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サー・サイモンの功績 [演奏家]

再びのコロナ緊急事態の中、既に廃止カウントダウンが始まっている葛飾オフィスで、まさかの再びの自主隔離お籠もりが始まってしまいました。やくぺん先生のご商売も、ちょっとは回復の兆しがみえてきたところだったのだけど、本日夕方に新年二本目の原稿を入れ編集さんの年始挨拶みたいなOKをいただいたら、なんとまぁ、手元に締め切りのある原稿がすっかりなくなってしまったぞ!また失業状態に舞い戻りじゃわ。こんな状況が続くとホントに、数年先には入る筈のわずか月数万円の国民年金だけで生きていく方法を本気で考えないといかんなぁ、とあと数ヶ月の命の巨大柿の木の向こうの曇り空を眺めるのであった…いやはや。

そんな中、朝から業界では久しぶりにノンビリした、というか、コロナなんぞどこ吹く風の業界話が飛び交ってますな。ほれ。
https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-55617039
https://www.theguardian.com/music/2021/jan/11/simon-rattle-extends-contract-london-symphony-orchestra-conductor-bavarian

サー・サイモン・ラトルがロンドン響監督を辞して、ミュンヘンのバイエルン放送響監督になりますよ、という話。

もう随分長く言われていた話で、ここまで引っ張ったのはコロナの影響なのかも、とも思わぬでもない。なんせ資本主義世界の主要オーケストラ、この先の活動の目安、ハッキリ言えば安定収入の目安が、どこもまるで立たない状況に置かれているわけで、ロンドン響なんてその筆頭でありましょう。それに対し、この先のコロナ禍&コロナ後の世界で上演コストがかかる大作や現代作品、委嘱新作などを本気でやろうとしたら、しっかりとした財政基盤があるドイツの放送局というのは、ヘタすれば西側世界では唯一オーケストラを支えられる組織となってくる可能性が高い。流石に業界のことを誰よりも良く判っている指揮者さんだけある、もの凄く賢い選択であるなぁ、と感心することしきりでありまする。

そもそもラトル御大がベルリンを辞めてロンドンに行くときに、「90年代以降型のクラシック専用ホール」が存在しないロンドンに、ロンドン響があの残響零秒と呆れられるバービカンを捨てて新しい今時型ホールを作る、というのが大きな理由だった。オリンピックの頃にはロンドン東の足立区だとか台東区みたいな場所も言われていたけど、最終的に場所はバービカンの北辺りで、極端に地域を離れるわけではないみたいで、なかなか微妙な妥協点をめっけたな、と驚いた。その後は話が動いているんだかいないんだか。ま、ラトルがいるならエルプフィルハーモニーみたいなことにはならんだろーに、と思ってたわけで…

そしたら、ガスタイクという「90年代以降型」とはちょっとギリギリ言いがたい会場はあるものの、良くも悪くも弦楽四重奏からマーラーまでやっちゃうあのなんとも言いようのないヘラクレスザールが拠点のバイエルン放送響が、ミュンヘン東駅の東側、何を隠そうミュンヘン厄遍庵からもそう遠くない辺りの再開発で今時タイプのホールを造るということになっており、そっちにサー・サイモンが…ということになっちゃった。

やっぱりそういう流れは誰でも感じられるようで、ガーディアン紙はしっかりその辺りを議論してますな。

正直、オーケストラというものに商売としてそれほど関心がないやくぺん先生とすれば、ラトルという指揮者さんのベルリンでの功績は、音楽的なことよりも、「時代に合わせて公共と民間自主運営オケの両方の顔を持っていたBPOの組織を改革一本化し、ドイツ人にはあまり関心なかった教育プログラムなどアウトリーチ系の事業を充実させ、フィルハーモニーを配信基地へと変貌させた」という21世紀10年代のブランド・オーケストラとしてのアップデートにあったと思ってます。コロナでロンドン響でそういうことが出来なさそう(組織や配信、プログラムはもうとっくにやっているので、なによりも最後のホールのアップデートですな)なら、やれそうな場所に移るのは極めて自然なことでありましょう。

ま、今、世の中の多くのオールドファンが驚いてるのは、「あああ、今やベルリンフィルは上がりのポジションじゃなくなったんだなぁ」ってとこだと思うけどさ。

まだ暫くは鎖国状態の極東の島国から眺めれば、なーんにも関係ない遙かシベリアの彼方の話、って感じられてしまうなぁ。ううううむ。

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