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巴里断念 [売文稼業]

来月11日に巴里行き昼前の直行便で羽田を発ち、真っ直ぐ同月26日午後に羽田に帰国、その後は恐らくは都内での2週間の隔離が想定され、《影のない女》に飛び込めるかギリギリだったツアー
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2021-11-30
昨晩、中止を決断しました。

コロナ状況を眺め渡航を決定し、様々な準備が揃ったのが11月終わりの段階。その時点ではフィルハーモニー・ド・パリ総裁からお嫁ちゃまへの正式な招聘状も出て、大学側もOKを出し学校としての公式の渡航許可がおりたのですけど、その直後から新型コロナ新変種騒動が勃発。あれよあれよと状況が変化し、御上が原則外国人無差別入国禁止という無茶な政策を打ち出してニッポン国世論もそれに賛成の空気が瞬く間に広がって、我が業界すっかり置いてきぼりの大混乱に陥っているのは皆様ご存じの通り。

で、鎖国宣言から1ヶ月、政府中枢が未だに鎖国措置をどうするかきちんと発表はなく、讀賣新聞など政府翼賛系メディアを使った情報リークで世間の空気読みをしている事態に変化なく(というか、自分たちは命令しないけど国民が勝手に萎縮する空気を作る、という我が政府お得意の常套手段で)、宿のキャンセルのタイミングなどからクリスマス休暇明け仕事納め前にニッポン政府の動きがないのを見極め、決定に至った次第でありまする。

葛飾にオフィスがあった頃なら、羽田に入国しどこか数日御上が調達したアパホテルなりに隔離され、そこから最悪でもえっちらおっちら5時間くらい歩けば、なんとか巨大柿の木下まで到達するだろう。となれば、10日の隔離があろうがなんてことなかった。ところが葛飾オフィス無き今、強制隔離解除後に遙か1000キロ近く離れた温泉県盆地の新オフィスまで公共交通機関無しで行けといわれても、いかなノンビリぽかぽか東海道山陽道とはいえ弥次喜多道中越え1週間を野宿しながら徒歩で向かうなど不可能。ヨー・ヨー・マ様のようにHONDAジェットをチャーターして沖縄まで向かう、なんて荒技は貧乏人庶民に出来る筈もない。10日間も自費で都内の宿に自主隔離する費用だけで巴里までの往復航空運賃くらいかかってしまうなぁ、と頭を抱えていた。

それでも、この演目ならば仕方ない
https://philharmoniedeparis.fr/fr/agenda?startDate=2022-01-12&weekend_i=784&utm_source=211215_biennale_quatuors_2022&utm_medium=email&utm_campaign=biennale_quatuors&utm_content=btn_header&fbclid=IwAR0BCeOT8Hw1pbCkuO25oKNXKnezmmwWRHpxo2itqhmhifrj060FaefZlVo
なんせまるまる2年も仕込みをしていないんで、そろそろ商売干上がってしまう寸前。2年分の海外取材経費全部投入、と考えるしかないかぁ、と腹をくくっていたわけでありました。

既に上の日程表に挙がっている参加団体を眺めただけでもアングロサクソン系団体の参加は皆無で(アルディッティは昔みたいにマネージャーはおにーちゃんの家族経営ではなく、欧州大陸拠点みたいなもんですからね、実質)、恒例のビエンナーレに比べるとEU圏内だけ、有り体に言ってフランス文化圏ばかりのフェスティバルになっていることは誰の目にも明らか。それでも、チャリックがどうなっているか、なによりもシンプリーがどうなっているか、そして最大のポイントは16日に予定されている若手団体国際オーディション。このオーディション開催4回目にして初めて日本からインテグラが参加するということもあり、多少の無理は覚悟で眺める必要があるべぇ。

無論、ホントはこの後のハイデルベルク、アムステルダムとまわって2月上旬まで滞在出来るにこしたことはないのだけど、ドイツやオランダは同じEU内とはいえ経済優先のフランスとはちょっと違ってロックダウンやら規制が厳しく、フェスティバルがまともに行われるとは思えない。何故かパリは現時点では予定通り決行とのこと。とはいえ、オーディションには日本の室内楽振興財団や中国や台湾の関係者ばかりか、ウィグモアホール総裁やらリンカーンセンター室内楽協会のディレクターやらも来ることになってるけど、英米は来ないだろうし、アジアも日本以下、みんな来られないでしょう。それどころか、オーディションに参加する側だって、フランス圏以外から来られるのかしらね?

コロナへの感染リスク、東京佃大川端のご家族へのリスク、経済的リスク(キャンセル可能な航空運賃以下、普通にパリに行って2週間、って取材ツアーの数倍の経費が予想されますから)、物理的精神的な負担、それらの全てを納得した上での渡航は、流石に無理。これが40代現役バリバリだったら、それでも行くぞ、と思うかもしれないけどねぇ…

ちなみに2022年は4月にロンドン・ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクール、9月にはミュンヘンARDコンクール弦楽四重奏部門、秋から冬にはパリでマキシム・パスカル氏率いるル・バルコンの《光》チクルス「金曜日」が控えてます。ミュンヘンくらいからは顔を出せるようになるんやら。イースター明けに渡欧出来る雰囲気は…正直、ないなぁ。「東京春音楽祭」がホントにやれるのか、って感じだもんね。

というわけで、来月半ばは現状では温泉県盆地新オフィスで粛々と本棚を建て込む生活をすることになりそうであります。冗談ではなく、ひとりで出来る肉体労働を越えているので、日程が決まりましたら「雪見酒露天風呂付き図書館建て込みボランティア温泉県盆地ツアー」を募集するやも。この大寒波で水道管が破裂してないといいんだけどさ。

ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき本棚を背負い
温泉県への通勤にいでてみん

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