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白河の街を散策するのじゃ [たびの空]

冬の晴れた日なら大川端縦長屋シン・ゴジラ視線の勉強部屋からも遙か天樹の彼方にその姿を眺められる関東と東北を分ける関を抱く山々、そんな要地を納める古い城下町は白河に来ております。
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目的は、今世紀に入ってなぜか今話題の文化庁さんが始めた「アジア・オーケストラ・ウィーク」なるコンサート・シリーズ取材。本日はここ白河の駅横、1000席ほどのなかなか良い按配のホールで香港シンフォニエッタとオーケストラ・アンサンブル金沢という東アジアが誇る二つの実力派室内管が明日の郡山での合同演奏会に向けたリハーサルを行い、その前に香港の楽人が市内の弦楽合奏団がある小学校にアウトリーチして一緒に演奏する、なんて交流イベントがあり、その取材のために朝の5時過ぎに大川端縦長を出て東京駅まで歩き、東北線各駅停車3本乗り継いで新白河駅に至り、昨日無事に成田に到着し郡山入りしている香港の楽人6名と合流、市役所の方々の車に分乗してかつての外堀の向こうの丘の上にある小学校に向かい…

ってな部分は商売もんの話なんで、それはそれ。当無責任電子壁新聞、12代目となる新メインパソコンと、当無責任壁新聞開設以来初のアップグレードとなったPhotoshopの扱い練習を兼ねた久々の全く意味のない駄文「たびの空」なのじゃ。なんせ、先月頭に病人認定されてからほぼ3週間、総計4キロの医療機器を引っ張って歩かねばならない体となり、今回はまずは関東を一歩だけ出るという近距離で、機材運搬使い回しテストを兼ねてのプチツアーなのであーる。そっちは他人様に言うようなことじゃないので、それはそれ、ってことで。愛するお嫁ちゃま、ご家族には、まあ、なんとかなるでしょう、とお伝えする次第でありまする。

んで、お昼前に30名の小学生合奏団と香港からの楽人6名の合奏に270余名の全校生が大いに盛り上がった国際交流が無事に終了。ちなみにこの学校、福島県内アウトリーチではお馴染みの「被災地のお子さんなんかは…」という世間話に市の職員さんたち、応えて言うよう……自分は担当だったんが、お城の公園にあった仮設住宅はなくなった。この街は、東京にも海にも出やすい場所なんで、仮設というより、ここに移ってくる方が多い……って、あれこれあれこれ。所謂「震災取材」には警戒してなかなか口を開かないし、それに直接の担当者じゃないから尋ねられもしない現場の話がいろいろ出てくる。なんであれ、「復興」という御上が好きな言葉がいかに虚しいか、復興したいのは役所だけじゃないか、という本音話は…ま、それはそれ。

朝から一仕事終えた楽人たちとスタッフは、また市役所の車に分乗し白河駅横のホールに向かいお昼休み。イップ様とスダーン御大がやってくる合同リハーサルは3時から。一緒にホールにいきますか、とスタッフには声をかけていただくものの、いや、ともかくこの荷物を今晩の宿に置かせて貰っちゃいますので、歩きます。素敵な街ですし、こんなことでもないとね…ってズルズル小学校の丘を下って旧市街に向かう。
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いかにもな地方都市の寂れた飲み屋街を抜け
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かつては外堀だったという川を渡り
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単なる雑居ビルみたいなビジネスホテル朝食込み3800円也で医療マシンを預け、身軽になってなんか食わねばと白河駅に向かうと、某Jアーツさんからメールじゃわい。初台空前絶後の黒歴史たる《ルル》のヒロインが没したとのこと。うううん、このくらいの歳まわりがこの馬鹿馬鹿しい世界を見捨てて次々とあっちに渡って行ってるなぁ…と思いつつ、何も考えずに目の前に見えた飯屋に飛び込めば、なんとそこはまるで香港シティホール裏状況であったぁ!
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まさかご挨拶くらいはせにゃならぬ、気骨あるジャーナリストならこの機会を捉え香港の情勢など根掘り葉掘り尋ねるべきなんじゃろが、なんせ恐らくは楽人らの多くは香港人ではなく大陸出身だろうから、世界の「西側」メディアやニッポンの反大陸の皆様が言い立てる「共産党支配打倒」一辺倒の筈もあるまい。大変な練習前に妙な空気を醸し出すわけにもいくまい、という見事なニッポン流翼賛メディア思考のへっぽこ三文売文業者やくぺん先生は、頑張ってね、お城は見た?なーんて当たり障りない会話に終始するのであった…嗚呼、情けなや…

腹は膨れても、まだ2時間弱の時間がある。じゃあ、そのお城に行ってみましょか。
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かくて、新メインパソコンくん初の本格ノマドは、白河の旧城跡での写真処理となったのであった。

見晴らせば、遙か南に連なるは関東と東北を隔てる山々。
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写真の左の奥が白河の関なのじゃ。そーかそーか、だからなんだ、と言っては観光にならんっ!

ピチピチと追いかけっこをしてるセキレイさんたちを眺めながら、白河駅舎をぐるりとまわり、1000席ほどの立派でこ綺麗なホールに向かえば、こんな告知が。
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へえ、最近、各地で大流行の「町中あちこちで音楽やります」タイプの音楽祭の告知でありまするな。こんなん。
http://www.cominess.jp/archives/shusais/3425.html
たしかに、この街の空気、それにあの小学校で静かに熱心に聴いていた子供たち、そして夕方のオープンリハーサルに詰めかけた熟年ばかりでもない市民の姿を見るに、ここではあり得るイベントでんな。観光の客集めじゃなく、自分たちが聴きたい、やりたい、という人たちが数百人はいそうな古い街だもん。それに、この街のホールの楽屋裏には、こんな遺産だって遺されてる。
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みんなさっさとこの世界を見限って行く21世紀10年代も、もうすぐ終わる。

香港大陸への完全併合まで、あと28年。今日、香港の楽人と一緒に音楽した子供たちも30代後半になり、混沌とした(なのか?)香港情勢が世界のニュースを騒がすだろう。そういえば小学校の頃に香港のオーケストラが来たなぁ、そのあとに練習を聴いてステージの上の人たちと手を振ったっけなぁ…なーんて、かつての白河の子供たちは必ずや思い出だろう。

ブンカに出来るのは、せいぜいがそんなことくらい。でも、そんなことくらいなら、出来るのさ。

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