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女帝南に帰る [演奏家]

今、天下のN響でダイクを振ってらっしゃる筈なのに、どうも殆どニュースになっていないようなので、専門外だけど(?)アップしておきます。イギリスの業界媒体が先週だかに報じていた話。まずは、N響さんの第九のチラシはこちら。まだあと何度かあるんですね。大晦日に紅白の裏番組でやってる放送も、シモーネおばさまのこの演奏なんでしょうし、たくさんのニッポン文化圏の方々がご覧になるのでしょうねぇ。
https://www.nhkso.or.jp/img/dai9.jpg
興味深いのは、ここで小宮さんがお書きになってるチラシ裏煽り作文やら、誰が編集したかしらないけどN響広報さんが出しているプロフィルを眺めるに、一切「女性」という言葉や、女性であることへの言及が一切ないこと。ニッポン国もアメリカっぽくなってきた、ということなのかしら。小宮さんの作文も、いちばんのポイントは「ハンブルクでは全てドイツ語でリハーサルをやった」という有名な逸話からの展開だもんなぁ。

その経歴でやっぱり大事なのは「ハンブルクのオペラのシェフだった」というところなんでしょうねぇ。今やオルソップと並ぶ二代女性指揮者の双璧長老は、両方とも英語文化圏から出ている、ってのはなかなか面白いところ。尤も、30代までもってくると、もう女性指揮者はキラ星で、ホントに「女性だから」ってコメントは不要な状況だもんなぁ。こんなニュースもあるしね。
http://www.internationalartsmanager.com/news/opera/san-francisco-opera-announces-new-music-director.html

もとい。で、シモーネおばさまですが、オーストラリアの出身であるということは案外知られていないのかもしれませんね。恥ずかしながら、やくぺん先生なんて、チャールズ・マッケラス御大は「オーストリア」出身だと長い間信じ込んでいて、セント・ルークス管がまだ「危ないから地下鉄降りたらアカデミーまで行くだけにして、外に出歩いちゃダメですよ」などと言われていた20世紀終わり頃のハーレムにあるアメリカン・アカデミーというマンハッタンでいちばん音響が良いけど周囲が物騒過ぎて演奏会には使われてない会場でハイドンなんぞを録音するのに潜り込んだとき、その辺にいた人に「マッケラスさんって、お名前はオーストリアっぽくないんですけど、本名なんですか」とかアホなことを尋ねて、呆れられたことがありましたっけ。今思い出しても恥ずかしい記憶のひとつだなぁ。

もといもとい、シモーネおばさまのこと。ええ、まだ当稿本来の目的の記事引用になってなじゃないあぁ。ご本人のコメントがFacebookにあるから、そっちを挙げましょか。ほれ。
https://www.facebook.com/SimoneYoungConductor/posts/i-am-so-happy-to-be-able-to-announce-this-this-marvellous-orchestra-with-whom-i-/1207225556141239/
こちらがシドニー響の公式発表かな。
https://www.sydneysymphony.com/backstage-news/article/simone-young-named-chief-conductor
N響さんは関心がないのかもしれないけど、要は「2022年シーズンからシモーネ・ヤングがシドニー響のシェフになります」ってこと。で、ついでに「The Orchestra leaves the Sydney Opera House in December 2019 to allow for a two-year renovation of the Concert Hall. Young’s debut as Chief Conductor in 2022 will coincide with the reopening of the Concert Hall, the Orchestra’s home since the Sydney Opera House opened in 1973.」でもあるそうな。やくぺん先生が超短期で渡欧しているときにすみだのNJPに客演してたスパーノ様の後任、ってことなんですかな。

どういう機会だったか忘れちゃったけど、シモーネ姉さんがメルボルン響で《パルシファル》第3幕中心のオケ版やって、ブルックナーの9番をやる、というなんだか妙に納得のいく演奏会を聴いたことがあって、なるほど祖国ではこういうものの扱いの専門家ということになってるのだなぁ、と納得したことがあったっけ。その数日後にも、日本に客演してやっぱりブルックナーやってたし。

今や表のメディアでは絶対に大きな声で言えないことなんでしょうが、女性がブルックナーやヴァーグナーの大曲をガンガン指揮なさる、ってのは皮肉でも何でもなく「朝比奈隆っぽいもん」の対極みたいで、そういう時代になってきたのである、と感じ入る…こともあんまりないかなぁ。

結論。ぐぁんばれ、我らが沖澤さんっ!21世紀後半の日本が誇るブルックナー指揮者を目指してくれぇええ!

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