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歌の鬱陶しさ [演奏家]

静岡グランシップに日帰りするため、東京駅発清水行きバスに乗ってます。この季節らしい澄み切った関東の空に、まるでイースタ前みたいな妙に暖かい空気が流れ込んでる、なんだか不思議な旧正月お休み真っ最中…
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でも、東京駅高速バス乗り場はいつもと一転、妙にガラガラですけど。このバスも、世界遺産美保の松原への直行というのが売りなのだが、インバウンド閑古鳥でガラガラでありまする。これは大変なことになってますねぇ。世界大運動会を止める良い格好の言いわけが出来たのは良かったけどさ。

空前の作文地獄となった1月も、遺すところ締め切りはあと一本。だから、こんな無責任電子壁新聞なんてやってる暇はまだないので、ちょっとだけ昨日の演奏について。東京、っても埼玉県東京区池袋町大字北京、とすら呼ばれている辺りに聳えるガラス張りの館、とーきょーげーげきで、サロネン先生がフィルハーモニア管でマーラーの9番をお振りになる、という演奏会でありまする。

げーげき(ってか、オープン前の呼称だった「げーぶん」と未だに言ってしまう爺なんだか)が開幕して30年を記念するコンサートシリーズで、呼ばれているのがフィルハーモニア管で、振ってるのが当代きっての指揮者兼作曲家で、ましてや曲がマーラーとなれば、誰だってげーぶんオープン記念企画のシノポリ指揮フィルハーモニア管によるマーラー全曲演奏会を思い出さないわけにはいかないでありましょう。なんせ、DGに録音された全集では、《嘆きの歌》が晋友会さんの合唱で新設なったげーぶんでのライブ録音だったわけですからねぇ。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC-%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BF-%E5%98%86%E3%81%8D%E3%81%AE%E6%AD%8C-%E3%82%B7%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%83%AA-%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%BC%E3%83%83%E3%83%9A/dp/B00005MMHJ

そのわりには、広報や宣伝でこの歴史的な偉業をクローズアップしてないのが不思議だなぁ、と思ってたんだけど、昨日、担当者さんに直接立ち話で尋ねたら、どうやら意識的に押しにはしなかったとのこと。どうしてなのかは教えてくれませんでした。確かに企画としては相当にバタバタしていたようだし、あのマーラー・サイクルが池袋の「レガシー」になってるかは、正直、なんとも言えぬ。とはいえ、なにをどう邪推してもネガティヴな扱いをする理由は見つからないんだけどねぇ…

それはそれとして、昨晩の演奏はオッサン層を中心に大いに盛り上がっていたようでありまする。やくぺん先生は個人的にどーでもいい感想を述べれば

………そうねぇ、マーラーってどうしてこの曲ではこんなに「弦楽器の歌」にこだわったんだろーなぁ、って思ってたです。この曲、いろんな楽器が断片的に呟き始める冒頭は、誰がどう聴いてもヴェーベルンまであと一歩で、「音色旋律」なんてものを説明するにはここをもってくるのがいちばん手っ取り早くてええんでないかい、と思わせてくれるわけだが、直ぐにどどぉっと弦楽器が歌い始め、そっちに全部持ってかれてしまう。最後も、弦の大合奏がチャイコフスキーの弦楽セレナードもまっつぁおなド派手で判りやすい振る舞いをしてくれちゃって、そこからは延々と弦がどこまで薄くなっても大丈夫かのチキンレースをやってるわけで、管の皆さんはずーっと終わりを待ってるだけだしさ。

このベタベタな弦楽器へのこだわりがなければ、もう限りなくシェーンベルクの室内交響曲だったり、はたまたベルクの室内協奏曲だったりの世界に近い、ってか、同じじゃん。

多分、先週の土曜日に金沢でパスカルくんとその仲間達のベルク室内協奏曲を聴かせていただき、特に第2楽章は「ああ、マーラーのうっとうしいメロディ落っことすと、こういう世界になるよねぇ」と勝手にひとりで納得していたが故の無茶な感想なんだとは百も承知ですけど。

こういう風にマーラーを感じさせてくれるのも、やっぱり「シノポリのレガシー」があの空間にあったからなのであーる!…なんて無理は言いません。

さて、御殿場サービスエリアじゃ。閑話休題。今日はまだまだ長い。

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