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「この楓は100年経ったら…」 [ゆふいんだより]

去る火曜日にすっかり梅雨空の千葉から国東半島突端空港に到着、由布岳から日出生台に沸く霧を掻き分けるように温泉県盆地に入り、なんのかんのなんのかんの。

そもそも今回の盆地オフィス滞在は、梅雨の季節に右を向いて左を向くとまた伸びてるセイタカアワダチソウやらヨモギやら以下の最強雑草軍団に少しでも抵抗の意志を示すためのLCCウルトラセール利用短期逗留の予定だったんだけど、水無月に入って以来の来日ラッシュの中でなんだか知らんが「その頃、Fukuokaに居る予定なんだよ、じゃあ、車転がしてお前んとこ行くわ!」って勢いで、遙か華の都からヴァイオリニスト夫妻をお迎えするのが目的になってもーた。

やくぺん先生の隠居場となる予定で昨年秋に結んだここ石武厄遍庵、リフォームだ何だが終わって暮らしていけるようになってた昨年暮れからは、新帝都大川端と半々くらいの逗留になっておる。4月に国東半島先っぽ空港からの直行バスが復活、大分か別府経由で乗り継ぎ含めなんのかんのJR駅前から3時間くらいはかかっていた最後のアプローチが50分台にまで劇的な短縮、金さえ厭わねば大川端縦長屋から温泉県盆地オフィスまでdoor to doorで4時間台も可能となったのであーる。

とはいえ、金は当然厭うわけでありましてぇ、今回は夏至の夜明け前に大川端を出て、石武パーシモンゲートを潜るまでやはり7時間半(成田空港での待ち時間2時間以上、大分空港での待ち時間1時間半込み)。その移動コストたるや、ウルトラセールのお陰でタクシーバス空路込みで4540円也 おそらくは暫く最安値記録を保持しつづけるんじゃないか、ってアホのようなお値段。早朝5時のバスに間に合わないかもしれんと佃大川端縦長屋から東京駅まで、空港空の駅で買い込んだ大量の野菜が重すぎて霧雨の中を歩くのがしんどいので由布院バスセンターから石武オフィスまで、2度もタクシーを利用する贅沢をしてもこのお値段でありまする。うううむ、なんなんだ。空路は辛うじてバス代よりは上回っているくらいであります。

※※※

かくて梅雨の晴れ間の温泉県盆地、朝の田圃に映る由布岳もすっかり夏の山。
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遙々シベリアを越え(られず…)、ニッポンでのたった3公演のためにやってきた某楽団のヴァイオリン氏、全公演が終わった後の早いキューシューでの休日の最中、某財団から貸し出されていて絶対に持って歩かないといけないと命ぜられているイタリアの古い楽器を抱え、梅雨の晴れ間の温泉県盆地へと夫婦でレンタカーでやってきたわけであーる。

楽器は朝から湿気取り最強で回しっぱなしにした図書館の奥に鎮座してもらい、やくぺん先生は作文仕事しながらガッツリ見張り。夫婦は由布岳越えて別府まで遊びに行き、日暮れ頃に戻って来て、その後はどーでもいーよーな話やらどーでもいいとはとても言えん話やらをしながら呑んだり喰ったり、最後は真っ暗な外湯に飛びこんで、いぇい!

蛙の声は気にならなかったけど、この部屋、鼠かなんかいるぞぉ、とか言いながら起きてきた遠来の客、夕方には博多でまた別の友人らと会うとのこと。じゃあ、11月のパリで遭えるかな、なんて言いながらレンタカーに楽器を運びつつ、横に聳える楓を見上げて仰るよう、「この木は、あと100年くらい経ったら良いヴァイオリンになりそうだね」
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へえええ、そんな眼でみたことなかった。なるほど、あと100年、ですか。このやくぺん先生夫妻の終の棲家、100年後には誰がどうしているのやら…

朝から風呂に入ってる旦那を待ちながら、ピアニストの奥様は縁側に出っぱなしのうちのおんぼろピアノを触ってる。水無月の、いくらやっても終わらない草むしりも、こんな素敵なBGMがあればやってられるもんじゃのぉ。

100年後の楓と見知らぬ人々への一食一飯の恩義が、温泉県盆地に流れる夏の始まり。

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