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マルシェQ頑張ってます [弦楽四重奏]

本日は、遙々荒川越えて埼玉は蕨まで行って参りましたです。トリトンのアウトリーチ・セミナーで結成され、地域創造の鹿児島セッションで派遣アーティストとして活動した経験もあるマルシェQのベートーヴェンを聴くため。
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https://i-amabile.com/concert/marche_sq201026

会場となるフェリーチェ音楽ホールは、蕨駅の東口を出て、延々と東に歩き、ちょっと曲がったところ。「首都圏のJR駅から歩いて行けるくらいの一戸建て住宅地」の中にある100席程のクラシック音楽ホール、典型的なコンサートスペースです。
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6年ほど前に竣工なったそうで、やくぺん先生の世を忍ぶ仮の姿が『コンサートスペースに行こう』という連載を某神楽坂音楽雑誌にやっていたのが終わってから、正に郊外コンサートスペース建設ブームの中で出現したものですな。


裏に低層マンションが連なるビルの角地部分で、yamahaホールの設計さんの仕事だそうな。コンサートスペースにありがちな些か強過ぎる残響の教会みたいな空間ではなく、天井は高すぎず低すぎず、適度の容積を持った真四角な平土間空間。
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二階席を作るには高さがないけど、無くて良かったんじゃないかしら。関係者らしきおじいちゃんは、「ホントは長方形にしたかったんですが、真四角になっちゃって」と仰ってましたけど、これはこれでありなんじゃないかな。
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ピアノもきちんとしたものがあり、妙な出っ張りとかもなく、使いやすそうな空間。今時の空間らしく、配信用の設備なんぞも無理なく配置できるようになってるし。
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京浜東北線の埼玉南の方には、なかなか便利な場所でしょう。こちらが公式。詳細はご覧あれ。コンサートスペース、ホントに10年代に進化しましたねぇ。ニッポンの個人社会貢献って、どこかのアーツ団体に数千万単位の寄付をするというよりも、自分でヴェニュを作っちゃうという面白い展開になってるなぁ。
https://felice-hall290.com/

さても、わざわざ蕨までやってきた理由は、「このコロナ禍で若いクァルテットがどうやって維持してきたか」を少しでも眺めるため。なんせ、20年以上コアメンバー固定でやってる連中なら、若い頃に死ぬほど一緒に合わせていて基本は出来ているから、数週間合わせていなくてもなんとでもなる。実際、世間で言うところのメイジャーな「常設クァルテット」というのは、年がら年中一緒にいるなんて団体は例外中の例外。20年も経てば、年に何回かのまとまったツアーがあり、その他のときはそれぞれが別々の行動をしているのが当たり前ですし。

だけど、若いクァルテット、というのは、極端なことを言えば、「どれだけ自分らで練習のマネージメントが出来るか」が全ての勝負。合わせまくってなんぼです。ですから、この半年は業界的には極めて危険な状況なんだけど…

んで、日本の若い団体がどうやっているのか、ちょっとだけ関係者さんやご本人らと出来た立ち話によれば、はやり春から初夏はまるでダメ。その後は、アウトリーチやらこの演奏会やら、いくつかの本番のチャンスがあって、そこに向けて活動をすることになったようですね。

当たり前といえば当たり前だけど、要は「本番をどう作るか」。その意味で、こういう地域密着のコンサートスペースがあちこちに出来てきたのは、状況としては少しは良くなってはきているということなのかも。

音楽は、無論、やらにゃならんことが山積みなのは本人達がいちばん判っているでしょう。トークも、いきなりラズモ2番の最初の3つの楽章を貫くモチーフの話を始めて、これはどうするんだぁ、とビックリしてしまった。地域創造鹿児島セッションのレポートも後で眺めたり、関わっていたコーディネーターさんからの話を漏れ聞いたりしたんですがぁ
https://www.jafra.or.jp/library/letter/backnumber/2012/211/1/1.html
そのときも、ラヴェルのクァルテットのアンサンブルとしての構造について説明する、という難題に挑戦していたらしく、本日のやり方もこの団体としてはありなのかな。第1ヴァイオリンばっかり聴いてればいいわけではないのですよ、というアピールは良く伝わる演奏ではありました。演目がラズモ2番と作品135だから、綺麗な旋律聴いててね、というわけにはいかないしさ。

てなわけで、これくらいの世代の若手も頑張っておるのじゃぞ、というお話でありました。課題は、次の演奏会を作ることなんだろうなぁ。

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