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連日の上野通い [音楽業界]

世間では大阪は大変だの、首都圏にも緊急事態三度目の発令だの、すっかりコロナ対策落ちこぼれ三等国になりバタバタの新帝都なれど、先週末の荒れ模様はどこへやら、この数日は新帝都の空ったらすっかり晴れ渡り、ドバたちは新たな命を求めて追いかけっこ、雀らも口に葉っぱくわえて新緑の桜の間を飛び回り、ムクらは可愛らしい声あげて地面突っつき、おっと、まだ帰らないつぐみんやらシロハラさんも藪の中でゴソゴソ。さあ、イースターも開けて、すっかり春だ春だ、もう夏もそこまで…

って不思議なノンビリ陽気に浮かれて、ってわけでもないんだけど、6年ぶりだかに中央区民に復帰、人生初の居住地が縦長屋になったお嫁ちゃまのお宅に居候状態のやくぺん先生ったら、この数日はまるっきり東京の春の音楽祭状態で、連日上野に通っておりまする。てなわけで、コロナの日常の中の上野界隈の雑談あれこれ。

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現時点では固定オフィスがなく、資料類は倉庫に入ってしまって実質上は出せないやくぺん先生、そうはいっても有り難いことに細々と商売仕事は来るわけで、なんとか通常業務を処理していかねばならぬ。んで、ひとつ曲目解説でベートーヴェンの作品18のベーレンライター版の頭に記された、かのバリー・クーパー大先生の解説を確認せねばならなくなったんだが、おお、引っ張り出すには猛烈に面倒な手続きとお金がかかる豊洲の倉庫に入ってる。だが大丈夫、僕ら都民には強い味方、上野東京文化会館資料室があるじゃないかぁ。

ってなわけで、ちゃりんちゃりんと大川越えて、人形町通りの路面店でチャリの上からおねーさんに声をかけて人形焼き買って、アキバ東口の雑踏を恐怖しつつ抜け、首都高上野線の下を延々と、JR上野駅のかつての皇室御用達貴賓室前に設置された公共有料自転車置き場へと向かった次第。おいおい、いつの間にか微妙に値上げになってるじゃあないかい。それにしても、駐車場で眺める限りは、新帝都での自転車利用者の数はやっぱり増えてる感じだなぁ。311直後、一気に帝都内の自転車が増えたけど、あれに似た感じ。まあ、みんな満員電車に乗るのは怖いもんねぇ。

日も暮れて時短の宵ともなれば大量のマスク無し外のみ軍団がたむろし上野界隈でも有数の危険地帯となる駅上歩行デッキを抜け、文化会館に向かいます。なんせ住所が変更になったので、新しい保険証を提示して、新しい利用カードを作っていただきます。資料室は、コロナ騒動が始まって長い閉館状態を終え、やっと再開したといえ、この場所の利用者のかなりの数を占めていたであろう試聴室は未だクローズしたまま。使えるのは自由にアクセス出来る図書館部分と、スタッフのおにーさんたちにお願いして出して貰う図書資料、楽譜資料のみであります。てなわけで、席使用制限などがあって入れなかったら困るなぁ、という不安は杞憂に過ぎず、ぶっちゃけ、ガラガラでありました。

おやっ、カード式の伝統的楽譜検索のコーナーはビニールシートで覆われております。「あそこ、使って良いんですか?」と尋ねると、手指の消毒をしてからシートを捲ってお使い下さい、とのこと。うううむ、とはいえここまでピッシリ貼られていると、下の方はともかく、上の辺りはカードボックスを引っ張り出すだけでも一苦労じゃわい。
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んで、BのQの辺りを引っ張り出し、調べるがぁ…ないっ。おいおいおい、天下の文化会館資料室、もう10年以上前にリンゼイやらエンドリアンやらがクーパー先生やらとバタバタやってた校訂譜、入れてないんかい!無論、全音からブライトコップフから、昔馴染みのものはいくらでも収まっているけど、なんせ今やオリジナル譜面がボンのアルヒーフで誰にでも貴方のパソコンで視られます、って時代。次から次へと楽譜出版社が出してくる新校訂版を全部買っていくなんて、とてもじゃないが付き合えない。貧乏ながらも税金納める都民とすれば、貴重な公共専門ライブラリーにはきちんと入れていただきたいんだけどなぁ…

などと悄然と夕方の空を眺め、まさかと思いつつ、一応は試してみるか。6台のうち2台しか稼働していないパソコンの前に移動し、検索してみると、なんとなんと、あっさり出てきました。無事に、ちゃんと熊ちゃんマークの現物も出てきましたとさ。

カード検索は出来ないんでね、とスタッフのおにーさんに言うと、「新しい楽譜はカードに整理してないんです」とのこと。うううむ、まあ、版の違いで検索しに来るような奴は、最新のテクノロジーをまず活用するべぇに、ということなんでしょかねぇ。

以上、文化会館資料室、利用上のちょっとした注意、でありましたとさ。なお、現時点では資料室は実質的に月の半分くらいしか稼働しておりません。退去するときに、おにーさんが「明日明後日は休みですので」と声をかけて下さいました。

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かくてしっかり必要なお仕事済ませ、階下の大ホールに座って新帝都のティンパニー関係者が学生から巨匠まで勢揃いしたんじゃないかって客席で都響首席さんがアホのティンパニー協奏曲を鳴らし、後半には「東京に来ないで下さい」という都知事の後の歴史に残る絶叫に喧嘩売るかのような先週末の大阪名古屋ツアーでも演奏されたという16型ベルアップホルン起立の《巨人》が高らかと響き渡り、夜の上野は前夜のムーティ御大喝采に続き連夜の熱狂に包まれるのであった。

終演後、上野の杜から大川端まで延々と5キロちょい戻る午後9時をまわったチャリの道、目撃した開店中の飲食店はわずか6店ほど。うううむ、なんと素晴らしき都民の自主規制、世は全て事も無し…なんじゃろかね。

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