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新開地の干し柿屋敷 [葛飾慕情]

霜月の光が溢れる葛飾オフィス南側の町工場に面した窓は、今、こんなことになってます。
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うううむ、こういうもんが12個ぶら下がってると、なんかの音列に並べたくなってしまうなぁ。

秋恒例の葛飾巨大柿の木の収穫祭、今年はコロナ騒動で知人友人の子供たちを集めることが出来ず、さらには今年唯一の実質2週間の取材ツアーがこの週末から勤労感謝の日まで続くことになってしまい、「柿の実を取らせてください」と連絡してくるタクシー運転手さん夫妻が3日にしてくれとのことで、昨日行ってしまいました。

っても、こちらも午後から遙々与野本町に今をときめく時代ピアノのニュースター川口くんが、19世紀半ばの楽器でアルカン弾く、なんて「お勉強」な演奏会をしてくれるので流石にこれは出かけねばならず、助っ人さんが来る前に爺初心者のオッサンひとりで小雨落ちる中に粛粛と作業を行ったのでありました。なんせ、公道に面し大きく突き出した枝はこんなん。
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今年は天候不順でちょっと遅いんで、まだ葉っぱも多く、良く判らないかも知れませんが、見上げながら数えれば50個くらいはある重さ300グラムから500グラムに迫る巨大な固形物が地上に落下してくる可能性があるわけで、木枯らしビュウビュウの頃までほおっておいたらそれこそ何が起きるかわかりゃせぬ。んで、ともかく淡々と高枝切りばさみなんぞで処理を続け、昼頃までにこのくらいの収穫量。
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これに、落下させて潰してしまったものが6、7個。それらは拾い集め、いい加減にチョップし、砂糖とレモン汁ぶち込んで火にかける。
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どうするんじゃ、この食い物らしきもん。

いつも葉っぱや落ちた柿の実のお掃除をしてくださってしまうお隣さんに、綺麗なやつをいくつか持って行き、穫り入れ作業中に通りががった方々にどうぞどうぞと配り、なんのかんので真っ当な「渋柿」として形があるものは40個弱ほどになったわけでありまする。

んで、ともかく慌てて与野本町に行き、ううううむ、時代ピアノでショパンとかやると、いっぱい残ってしまう倍音をどう処理するか、そういう雑音みたいな響きをどうやって「作品」や「表現」にしていくか、弾く側も評価する側も難しいことが随分とあるものだなぁ……などと思いながら埼京線から武蔵野線、常磐線乗り変えて亀有駅まで戻ってきて、肉のハナマサで35度以上の焼酎を購入し渋み抜き処理をするべぇと思ったら、何故か売ってる焼酎は25度以下の軟弱なものばかり。ヴォッカでも良いのか、よくわからぬわい。しょーがないから手ぶらでノコノコ柿ノ木下まで戻ってきて、ううううむ、これはもう仕方ない、幸か不幸かほぼ失業者、扶養家族一歩手前の商売原稿レス状態。武士の傘張りみたいに干し柿作りに精を出すべぇかい。ううううむ…

かくて、来る日曜日のベートーヴェン作曲ヴァイオリン・ソナタいちにち全曲演奏会の予習を兼ね、深夜過ぎまで延々と干し柿作り作業に勤しむ哀れ極貧やくぺん先生なのであった。 一夜明け、なんのかんの、総計24個の柿の実が、干し柿になるべく川向こうのかつての町工場街を眺める日向の窓際にぶら下がることになった次第。Webサイトを眺めると、干し柿用の渋柿は4キロで2000円弱くらいでネット上で取引されているようじゃのぉ。ううむ、この老木全体で今年の売上は2万円くらいにはなるのかっ…っても、ヴィーンフィルのチケットは1枚も買えないけどさ。

てなわけで、諸処の事情でことによると最後になる可能性もある葛飾巨大柿の木の収穫、一応は終了。とはいうものの、シジュウカラ・レストラン近辺の公道に落ちない辺りや、どうやっても取れない高いところの実はちいさな飛ぶ方がのために残してあり、総計40個程はありそう。
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なんせ、朝から脚立や高枝切りばさみを持ち出すと、「わしの場所に何をするんだぎゃぁ」とヒヨちゃんが叫び、既に実ったまま熟れ切った奴らを盛んに喰らいに来ているムク軍団も、なにごとぞと眺めに来てら。
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親から実質勘当されて以来、最も長くここ新開地は葛飾に滞在していた2020年春から秋、面倒看る奴はいるからとシジュウカラ・レストランを撤収せずに出しっぱなしにして、気が向くと佃のセレブなブンチョウの食い残しを雀やほーほーさんに提供しておったからか、ムクどもも堅い頃から柿の実の存在は確認していたらしい。いよいよメジロン夫妻も巻き込んだ、柿の木上空制空権争奪戦が始まるわい。

生きてるやつらは、勝手に生きろ。
Le vent se lève, il faut tenter de vivre.

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