明納入業者さんだけなのですわ。そういう方々は、「お、これで高崎市は市長が次の選挙で落選するだろうから、新市長の方針で高崎市にもうちが入れるかもしれない」と考えるでしょう。でも、そんな人はマスメディアが伝えなくても業界情報で必要なものは取れる。つまり、専門誌、業界紙レベルの情報なわけです。

なお、この事件の結果としての高崎芸術劇場そのものに対する市民からの負のイメージについては、また別の話。つまり、「空洞化する高崎駅近隣の大規模公共施設建設による再活性化」VS「平成の大合併でむやみに巨大化した高崎市の広域ソフト整備」という高崎市の税金の使い方を巡る別のレベルの大問題になってしまい、そこで「群馬交響楽団」という文化ソフトを行政がどうワイルドカード的に使うか、群響がどうそれに乗るか、というなかなか厄介な文化団体マネージメントのテクニカルな話になってくる。文化小国(御上の付ける予算として)ニッポンでは余り話題になりようがない、限りなく軍事産業に近い位置づけの文化産業、なんて問題になってくる。そっちの方なら全国区的な話題にし得るんだけど、それがやれる事例というか場所(地域)が少なすぎるからなぁ、ニッポンブンカコッカは。いやはや…

勿論、群馬交響楽団の新たなホームベースにはたいそう立派で使い勝手が良さそうな小ホールだけではなく、駐車場問題とか周辺宿泊施設とか、いろいろ問題があるようです。幸か不幸か、館長逮捕はクラシック関係にはダメージは殆どないようで、昨晩も壮大なブルックナーの雄叫びが上州の峨々たる山々に向けて吠え終わるや、客席は大喝采、みっちーも祝福の言葉をステージから語り、大いに盛り上がった夜でありましたとさ。

高崎芸術劇場、隣にある長距離バスターミナルは残念ながら東京からは殆ど役に立たないんだよねぇ。だるま弁当買って高崎線のグリーン車を奮発し、高崎経済に貢献したまえ、ということですかな。

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