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「クラシック音楽公演における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」なるもの [パンデミックな日々]

完全に後の回顧のためのメモです。

既に業界現場のあちこちで議論されているようですが、昨日、「クラシック音楽公演における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」なるものが出されました。作ったのは、「一般社団法人日本クラシック音楽事業協会(加盟団体93団体)、公益社団法人日本オーケストラ連盟(加盟団体37団体)、公益社団法人日本演奏連盟(全国の音楽実演家等3,155人加盟) ほかで構成された、”クラシック音楽公演運営推進協議会”」だそうで、要は、「所謂クラシック音楽の実演を商売にしている方々の集まり」、業界団体ということです。PDFにしておきます。こちら。
classic_guideline0612.pdf

さても、酒の肴にみんなでよってたかって突っ込みを入れるのがいちばん良いんでしょうが、どうもそういうオンライン・ミーティングみたいなものは駄目な爺い世代としては、勝手にひとり突っ込みをしようと思ったんだけど……どうもなんだか、突っ込む気にならぬ。なにしろ、第1稿「 はじめに」で記される現状認識はともかく、じゃあどうするか、という議論の最初に「国の方針を踏まえ」とある。おいおいおい、国の方針、ってなんなんねん?我が御上、どういう「方針」があるんねん?「決定的な治療方法が見つかっていない病気の蔓延を少しでも防ぎ、人の命を守ること」が国の方針なのか、「人の命は大事だけど、経済が成り立たないと駄目でしょ」なのか、どっちなのよ?

ってなわけで、もうここで先を読む気がなくなってしまうわけだが、「何がいちばん大事かは空気や流れに任せ、なんとなく決まってるらしいことにする」というのがニッポンの大人であり、気配り忖度の美徳なのでありますから、非国民と言われたくなかったらそこはぐっと堪え、先に進まねばならないのであーる……いやはや。

だから、もう、ここから先は雑談でしかない、ということでんな。悪しからず。

さても、第2項には、この文書がどういうものか記してある。「クラシック音楽公演運営推進協議会として、クラシック音楽公演の開催における新型コロナウイルス感染症予防対策として実施すべき基本的事項を整理し、今後の取組の参考に供するために作成したもの」だそうな。「参考」だそうです。んで、これを参考に実際の公演を行う際には、「公演主催者が活動を再開するかどうかの判断にあたっては、会場の所在する都道府県の知事からの要請等を踏まえ、施設管理者と公演主催者にて協議を行い、本ガイドラインが示す感染防止対策の対応がどの程度実施できるかを踏まえた慎重な判断を求めるとともに、クラシック音楽公演において感染者の発生やクラスター等が生じないよう万全な取り組みを行っていくことを求めます。」とのこと。それぞれの地域の御上や、ホールさんや主催者さんとちゃんと話をして、ここに書いてあるからこれでやれば良いんだ、なんて責任をうちに持ってこないでね、ってことね。最も重要なのはあんたの公演で感染者やクラスターを出さないことですから、ってのがハッキリ記してある。これがこの団体としての一番大事なことなんでしょう。

第3項では、クラシック音楽の公演を行うコンサートホール(音楽堂、という御上用語は流石に使ってないんですねぇ)のキャラクターがどういうものかをさりげなく示してくれていて、なるほど、この文書は「劇場法下での音楽堂での公演」が前提なのね、と判る。この部分は、加えるかどうか、内部で議論があっただろうなぁ。野外コンサート、ロビーコンサート、アウトリーチ演奏、それに所謂「コンサートスペース」などの個人運営のマイクロホールに関してはここでは議論してませんよ、ということだもんね。

ちなみに、コンサートスペースに関しては、数週間前にライヴハウスを中心に小スペースの対策協議会みたいなものを作る動きがありました。とはいえ、御上や他の奴らとは関係なく自分で自分のやりたいことをやる、という方々が束になってるわけですから、なかなか上手くは行っていないみたいです。所謂「クラシック」系からの参加もあまりないようだし。おっと、これは別のカテゴリーになりそうなので、ここまで。

っても、あとは具体的な対策が延々と記されているわけで、こういうのは実際に自分で現場をやってみないと「ああそうですか」としか言い様がない。それこそ、個々の演奏会によって千差万別、ここにはこう書いてあるけど、どうするべーか、ってことだらけになるのでしょう。突っ込み出せばキリがないわなぁ。ともかく、3月頭のびわ湖ホールで《神々の黄昏》GPを眺めたときに楽屋から入れられ、ホールという密閉空間に入るためにいろいろやらされ、これはどうやらただ事ではないことになってるぞ、と思わされて以来、NJP演奏会のトリフォニーとか、東京・春・音楽祭の旧奏楽堂とかで成されていた対応を、ありったけ書き並べてみました、ってもんです。他に何か落ちてることありませんかぁ、って感じの文書ですな。

あれぇ、と思ったのは、会場でのクラスター発生を潰すのがいちばん重要という基本方針から考えれば、「集まっていた人をきちんと把握し、クラスター発生時に追いかけられるようにする」といういちばん重要な部分はスルーされていることです。韓国の携帯端末を用いた封じ込めの基本がこれで、一応の成功例とされているわけだが、何故か我が御上は「個人情報の問題」とか「サヨがまた騒ぐから」とか仰ってやりたがらない。

まあ、この文書の目的が「クラスターを出さないこと」にあって、「クラスターが出ちゃったらどうするか」ではないのだ、と反論されればそえまでなのでしょう。だけど、「会場に来ていた人のきちんとした記録をどうやって取るか」というのは、実際にクラスターを発生させる悪者にされてしまい、その後は本気でクラスター発生を恐れているライブハウスや小劇場、コンサートスペースの業界では最重要課題なので、ちょっと違和感を感じます。この文書を作成する過程でも議論があり、今回はそれはなしにしておきましょう、ということになったんだろーなー……

第2章は、ホントに現場関係者向けの内容なので、ご関心の方はご覧あれ、でおしまい。ただ、やくぺん先生らの職種とすれば、期待していた項目がまるでないのはちょっと困ってます。つまり、「報道関係者はどうするの?」ということ。それ、なーんにも書いてないんですよ。

正直、「報道関係者、マスコミ、ジャーナリストは特別扱いせず、裏には一切近づけないこと」ってくらいの文章を入れてくれちゃった方が話は楽だっんだけどなぁ。いやはや、「なにも言わないから、それぞれの広報さんが考えて適当にやってね」だわさ。

以上、これが単なる「コロナ騒動のときの歴史的文書のひとつ」と笑い話になる日が……来るのやら。

[重要な追記]

14日日曜日の昼過ぎです。昨日13日土曜日くらいから、世界中で「三密回避で聴衆を入れたコンサート」が復活し、SNS上はそんなニュースで溢れかえってます。

京都コンサートホールの小ホールでは京フィルが「コロナ後日本初の一般聴衆を入れたコンサート」を行い
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200613/k10012469651000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_016&fbclid=IwAR3dUrEShGb4DKXnMl2RG5fegklv1hHKAlv2tG2teVI09ncmJyli80aOYQA
お隣半島の先っぽのトンヨンでもエスメQが応手から帰国し2週間の隔離を行った後に、無事に聴衆入り初コンサートを行ったとのこと。ソウルでは月末に韓国国立オペラがアーツセンターのオペラハウスでフルステージ《マノン》をコロナ後世界初のフルサイズオペラの公開上演を行うとのことですし。台湾はもう先週から復活しており、昨日はベートーヴェンの交響曲ふたつ、なんて完全に普通の演奏会が戻ってきているみたい。来週はマーラーの9番だそうだし(案外編成小さいからね、あの曲って)。

そんな最中、オケ連さんが上述の文書を公式ホームページにアップし、やくぺん先生が「国って、なんじゃい?」と突っ込んだのに切り返すような情報を出して下さいました。
https://www.orchestra.or.jp/information/2020/post-31/
ガイドラインとやらそのものは、上述の中身と同じものですが、大事なのはその下にある情報。「当ガイドラインは、経済産業省、文化庁ならびに内閣官房コロナ対策 推進室、政府のコロナ対策専門家会議の有識者の監修を経て策定したものです。」
つまり、霞ヶ関のあちこちにちゃんとたらい回しして判子貰ってますよ(比喩ですが)、ってこと。誰も責任を取らないようになってる縦割り行政の姿がよく見えますな。

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