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タカーチュQの新ヴィオラはっ! [弦楽四重奏]

既に彼らのインターナショナル・レップから公式なリリースが出ていますので、記します。去る9月に来日したタカーチュQのヴィオラが、来年6月から交代します。こちらをご覧あれ。
https://myemail.constantcontact.com/WORLD-RENOWNED-TAK-CS-QUARTET---ANNOUNCES-NEW-VIOLIST.html?soid=1103230119130&aid=wyW0jKJ1nDU
なんとなんとなんとぉ、韓国では独奏リサイタルでかのソウル・アーツセンター大ホールを満席にするという、この楽器に限ればプリムローズよりもバシュメットよりもキム・カシュカシュアンよりも遙かに動員力を有する、恐らくは世界でいちばん人気者のスター奏者、リチャード・ヨンジェ・オニールが加入することになったとのことですっ!

いやぁ、ちょっと吃驚ですねぇ。こういう手があったのかぁ、という気がしないでもないが…まあ、かつて東京Qの第1ヴァイオリンにボロディンQからコペルマンが移籍してきた、なんて超弩級の吃驚とはちょっと違うものの、へえええええ…

日本では、10年くらい前かしらね、ラ・フォル・ジュルネで何故かエリック・シューマンくんなんかと臨時編成の弦楽四重奏団を組んでビック・カメラ上の讀賣ホールで演奏会をしたことがあったりしたけど、その頃には既にソウルでは大人気で、韓国DGからじゃんじゃんCDが出たりしてる。葛飾オフィスのCD棚のヴィオラ独奏者コーナーをごそごそしたら、やっぱりあった。これ。ソウル・アーツセンターのCDショップで買ったんだと思うなぁ、韓国DGから出ているシューベルトの《冬の旅》をギターとヴィオラで演奏しているというもの。
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この人気者、ヴィオラの層が異常に厚い東京の聴衆にはそれほど騒がれることがなかったけど、今ではリンカーンセンター室内楽協会なんぞに随分出ているようだし、西海岸でもいろいろやっていたようだし。当電子壁新聞でも、何度か弦楽四重奏がらみでご紹介している名前でありますな。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2019-03-16
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2016-06-14
あ、オフィシャルのサイトがありますな。こちら。
https://www.richard-oneill.com/
おおお、ここにも「タカーチュQに加入」ってでっかくでてますね。

それにしても、結成45年目のシーズンで未だに創設チェロ奏者が弾いているなんてベルリンスキーのボロディンQに迫ることになってきているタカーチュQ、セカンドは元ジュリアードQのローズ氏とガリミアQのセカンドの矢島さんの娘さんのナオミさんなわけで、なんだかアジアっぽい空気が漂う団体になってきたなぁ。思えば、ローズ氏の後を継いだジュリアードQのヴィオラって、前のタカーチュQのヴィオラのタッピング氏なわけで…この業界、そんなに人材が少ない、ってわけでもなかろーになぁ。

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選択肢の多すぎる師走週末 [音楽業界]

おはようございます。あたくしめひとりの為のメモです。以下、読む必要はりません。あしからず。

ここ極東の実質情報鎖国の島国の新帝都トーキョー、この数年、週末土曜日の公道の選択肢が極めて多く困るのは今更ながらではあるが、本日は恐らく空前の困ったデーになっております。演奏会が重なってどっちに行ったら良いか困る、というのが基本なんだが、師走も半ばの本日の午後、実質、この先は「コンサート」が所謂「ダイク」だらけになる直前の年内最後の週末とあってか、もうやくぺん先生とすれば、選択肢が単なるコンサートのみならず多岐にわたりまくっておるのじゃわい。列挙すると、以下。

◆NHK交響楽団演奏会:指揮パブロ・エラス・カサド
https://www.geigeki.jp/performance/concert189/

◆東京都交響楽団演奏会マーラー交響曲第6番:指揮アラン・ギルバート
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3251

◆東京混声合唱団定期演奏会三善晃《縄文連禱》など:指揮沼尻竜典
http://toukon1956.com/?event=2687

◆Hono 弦楽四重奏団演奏会
https://twitter.com/HonoQuartet

◆日本近代音楽館レクチャーコンサートシリーズⅧ 《オリンピックと音楽》
http://www.tokyo-concerts.co.jp/concerts/20191214/

◆「JAPAN FLUXUS」〜日本におけるフルクサス、フルクサスにおける日本
www.nadiff.com/?p=16735&fbclid=IwAR0J2uXr21w1jHWNB6ORfacxlNJg8_ij-UhUZylQ5VJtakxs-GgPmqlA4O0

なんせやくぺん先生がプッシュする指揮者さんのひとりが、意外にも8年ぶりの来日でメイジャーオケを振らせていただける。我が町トーキョーのメイジャーオケたる都響さんが、この演目を前マンハッタンのボスたるアランがやってくれるのを知らんふりするわけにもいかぬ。東混さんも、おいおいクリスマスコンサートやっててくれれば良い時期になんでこんな演目を、ってもん。ホノQは本来のお仕事(幸か不幸か、昨日の段階でホノQさんが出演者インフルエンザで演奏会延期、という連絡がありました)。そこにもってきて、無視できないようなレクチャーやらレクチャーコンサートがダブルヘッダーで並んでる。最後のクルクサスに関するレクチャーは午後7時だから、他とぶつかってないといえばぶつかってはいないわけだけどさ。

勿論、コンサートガイドを眺めれば関東圏だけでも70もの演奏会が並んでいるわけで、それはそれでいつもの週末土曜日の午後なわけでありますけど、今日という日が興味深いのは、いろんな方面に異なる関心が開けたイベントが並んでることなんだわなぁ。実はこのうえに、友人の小学生の息子さんが合唱団で歌うコミュニティコンサートがあるんで見物に来てよ、なんてのもあるしさぁ。

さあ、あと1時間くらいで決断せねばならぬっ。どーするどーする晴れたどよーび。全部ほっぽり出してその辺の藪で小さな飛ぶ方々を見物してる、なんて荒技もありに思えてくるぞぉ。

※※※※

ってなわけで、まずはご当地ネタ、晴海トリトン下ロビーで、今やすっかり「銀座東京駅からいちばん近いローカル住宅地」になりつつある晴海・豊海・月島・佃の小中高校生のクリスマス合唱でありまするぅ。
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この後、中央区交響楽団との「第九」があるんだが、ま、そっちはチャリチャリとんずら。

※※※※

さてもさても、師走半ばの筈なのにノンビリうらうら、とはいわないものの、世界の善男善女クリスマスの飾り付けも完了した芝生のベンチに座り、ひよちゃんギャーギャー、帝去りし宮の方からチチチと歌いながら一生懸命飛んでくるカワラヒワの群れ眺めつつ、くれないのっていう顔のドバたちをどうしたもんかと見て見ぬふりしながら日比谷公園にチャリ駐めて、何故かニッポン日の丸チャチャチャがジャマイカ国旗とクロスして官邸に向かう坂に飾られてるのを眺めてます。どうやら一年でいちばん日没が早い日は数日前に過ぎちゃったらしいけど、昼が短い季節も真っ盛り。総務省の向こうへとらら日は沈む日比谷公園。目の前の芝生の中を、芝刈りロボットくんがけなげに動き回り、セキレイさんと追いかけっこしてら。
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アランのマーラー、こういう難物大曲をちょろっとやってしまった我らが楽士さんたち、はいいっちょ上がり、立派な演奏でございました。今日はアンダンテが第2楽章で、せっかくハンマー出したんだからさぁ、マーラーさんはやんなくて良いって言ってるけど最後にもう一発叩いちゃいましょーかぁ、ってぐぁっつん!わぉおおおおという大喝采に、今日も新帝都は事もなし…

無論、こういうものがこういう水準でいつものお仕事で出来てしまう2019年終わりの我が町トーキョーはすんぐぉいもんだぁ、と思わんでもない一方で、前ニューヨークフィル監督がオリンピックのレガシーだそうなオケで天下の大曲をどっかーんとぶち上げるんだから、考えようによっては音楽ファンが新帝都が誇る楽の堂に押し寄せ固唾をのみ見守る、って状況になってもよかろーものが…。ロビーでお会いした某誌編集長さんったら、さてこれから別の会場に行ってダイクです、ってさ。

余りに高カロリーな年の瀬の我が街トーキョー、皆々様、飲み過ぎ、食べ過ぎにご注意をっ!

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写真撮影お喋りOKのコンサート [音楽業界]

昨晩、欧州超短期滞在から戻り前頭葉がまるで海胆のまま、現在鋭意社会復帰中のお嫁ちゃまに引っ張られるように東京オペラシティに参上させていただきましたです。こんなコンサート。
http://www.smf.or.jp/concert/thats_20191211

なんと、「撮影・SNS拡散OK!服装自由!おしゃべりOK! クラシック音楽にありがちな煩わしいルールはなし!没入感のある映像とのコラボレーションや、まるでROCKのLIVEのようなエキサイティングな照明演出や特殊効果による、これまでにない体験、さらには出演者による解説付きで、いつの間にかクラシック音楽が楽しくなるような仕掛けも満載です。」
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とのこと。

要は、今の「クラシック音楽コンサート」の会場で原則としてはやってはいけませんと叱られるようなあれこれをやってもかまいません、ってコンサート。ぶっちゃけ、聴衆の皆々様が「おおおお、じゃあ行ってやろうじゃないか」と思うよりも、業界関係者、特に制作現場の人間たちが大いに関心を抱いたようで、やくぺん先生ご夫妻が座らされた一列は右側が東京歴史文化財団の文化会館政策担当者とオケ連の方、反対側にはサントリーホールの制作担当者、で、前の列には某評論家ご夫妻がお子様連れでご家族でいらしてました。他にも、そこの所属ソリストがいたとかいうわけでもないのに某大手音楽事務所の方とかも。

んで、結論から言えば、ロックライヴのようなエキサイティングな照明かどうかはともかく(まあ、この写真のようなもので、オルガンを使ったこともあってかステージ奥にスクリーンを作るのではなく、ホール全体に映像を投影するようにしてます)、《惑星》では探査船ヴォイジャーが木星に接近する映像が出てきたりしてる。基本、「意味」を伝える映像ではなく抽象的なイメージが飛び交う。
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当日プログラムにあるクレジットに拠れば、どうやらこの会社がやってるようですな。外資系ですね。SONYさん、相当お金出してそうだなぁ。
https://www.prg.com/ja/ja
演奏の間には司会の方と川瀬氏のお喋りがあって、少なくとも司会さんには台本があったようです。川瀬氏は、基本的に「こんな変わったコンサートでいろいろ大変」というぼやき系のネタ。スターウォーズのときには「ホントはライトセーバーを振りまわしたかったけど、重いので、ライトセーバー箸にしました」と笑いを取ったり。楽器紹介もあったけど、ひとつひとつじゃなくて、弦楽器、木管、金管…ってものだったのは面白い。ただ、全体を「宇宙旅行」にするコンセプトとか、台本をどういう方向にまとめるかとか、トータルなプロデュースが誰なのかはクレジットにはありません。そういうもんなんでしょうかねぇ。まあ、SONY芸術財団さんに尋ねれば教えてくれるだろうけど、商売もんの作文じゃないからそこまでやる気はない無責任電子壁新聞なのじゃ。

で、最大の関心の「撮影OK&お喋りOK、どんどんアップしてね」なんですがぁ…正直、やくぺん先生ご夫妻なんぞが座ってた辺りでは会場の空気は良く判りませんでした。なんせ、お喋りっても、演奏中はみんな静かにしてるし、後ろに座ってた招待券もらっちゃったぁ、という感じのOLさんがトークのときにいろいろ話してたくらい。ぺちゃくちゃやら、突っ込みやってる奴やらはいなかったです。

写真にしても、案外とみんなおとなしく、映像が派手に動き始めるとシャッター音がしてましたが、記者会見のときの写真撮影みたいなシャッター音の嵐になったりはしません。それにしても、日本の携帯やスマホって、撮影時消音が出来ないんですよねぇ。これって、こういうやり方の時には問題だなぁ。

それから、撮影はOKでどんどんツゥイートしてくださいといいながら、携帯電波遮断装置が働いていて、その場でのインスタアップなどは出来ない。そのためか、今調べても、拍子抜けな程にネット上に写真がアップされてはいませんね。うううん…

ちなみに、楽器紹介のときは「トトロ」なんぞがあったから、《スターウォーズのテーマ》のときはもろにジョン・ウィリアムズ御大がご存命だからか、司会のお姉さんが「ここは写真録音なしです」と舞台から仰います(せっかく「クラシック」やってるなら、嫌でも著作権が関わってくるロックコンサートには絶対に不可能な著作権切れてる作品だけでコンサートを埋めるのだって、ちっとも難しくないと思うんだけどねぇ)。また、《月の光》の情けなぁい編曲オーケストラ版のときには、川瀬氏が「この曲は沈黙も音楽ですので、音は立てないで」と仰り、それならそうでみんな静かにしてる。

つまり、このイベントでのトークの仕事って、「演奏者のキャラをしゃべりでみせる」とか「転換の間の時間を稼ぐ」とかじゃなくて、聴衆管理にあったわけです。その意味では、まあ、そこそこ上手くはいっていたのかも。要はお客様を接待するファーストクラスやビジネスクラスじゃなく、ソフトに客を管理するエコノミークラスのスチュワーデスさんのお仕事みたいなもんですな。

あ、一応、川瀬氏指揮東フィルさんの演奏について触れておけば、まあ、良くも悪くも「ちゃんとしたクラシックのオーケストラコンサート」でした。《スターウォーズのテーマ》にしても、映画音楽としてミキサーの耳を通って映像に付与されている必要な部分の輪郭線をハッキリさせた音楽ではなく、どの声部も過度に強調せず、スコアのバランスをきちんと再現する音楽で、えええこんな金管の声部があったんだぁ、と思わされたりする。《フィンランディア》では、かの有名な「♪やすかれぇ、わがぁここぉろよぉおおお」の讃歌部分も決して濃厚に歌うわけではなく、はいまずは木管さん、ピアノですよお、次は弦楽器さんだけど、これもあまり歌いすぎないでねぇ、って、拍子抜けと言えば拍子抜け。もっとガンガンに煽ってもええんでないかい、と思っちゃったりもするけど、確かにそう書いてあるんだもんねぇ、ってか。その意味で、「これがクラシックなのだ」という音楽。ま、その辺りのギャップは意図的なだろうけど。

そんなこんな、いろいろな大人の事情もある中でのひとつの「タブー破り」の実験、上手くいったかどうかはともかく、関係者興味津々の中で粛々と行われた、という感じでありました。誰よりも大変なのはレセプショニストさんたちだったんじゃないかしら。いつもならマニュアルでストップをかければ良い行為の一つ一つを、状況の中での判断で止めるか、やってもいいと見過ごすか、判断しないといけないわけですからねぇ。プロのお仕事が必要になってきますな。

このような試み、この先も試行錯誤は続けられそう。ま、実験を重ねる意味はありそうでありまする。関係者の皆々様、お疲れ様でした。

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ヴァインベルク・マラソン完走! [弦楽四重奏]

アムステルダムの朝です。これからブリュッセル空港駅まで向かい、夜の便で成田に戻ります。

とにもかくにも、ヴァインベルク100歳のお誕生日を祝うサイクルが終わりました。
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っても、プレレクチャーをした伝記作家のファニング先生に拠れば、どうもこの誕生日、いろんな事情で操作されているかもしれないそうな。ソ連時代は12月8日にお誕生日を祝っていたそうですが、ヴァルシャワ音楽院の入学資料では1月というのもあるそうで、うううん、まあ、暦の問題だけではなく、いろいろあるんでしょうねぇ。なんせ、ヴァインベルクのアウシュビッツで殺されたお母さんの昔の名前すら判っていないそうなんですから。

あ、ファニング先生の800ページに及ぶヴァインベルク評伝の決定版『ヴァインベルク:生涯と音楽』は、この日に出版される予定だったのが、まあいずこも同じ、出版社側の事情でイースター前になったそうです。もうちょっとお待ちを。今出ている評伝の5倍くらいでんなぁ。

上に挙げられたサイクルのリストに、いつかTOKYOが入ることをホントに願いつつ、一方でそれが出来なかった己の非力さに下を向きつつ、超短期滞在の運河の街を離れ、極東の島国の湾岸に戻ります。記事は来年3月売りの「サラサーテ」に出る予定ですので、ちょっとお待ちあれ。なんせもう年末進行締め切りは来週だし、この媒体は隔月なもんでして。

来年は1月にパリとここアムステルダムで弦楽四重奏ビエンナーレがあり、その間にはハイデルベルクの春音楽祭もある。昨日まであったいろんな方々は、来月のパリやらここにやくぺん先生がいるのは当たり前と思ってたようだけど…流石に「隠居したんで来ません」とは言えませんでした。まあ、これが歳を取っていくということなんでしょう。

次にいろんな人々に会えるのは5月の大阪かな。6月のレッジョ、9月にはミュンヘンもあるんだわなぁ、2020年は。

さて、最後のパッキングをしましょうか。さらば欧州…さらば青い小さな飛ぶ方々、黒くて声の綺麗な方々。

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ヴァインベルク16歳と50歳の映画音楽 [演奏家]

アムステルダムの湾に浮かぶようなムジークヘボウで、「ヴァインベルク・マラソン」が始まりました。
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そのオープニングを飾る最初のレクチャーで、オランダ人音楽学者ラマール氏がとんでもないことを教えてくれました。っても、オランダ語のレクチャーで、終わってからノコノコ近くに行って、さっき流してた音楽ってつまりこれこれですかぁ、なんて情けなあああぁい質問をしなければならなかったんだけどさ。

ええ、なんでモロに商売もんの話を宿に戻ってきて直ぐにこんな無責任電子壁新聞に記しているかと言えば、残念ながら紙媒体では伝えようがないことだからです。勿論、「サラサーテ」の記事にはURLくらいは記す可能性はあるけどあくまでも参考で、紙媒体の仕事はそういうことじゃあないですからねぇ。

んで、何かというと、なんとなんと、明日明後日とレクチャーにやってくる現時点で西側唯一のヴァインベルク評伝の著者たるダヴィッド・ファニング氏の著作の最初にも出ているんだけど、ワルシャワ音楽院に通い始めたヴァインベルク少年が最初に手がけたメイジャーな仕事が、映画音楽なんですわ。で、その映画の本編が、なんとまるまるYouTubeにアップされていて、誰でも簡単に観られるのだそうです。ほれ、こちら。

いやぁ、冒頭のタイトルクレジットの中に、M.Weinbergってガッツリ書いてありますもんねぇ。

立ち話できいたところでは、ラマール先生も実は数日前にこんなものがYouTubeに落ちていると知り、腰を抜かしそうになったそうな。いやぁ、凄い世界になったものでありますなぁ。

まあ、この大戦間時代のポーランドのコメディ映画を全部見てやろうなんて殊勝な方がいらっしゃるとも思えないけど、ともかく、これが作曲家ヴァインベルクの出発点なのだ、ということ。この翌年には、本日最初に演奏された弦楽四重奏曲第1番が作曲されているわけであります。

ちなみに、ヴァインベルクの恐らく最も有名な仕事は、ソ連時代のこちらでありましょう。
1969年のソ連アニメ『くまのプーさん』ですぅ。この冒頭のチェンバロで始まる音楽をやってるのが、かの《パサジェルカ》を完成した直後のヴァインベルク、作曲家として最も油ののりきった頃の作品なんですわ。

いかがでしょうか、当電子壁新聞を立ち読みなさってる皆様にも、このヴァインベルクという作曲家が少しは身近に感じられたかな。

さてと、「ヴァインベルク・マラソン」二日目の明日は、いよいよ大戦直後の第1期傑作の森の3曲と、逮捕投獄から解放された後、ショスタコーヴィチとの関係が本格的に深まり始めた第2期前半の3曲が披露されまする。明日に備え、もう寝ましょ。外は冬の嵐がゴーゴー鳴ってる運河の街。

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アムステルダムの鳥たち…なのか [たびの空]

昨日、無事に2時間とちょっと、感じとしては東京から静岡くらいかなぁ、のブリュッセルからアムステルダムへの鉄路での移動を終え、明日からの「ヴァインベルク・マラソン」会場となる中央駅隣(直ぐ、という意味ではなく、間になーんにもない)のムジークヘボウ横を通って、かつてはオランダ王立海軍のアムステルダム軍港施設だった場所を再開発しつつある中にある宿に入っております。

この場所、市内には運河の間に家が建ち並んでいるこの街では珍しい「運河と緑の中の宿」で、なんのことはない、かつての海軍の士官やら軍人関連家族やらが基地内に泊まるための宿泊施設。要は、厚木基地の正門を入って、滑走路の方に向けて左に曲がり、トム猫やらが展示してある先にある厚木ホテルみたいなもんですわ。中は、まるで学校の寮みたいで、妙に落ち着く場所でありまする。冷蔵庫はないし、所謂アパートメントホテルじゃないんで、スーパーに行って食材買い込んで部屋で飯を作る、ということは出来ないんだけどさ。

さても、本日は朝から酷い霧で、8時半前にやっと夜明けになってきても(欧州大陸時間って、ホントに緯度で時間と夜明け日の入り時間のズレが滅茶苦茶で、恐らくはワルシャワくらいがいちばん人の感覚に合った時間なんでしょうねぇ)曇ってるんだか晴れてるんだかも判らない。頭の上をスキポールのいちばん東側のほぼビジネスジェット専用になっている滑走路へとサイテーションやらファルコンやらが市内突っ切って下りていく音はするのだが、天樹よりも低い高度の筈なのに姿は見えない。なんせ旧市街には高いビルがない街なので、雲の低さはまるで感覚的に判らない。そんなこんなの冬の欧州、長い夜を劇場に行ったり、面倒くさい音楽聴いたりして潰すしかない世界でありまする。

とはいえ、宿の前の木立にはそれなりにいろんな方がいらしている。つぐみんの類いは何故かいらっしゃらないし、いかにもいそうなロビンさんもお姿はないのだがぁ、大陸のどこでもお姿に似合わず素敵な声で歌ってくださるくろうたさんが地面をノコノコ歩いてるし、英都とは違ってちゃんとイケメンと美女のイエスズメたちもニンゲンのご飯を拾って歩いてら。ギャーギャーいんこ軍団も通りかかります。勿論、この街の主のひとりたるこんな方とかがああああ。
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スーパーに水とかバナナとかくらいは買いに行くか、と出かけようとすると、上の方でチチチチ、となんだかよく聞くような声が。おお、小さな群れを作ってらっしゃるわい。
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ヒワさんの親戚はとっても多様で、土地土地で全然判らないけど、ともかくなんとかヒワでありましょうな。曇り空の枝の中でご飯となる細い実をお食べになっていらっしゃいます。と、そこに、つつぴぃ、というよりも、もうちょっとドスのきいたお声で飛び回ってらっしゃるのは、街場のスター、あおちゃんたちじゃあーりませんかぁ。
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おお、欧州に来たんだなぁ、と思わせてくださるお姿。

この辺りで盛んに見かけるキバシリさんとか、それこそシジュウカラさんとか、見かける筈の方を見かけてないんだけど、ま、あおちゃんに会えたからいいかな。

ってなんとなく満足しながら、スーパーに向かうのは理由があるのじゃ。そー、今回の超短期欧州たびの空の裏の目的、葛飾巨大柿の木下のシジュウカラ・レストラン、恐らくは葛飾オフィス建て替え計画を前に現店舗での最後の冬となりそうな食材仕込みなのじゃ。

ドイツ語圏とその周辺、はたまたブリテン島などでは、冬場に食べるものが少なくなるカラ類やロビンさんにニンゲンがご飯を出すのは普通の習慣で、秋の終わりくらいから町場のスーパーでシジュウカラご飯のコーナーが出来、山積みになっている。葛飾の店舗でもお馴染みの輪っか飯とか、カップ飯とか、はたまたエナジーボールとか、それぞれ数€くらいで売ってるのでありまするよ。さても、ここアムステルダムはどんな品揃じゃろか、と店内を探すと、ニンゲンのパンのコーナーの横にしっかりと専門コーナーがありましたですう。ほれ、こんなんとか
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こんなんとか。
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はたまたこんなんとかぁ。
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うううん、全く見たことないタイプのご飯もあるなぁ。どうもお客様の基本ターゲットはカラ類みたいで、ナッツを袋にまんま入れたものなんかもあるぞ。

なんのかんの、€15くらい買い込み、我が極東の島国でこの習慣がないのは、ひとえに固有種ひよちゃんという俺最強な方がいらっしゃるからなんだろーなー、とトホホと思いつつ、オペラハウスをかすめて運河を二つ越え、もうひとつの目的地に向かいましょ。ここだっくだっく!
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何故かこの街に数件ある、アヒル専門店なのじゃよ、皆の衆。

これだけまとめて並んでしまうと、欲しいとかよりも、気持ちは博物館にいるようなもの。へえ、こんなのもあるんだあ、あ、なるほど、そういう分類をするのかぁ…

結局、新帝都で悪辣非道な安倍一派の不正を監視する平和維持軍アヒル総大将のお眼鏡に叶いそうな屈強な戦力は…案外おらぬものじゃのぉ。ま、葛飾後方部隊にしかならないような奴らをいくつか束ねて、来週には湾岸に渡りますので、葛飾のシジュウカラさんやら雀やら、もうちょっと待っててね。
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かくてアムステルダムにはいろいろな鳥さんたちがいらっしゃる…のであーる、かいっ!

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《ヴァルキューレ》を真下に眺める席 [音楽業界]

時差が4時間以上ある場所に超短期滞在する場合、最大の問題は「演奏会の時間がいちばん眠くなる」という事実でありまする。歳を重ねるに従いどんどん酷くなり、今回の渡欧でも若ければ金曜日早朝にフランクフルトに到着する便で入って、月曜日の昼初便で出る、なんて実質滞在3日という強行軍もあり得るわけで、そうすれば宿代3泊分安く出来るけど、そんなん無理ですううう。んで、時差調整のために昨日ブリュッセルに入り、ノンビリとここアムステルダムに来たわけだが、こんなに早く入った理由はもうひとつ。そー、「機内では寝ずにひっぱり、到着後直ぐにヴァーグナーを見物し、ともかくウニ頭でも良いからなんとか頑張って最後まで耐え、終演後にベッドに倒れ込み、一気に時差を吹っ飛ばす」という、考えてみればこれも相当に若者向けの無茶な荒技がやれるタイミングだったのじゃよ。いやはや…

んで、先程、それを実行して宿に戻ってきて深夜前。もう前頭葉は完全に蟹味噌状態なので、恐らくこの先は数日後に追記して貼り付けることになるでありましょう。ともかく、お休みなさあああい。

※※※※

てなわけで、以下、感想にもならない感想文にすらなっていない駄文、誠に以てどーでもいい内容ですので、読む必要などありません。さあ、帰った帰った。自分へのメモにもなってないんだからさ。

アムステルダムの《リング》サイクルといえば、21世紀のゼロ年代半ばくらいにDVDボックスでどかんと出てきて、一部ではそれなりに話題になった代物。この前、無事に台中での上演も終わったバレンシア・リング、ソウルで始まったけど余りの入りの悪さに神々はヴァルハラに引きこもってしまったか、丁度今頃に予定されていた《ヴァルキューレ》が立ち消えになってしまってるマンハイム・リングなどと並び、「ちょっとぶち切れた絵面のリング・サイクル映像」として知られているもんでありまするな。こちら。わ、ものすごいURLだけど、このHMVのオタク丸出し解説を読んでいただければアウディの演出がどんなもんなのか良く判るし、映像もそれなりに入ってるので、敢えて貼り付けます。
https://www.google.com/search?safe=off&ei=5wXqXfGtKcXNwQKEzI1o&q=DVD%E3%80%80%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E6%8C%87%E8%BC%AA%E3%80%80%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%A0&oq=DVD%E3%80%80%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E6%8C%87%E8%BC%AA%E3%80%80%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%A0&gs_l=psy-ab.3...1832.10605..11034...0.0..0.183.1717.25j2......0....1..gws-wiz.......0i7i30j0i67j0j0i4j0i8i4i30j33i160.8W4EarIfTs4&ved=0ahUKEwixvenEwqDmAhXFZlAKHQRmAw0Q4dUDCAs&uact=5

さても、この舞台、前世紀の終わり頃に「極めて斬新な舞台」として賞賛され、いろんな意味で今世紀に入ってからの《リング》演出のひとつの流れのお手本になった古典的舞台。ぶっちゃけ、所謂「コンサートホールでのリング上演」のアイデアがいっぱい詰まったステージでもあるわけですが、ま、それはそれ。この劇場、映像にもなってるメッツマッハー御大の《アッシジの聖フランチェスコ》とかもそうだけど、ステージ上にオケを乗っけちゃって、舞台を客席なんぞにまで拡大して使う、というやり方をしばしば行うみたい。この劇場なのか、昨シーズンまで監督をやってたアウディの趣味なのか、その辺りは判らんが、ともかくそれなりの成功した舞台を作っている。こういうところで積み上げていったノウハウが、駅の西の公園で去る6月にやった《光》抜粋チクルスを可能にしているんだろーなー、といろいろ考えさせられること多々あり。ニッポンの新国立劇場、本来はこういうくらいの規模でこううことをやれればいちばん良いんだろーがなー…と遠い目になりつつあの悪夢の北京の町並みを思い出してもしょーがない。いやはやいやはや…

アウディの「20年前に斬新だった舞台」は、その後、この運河沿いの適正規模で客も妙にカジュアルな劇場で繰り返し上演されレパートリーになり、アムステルダム・リングとして劇場と、そして敢えて言えば、この街の財産になっていた。それがとうとう今回の上演を以てオシマイになるということで、中でも人気の《ヴァルキューレ》は本日を入れてあとは日曜日の千秋楽まで二公演を残すばかり。
https://www.operaballet.nl/nl/opera/2019-2020/voorstelling/die-walkure
客席は平日の晩というのに午後6時から11時まで付き合ってやろうというアムステルダム市民ばかりか、世界のあちこちからこの有名な舞台をライブで観ておこうとやってきたヴァーグナー愛好家さんで溢れてます。ポスター類はしっかり21世紀も10年代の終わりで、そもそも紙のポスターなどひとつとしてないし、そのヴィジュアルも中身とまるで関係ないのが今風だなぁ。
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さても、この舞台、ひことこで言えば「舞台の上にピットの上まで覆うでっかい舞台をもうひとつ乗っけて、《ヴァルキューレ》では上手寄り真ん中にほぼ正方形の穴を空け、オケはそこに全部押し込み、ステージ奥と下手、ピット上を舞台空間として演技が行われる」というもの。
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このやり方なら、金さえかければ、サントリーみたいな所謂ワインヤード型ホールにも持ち込めないことはない。無論、オケはギュウギュウで、下手側天井桟敷から眺めていたやくぺん先生とすれば、ヴォータンが嫁さんにどんな風に叱られれてるか、ツバメさんヴァルキューレたちがどうやって走り回るかなどは、殆ど見えません。でも、6台も並んだハープが何やってるかやたらとよく見える、

オペラを声中心に鑑賞なさってる方なら、この1600席くらいの適正規模劇場だからか、敢えて今時のムジークテアター系無茶な動きの演出では隠れた常識になっている仕込みマイクは使っていないようで、歌手さんたちがどっちに向かって歌うかによって音量がガッツリ変わってしまうのは大問題と考えるかもねぇ。
それから、今時のCG映像やら舞台の状況をライブカメラで捉えて切り取った画面を大きく投影したりとかする技術がまだなかった頃に作られたものとあって、第2幕の死の告知の場面でいきなり舞台奥に巨大なブリュンヒルデのアップ映像が投影されたりするのだが、それがなんとも古くさくセンスがないものに感じてしまう。流石にスカラでロンコーニが《ウィリアム・テル》だかで始めて大々的に映像紗幕を使って衝撃を与えた頃のものに比べればまだ古びてはいないとはいえ、やっぱりこういう「最先端の映像技術」ってのはあっという間に古色蒼然たるものになっちゃうんだなぁ、と吃驚(っても、あたしの席では殆ど見ませんでしたけど)。

他にも、銀色翼のツバメさん軍団ヴァルキューレたちの動きが今だったらこんなバウハウスちっくな集団よちよち歩きじゃなく、吊り物かCG映像にしちゃうだろうなぁ、とか、流石に20年経ってる演出故の時代を感じさせる部分はいろいろあるも、やっぱり「ああ、こういう空間全体をあれこれいじりまくる演出は、パッケージ映像じゃ判らないことだらけだなぁ」と納得させてくださったことは確かでありまする。勉強になりましたです、はい。

ま、それはそれとして、この演出をライヴで鑑賞するにあたり最も面白いことのひとつは、極めて特殊な客席が用意されていることでありましょうぞ。アドヴェンチャーシート、と名打たれた席は、こういうもの。
Adventurous, no fear of heights and a desire to experience Die Walküre in an unusual way? Then take a seat on the adventure seats. These seats float above the stage and offer a unique perspective on the opera.Please mind that there is no view of the surtitles from the adventure seats.

なんじゃらほい、と思うでしょ。上の写真の、天井からぶら下げられた二本の細長い箱の中が、アドヴェンチャーシートでありまする。上手と下手上空にそれぞれ40席くらいづつかなぁ。もうさっさと売り切れていていくらなのか判らないけど、人によっては拷問席だわなぁ。どうやって入るのやら、ともかく明らかに楽屋側のどっかからレセプショニストさんに引っ張られて高いところまで行き、開演直前に導き入れられておりました。
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まあ、上手側はオケの真上。下手側は演技が行われている舞台の真上。そこから眺めてなにがどう違うのか、天井桟敷が基本のやくぺん先生には取り立てて違って見えるとも思えないのだけど、平土間からしか眺めてないようなセレブなお客様にはものすごく刺激的な体験なのかもねぇ。ってか、そもそもアウディ御大、どう考えても百万円単位の予算がかかりそうなこんな客席仮設をどうしてやろうとしたんじゃろーなぁ。なんかやってみたかった、ということなんじゃろうが、この空間があることで高さを利用した演出は出来なくなるし、視覚的にはやたらと舞台の奥に向けての直線が強調されるし(それは利用してましたね)。

ま、なんかやってみたかった、ということなんだろーけど。こういう実験が、あの《光》の客席と舞台空間の融合というか、混交というかへと結びついたと思えば、ま、これはこれでありなのであろー。昨年の今頃のスカラ座でのクルターク世界初演、作品のオペラとしての余りの酷さになすすべもなく…って可哀想なようだったアウディ御大、こういう方向でやってきて今に至ったんだなぁ、という出発点のひとつは良く判りましたです。

日曜日は売り切れみたいだけど、このサイクル、チャンスがあればアドヴェンチャーじゃなくてもいいから、ライブでご覧になる価値はあります。やってることそのものはまともな演出ですから、ご安心を。ヴォータンがフンディングを殺す瞬間がすげえええカッコいいぞぉ。

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ヴァインベルク生誕100年祭へ [たびの空]

本当に久しぶりに成田空港ラウンジです。すっかり当たり前になっていたラウンジ饂飩も、これが最後…ってこともないだろうが、これまでのように数週間毎に出会い、今日のおかずはハンバーグかぁ、ANAさんはどうしてこういう妙なご当地焼きそばを引っ張り出すんだろうなぁ…なあんて思うこともなくなるであろう隠居の身。10年代にはずっと続いた「いっぱい飛んでるからいろいろ優遇してあげましょう」という身も、本日でオシマイであります。隠居の身であるなぁ、ぐぁんばりなさいよ、働く皆さん、と遠い目になりそう。

さても、総計4キロを越える医療機材を鞄に突っ込んだらそれだけで半分が閉められてしまった病人爺の初洋行、以前のような連日DBのタイムテーブルを信じての大移動、なんてことはもうやりません。スタアラに乗り換える前は我が欧州の定番入り口だったスキポールに直接向かえば良いだけなのだが、スタアラにはアムステルダムに直接乗り入れる道がないので、いちばん近くのブリュッセルまで行き、空港から北駅まで行き、駅前の安宿に倒れ込む。で、明日は午前10時過ぎの列車でアムステルダム中央駅まで行き、ダラダラと歩いて元海軍基地だった再開発地区の元将校宿舎だった広いだけは広いがなんともがらんとした大学レジデンシィ宿泊所みたいな宿に向かい、あとは5日間そこにいるだけ。帰りはまたアムステルダム中央駅まで荷物を引っ張って歩き、ブリュッセルまで行って、シベリア越えて戻ってくるだけでありまする。たった1週間の超短期渡航。この巨大な医療機器が持って歩けるものなのか、テストみたいなもんですな、気分としては。

目的はハッキリしてます。こちら。
https://www.muziekgebouw.nl/agenda/8054/Weinberg_tot_de_tien/Quatuor_Danel/
ヴァインベルク・マラソン、なんてなかなか題名を付けられたイベント、要は6日から8日の3日間で、ダネルQがヴァインベルクの弦楽四重奏全曲をライブで演奏する、というもの。ちなみに12月8日は真珠湾攻撃の日本時間ではなく、ヴァインベルクの100年目のお誕生日でありまする。
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やくぺん先生とすれば、まだチェロがダネル弟だった頃に灼熱のハイデルベルクで行われた世界で2度目(3度目、という話もあるが、良く判らぬ)の全曲演奏会以来。今年になってダネルQはやりまくっているのだが、そのハイライトの瞬間くらいは付き合いましょう、ってことでありまする。

さても、そろそろ搭乗なんで、話はまたどこかで。前のチクルスのときにはまだ楽譜が全部出ておらず、ダネルQしかやれなかったサイクルだけど、昨年だかにやっと全17曲の楽譜が簡単に手に入るようになり、これからは若い、ショスタコに飽きた連中が次々と挑戦する…のかなぁ。とにもかくにも、まずはシベリア越えじゃわい。

※※※※

てなわけで、なぜか成田を離陸し札幌に向かうLCCみたいな道をとり、間宮海峡越えてシベリアに入って延々と半日、一睡もせずにヴァインベルクの評伝を読み続け、3時前にもうすっかり夕方の光のブリュッセル空港の東側滑走路に北から着陸。タッチダウンからEU入国、荷物が出てくるまで30分。ロビーで慌ててサンダルを靴に履き替えて、地下のベルギー国鉄駅で市内まで€8.24というぼったくりとしか言い様がないチケットを現金で払って乗り込むまで45分。ま、国際空港としてはほ完璧じゃあないかい。

問題はブリュッセルの場末、アラブ人住民が多く観光客はほぼいない北駅の中央コンコースが工事中で、北と南のコンコースはエレベーターもまともになく、酷い目にあってしまったぁ。さあ、今日はこの安宿から一歩も出ず、煎餅食って、持ってきたコーヒー入れて、ヴァインベルク伝の残りを読んでさっさと寝てしまうのじゃ。まだ5時前だけど、すっかり夕方。
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ここで一気に引っ張って時差を解消しないと、明日のかの有名なアウディ演出の《ヴァルキューレ》爆睡の可能性があるもんなぁ。

医療機材もヨーロッパで無事に動くことを確認し、病人隠居爺として初の欧州たびの空、まずは無事に始まりましたですぅ。ま、明日からは移動も何もない、じみぃな日々ですけど。

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