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群響定期は週末午後4時開演になりました [音楽業界]

高崎駅発18時47分の高崎線上野東京ライン、ガラガラの2号車ロングシートをひとつ占拠し、梅雨の初めの大雨のようなザアザア降りの中を新帝都中央駅に向かってます。次は籠原で、後ろに5両繋げるのかな。なんにせよ、新帝都中央駅到着は20時39分。雨が降ってたら都バスに乗っちゃうだろうから、大川端縦長屋には9時頃には戻れるでしょう。

いかな聖霊降臨祭が近づく昼の長い北半球とはいえ、流石に外はすっかり夜。土曜の宵の上り列車でガラガラのコロナ緊急事態のニッポン、客車の窓は薄く開けて、湿った空気がガンガンに流れ込んでます。なんせ、日没直前くらいに会場を出たら、まるで嵐のような大雨で、芸術劇場から駅までのプロムナードに設置された狭い雨よけの下は渋滞しそうな勢いでありましたから。
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思えば、トーキョーcityから越境するのは、連休終わりの子供の日に相模国は相模湖駅から戻ってきて以来。ホントならば今日は大分にいた筈が、アルゲリッチ様が極東の島国は温泉県に入れずに演奏会がキャンセル。用事があったゆふいんでも、由布市内の小学校でクラスターが発生してしまい近寄れる感じではなくなり、去る金曜日から来週前半の日程がすべて吹っ飛んでしまった。うううむ、Zoom画面でやったインタビューのテープ起こしなんて面倒なお仕事はあるものの、なんだかボーッとしてしまい、なにもやる気が無く、大川眺めていると急に東京駅からどっかに行きたくなり、都バスに飛び乗り、在来線ホームに向かい、高崎行きに飛び乗ってしまったのが昼過ぎのこと。延々と曇り空の関東平野に麦の秋がやってきているのを眺め、群馬交響楽団の定期演奏会当日券最後の天井桟敷貧乏人切符を現金3000円也で買ってしまったのであーる。

本日のニッポン首都圏ったら、初台と横浜でマーラー4番、池袋と川崎でピアソラ生誕100年、紀尾井町ではストラヴィンスキー没後半世紀、更には柿の木坂でバロックオペラまでやってる、ってオソロシー状況で、これが「非常事態」宣言下とは後の歴史記述者は絶対に信じまい、って勢い。遙か大阪ではオーケストラ以下、すべての舞台がストップしているというのに、なんなんねん。んで、緊急事態宣言の対象外とはいえ、ぐんまちゃんの故郷高崎では、マーラーの5番でありまする。やくぺん先生とすれば、翌日には葛飾オフィスからすべての家財が撤収され、半世紀過ごした(ことになってる)実家で寝る最後の日に、コロナ後最初に首都圏プロオケが鳴らすマーラーの大曲たる第6番《悲劇的》を聴き人生を考えるべく高崎にやってきたのは、今を去ること丁度2ヶ月前のことであった。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2021-03-20
この時節、なにやら1番やら4番は大はやりだけど、コロナ禍真っ只中の定期で5番6番って並べて客入れてやってるプロのオーケストラなんて、中国を除けば世界中にないんじゃないかしら。なお、一昨日だかに飛び込んだ訃報を受け、「葬送行進曲」で始まるマーラーは群響名誉指揮者マルティン・トゥルノフスキー氏に捧げられておりまする。
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演奏の中身は、そうねぇ、些か微妙な言い方になりますけど……「都内各地にクラシック専用ホールと謳う会場が次々とオープンし、オケがそれぞれにフランチャイズなどの活動を始めた頃の在京オケ」って感じでんな。

全くネガティヴな意味ではなく、さあこれからいよいよやるぞ、って言葉の良い意味でのローカルな高揚感で浮き立っていたバブル末期のトーキョーの勢いを感じましたです。無論、マーラーの5番なんぞの超名曲、ソリスト級の腕っこきを首席にズラリと並べた著名ヴィルトゥオーゾオケを著名指揮者が振りまわしたピシ、パシっ、どっかーん、すげーだろー、って「名演」は、今時はディスクやら映像でいくらでも簡単に手に入る。だけど、それはそれとして、やっぱりライヴよね、って思わせてくれる「俺たちのオケのマーラー」感がビシバシに伝わってくるもんでありましたね。特に3楽章のホルンを上手のハープの横に立たせて微妙にソリスト扱いで見せたりして、おらがスター前面押し、って。

高崎駅を降りて反対側の県庁の足下まで延々と歩いていた戦後モダニズムの音楽センターがなくなり、今時のガラスピカピカの新しい大ホールが出来ることになり、いろいろな議論があったもののオープンした新ホールで鳴った我が街のオーケストラの音にあらためてみんな吃驚して、なんか嬉しくなっちゃって…って、良い循環が起きているような。聴衆も、今の在京メイジャーオケのマニア系ご隠居しかいないような客席ではなく、お高い席はそれなりにオシャレした老夫婦、貧乏人席にはマーラーやブルックナーで感動し青春の魂を燃えたぎらせたいような若い世代がそれなりに顔を揃えている。
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九州もそうだけど、今やいちばん熱心にこのような旧来型のシンフォニー・オーケストラを聴いているのは、人口数十万くらいの拠点地方都市なんじゃないかしら。

無論、このホールのオープンにまつわるいろんな面倒な話はあったことも、良かった良かったで忘れるわけにはいかんけどさ…
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2019-11-24

※※※

…ってな話は実は前置きで、そんな勢いと地元の盛り上がりを反映する、群馬県民ではない周辺地域住民、特に新帝都首都圏住民には興味深い改革を群響事務局は敢行しました。以下、実質、本論。

日本国独自のカレンダーに従い4月から始まった2021-22新年度シーズンで、群響は新拠点高崎芸術劇場大ホールでの定期演奏会の日程を変更しました。
http://www.gunkyo.com/hp/wp-content/uploads/2012/01/05f7f6b480780be54bfebebcd54e6226.pdf
まずは演目に目が行っちゃうけど、極端にレパートリーが限られたコバケン御大の名曲プロみたいな特殊な回を除けば、マーラーの2番と5番、ブルックナーの5番と8番、それにショスタコやって、伊福部やら矢代やらやって、という、堂々たるメイジャー大オーケストラのプログラムで、ホントに90年代のブルックナーマーラー流行爆発が始まった頃の在京オケみたいだなぁ。

それはそれとして、もっと重要なのは開演時間と日付の変更です。ほれ。
http://www.gunkyo.com/info/2021-2022%EF%BC%882021%E5%B9%B4%E5%BA%A6%EF%BC%89%E5%AE%9A%E6%9C%9F%E6%BC%94%E5%A5%8F%E4%BC%9A-%E9%96%8B%E5%A0%B4%E6%99%82%E9%96%93%E5%8F%8A%E3%81%B3%E9%96%8B%E6%BC%94%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AB/
ご覧になってお判りのように、10月のコバケン回を除き、すべて月の後半の週末土曜日か日曜日の午後4時開演に揃えてます。

これねぇ、高崎までのアクセスがその気になれば1時間以下くらいのところに住む首都圏住民とすれば、かなり重要な変更なんですわ。なんせ、マーラーの6番でハンマーぶったたいて終わった全シーズンまでの定期は、週末でも開演は午後7時でした。つまり、終演は高崎で9時です。新幹線が出来てからは往復$100出していいなら問題なく首都圏在住者なら行ける時間ではあったけど、やっぱりちょっと遠いよねぇ、という感じだった。それが、「群響定期は高崎で午後6時には終演になる」という感覚が定着すれば、都心の午後2時開演の感じで出かけ、都心の午後7時開演で戻ってくる、ってことが出来るようになります。

実際、高崎芸術劇場真ん前、ホール出口から徒歩15秒の長距離バス乗り場には、こういう時刻表が出ている。
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本日のように終演が6時20分にもなる長い演奏会はダメだけど、ブルックナー5番だけ、8番だけ、マーラー2番だけ、なんて演奏会なら、4時開演で6時の池袋行きバスに悠々で乗って帰ってこられるんですわ。

この時刻表を眺めていたら、バス停の事務所の中からオジサンが出てきて、「群響ですか、6時のバスがありますよ。チケットは4枚綴りで660円安くなるよ」と声をかけてきました。判ってるじゃん、バス会社の営業さん。だってさ、これなら、池袋12時半にバスに乗って、群響の会場真ん前に2時15分に到着し、当日券販売が2時半からで、終演したら拍手そこそこに階段ひとつ降りてくれば午後8時前には池袋に戻れる、って日程だもん。芸劇行くのと同じじゃんかぁ。

さあああ東京都民よ、群響はもう貴方のオケじゃ。これからの20年で劇的に変貌していくであろう「日本のバーミンガム市響」たる群響、要注目!

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