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ゆふいんの賢人復活! [ゆふいん音楽祭]

「ゆふいん音楽祭2022春」、無事に公演が終了しました。
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なにしろ由布市だか大分県だかがコロナ蔓延防止対策としての客席制限を解除したのが5月の1日。完売だったところに100席余のチケットが突然出現したとはいえ連休の真っ只中、ぴあやらeプラス、はたまた最近はやりの電子チケットなど一切やってない「温泉観光協会に電話してください、ただし営業は平日のみ」って我がノンビリ音楽祭、当然のことながら告知など当電子壁新聞くらいしかする媒体がなく、数十席の空席が出た状態での開催でありました。うううむ…

なにしろ、1975年の第1回から今に至るまで、過去に類例のない5月連休という温泉観光地の真っ最中の開催となった今回の音楽祭、そんなタイミングにした理由は2つあり、ひとつは、「コロナでお客さんがいない街を、条件が良いとき音楽祭を開催して少しでも盛り上げたい」という旅館関係実行委員の思い。もうひとつは、昨年6月末の梅雨に時期にオープニング演奏会を行い判明した新ホール舞台の湿気問題。前者は、なんとなんとまさかの一切の外出自粛要請がない連休となってしまい、観光地区は2年ぶりの大賑わい、音楽祭での微々たる貢献なんて吹っ飛んでしまう状況。後者は、爽やかな皐月を期待したらいまひとつ天候不順、更には直前まで簡素注意報が出ていた盆地が演奏会の午後になったら湿度が60%を越える初夏のジメジメがやってきてしまった。うううむ、うううむ…

ま、世の中そうそう上手くはいかないものよ、とにもかくにも道夫先生がお元気になり、客席の半分以上が埋まっているではないかぁ!うん。

なによりも良かったのは、その中身。昨年の暮れ、東京文化会館の《ゴルドベルク変奏曲》をキャンセルなさり、更には1月の大分のバッハも断念なさった道夫先生、その後、駅や街のスーパーでは何度もお遇いするし、3月頭にはゆふいんラックホールに地元小学校の5年生(だったと思う、うろ覚え情報)をお招きするクローズの演奏会をやったり、地元出身でバーゼルから戻った孫のようなギター青年の演奏会にゲスト出演なさったりしたものの、現役バリバリのヴァイオリニストとの二重奏演奏会一本まるまるなどは本当に久しぶり。不安がないといえば嘘の状況だったわけであります。

ところがどっこい、そんな心配何処吹く風、先程終わったモーツァルトとベートーヴェンの短調ソナタ2つというそれなりに大変なお仕事、ともかく「ヴァイオリンとピアノ右手と左手の三声の室内楽」としか言い様がない味わい深いデュオが繰り広げられたのであります。バスラインを脱しもうひとつの声部が生まれてくる19世紀以降の二重奏室内楽の最初の姿をしっかり見せてくれるようなベートーヴェンの低音の動き、それにどれだけ大きな意味があるかがよーく判る。それだけじゃなく、いつもは素っ気なく「だってモーツァルトのメロディの素晴らしさなんて僕がどうこうしなくても誰にだってわかるでしょ」って右手の歌が、一切の媚なく、でもただただ美しく響くモーツァルト第2楽章冒頭。泣かせようなんて気はさらさら無く、でも君が泣きたいなら勝手に泣けば、ってハードボイルドな抒情。そんな音楽に対し、多彩な響きで大柄に、あるいは繊細に応える、美恵さんのある意味これまた老獪なヴァイオリン。

終演後の道夫先生こっそり呟くに、「久しぶりに火がつきました」ってさ。由布院の賢人がこんな言葉を漏らすなんて、なかなかないことです。

若者の燃え方とはまるっきり違う、静かな碧い炎の二重奏。ホールは良くなったとはいえ、まだまだいろいろ問題はある。演奏会の告知や宣伝だって、しっかり出来ているとはとても言えない。だけど、集まった百数十人の人々だけでなく、舞台の上にいた二人も、良い時間を過ごせたな、と思えたのは確か。

終わった終わったで集合写真。皆さん、お疲れ様でしたぁ。
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「ゆふいん音楽祭2022秋」、今度こそ湿気が少ない盆地は紅葉の盛り、11月19日に予定されております。道夫先生はチェンバロを持ち込みになるとのこと。また時至りましたら詳細はお伝えしますので、乞うご期待。

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