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プラハの春コンクールの結果 [弦楽四重奏]

本来ならば今頃は大阪はいずみホールで若いピアノ三重奏団が最初のステージを繰り広げ始めていた筈だ…などと虚しく感じつつ、まるで梅雨が来ちゃったような重っ苦しい帝都の空を眺める昼下がり、皆様、いかがお過ごしでありましょうか。新帝都は「緊急事態」とやらが延長になった途端にあちこちのオーケストラが公演を再開し、なんと昨日まで溜池、錦糸町、池袋と三連ちゃん。ヘタすりゃ今日も初台、って妙なことになってるのに、商都大阪はほぼ完全にコンサートどころではない状況のようで、これが同じ政府が納める島なのかい、と不思議な気分になってくるのでありまする。

ま、それはそれで、泳ぎ続けていないと死んでしまうマグロみたいなところもあるコンクール業界も、流石にまるまる一年の活動停止を受けてそろそろ無茶をしても動き出さないと日程が詰まってしまう状態になってきている。おそるおそるという感じで、独奏コンクールはオンラインやらでの再開がなされつつあるようですな。とはいえ、なんせ参加者の練習がちゃんと出来るか判らぬアンサンブルの世界では、まだまだコンクールなんてできっこないと思っていたら、なんとなんと、「プラハの春音楽祭」のプレ事業だかフェスティバルの一部だか、組織運営の形態はよーしらんが(知りたい方は、後述の公式サイトの「コンクールの歴史」というところをご覧あれ)、ともかく、どういう頻度か知らぬが開催されている弦楽四重奏部門が先週に無事に行われ、ファイナリスト3団体を集めた本選も行われたようでありまする。こちらが結果まできっちり出ているすべての記録。
https://soutez.festival.cz/en/

んで、これが13日木曜の夜に3団体をライヴでプラハ放送のドヴォルザーク・ホールで開催されたファイナルの中継映像全部。3団体の演奏から発表まで延々とがっつり5時間時間近く、全部あります。司会者さん、最初はチェコ語ですが、直ぐに全部英語になります。今はチェコもドイツ語じゃないんだねぇ。
https://youtu.be/oCyUm9wuUpw

正直、8日の一次予選から13日のファイナルまでの流れをご覧になればお判りのように、相当に無茶をした大会運営だったようです。

実質、一次と二次予選はライヴでは行われず、プラハに来たのはファイナリスト3団体のみ。審査も、ニッポンでもやたらとお馴染みで本来ならば4月には「東京春音楽祭」で関西Qと共演する筈だったプラジャークQのカニュカ氏が審査委員長で、本選現場に来た審査員は地元ヴィーハンQ第1ヴァイオリンのチェピツキー、遙々バルセロナからやってきたカザルスQのジョナサン・ブラウン、それにパリだかブリュッセルだか知らんがダネルQチェロのマルコヴィッチの総計4名。で、他にオンライン審査員でイェルサレムQ第1ヴァイオリンのパブロフスキー、アルティスQのシューマイヤー(うううん、マイスル御大じゃないんだぁ)、元ケラーQのガルが加わり、一応、国際的な顔ぶれで7名ということにはなっている。オンライン審査って、国際コンクール連盟ではどう扱うのかしらねぇ。

んで、オンラインとはいえ参加が認められたのは10団体で、今時の弦楽四重奏の国際大会としては常識的な数字。内訳は地元団体が半分、残りのうち3つが韓国、って状況。ちなみに同時に行われたピアノはもっと凄くて、42人参加中韓国籍24人!おいおい、一次予選はソウルでやれぇ、ってかね。一年まるまるコンクールが行われていないので、韓国の中ではもう後ろが詰まってしまって大変なことになってる、って感じだなぁ。いやはや…

もとい。んで、本選の様子は上の生中継録画をガッツリご覧になればいいから、あたくしめがどうのこうのと言いません。司会者さんが、客席にいたパヴェル・ハースQのペテルと、元ペンギンのペテルを舞台に引っ張り上げて喋らせていて、元気そうな顔が見られて嬉しいぞ。みんな暇なんで、会場に来てたのかしらね。

一応、結果を記しておきますと、レッジョにも参加予定となっているミュンヘンで学んでいる韓国のアレテQが副賞含め総なめ。二位はなく、三位をヴィーンで学ぶロシアとギリシャとルーマニアのお嬢さんたちのセリーニQと、地元のクカルQが分けてます。ざっと眺めた限り、順当な結果でしょう。ただ、やはりプラハでチェコ語が母国語じゃない連中がヤナーチェクをファイナルで弾かされるのは怖いなぁ。あ、セリーニQはWebサイトがあるな。ほれ。
https://www.seliniquartet.com/

とにもかくにも、カニュカ氏は「やれて良かった」という感じありありですが、今の世界でコンクールをすることの難しさをいろいろ感じさせられる結果ですな。嗚呼、我らがあの団体が遙々シベリア越えて行けてれば…なんて思っても仕方ないとはいえ…だってねぇ、どういう状況での開催であれ、歴史の上にはパヴェル・ハースQやらと同じ扱いで記されるわけですから。

ま、懐かしい顔だらけの審査員席やゲスト出演を眺めさせていただいただけでも、有り難いことであると申せましょうぞ。ほれ。
IMG_1795[1].jpg
みんな元気そうでなによりです。なんか、「昔の仲間も遠く去れば…」って気分になってくるけどさ。

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