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クルターク《エンドゲーム》北米初演はなんとNYP [現代音楽]

このところバタバタで世間のことすら良く判っていない中、久しぶりに眺めたNYPから来た毎度毎度のリリースで、来シーズンのプログラムが発表されてました。ま、毎年、キング牧師誕生日から春節の始まりくらいに出てくるものですから、いつも通りってことなのでしょうな。んで、ダラダラと眺めていたら、おおおお、こんなニュースが。
https://nyphil.org/concerts-tickets/2021/kurtag-endgame?utm_source=wordfly&utm_medium=email&utm_campaign=mktl_20200212_2021seasonannouncement_mg&utm_content=version_A&source=34905

2021年6月10日と12日、NYPの定期演奏会で、クルタークの《エンドゲーム》が上演されます。どうもホントに「上演」のようで、クレア・ヴァン・カンペンClaire van Kampenの演出、指揮はヤープ社長でんな。カンペンさんって、ちょっとネットを眺めただけだけど、ベケットなんぞの専門家というわけではないし、オペラ演出の経験もないみたいだし、どういう流れで出てきたかよーわからんけど、ともかく、あの旧エヴリ・フィッシャー・ホールでやるようだなぁ。

この作品、やくぺん先生がえらそーなことをふんぞり返って言わせせていただけば、オペラ作品としては決して成功しているとは思えない。世界中のメイジャーメディアや偉い評論家の先生は大絶賛で誰も悪口言う人はいないし、無論、やくぺん先生だって表のメディアにはそんなネガティヴなことは書いてませんが(悪辣な、と言えば言えっ!)、クルターク自身のリブレットがベケット作品の基本的な構造をいくつか壊していて、少なくともスカラでのアウディ演出がその部分に対しては全くケアをしていなかった。まあ、これはこれ、とアウディ御大は判断したということなんでしょうねぇ。

ハッキリ言えば、オペラというよりも《ベケットの「エンドゲーム」からのいくつかの場面》みたいな演奏会形式ヴァージョンを作って、それをあちこちのオケが演奏することで音楽そのものの評価をまずきちんとして、そこからまた舞台に戻していく、という作業が必要なんじゃないかなぁ、と思っているです。

今回の北米初演、メトとかヒューストン・グランド・オペラとかではなくニューヨークフィルの定期、というのは、その意味では正しい判断だと思います。一昔前ならレヴァインかスパーノ辺りがタングルウッドの学生オケで演奏会形式上演する、とかが最初の手の付け方だったのでしょうし、個人的にはなんとなくサロネンがサンフランシスコ響就任記念かなんかで演奏会形式上演するんじゃないか、と思ってた。ま、これもありかな、ヤープ様、ってのがちょっと意外だったけど。アジア初演は初演のシュタンツ様がソウルフィルの現代音楽シリーズで演奏会形式上演、って期待してるんだけど…日本のオケには期待してません(ヴァイグレ&読響さんにはちょっとだけ期待してるんだけど。大野氏はクルタークとか中央ヨーロッパ系メイジャーもんには意外に冷淡だしねぇ)。ことによると、最近の勢いでは台湾の方が先かもね。

不思議なのは、英語題じゃなくてフランス語の題名がそのまま出されていることで、まさかフランス語版でやる、ってことなのかしらね。それはないだろーなーとも思うわけだが…。ま、なんにせよ、まだ16ヶ月先だから、毎月のクルターク積み立てでもしましょか。このところ、マンハッタンに行く理由は全然なかったんで、久しぶりだなぁ。

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