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ネット上でのサロンの作り方 [パンデミックな日々]

パンデミックお籠もりの四分の一年の間に、最も大きく変化したのは所謂「インターネット環境」でありましょう。学校も会社も、はたまた音楽業界も、ネット上にみんな集まって会議したり話したりするのが大流行、ってか、もうそうするしかないからそんなことをやってる。株を買うならAmazonじゃなくてZoom、って頃もあったっけ。

そんな世間の風潮の中で、コロナ前に現役隠居宣言をきめこんでたやくぺん先生ったら、そんなもんに一切手を出さず、お仕事の相手側の要請で仕方なくWhatsAppをダウンロードしたくらいで、他はSkypeなりFACETimeなり、もうPCやら携帯やらに勝手に入っちゃってる「顔テレ」ソフトをご家族で使う程度の老人っぷり。オンライン飲み会などなにがたのしゅー、って時代遅れの偏屈爺を通した三ヶ月でありました。

そんな中、本日午後に今更ながらにZoomとやらをダウンロードしセッティングを始めたのは、Zoomを用いたこんな集まりがあったから。

「昨日の常識、明日の非常識-コンサートホールの公演制作はこれからどうなる、もやもや雑談会」Privé · Organisé par Kazumi W. Minoguchi

ま、ぶっちゃけ、上野藝大GA(めんどーなんで説明しません、「藝大 GA」でググれば出てきます)の某教室、上野の音楽部校舎入って真っ直ぐ行き、階段で2階に上がって曲がって曲がってふたつめ、道の向こうの奴ら含めた学生やら演奏家やら、先生なんぞも勝手に溜まってお菓子開けたりお茶飲んだりしてる、ときには某弦楽四重奏が練習していることもあるMinoちゃん部屋を、電脳上でやってみよう、ということ。

お声がけしたのは、上野のたまり場に出入りしていた(いる)連中、それに電脳上にいらっしゃるホステスの業界お友達関係の皆々様。世代は70代から20代、演奏家さん、アーツマネージメント関係者、ホール関係者、舞台現場関係者、マネージメント関係者、オーケストラ関係者、ひょーろんかさんやがっこの先生、はたまた美術関係の方まで。梅雨の戻りというには半端に暑苦しい夜の8時から延々2時間ちょい、高度成長期の小学校1クラス分くらいの人が画面上に顔を出し、勝手なことをだべっていたのでありました。

ネットのだべり会というのは「似たような分母の人達」が集まり蛸壺化するのが基本のようですけど、可能な限りそうはならないように、ぐちゃぐちゃな異業種、異世代、違う世界の人達が、「アート関係で今困ってる」ってことだけを共通項に顔を出してくださいました。

無論、50人がたがいても喋れるのはひとり、という空間ですから、ホントのライブのサロン(=だべり場)のようにあっちこっちで勝手な集まりが出来て話が盛り上がるのは無理。そういうのはチャット空間で散発的には起きたようでしたけど、まあ、これはもう仕方ないのでしょう。

やくぺん先生としましては、あとから説明をされても面倒なんで家庭内情報共有のために口は出さずに眺めるだけのとんずらを決め込み、ちょっとチャットに突っ込むだけで静かに拝見しておりましたです。で、後の自分のメモとして感じたことを列挙。完全に防備録ですので、悪しからず。

★ホステスは意図的に若い世代に話を振っていたけど、やはり「これからいろいろ自分らで作っていく」未来が仕事の人達と、「今あるものをなんとか格好付けられるようにしていく」現状への責任世代の人達とでは、今回のパンデミックに対する接し方や感じ方がまるで違うのだなぁ。当たり前過ぎるけど、やっぱり目の前でそういう現実を見ると…

★首都圏外でコロナ禍を過ごしていらっしゃる実演系の若い方の話は、やたらと足が地についていて、やっぱりコロナ後は地方拠点が正解、っていう気がしてしまうぞ。

★これまた首都圏外の某大都市の方から、「音楽家はこの先は専業プロではなく、マルチタスクのひとつとして音楽があるという形になるのが普通なのでは」というご意見。これって、要は「プロの演奏家として喰っていけるなんてホンの一握り」という昔からずっと言われている真実を現状に合わせて言い直したのでしょうけど、とっても説得力がありましたです。

★こういう緩い集まりで、異業種の様々な人があつまりつつ、実はそれぞれが支え合っているという状況を眺めるに、今や英米情報産業中心地で崩壊が叫ばれている「業界」ではなく、「エコロジーなシステム」という捉え方の方がこの先は正しいのかも。

★音楽事務所とすれば、多くの公演が「来年に延期」となったお陰で、来年の予定していた公演のブッキングが出来なくなってしまっている。ううううむ…こういう苦労話はあれやこれや。

★公共ホール関係者さんからは、226アベ要請直後にアマチュア演奏団体からの練習場仕様キャンセルや問い合わせが頻発したこと、その後もこの先の活動をどうしたらいいかままらならぬ様子が「練習スペースの貸し出し」という視点から見えているようで、ぶっちゃけ、アマチュア演奏活動の衰退はそんな現場からも危惧される状況になっているようである。

★なんのかんの具体的すぎる話も多かった中で、いちばん面白い、といっては叱られそうだけど、とりわけ興味深かったのは、現政権がコロナ対策よりも熱心に薦めようとしている「GO TOキャンペーン」は、既に現場にいろいろな混乱と困惑を巻き起こしているという話。毎度ながら、経産省と広告代理店がやってる我が御上は…としか言えんわいのぉ。

★流石のノンビリしたクラシック音楽の世界でも、良くも悪くもやっぱり「政治」やんないと駄目じゃない、という空気が少しは出てきているのか……

ま、メモを取っていたわけではないし、録画も敢えてしていなかったそうなので、こんなものかしら。

これだけ詰め込まれていると、殆どの人が話が出来ず眺めているだけになってしまい、最新テクノロジー万々歳と手放しでは言えません。でも、ま、こういう形でサロンが開かれ得ると判っただけでも良かったのかしら。今や鎖国状態で絶対に訪れられない遙かオランダなんぞからの顔も見えたわけだし。

なお、ホステスは次回もやる、と申しております。倒れない程度でお願いいたしますぅ。

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