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「キープディスタンス・コンサート」で試されたこと [パンデミックな日々]

本日2020年6月16日午後12時10分から、ミューザ川崎シンフォニーホールで「公演再開に向けたキープディスタンスコンサート」なる演奏会が行われました。

なお、この作文は基本的には終演後に記したものですが、いかな無責任私設電子壁新聞とはいえ、今のような状況で公的な機関が主催するこのようなイベントをどう報道すべきか、いろいろと判らぬことも多い。その後、他の主催団体のディレクターさんなどと話す機会などもあり、まあ、どんなもんかは伝える方が良いのであろうと判断し、アップいたします。なお、17日に東京新聞に記事が掲載され、Webでも読めますので、以下に貼り付けて起きます。事実関係は、こっちをご覧になって下されば判るので、あえて当稿では記しません…っても、具体的なコンサートの記述は殆どないですなぁ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/35983

このコンサート、ミューザ川崎とすれば3月以来の客席にスタッフ以外の人が入った演奏だそうな。で、ともかく、京急川崎駅からJR川崎駅を跨いでミューザの正面入り口に至り、エスカレーターでホール入り口ロビーに至ると、こんな感じ。
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広いロビーが5本くらいのラインに仕切られ、床には「三密回避」のガイドのテープが貼られています。

まず、上の写真の右手奥の受付に行き、用紙に名前と連絡電話番号を記します。それをしないと、チケットをいただけません。やたらと人の手に触るものを消毒しまくっているらしいのに、この用紙書き込み用のボールペンが使い回しなのは問題である、と言われそうだなぁ。

で、仕切られたラインのいちばん左側の列に向かい、並びます。こっち。
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一応、三密回避で並びますが、久しぶりに顔を合わせた同業者関係者などとマスク越しであれ話をしたりしちゃうわけで、三密回避の会話というのは現実問題としてはかなりキツい。いつものようにそれなりの近さで話をしようしちゃうわけだし、それにわしら業界トークというのはある程度密になって小さい声で話さないと、周囲のお客さんを吃驚させちゃうような内容もあるわけだし。うううん、実際に経験してみると、三密回避というのは想像以上に困難であると実感した次第。

やがてこのロビーに60人くらいの人が溢れ、エスカレーターの下では規制されてここまで上がってこられない方が何十人もいたそうな。で、開演の30分前に開場となります。表方スタッフは皆、Faceシールドの下にマスクです。会話を控えろ、って、これじゃ、話もできないわね。で、チケットはもぎってくれず、自分でピリピリともぎって箱に入れます。当日プログラムも、置いてあるのを拾う。アンケートはプログラムに記してあるQRコードを読み込んでスマホから返す。つまり、紙や筆記具はありません。

ちょっと意外だったのは、レセプショニストさんがいっぱいいたこと。作業に関わるスタッフを極力減らすのではなく、作業がいろいろ増えているので人海戦術、って感じでした。つまり、感染の可能性のある人が増えるわけだよねぇ、これって。

で、客席はこんなです。
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どうやら暫くはこのような状況が「当たり前」になるようですな。まるでヨーロッパや北米近距離線の737や320のビジネスクラス真ん中空け席みたいだなぁ。これに慣れちゃったら、2020年2月末までの客席がLCCみたいに感じちゃうだろーに。いやはや…

で、開演前の影アナはこんなん。
扉は自分で開けるな、というのがどういう意味か判らなかったので、コンサート後の質疑応答で尋ねたら、「みんなが触れるものには、できる限り触れないようにしていただくため」だそうです。うううん、それなら手袋を義務化した方がいいんじゃないか、とも思っちゃうけど。なお、コンサートの開催中は、表方スタッフが人が触ったような場所を消毒しているそうです。今時のホテルや高級マンションの公共施設みたいなやり方ですね。ちなみに、客席は1階平土間と2階正面だけを用い、100名ほどの聴衆。客の数は40人くらいであったろう2階の担当スタッフは4名おりましたから、スタッフ数は異常なほどの密っぷりですな。

あと特記することは…そうそう、クロークです。公式にはクロークは使えませんが、やはりこれは客席には持ち込めないという荷物はあり得ます。何を隠そう、やくぺん先生ったら、佃の縦長屋から葛飾オフィスに向かう途中に川崎に寄ることになり、去る秋以来引っ張って歩いてる医療器具セットがあった。客席に持ち込むのか、はたまた入場拒否になるのか、どうなるのやらと思ったら、クロークはやっていないけれど、クロークのところにスタッフがひとりいらっしゃって、その方の指示で自分でクローク内部の荷物置き場に置いて、終演後は自分で取り出す、というやり方でした。このホール、クロークの内側に入ったのは初めてだぁ。
今回は使用したのはやくぺん先生ともうひとり、総計二人だけだったんで問題はなかったようですけど、夏のサマーフェスタは600人はライヴ聴衆を入れるということなので…まあ、夏だからコートはないし、荷物を持ってくる奴も1ダースくらい、ってことならなんとかなるのかな。

演奏は、いわゆるジャズでしたので、あたくしめには「へええ」としか言いようがないです。ただ、バンジョーという楽器をこういう響くコンサートホールで独奏で聴いたのは初めてかもしれないけど、いやぁ、金属弦というものを徹底的に追求した音がするんだなぁ、と吃驚しました。ピアニストさんが「数ヶ月ぶりで腕が鈍って…」と仰ってたのは、全ての音楽家さんの実感なんでしょう。アンコールで披露された《A列車で行こう》を聴きながら、この先の人生でまたA列車に乗ってコニー・アイランドならぬJFKの空港アクセスモノレール駅まで行くことがあるのかなぁ、マンハッタンは無限の彼方也…なぁんて、遠い目になってしまったりしてさ。

終演後、聴衆の半分ほどが残って関係者の質疑応答、というか、モニターミーティングみたいなものがあり、担当の方が「本日は密を避ける実験」とはっきり仰り、やったこと、やれなかったこと、を列挙してくださいましたです。

やったのは、マーキング、カウンターでの連絡先確認、アクリルボード&消毒薬、サーモグラフィー、チケットもぎりなし、チラシ・プログラム配布なし、トイレ・エレベーター列のマーキング、クローク・ギフト・ドリンクなどはクローズ、距離を取るための着席部分のバッテン印、客席最前列4列は潰す、スタッフはマスクやFaceシールドや手袋着用、スタッフは可能な限り喋らない(館内での指示は掲示を掲げる)、開演後の表まわり清掃、以上。

質疑応答でも、マイクは質問者に持たせず、スタッフが近づけます。車椅子など個別の対応が必要な聴衆をどうするかは、まだ実験がやれていない。客席清掃をどこまでやるかも試行錯誤中。神奈川県内某ホールの方から、ピアノ鍵盤の消毒はどうしますか、という質問がありましたが、「3日置けばウィルスは死滅する」というデータがあるのでミューザは特に弄っていないそうな。まあ、鍵盤はアルコールで拭けるのか、って大問題ですからねぇ。

引き上げ際に、一番大事なのは、「みんなが楽しく音楽が聴けるようにすること」とスタッフのひとりが仰ってました。そう、こういう非常時、何が一番大切かが判っていれば、なんとか乗り切れる。うん。

ミューザ、夏のフェスティバル、有料配信を中心にライヴ聴衆も入れてやるそうな。こちらをご覧あれ。まだいろいろ決まってないことも多いようですけど。
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/news/detail.php?id=1350

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