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第2次緊急事態は格差を助長している? [パンデミックな日々]

なんだか過激な意見保持者への煽りやらツリやらみたいなタイトルだなぁ…後の為の時事ネタです。

昨年4月8日の第1次花祭り緊急事態発令に続き、去る1月8日には第2次松の内緊急事態発令が成され、我が零細業界も大混乱に陥っているのは皆々様よーくご存じの通り。とはいえ、昨年春から初夏の世間がみんなじっと身を潜め、電車に乗っても車両には自分しかいない、なんて状況とはまるで異なり、善くも悪くも「緊急事態慣れ」としか思えぬ世間の有り様なのも、これまた皆様日々実感なさっておられることでありましょうぞ。

今回の緊急事態、前回に比べると、「地域」や「業種規模」での対応がずいぶんと異なっているように感じます。

やくぺん先生の場合、オフィス退去という特殊事情はあるにしても、ちょっと回復してきていた仕事がまたまるでなくなり、数週間はまた滅茶苦茶暇になるだろうから引っ越し準備に専念できる、って思ってました。

実際のところ、緊急事態発令直後には、予定されていた「閉鎖空間に人が集まるイベント」の主催者さんからは、どうしたものか悩んでるけどともかくやる、という連絡があり、そんなものなのか、と思ってた。東京都や千葉県はそんな感じなんだけど、六郷川の向こう神奈川県はちょっと様子が違うようで、横浜市がバブル期以降に各区に建てた多彩なキャラの駅前アートセンターでは、イベント中止の連絡が相次いでいる。神奈川新町のイッサーリスも、鶴見のエクも、葉山の葵トリオも中止。

どうやら、ニッポンのコロナ発症の地として独自の見解を示している神奈川県では、緊急の度合いが高いと認識されているのか、それとも夏に再開されたコンサートを巡って知事の意向と民間主催者の間での対立も伝えられ、間に入ったホールなどは慎重な動きをするようになっているのか、なんとも判らないのが現状。ともかく、「神奈川は厳しい」というのが第2次松の内緊急事態のひとつの特徴のようでありまする。

それから、たまたまやくぺん先生が巻き込まれた状況としては、静岡県は県の主催イベントに対して極めて対応が厳格で、オーケストラでも緊急事態宣言が成された地域に居住する奏者は出演が許されず、結果としてある楽器の奏者がいなくなってしまい、曲目を変更せねばならない、なんてことが起きてます。似たようなことは去る秋のヴィーンフィル来日でもあったみたいだけど、あっちは人を交代して来日させて演目は変更しなかったっけ。

もうひとつはかなり本質的に深刻な問題。松の内緊急事態発令から2週間弱、そろそろ上がってくる感染者データは緊急事態宣言発令後の人の動きを反映するものになりつつある頃となり、ひとつのハッキリした特徴が見えてきているようです。ぶっちゃけ、「オーケストラやオペラなど仕込みが大きく会場が大きく関与する人の数が多いものは開催、室内楽やリサイタルなど会場が小さく関与する人の数も少ないものは中止若しくは延期」という傾向にあるような。

具体的に言えば、ロマン派オペラやら大管弦楽は本来のフィールドとしていないやくぺん先生は、コロナ貧乏でチケットが買えないこともあり、年明け以来、素オケのコンサートにはひとつも参上しておりません。オペラは天才パスカルくんが結果的にサン=サーンス没後100年記念年を祝ってくれるのを見物させていただきましたけど、オーケストラがガンガン鳴ってるのを聴くのはそれっきり。でも、あくまでもやくぺん先生のケースであり、どうやら周囲の同業者お友達関係者などの皆々様は、今日は都響と読響の連チャンとか、明日はN響で外国人指揮者とか、それなりの演奏会をこなしていらっしゃるようであります。練習でコロナ陽性者が出て東響えーちゃんの演奏会が中止になる、なんて事態も勃発しているようでありますが
http://tokyosymphony.jp/pc/news/news_4455.html
それでも新帝都周辺では連日なんかやってるし、初台も予定通りコロナ仕様演出というわけでもない《トスカ》だかを出しているし。

大規模な公演であればあるほど、上演しなければ被害が大きくなるのは理解出来ます。なんせニッポン国のパーフォーミングアーツに対する助成は、「上演されたものに対する半額助成」とかが基本。どんな形であれ「このイベントは行いました」という事実がないと助成金が入りませんし、助成する団体もお金を出してあげられない(花祭り緊急事態の最中、やってくれないんで私たちとしては助成のしようがない、と助成財団の方が頭抱えてました)。逆に言えば、どんなに客がいなくても、大スターの作曲家ご本人が来なくても、そのイベントを行いさえすれば助成金は入る可能性がある。上演しないと、準備にかかった費用やキャンセル料がまるまる主催者に被さるだけ。だから、大規模イベントは赤字でもやった方が良い。

それに対し、小規模会場の室内楽は上演に対する助成金が出ていないのが殆どだから、「ともかくやってしまえ」とはならない。結果として、現時点では、第2次緊急事態宣言下、オケやオペラはやれるけど室内楽はダメ、って業界内格差が出来つつあるよーな。

なお、イベント中止に対する御上の支援が始まる、という話もこの数日飛び交っております。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210120/k10012823491000.html
これで状況は変化し、オーケストラやオペラも安心して中止が出来、ホントの緊急事態になるのかしら。この額ではオペラはなぁ…

さても、手元に月末までの締め切り原稿がふたつしかないやくぺん先生ったら、次の演奏会は日曜日の高橋悠治演奏会での新作弦楽四重奏初演。翌月曜日のモルゴーアは生き残ったけど、火曜日のエクは中止、水曜日の現代音楽演奏会も中止。オフィス撤収カウントダウンが迫る2月の日程なんて、なにひとつ判ってないぞ。ある方から《タンホイザー》のチケットを買ってたくらい、かな。

ううううむ…神様が演奏会には行くな、と仰ってるとしか思えぬわい。さあ、引っ越し準備じゃ。

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