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コンサートホール対コロナ対策の困った問題 [パンデミックな日々]

昨晩は渋谷松濤のオーチャードホールにおりましたが、そこで感じた「新しい日常」シフトの問題について。後の為にメモに記しておきます。

いわゆるメイジャーなクラシック音楽専用コンサートホール客席でのクラスター発生は、少なくとも実質鎖国状態が続くニッポン列島では報告されていないようですけど(ニッポンの外でも、意外にも大ホール劇場でのクラスターって、幸いにして耳にしませんね)、とはいえスーパースプレッダー級の方が発見されたときの追跡調査や周囲の人々への連絡のために、ホールの入口で自分が座る席を申告したシートを提出し、上演中は申告した席を移動しない、という暗黙の「新たなる日常」ルールが出来上がっているのは当電子壁新聞を立ち読みなさっているよーな皆様ならご存じだと思うです。

だけど、このシステムには大きな問題がある。「三密回避」できちんとコントロールされた券売ならば問題ないけれど、現実には指定された席にみんなが真面目に座ると三密がつくられてしまう、という状況もある。実際、昨晩のオーチャードホールの3階天井桟敷近辺は、そんな状況でした。

なんせ演奏会形式とはいえオペラですから、みんな少しでも舞台の見切れがなさそうな真ん中の席を欲しがるのは当然。恐らくそこそこ人が入っていた3階は、いちばんお安い4000円の席と、その上の6000円の席だけなんでしょう。結果、天辺の最安値辺りはぎっしり、貧乏人の中でもちょっと奮発した6000円の席の人は真ん中に集中、ひとり空けでもなく、これまたぎっしりと詰まっている。だけど、上手下手側の、6000円でもあまり条件が良くなさそうな場所は、一列にひとりしかいない状況でした。特定の部分に客が密集し、濃密な空間とガラガラな空間のまだらになってる。わざわざ密をつくっている状況。

本気で三密を避けるなら、レセプショニストさんが最終的な着席状況を眺めた段階で、「では、そこの密のあたりのみなさん、1人空けにして下さい、あぶれた方はこちらのブロックに移動して下さい」ってな指示をすれば、全員がひとりあけで充分に座れたくらいの集客状況でした。

客席の聴衆管理は、ホールの主催公演ならばある程度は差配やコントロールが可能でしょう。ですが、貸しホールの場合はいちど売ってしまった席を、現場のレセプショニスト権限で変更するのはなかなか難しい。バスティーユみたいに「はい、今日は空いているからこの辺りは閉めるから、みんな空いてるところに移りなさい」なんてレセプショニストさんが客を移して歩く、なんて日本の商習慣では言語道断でしょうし。それに、申し訳ないけど、昨日の主催者の二期会さんのような演奏家の団体には、券売の仕方から当日の客席コントロールまでの表方対応が出来る職能があるスタッフを抱えているとは思えない。プロがいたところで、そもそも本来の上演日程が二転三転、指揮者ばかりか会場変更もあり得た難しい公演だったわけですしねぇ。

JRの新幹線や特急指定席みたいに、やってきた車掌さんに「席を移りたいんですけど」と言えばなんとかなる訳でもない。まさかホールの支配人が主催者側と話をつけ、「私は支配人権限があります」と看板背負って客席をまわり、現場で対応する、なんてわけにもいかないでしょうし。

昨晩の状況に限れば、もうひとつ問題があった。所謂「自粛警察」です。

密な場所から疎な場所に移動しようとすると、「席を移っている人がいる」と(本人にではなく)レセプショニストさんに向かって怒りをぶつけているおばちゃんがおりました。その方が怖くて、周囲はガラガラな場所が向こうにあるのに、移動できないような空気が醸し出されておりました。確かに4000円の席の奴が6000円のところに来たら気分悪いだろーが、安い方に自分で移るぶんには問題はなかろう。要は、事前着席番号申告制度の趣旨に反している、ということなのでしょうねぇ。とはいえ、ホールを去るときに「ここに移りました」と正直に申告させれば良いだけのことでもあるんだが…

新しい日常、いろいろなことが起きる。そもそも、この週末から「この演奏会、やるのかしら?」という日常がまた戻ってくるみたいだし。まだまだ続く、コロナ禍よ。

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