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薫風香る相模湖より [たびの空]

一昨日から、爽やかな薫風香る相模国は北の外れ、武蔵と甲斐の国に挟まれた飛び地のような相模湖の畔の相模湖交流センターに通っておりました。少しでも家庭内でのコロナ感染リスクを減らすため、東京湾岸は選手村ほど近い佃大川端からの通勤は避け、八王子駅南口のビジネスホテルに連泊特別価格6600円也で宿泊。そこからでも高尾乗り換え含め三駅西の相模湖駅まで有に30分はかかり、330円也もするものの、湾岸からバス代+JR代金で片道1370円也もかかることを考えれば、これはどう考えても泊まっちゃった方が安いわい。ホントは相模湖駅近辺にしたかったのだが、なんせ20数名もの打楽器奏者や関係者が周囲の宿に泊まっており、もう空きがない。演奏家さん優先ですから、こればかりは仕方ない。

取材対象はこういうもの。
https://www.e-sagamihara.com/news/news-2427/
現状では表の媒体がどのように取り上げるかきっちりとは決まっておらず、ひとつハッキリしているのは相模湖でのセッションを経た6月の目黒パーシモンホールでの本番とのセットで記事にする、ということくらい。だから、中身に関してはこんな無責任個人電子壁新聞に気楽に書くわけにいかないのでありまするがぁ…この若手演奏家のためのプロジェクト、参加者個々人のSNSやらでの告知や情報拡散も21世紀20年代の情報伝達の真っ当なあり方として積極的に展開しているようなので、紙世代で校閲校正者が別にいないと「原稿」が「記事」になったとは感じられない旧世代の爺としましても、少しだけ参加してもよろしいのかな、ってね。とはいえ、毎度ながらきちんとした表記事ではありませんので、ま、どーでも良いこと中心に、いつもの如くにダラダラと、ってね。

ええ、ともかくイベントそのものでありますが、過去5年に渡って続いてきている打楽器奏者加藤訓子さんが主催する若手プロ打楽器奏者のためのワークショップであります。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2020-08-17
いわゆる「教育プログラム」という括りにしてしまって良いのか、ちょっと微妙なところがあるのですが、ま、要はサントリー室内楽アカデミーとかと同じ、学校は卒業して音楽家として最低限のプロの技量は身に付けたくらいの世代の若い奏者が、ストラスブール・パーカッション・グループがストラスブールの劇場で舞踏作品として上演するためにクセナキスが6人打楽器奏者の作品として書いた《プレアデス》というウルトラ難曲を素材に、演奏ばかりか楽曲分析、必要とされる楽器作りまでがっつり勉強していく、というもの。参加者はホントに学校を出たばかりの若者から、留学も終えてオペラシティの「B→C」への出演も決まっているクラスの方まで様々です。

どのようにして運営しているか、楽器の割り振りはどうやっているか、等々は、ここでは敢えて触れません。ともかく、5年間の累計参加者は50名にもなるとのこと。最終的に18人のチームがまるまるふたつ出来るくらいの数の若者が関わっているそうな。日本の若手打楽器奏者人口がどれくらいなのか知らんが、そうとうな割合になってるんじゃないかしらね。

で、初日は録音セッション。この作品のひとつの難関となっている「ジクセン」なる金属打楽器を楽譜の指定に従って手作りしズラリと並べたアンサンブルを、加藤さんが指揮台から指導
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このセッションでは実質的に加藤さんが指揮をなさったんだけど、目黒パーシモンホールでは指揮無しでやる予定だそうな。

2日目は、まずは朝の10時から一般の皆様向けワークショップ。100年前の時代物マリンバを子供とお父さんが叩いたり
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参加する若者達がロビコンで一曲づつ披露したり、選抜メンバーのホールでのリサイタルがあったり、最後には元マリンバ奏者だったというソプラノ歌手丸山里佳が4人打楽器を従える権代《リベラ・メ》を披露する演奏会があったり。
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この写真じゃ判らないと思いますが、権代氏が学生時代に書いたというこの作品、マーラーハンマーが3つも出てきてドッカーンと打ち鳴らされたりするとんでもないもので、これが聴けただけでも遙々相模湖まで通っただけのことはあったと思わされたでありまする。

最終日は連休最後の曇り空、午前中には一昨日に収録したセッションを若者達が初めてスピーカーを通して聴くセッションがあり、本職は録音プロデューサーの館長さんに叱られたり褒められたり、なかなか興味深い時間を過ごし、午後にはホールで《プレアデス》の本番。最後はご苦労様でした、と加藤訓子さんがお得意の多重録音でのライヒを披露し耳のご褒美。かくて打楽器の日々は無事に終了。

無事に、とはいえ蔓延防止措置がとられる神奈川県相模原市ですから、センターは実質上の休館。客席に座る聴衆も関係者やプレス、それに参加者のご家族やら良く知った方のみの、実質上のクローズドになってしまうのは時節柄致し方なかったことでありましょう。それでも交流センター名物のダムカレーが供される食堂はやっていて、ほれ、これが相模湖ダムカレーじゃわい。
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金500円也、って学食値段。ただ、良くも悪くも関係者のみだったからか、はたまた背景に広がる皐月の新緑と麗しき湖の風景故か、東京都心部のピリピリした感じはありようがなく、食堂内はちょっと大丈夫かと思っちゃうくらいのノンビリさでありました。

※※※

目が潰れそうなクセナキスのスコアを収めたパッドから視線を上げれば、湖を臨むホールの周辺は、夏の初めの産めや増やせやの小さな飛ぶ方々で溢れかえってら。駅舎から交流センターまでの道中は、あらゆるところで燕が子育て用のご自宅造成中。頭の上を低く飛んでは、あちこちの軒先に突っ込んでく。
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ギシギシ、ジジジと歌い合う燕らの声の中に、澄んだ素敵な雄叫びを挙げているのは、見目麗しい青光りのイソヒヨ男子でちゅるるぴぃー!
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んでもて、お相手の地味っこ美女ったら、駅のホームで遊んでら。
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若者の打楽器の響きも静まり、遠き甲斐の国の山の彼方に日が暮れようとする頃、駅前の電柱はムクならぬハクセキレイさんの集合住宅になってます。
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そして、春に浮かれる小さな飛ぶ方々の上を渡っていくは、多摩から相模の空の真の支配者、駐留軍は横田ベースのヘラクレス大王だったとさ。
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かくて、若者達の打楽器の日々は目黒は柿の木坂へと続く。
https://www.persimmon.or.jp/series/20210317153046.html
無事に1ヶ月後が迎えられますように…誰に祈れば良いのやら。

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