SSブログ

世代交代の季節? [弦楽四重奏]

大晦日東京名物、ベートーヴェン記念年であろうがなかろうが、今年で15回目となる「ベートーヴェン後期中心主要弦楽四重奏演奏会」が無事に開催され、年が暮れていきます。
IMG_E8772.jpg
この企画を夢物語から構想し、実現し、続けてきたミリオンコンサート協会の小尾プロデューサーがコロナの最中に没し
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2020-07-29
とはいえ、記念年の締めくくりということもあり中止しようなんて話はまるでなく、それどころか天国の小尾さんのためにもなんとか今年は全曲をやっちゃえないだろうか、なーんて無茶なことまで考え始め頃もあったりしたわけですがぁ…その後もコロナは衰える気配はなく、なにはともあれ例年通りにきちんと今年も開催し、逝ける「最後のマネージャー」に捧げようではないか、ということになった。

無論、本日のプログラムにも、会場にも、「追悼」なんて言葉はひとことも書かれていません。でも、弾いている人達も、裏で走り回っている連中も、みんなそう思って弾いていたことでしょう。

ステージの上を眺めれば、今や古典Qは日本の長老団体。エクやアルコだって、団体としてのあり方はまるで違うものの、今や油ののりきったアラフィフの立派な中堅団体。自分らのやりたいことはハッキリしてきており、でもまだ崩れてはいない。とはいえ、「正しく弾かなきゃ」なんて、もう思っちゃいない。何が「正しい」か、自分らが決められる連中。

そんな充実した世代の音楽が奏でられている会場のロビーに、こんなチラシがさりげなく置かれておりました。
IMG_E8783.JPG
今や新帝都首都圏の弦楽四重奏のメッカとなっている鶴見はサルビアホール、来シーズンのラインナップです。

来年の来日情報は出ているけど、所謂著名どころ海外団体が本当にこの極東の島国までやって来られるのか、判ったもんじゃない。公共ホールとの共同主催とはいえ、実質的には赤字は主催者の音楽協会が被らねばならぬこのサルビアホールのシリーズ、いつまた半分のキャパに制限されるかわかったもんじゃない現状、安全やらコストやらを考えると、こういう猛烈に大胆なラインナップを展開するなら、今しかないのかも。

やくぺん先生なんぞ爺初心者からすれば、こういうことが出来るタイミングになってきたのだなぁ、といろいろ思うところ多いのでありまする。古典やエクのような「弦楽四重奏を生活の中心に据える」という無茶な決断をし、ここまで来てしまった連中もいる。アルコのように、それぞれがオーケストラでの生活の基盤を作った上で、本当にやりたいことをする時間として弦楽四重奏の楽譜に対峙する団体もある。どちらが良いということもない、ともかく、それぞれのやり方でこのジャンルを続けてきた。

それらの姿を見てか見ないでか、20代から30代の世代で本気で弦楽四重奏をやりたいと模索する連中が、それなりの数揃ってきて、アルディッティやらタカーチュやら、パヴェル・ハースやらプラジャークやら、パシフィカやらミロやらを当たり前のように聴いてきている猛烈に厳しい耳の100人の前に出しても良い、とプロデューサーが考えられるようになっている。えええい、もう、出してしまえ、とやけくそなのかもしれないけど、ともかく、出してしまった。

理由がどうあれ、明らかに次の世代がしっかり出てきている。

そう思いながら、とんでもない2020年が暮れていく。東京駅は深夜のように人がおらず、まあるい月が明るい大晦日。

いいもわるいも、新しい年が来る。さらば、ベートーヴェン記念年。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。