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21世紀20年代の始まりにあたって [売文稼業]

新年明けましておめでとうございまする。
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っても、今は新年も明けて二日目の午後、冬至は過ぎたとはいえ、北緯35度東経135度でグリニッジ標準時から9時間も早い極東の島国の真ん中辺りの空は、午後4時台になるとすっかり夕方の気配、今年も残すところあと364日、って寂寥感も漂う…わけないかな。

世間では何が起きてるか知らないけど、朝から追手町上空で讀賣系報道ヘリが叫んでは鰯の群れの上のカモメたちのように大学生アスリートらを追いかけ、そんな騒動が箱根方面に向かってくれたと思ったら、今度は新帝の新年参賀で新帝都上空に新聞テレビ各社報道ヘリ乱れ飛ぶ上を、昨年の新帝即位騒ぎ頃から第一線で働き始めた地味な新制服に身を包んだ新型パトヘリくんたちが高空警邏でぐるんぐるん。大川の上は観光船が行き来し、遙か筑波やら榛名山、電通ビルの向こうには富士山の頭までも顔を出す、なんとも騒々しい新帝都の初春でありまする。ふううう…

さても、やくぺん先生ったら、すっかり頭はかすみ目はしょぼしょぼの老人初心者も板に付き、昨年夏の終わりには病人認定までされ、あらゆるところに5キログラム弱の医療機材を持って歩かねばならなくなり、前世紀の終わり頃から昨年の前半までのような「あんた、今、どこのいるの?」って生活は出来なくなりました。そんなわけで、やってきた21世紀の20年代は、ちょっと、というか、全然違った生活にならざるを得ません。なんせ、先月頭にアムステルダムから戻ってきて、次に列島を離れるのは恐らくは春節終わりというか、イースター休暇前の統営まで予定はなし。その先も、ヘタすると9月までずっと国内にとどまる可能性が高いです。無論、国内移動や、香港台湾ソウルくらいの札幌や那覇と実質違わない近距離への数日のお出かけはあるかもしれないし、国内移動もそれなりにはあるだろうけど(なんせ、5月には第10回大阪国際室内楽コンクール&フェスタがありますから、関西張り付きになることは確実)、基本はおとなしく過ごすことになるでありましょう。

昨年秋以降、新帝都を中心にあれこれ業界を眺めるようになると、この街でもいろんなことが起きているなぁ、と思うことしきり。相変わらずヴィーンフィルやベルリンフィルやコンセルトヘボウ管なんぞの来日公演とは無縁とはいえ、これまで「ゴメン、バタバタしてて」と泣く泣く行けなかったような若い人や年寄りたちの室内楽とか、小さい会場での現代音楽やら実験系音楽やらにも顔を出せるようになって、いろいろ思うところもあったわけでありまする。その辺りは、これから年始3本目の締め切りになってる『演奏年鑑』の概論などで記すわけで、こんな無責任私設電子壁新聞にダラダラなんか喋るわけにもいきませんです。ゴメン。でも、『演奏年鑑』って、今、普通の意味での市販ってされてないんだよねぇ。

そんな生活の変化の中で、ひとついよいよこれは腹を据えねばならぬ、と思っておることがあります。ええ、何を隠そう不詳やくぺん先生、その世間に晒している人間体での作文仕事ではWeb原稿の黎明期から関わり、極めて不幸なことに、ろくなことが起きていない。で、すっかり偏屈老人になってしまっていて、Web原稿は基本的に信用していない、やりたくない、やらない、依頼があっても「その枠は若い人がやるべきで、うちらは紙と共に滅んでいきますから」などと申していたわけでありまする。

とはいえ、テレビ新聞広告の総額がWeb広告に追い抜かれた、というニュースを耳にするに、いよいよ紙媒体も特殊なジャンルになりつつあると考えざるを得ない。紙としての「本」そのものを売るというやり方は、自分の生徒に教科書として売れる学校の先生とか、250万円くらい積み上げて出版社さんから出してもらうスポンサー付き本とか、極めて特殊なやり方以外には実質不可能となりつつあると思うべきなのでしょーねぇ。

そこで、正月二日に後先考えぬ無謀な宣言をしてしまいますです。

20世紀末に音楽之友社から出版され、今では絶版となっている『弦楽四重奏の名曲名演奏』という小さな著作の、Web改訂を作ります。
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既に旧紙版の編集というか、台割り作業は細々ながら、始めております。とはいえ、Web本にするとなると、単にスキャンしてPDFファイルをまとめた、ってもんで終わらすわけにはいかぬ。基本、「Web上のガイドブック」=「ポータルサイト」ということにせざるを得ない(そもそも、ああいう類いのガイドブックとは、紙版のポータルサイトだったわけですからねぇ)。音や映像に直接繋げられるので、譜面の断片を使うための承諾などという面倒な権利関係が山積みな作業はいらなくなるものの、映像や音声を使わせていただくためのあれこれの作業やら手続き、演奏家の皆様から承諾を得る作業は必要となってくる。20年以上経って古くなってしまった中身の情報のアップデートもせねばならない。無論、編集者に相当する人は置き、校閲までは無理にしてもちゃんとプロの校正の目も通すつもりでおります。実質、個人でやる出版社、ってことになっちゃうなぁ。

てなわけで、今日明日に直ぐ出来るというわけでないでしょうが、なんとか大阪の大会前くらいにはWeb上で世に問えるようにしたいと思っております。既に紙版の担当編集者さんだった方からは、法律的には問題がない、との承諾はいただいておりますです。また、現時点では日本語版のみですが…ま、そっから先は出来てからの話。お値段は…そうねぇ、どうなんでしょうねぇ、オンブックスと同じくらい、ってのが妥当なんだろうなぁ。そういうのもどうしたらいいやら。

これが上手くいけば、やくぺん先生の世を忍ぶ人間体の両手の指ほどの著作の中で唯一重版がかかった『気楽にいこうクラシックコンサート』の2020年代版(やるとすれば、上野の杜に集う業界歴戦の強者共の共著の形にしたいなぁ)、膨大にある演奏家インタビューの公開、などアイデアはいろいろ控えておりまする。Web原稿に対する不信感を作り上げたFUJITV Art Net連載の『Music in Museum』も、なんとか纏まった形で復活出来ないかなぁ、と思ってるし(まあ、あれは一部が『クラシックコンサートをつくる。つづける。』に流れているわけだけど)。

なんか、いよいよどこにも出かけずに家でやれる隠居仕事っぽくなってきたなぁ。ま、それでいいだけどね。

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佐藤

まだまだ知識不足で、片っ端から聴く胆力もありませんもので、
楽しみに待っておりますm(_ _)m

by 佐藤 (2020-01-13 00:10) 

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