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Webサイト紹介はブラック仕事なのであーる [売文稼業]

先週、月末締め切りの短い原稿が複数入り、そのために今週は頭からキッチン横の広い机の上にパソコン2台並べ、スピーカー繋いである程度の音量でちゃんと聴けるようにセッティングし、携帯端末を横に置き、世の中の風潮にすっかり乗り遅れ、ってか、乗る気が既にない爺初心者としては、まあなかなか「テレワーク」っぽい環境で作業をしておりまする。
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多くの舞台関係者の皆様、裏方のプロの皆様など3月から全くお仕事がなく、無収入で蓄え取り崩しだけで生きてらっしゃる方が大多数の中、オフィスの固定費と毎月落ちていく国保&生命保険代がギリギリ出るかどうか程度のお金であれ、なんとか目の前で動いているのは有り難いことでありまする。いや、ホント。っても、来月は現時点で締め切り一本(それも、以前に書いた原稿の差し替え全面書き直し)だけで、固定費捻出もアヤシい状態なんだけど。

そんな状況でいただけたお仕事、普段以上に一生懸命やるわけでありまするがぁ…いやぁ、まいったなぁ、という愚痴話なんで、これ以上は関係者の皆様は読まないよーに。

この数週間、同業者の皆様のお仕事をWebなり紙の上で眺めさせていただくに、正直、この環境はホントにみんな同じものしか見えないのだなぁ、と感じざるを得ません。取材する相手も、インパーソンでいろんな人に会えたり話したり出来るときに比べると、圧倒的に限られている。要は、デジタルディヴァイスを通した取材なり対応なりが抵抗なく出来る人や、せざるを得ない人に限られてくる。いつもの数十分の1くらいの限られた分母で、限られた現象をスクリーンの上を通して見てる、って感じ。結果として、どの書き手が書いても同じような原稿になってしまってる。極端な言い方をすれば、「Webの上を眺めていれば、いかにもこういう人が出てくるだろうなぁ、と誰だって思うような人が出てきて、この人ならばこういう風に言うだろうなぁ、と誰だって判ってるようなことが書かれている」という恐るべき惨状を呈している。いつもなら書き手のキャラによって見えてくる記事の視点の違いが殆ど無くなってるのは、驚くほどなのであります。

これ、商売柄そう感じるのか、それとも読者の皆々様もそう感じているのか?少なくともやくぺん先生とすれば、普段、我々が取材をしているときに、テープ起こしで書き下ろして手元に残ってくる話の内容そのものだけではなく、喋っているときや返事をする際に醸し出される空気感や微妙な反応のあり方などから、いかに多くの情報を得ているか、あらためて痛感させられる次第でありまする。

となれば、誰がやっても同じならデジタルディヴァイスの操作に違和感のない若い世代がやればいいだろー、と思ってしまうのは…もう隠居爺ということかしらねぇ。このようにして書き手の淘汰が進んでいくんだろうなぁ。当電子壁新聞にしても、10年前なら必死になってあちこちのネット上の業界情報をかき集めてはこの無責任電子壁新聞にアップしまくっていただろうけど、今はそういうことをしてくれてる別の若い現役バリバリの方がちゃんと出てきているし。これはちょっと危ないぞ、と感じることがあっても、ま、若いうちに酷い目にあっておくことも大事だろう、ってぼーっと眺めてたりして。

ま、それはそれ。今週頭からやっていた原稿は、一言で言えば「Webサイト紹介」でありまする。3月の半ば過ぎくらいから、世界中の様々な芸術団体、個人がWebを通して出している情報を整理し紹介、具体的にはオペラ団体や劇場、オーケストラなどのアルヒーフやら無料コンテンツやらの中からお薦めを挙げる、というもの。

なかなか気楽で楽しい、これがお仕事になるなら有り難いこっちゃないかい、と思われるかもしれませんがぁ…これって、「ちゃんとした図書館に納められた映像資料を眺めて、推薦を出しなさい」ってことですよ。つまり、「ひとつひとつの資料をちゃんとあたると数時間かかるアーカイヴから、何点か良いものを紹介せよ」って…そんなん、真面目にやったらどんだけ時間かかるってのよ!『カラマーゾフの兄弟』とか『失われた時を求めて』とか『金瓶梅』みたいな超大作がジャブジャブ並んでる図書館で在庫に目を通し、状態の良いもんを挙げよ、なんて言われても頭抱えちゃうでしょ。

かくて、たったふたつのアルヒーフの紹介だけで、まるまる月曜日から木曜夜の今まで朝から晩まで、もう目はしょぼしょぼ、正直、目が潰れるんじゃないかという酷い状況。画面など視ているのもままならず、当電子壁新聞などほったらかしになっていた次第。

恐らくは取材時給換算すると200円にもならないと思われる、巴里倫敦の最下層を彷徨ったオーウェルも吃驚のブラックさ。外に出る取材ではないから、取材経費も付かないだろうしなぁ。いやはや…

以上、Web時代の取材のあり方について行けない爺の愚痴でありました。冗談じゃなく、Web時代の原稿料って、「原稿用紙辺り〇〇円」とか「1ワード毎××セント」ってやり方では、プロの書き手は育てられないだろうに。校正校閲の問題も含めどうするんねん、としか言えんテレワークの時代にあれよあれよと突入してしまった2020年皐月の終わりでありましたとさ。

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