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蜜柑の木が荒川放水路を越える [葛飾慕情]

葛飾オフィス撤収最終日まで1ヶ月と少しと迫った神武天皇降臨節、大陸は春節のお祭りが始まり、いつもなら春も近いワクワク感も漂ってくる冬の最中、葛飾巨大柿ノ木下シジュウカラ・レストランのお客様の待合室となり、季節になると公道に取ってくれよと突き出した実を巡って道行く近くの中学生とやくぺん先生の微妙な心理的な駆け引きがなされていた蜜柑の木が、先程、京成電車に揺られて荒川放水路を越え、ほんまもんの下町の軒下へと引き取られていきました。

いつから植わっていたか知らないけど、樹齢半世紀を誇る巨大柿の木ほどのものではなく、数年前にここ新開地葛飾をオフィスにせざるを得なくなり佃の路地から移ってきたやくぺん先生としてみれば、昔なじみというよりも、312でセシウムがまき散らされ、親父が死に、寝床を失った若い者が住み込み、練習場を求めて若い弦楽四重奏団が上野から通い音出しをし、そしてコロナでの自主隔離お籠もりでの実質1年の爺初心者やくぺん先生別居一人暮らしをしていた21世紀10年代の秋を彩ってくれた葛飾オフィス最強の生命体のひとつでありました。隣には梅桃が花やら実を付け、仲良く並んでいた。これが昨年の税金頃の梅桃のお姿。
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葛飾オーガニック蜜柑を引き取ってくれたのは、オフィス転居先の最有力候補となっている(コロナの緊急事態で移転作業は実質ストップ状態なんですが…)遙かな地が出身の若奥さんで、蜜柑が実ると中学生に盗まれる前に穫り入れをしてはシロップにして、分けて下さっていた。こいつを切り倒すならもっていってうちで鉢植えにします、と仰ったときは冗談だと思ったんだけど、どうやら本気のようで、それなら是非とお願いした次第。

当然、車で乗り付けると思ったら、板前さんの旦那さん連れてなんと京成電車で来るという。おいおいおい、なんなんねん。んで、この葛飾オフィスに数年住み、ヤンキー海鷹の塒たる米軍基地で潤う某自治体のホールオープニングの仕事に遙々ここから荒川放水路、大川、六郷川越えて通ってたおにーちゃんも懐かしい蜜柑の移植とあればお手伝いしましょうと、はるばる東海道ひとっ飛びしてやってきてくれた。かくて、こんなことになったわけで…

ともかく、作業開始じゃわい。
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当初は梅桃も運ぶ予定だったのですが、流石に京成電車に乗せるにはなぁ。
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てなわけで、蜜柑だけが荒川放水路を越えることになり
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掘ってみると、この実質巨大な鉢植えみたいな環境で蜜柑と梅桃が仲良く共存するため、両者の根っこが深く強く絡み合っており、愛し合うふたりを引き剥がすような心に痛い作業が延々と続くことになったのであーる。作業中は写真どころではなかったので、二本の木が深く愛し合っていた証を映像に納めることは叶わなかった。

かくて、鯉卑近の作業修了。新開地葛飾で育った蜜柑は、まるでゴルフバッグか釣り道具入れ、はたまたファゴットでも運んでいるのか、という風にひょいっと京成電車に乗り、葛飾の地を離れていきましたとさ。
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数時間後、新天地に至りました、という連絡がありました。ほれ。
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明日からは、葛飾巨大柿ノ木下シジュウカラ・レストランのお客様の待合室がひとつなくなってしまい、メジロンたちがヒヨちゃんから逃げていく場所がひとつ減ってしまったけど、作業の最中も頭の上でメジロン一家は「この林檎は俺のでちちちちぃ!」と元気に喧嘩してたから、なんとでもすることでありましょう。

葛飾オフィス最終撤収まであと42日!今年は町工場前の公道に、梅の花は咲かず。

春節に 香る梅なく 日は暮れる

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