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新しい「古い方の奏楽堂」 [音楽業界]

へっぽこいんちきカメラマン、やくぺん先生が携帯で撮影したアート写真をご覧あれぇ。
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どこだこれ、なんだこれ、とお思いでしょうかね。別に隠すようなもんではない、去る金曜日の午後6時半過ぎ、場所は師走の短い日もすっかり沈み切って夜の帳が下り始め、お隣に動物園では夜行性の皆様がうごめき始める頃の上野公園、既に随分と前の事ながら、新装成った台東区管理の旧奏楽堂の客席いちばん後ろの列の下手側に座り、右上の方向に頭の上直ぐに迫る天井を眺めたところ…でありまする。

どういう理由か、というかどういう理由がなくか、この旧奏楽堂がリニューアル再オープンしてから、客席に座って演奏を聴く機会がまるでありませんでした。この晩は、溜池の室内楽アカデミー三期生の弦楽四重奏団がこの会場で手打ちの公演をするということで、ノコノコ出かけた次第。
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演奏の中身は、ご本人たちは言われなくても判っているであろうことを敢えて口にさせていただけば(哀しいかな、それが商売ですので)、「自分たちでキャリアを作っていかねばならないことになった若い団体にとって、いちばん難しいのは練習日程調整などの自分らのマネージメント管理なんだわなぁ」、ってかな。ある時期に自分らが達したトップの力を知っているだけに、今の状況でどこまでそこに近づけ、維持できるか。若さの勢いと無限にあるように感じられた時間とはちょっと違う状況になったとき、何を捨てて、何を拾うかをしっかり考えていかねばならないわけで…なあんて失礼なことを、ブラームスのクラリネット五重奏なんて爺むさい音楽の中で感じざるを得なかった爺なのでありました。

ま、それはそれ(ちっとも「それはそれ」じゃないんだが…)。新しくなった旧奏楽堂のこと。

正直言えば、コンサートホールの機能として何がどう変わったか、全然わかりませんでした。まあ、楽屋に行ったわけではなく、あくまでも時間ギリギリに来て、ロビーで知り合いとちょっと話をして、さっさと最後列に座り込んで、終わったら演奏者の方に遠くから手を振ってバイバイしてきただけなんで、使い勝手がどうなったかとかまるっきり判るわけはないのだけど、あくまでも客として座っている限り、唯一の大きな変更点は「椅子がまともになった」ということに尽きます。とっても有り難いことで、これだけでも十分に改装した意味はある。

とはいえ、それ以外はほぼ前のまんま。トップの写真でお判りのように、相変わらず「閉鎖された防音空間」ではなく、外の光が入るのは当然として(お判りのように、上の写真は外観ライトアップの光が窓から入ってきて、窓枠の影が天井にあたってるのです)、上空を舞う夜の天樹観光民間ちっちゃいヘリの羽音とか、博物館前を往く大型トラックの音とか、しっかり入ってきます。二階だからか、地下を通る京成電車の音は聞こえてこないのは有り難いですが。

それに、なんといっても、どんなに暖房してくれていても、冬場は最後列辺りは外の空気の冷たさがなんとなく伝わってきます。ぶっちゃけ、寒い人には寒い。これ、恐らく、これ以上暖かくすると、ステージ近辺は暑くてたまらん状況になっちゃうということなんですかね。まあ、その状況が5時間も6時間も続くヴァーグナーやシュトックハウゼン見物ではないわけだから、コートをもこもこ着込めば良い、ってだけなんだけどさ。

ポジティヴに言えば、改装成った旧奏楽堂、基本、前と同じ。使い勝手が良い悪いもない、この空間をどうやって使うかしっかり考えればいいというだけのこと。あ、言うまでもなく、音響も前と同じですから、今時のよく響く「小規模音楽ホール」とはまるで違う。直接飛んでくる生音しか聴こえませんから、弦楽四重奏などの場合はきっちり自分たちで響きを作らないとダメ。その意味では、キャリアを積んだ連中じゃないと使い辛いかもねぇ。後ろの席から「聴こえない」と言われたんでがああああっと弾いちゃえば良い、ってんでもないし。

週末の朝から晩まで全部使って11万2千円って、どうなんだろうなぁ。単純客席数で割れば400円弱かぁ。まあ、設備はともかく、場所を考えれば適正価格ということかしら。
http://www.taitocity.net/zaidan/sougakudou/wp-content/uploads/sites/6/2018/11/2018sogakudo_riyou-annnai.pdf

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