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コルバーン音楽院の学生レジデンシィって [弦楽四重奏]

クァルテット・インテグラの公式Facebookでこのような告知があり、マニアさんの間で話題になっております。
https://www.facebook.com/QuartetIntegra/

最初知ったとき、ホントか、と声を挙げてしまいました。まんまコピペします。

※※※


[ご報告]
今年の9月より、クァルテット・インテグラはロサンゼルスのColburn Schoolにレジデンスアーティストとして2年間在籍する事になりました。これからはコンサートのたびに、日本とアメリカを行き来する生活になります! これからも応援よろしくお願いします!

※※※

まあ、さらっと書いてますが、これって、もの凄く下世話な言い方をすれば、「東大文一に合格しました」とか「MITに9月から行くことになりました」とか言ってるようなもんです。いや、もっととてつもなくハードルが高い、世界に同世代でひとつしかない席です(だと思う、コロナでどういう風に情勢がかわっているか、クライヴに尋ねてみないとわからんけど…)。

意外だったのは、ある音楽好きの方から「コルバーンって、どういうとこなんですか?」と訊ねられたこと。うううん、業界的には「西のカーティスになるべく、お金持ちがディズニーホールの真ん前にどーんといきなり建てた超エリート校」としか言いようがなく、ともかく今世紀になって突然出現した世界最高の音楽院と思って間違いない。室内楽のトップは元東京Qチェロのクライヴ・グリーンスミス氏で、第1ヴァイオリンのマーティン・ビーバー氏も行ってる。エベーヌQもある時期は教えていたけど、メンバーが交代した今はどうなのかな。

あ、こういうサイトがあった。ほれ。
https://www.ongakuryugaku.com/program/834-the-colburn-school-conservatory-of-music.html

インテグラのコメントでは良く判らないのだけど、コルバーンの学生レジデンシィといえばあのカリドールQだったわけですからねぇ。呆れかえる程完成度の高い連中で、やくぺん先生は個人的にはコンクールの舞台の上と、あとはザンケルホールでエベーヌQが演奏会やったときに楽屋に行ったら、中になかなか入れず、一緒に外でどーなってるんですかねぇ、なんてブツブツ言いながら外で待ってた連中がカリドールQだったなぁ。あのときしか喋ったことないけど、もう北米ではしっかりマーケットに乗っていて、パーカーとかドーバーとかと並んでるくらいの世代(…かな、ちゃんと調べてない、ゴメン)。この連中が出てきたとき、あの話題のコルバーンがクァルテット業界に送り込んだ刺客、とかいう下劣な言い方をしながらコンクールギャラリーは盛り上がってたなぁ。ともかく上手で、完成度が高い。それで文句あるかぁ、ってね。

そんなところでやってくことになったんだから、これはもう日本のマネージャーさんや主催者さんにはどんな不義理をしようが、もう2年間は日本には一切帰ってこない方が良い。ってか、クライヴの下で死ぬほど弾いて来い、としか言えぬ。

アマービレのYCA合格もビックリだったけど、コロナ禍でチャラになっちゃった今、東京Q以来の「日本出身で、北米の教育システムに入り込み、大学レジデンシィのステップをきっちり踏み挙がり、最後はメイジャー大学レジデンシィをとって世界最難関の北米弦楽四重奏業界で骨を埋める」道が開けた団体です。なにがあっても、太平洋上に巨大な壁を立てて、大阪フェスティバルホールで帰国リサイタルが出来るようになるまで戻るな、と言い続けるしかないぞぉっ!間違ってもLA成田のLCCで行ったり来たりなんでしないでくれよぉ。

土曜日の王子ホール、残念ながら紅葉坂の訳の分からぬ現代物イベントに行くことになっていて、やくぺん先生は行けません。皆さん、聴いてきてちょ。
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2022/20220702.html

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業務連絡:カメラマン仕事暫く出来ません←撤回! [売文稼業]

業務連絡です。

アホ過ぎる、情けなさ過ぎる話ですけど…メインの一眼レフと望遠ズームレンズを紛失しました。遺影。
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昨晩からJR忘れ物問い合わせとコンタクトしておりますが、現時点で連絡はありません。バックアップの一眼レフは温泉県盆地オフィスに置いてありますので、「急なカメラマン込み仕事、当面、出来ません」という告知をせざるを得ませんです。

なお、毎度ながらの安定した貧乏っぷり故に、同クオリティの新しいカメラ&レンズを直ぐに買うのは不可能。当面、大きな額のギャラが入ってくるお仕事も予定がありませんので、ことによるともうこの先は条件が厳しい撮影込みのフォトジャーナリスト系の取材は出来ないかもしれません。

正直なところ、紛失そのものよりも、いままでは背負子を背負った瞬間に「あ、カメラキットが入っていない」と判った、そんな体感センサーがダメになっていたという事実の方にショックを感じております。いくら暑かったから、眠かったからといえ、あれだけの重さの違いを感覚が察知しなかったわけで…これは老化のレベルがひとつ違うものになったぞ、とかなり深刻な落ち込み状態。

うううむ、爺になるってのはこういうことなんだなぁ。楽器を弄る演奏家の方など、フィジカルな感覚を商売にしている方などは、マジでお気を付けあそばせ。

後の記録の為に無き愛しきマシンたちのために最期の様子を記しておきますとぉ、諸事情で常磐線各駅停車で南相馬の2年前まで立ち入り禁止不通地区をノンビリ新帝都に向け上っており、いわき駅に到着。ここで磐越東線に乗り換えるべく下車したわけです。客はいわき駅からの特急に乗り換え常磐線で新帝都を目指す原発関係者ばかりで、延々とこのまま2時間以上水戸まで向かう各駅停車には帰宅学生がどっと乗って来てワンマン列車内はほぼ総入れ替えになったよーであった。そのボックス席にポコンと一眼レフ君たちを転がしたままにしてきてしもーたのであーる。

うまくいけばいわき駅にあるのだろうが、この後、常磐線は水戸の南で踏切事故がありダイヤが混乱するという悪条件。駅はバタバタだろうから、まぁ、これが見納めであろうと思っております。

持って行かれた方がいらっしゃったら、売っても二束三文にしかならぬ古いカメラですから、なんとか上手く使ってくださいな…と言いたところだが、かなり扱いが面倒なカメラなんで、新たな天地で活躍も厳しいだろーな。メモリーカードにバックアップでなかなかヤバいデータも入ってるんだが(小澤征爾氏がロッラのセミナーで若い弦楽四重奏にラズモの1番を教えていて思わず4人を前に指揮を初めてしまった隠し撮り、とか…)、まぁ、その価値が判る奴の手に渡ることはまずないでしょう。

ううむ、9月のミュンヘン、どうするんじゃ?やはり神様がカメラ付き取材からも引退を勧告をしているってことなのかなぁ…

[重要な追記]

というような告知をすっかり夏日照りの無責任私設壁新聞にアップし、鶴見のQアマービレに向かったら、なんとなんと、JR東日本さんから「それらしきものが常陸多賀駅にあるから7月4日までに取りに来るよーに」という案内が来ました!

てなわけで、まだ確実に戻ってくると判ったわけではありませんけど、まず間違いないでしょうから、さっさと当電子壁新聞見出しのフォト取材引退宣言、あっさり撤回いたしますう。明日はしっかり横浜でお仕事だってしちゃうからね。

それにしても、凄いぞ、ニッポンの鉄道!素晴らしいぞ、福島・茨城県の人々!トレニタリアだったら絶対に返ってこない!KTXだったら危険物として回収された瞬間に破棄必至!アムトラックだったら…ううん、どーなんだろーなぁ?

[追記の追記]

今、常陸多賀駅で一眼レフくん、無事に受け取りました。
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この駅に常磐線の遺失物センターがあるわけではなく、単にこの駅を利用したどなたかが落とし物として駅員さんなりに渡し、保管されていただけのようです。残念ながら拾い主の情報は記録していないそうで、判れば佃煮の折りでもお礼に送らせていただこうと思っていたのですが、そういうことも出来ないのが残念。

一眼レフくんもレンズ君も、全くどこも弄られた感はなく、ホントに2日間お泊まりしてただけだもーん、って顔してます。うううん、アフリカ南米を除く世界全ての大陸を旅してきている猛者とはいえ、なかなか根性座ったマシンじゃわのぉ。

とにもかくにも、恐らく生涯二度と用がなさそうな常陸多賀駅、駅前中華で冷やし中華喰って、帰りはJRさんへの感謝の念を込めて特急ときわ指定席で東京駅まで戻らせていただきます。いやぁ、いろいろ勉強になりましたぁ。

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「この楓は100年経ったら…」 [ゆふいんだより]

去る火曜日にすっかり梅雨空の千葉から国東半島突端空港に到着、由布岳から日出生台に沸く霧を掻き分けるように温泉県盆地に入り、なんのかんのなんのかんの。

そもそも今回の盆地オフィス滞在は、梅雨の季節に右を向いて左を向くとまた伸びてるセイタカアワダチソウやらヨモギやら以下の最強雑草軍団に少しでも抵抗の意志を示すためのLCCウルトラセール利用短期逗留の予定だったんだけど、水無月に入って以来の来日ラッシュの中でなんだか知らんが「その頃、Fukuokaに居る予定なんだよ、じゃあ、車転がしてお前んとこ行くわ!」って勢いで、遙か華の都からヴァイオリニスト夫妻をお迎えするのが目的になってもーた。

やくぺん先生の隠居場となる予定で昨年秋に結んだここ石武厄遍庵、リフォームだ何だが終わって暮らしていけるようになってた昨年暮れからは、新帝都大川端と半々くらいの逗留になっておる。4月に国東半島先っぽ空港からの直行バスが復活、大分か別府経由で乗り継ぎ含めなんのかんのJR駅前から3時間くらいはかかっていた最後のアプローチが50分台にまで劇的な短縮、金さえ厭わねば大川端縦長屋から温泉県盆地オフィスまでdoor to doorで4時間台も可能となったのであーる。

とはいえ、金は当然厭うわけでありましてぇ、今回は夏至の夜明け前に大川端を出て、石武パーシモンゲートを潜るまでやはり7時間半(成田空港での待ち時間2時間以上、大分空港での待ち時間1時間半込み)。その移動コストたるや、ウルトラセールのお陰でタクシーバス空路込みで4540円也 おそらくは暫く最安値記録を保持しつづけるんじゃないか、ってアホのようなお値段。早朝5時のバスに間に合わないかもしれんと佃大川端縦長屋から東京駅まで、空港空の駅で買い込んだ大量の野菜が重すぎて霧雨の中を歩くのがしんどいので由布院バスセンターから石武オフィスまで、2度もタクシーを利用する贅沢をしてもこのお値段でありまする。うううむ、なんなんだ。空路は辛うじてバス代よりは上回っているくらいであります。

※※※

かくて梅雨の晴れ間の温泉県盆地、朝の田圃に映る由布岳もすっかり夏の山。
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遙々シベリアを越え(られず…)、ニッポンでのたった3公演のためにやってきた某楽団のヴァイオリン氏、全公演が終わった後の早いキューシューでの休日の最中、某財団から貸し出されていて絶対に持って歩かないといけないと命ぜられているイタリアの古い楽器を抱え、梅雨の晴れ間の温泉県盆地へと夫婦でレンタカーでやってきたわけであーる。

楽器は朝から湿気取り最強で回しっぱなしにした図書館の奥に鎮座してもらい、やくぺん先生は作文仕事しながらガッツリ見張り。夫婦は由布岳越えて別府まで遊びに行き、日暮れ頃に戻って来て、その後はどーでもいーよーな話やらどーでもいいとはとても言えん話やらをしながら呑んだり喰ったり、最後は真っ暗な外湯に飛びこんで、いぇい!

蛙の声は気にならなかったけど、この部屋、鼠かなんかいるぞぉ、とか言いながら起きてきた遠来の客、夕方には博多でまた別の友人らと会うとのこと。じゃあ、11月のパリで遭えるかな、なんて言いながらレンタカーに楽器を運びつつ、横に聳える楓を見上げて仰るよう、「この木は、あと100年くらい経ったら良いヴァイオリンになりそうだね」
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へえええ、そんな眼でみたことなかった。なるほど、あと100年、ですか。このやくぺん先生夫妻の終の棲家、100年後には誰がどうしているのやら…

朝から風呂に入ってる旦那を待ちながら、ピアニストの奥様は縁側に出っぱなしのうちのおんぼろピアノを触ってる。水無月の、いくらやっても終わらない草むしりも、こんな素敵なBGMがあればやってられるもんじゃのぉ。

100年後の楓と見知らぬ人々への一食一飯の恩義が、温泉県盆地に流れる夏の始まり。

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幸松本セット販売 [弦楽四重奏]

広告です。昨年、惜しまれつつお亡くなりになった「弦楽四重奏博士」幸松肇さんの著書が、このような形でセット販売されます。
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徹頭徹尾「実際に正規録音として音になっている団体」を網羅したもので、放送録音なりアヤシげな海賊盤には目もくれず、結果として20世紀後半の「公式にレコードとして記録された演奏」の歴史を記録した貴重なシリーズとなっております。インターネット上に世界中のライヴが溢れかえり、レコード会社が崩壊し、メイジャーだけではなくマイナーも含めた「パッケージとしての録音」が完全に過去メディアになってしまった21世紀20年代とすれば、もうあり得ないタイプの研究書でありましょう。

初期の巻は出版のされ方がちょっと特殊だったもので、案外、マニアや関係者の方でも全巻を揃えでお持ちの方は少ないかも。この機会に、是非書棚を再確認してみてくださいませ。

幸松先生、レコードという形で残されなかった日本のローカル弦楽四重奏団の歴史調査に関心を示されていたところでお逝きになられてしまい、とてもとても残念です。俺にやれ、ってことなのかなぁ…

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エスメQお詫びと訂正 [お詫びと訂正]

昨日から全国書店に並んでいる(筈の)「音楽の友」誌、このオッサンは誰じゃ、え、ブーニン、って表紙の最新号でありまするが
https://www.ongakunotomo.co.jp/magazine/ongakunotomo/
やくぺん先生の世を忍ぶ仮の姿外の人がやった原稿に呆れた誤植、ってか、なんでこれが校正段階でめっからんかという間違いがあります。

実は今、本編が手元にないので何ページと記せないんだけど、「特別企画●室内楽の新星たち(渡辺 和/林 昌英/桑田 開)」ってミニ特集の「2015年以降結成の若手団体紹介」だかの見開きコラム集ページ、エスメQ紹介のところで、「2000年からソウルのロッテホールのレジデントに任命され、未だ真の弦楽四重奏マーケットが存在しないこの巨大音楽都市で大きな任を負うこととなった」だか書いてあります。記憶で書いてるので、細部は違ってると思うけど、そんなん。

で、無論、誰がみてもわかるように、2000年にはロッテホールはありません!これ、誤植です。2020年から、です。こちらをご覧あれ。
https://www.koreatimes.co.kr/www/art/2022/03/690_299794.html?tw
ついでに、こんな映像もあげておきましょ。大ホールだからなぁ、なんせ。
https://fb.watch/dJfJ8CnxuT/

こういうミス、なんで起こるのかと思っちゃうけど、起こるんだよねぇ、ううううむ…

エスメQの皆様、ロッテホール関係者の皆様、ソウルのマネージャーさん、ゴメンナサイ。秋の来日公演、無事にやれますように。

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エベーヌQを聴く人達 [弦楽四重奏]

昨晩、コロナ禍の2年半で実質上新帝都では初の「外来弦楽四重奏団公演」たるエベーヌQのコンサートが開催されました。
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なにせ、昨年はサントリー室内楽のお庭という祭りでベートーヴェン全曲を披露するためにイェルサレムQが来ただけ、今年になってからも関西や横浜、札幌では一足早くプラジャークQやダネルQがコンサートを開いていたものの、トーキョーでは普通の意味での単発「来日公演」は絶えてなかった。

会場となった紀尾井ホールのロビーは、ちょっと異常な雰囲気。昨晩は溜池お庭でアトリウムQベートーヴェンの最終日だというのに、この会場の弦楽四重奏シリーズでは東京QやアルテミスQで「今はもうここや晴海、はたまたいずみホールの規模では弦楽四重奏は出来ないんだよねぇ、トッパンやハクジュさんが適正規模にまで市場が縮んでしまった」と嘆きの声が挙がるのだけど、なにをなにを。まあ7割程度が埋まる盛況ぶり。それよりもなによりも、詰めかけた聴衆であります。なんとなんと、見渡す限り若いプロばかり!本日全国一斉発売の(多分)「O楽のT」誌プチ特集で非難囂々だろうと思いつつアップした2010年代後半以降のニッポンの若手代表7団体の顔がゴロゴロ。やくぺん先生ご夫婦の後ろの席には溜池室内楽アカデミー一期生やら、遙々関西から駆けつけた現役弦楽四重奏奏者さんやら、本気で弦楽四重奏をやりたいと思っている40代以下の若き室内楽プレイヤーがてんこ盛り。マジ、200人くらいはいたんじゃないのかしらね。
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この絵の中だけでも、あの顔やらこの顔やら、いくつもめっかるわい。

会場ロビーがこんな風になる来日公演というのがあるとすれば、出演者が教育面での大家で、外国の音楽学校やら専門セミナー、音楽祭併設講習会などで教わった生徒さんがどおおおおっと押しかける、というパターンですな。あれぇ、エベーヌって、そんなに生徒がいっぱいいるような教え方ってしてたっけ、と某関係者さんに訊ねたら、やはりプロカルテットでもパリ音楽院やらリヨン音楽院でも、はたまたケルンやシュトゥットガルトの弦楽四重奏教室で教えてるわけではなく、ミュンヘン音楽院でちょっとみているくらい、とのこと。

ってことは、ここに集まった若い弦楽四重奏志望の連中は、純粋にエベーヌの凄さを眺めたくて来た、ということでありますな。

こんな風景を眺めたうちのお嫁ちゃまったら、「ああ、これはカザルスホールにカルミナが来てた頃みたいだねぇ。矢部君とか、みんな目の色変えてマティアスの無茶なボウイング眺めてたよねぇ…」ってすっかり婆さん顔。なるほど、確かに20世紀末の、アルモニコやエクやすばるやらが世界のメイジャー大会を次々と受けにいっていた室内楽ブームの空気が戻って来たような。

なんのことはない、ホントのプロは、業界が盛り上げたり煽ったりしなくても、ホントの世界一が誰なのかはちゃんと判ってる、ってこと。勿論みんな、ピエールやラファエルの真似をしたって全然ダメなことは判っている。ガブリエルらのコントロールっぷりは、なんとか「学べる」かもしれないけどねぇ。

ともかく、凄いもんは凄い。エベーヌが、2022年の今、世界最高峰の弦楽四重奏団である理由は、敢えて営業的に言えば、どんな状況でも汚い音はない、それに、聴衆がどんな関心で聴いても死角無しに「これは勝てない」と思わせるスタンダードの高さ、ってことなのは言うまでもないでしょう。その意味では、昨日のプログラムは「楽器の音色」というところに視点を当てた、些か語弊或る言い方をすれば、かなり判りやすい特殊なものだったかも。なんせ、外来団体がシューマンの2番をメインに据えるなんて、ベネヴィッツQが大阪大会で大技仕掛かけ優勝したとき以来、ってか、外来公演でメインに据えたのは史上初だろーに。全楽章がシューマンの地味なピアノ小品の弦楽四重奏編曲みたいな、とっても不思議な音楽で、更にはアンコールで「ほーらね」って感じにシューマンピアノ曲編曲を弾いて種明かしするなんて(ピアニストたるピエール夫人のアイデアだそうな)、ウルトラコアなマニア層の心もがっちり鷲掴みだもんなぁ。

今回の来日、日本に至る前の韓国やら台湾公演がコロナで全部キャンセル、日本公演もあちこちの主催者がキャンセルして、昨日今日の四ッ谷堀と明日のびわ湖だけになってしまった。
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社内的にも、現状の南回り延々15時間かけて3公演のためにニッポンまで行くかどうか、議論があったそうです。この公演が終わると夏のフェスティバル・シーズン前のバカンスになるから、ま、休養兼ねて久しぶりに行きますか、と遙々来てくれたわけで、ホントにありがとーございますです。もー、やくぺん先生ったら、お礼になんでもしちゃうよっ!

なお、エベーヌQ自身は、日本で教えることも関心はあるとのこと。まあ、とはいえこの物理的な遠さと、なにより円安が進む貧乏ニッポン。どなたかお金持ちの方、なんとかしてくれませんかね?

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この週末に道夫先生が弾きます [ゆふいん音楽祭]

「ゆふいん音楽祭」ではないのですが、我らがメイン会場にメイン演奏家が一般公演として登場するとなれば、番外編で紹介しないわけにはいかんでしょー。

来る土曜日18日午後、由布院町の公民館内ラックホールでこんな演奏会があります。
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毎度のことながらギリギリまでお伝えしておりませんでしたが、昨日の段階で町内各所にチラシが置かれておりますので、無事に開催されるのであろうと判断して記します。なんせこの数週間、こちらも滅茶苦茶な日程をこなすのが精一杯で、連絡を取ってません。ゴメン。

最近の道夫先生は、こういう「表に出ない」演奏会はそれなりになさっていて、今回もメインはカウンターテナーさんです。やくぺん先生的には「ああ、ライマンの《リア》に出てた人ね」って感じなんだけど、その筋の方にはもう若きスターだそうで、はるばる温泉県盆地田舎町までやってきてくださるなんて、有り難いことでりますのぉ。

ちなみに道夫先生は、このラックホールなる新公民館では非公開で町内小学校の子供たち集めて演奏会やったりもしておりまして、問題のピアノももうお手の物…なのかしらねぇ。昨年のこの時期、オープニングでまだ湿気が抜けていなかった空間に梅雨の季節で鍵盤に水が…なんてことも起きていたんですが、どうなんでしょうか、1年経って。

なお、懐かしの旧公民館ですけど、昨日の段階でこんなん。
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駅駐車所の側から眺めたところ。左手奥がラックホール。いよいよ懐かしのホール部分が解体され始めました。この跡地、どうなるか、未だに議論されているそうで、最悪「5階建て駐車場」なんてトンデモな話すらあるそうな。観光地の駅前に看板の由布岳を覆い隠すようなもんを作るなんて狂気の沙汰だろうと思うんだが、納税者住民とすれば由布岳なんて見慣れたもので、それよりも町内で大問題の駐車場対策、ということなのでしょうかねぇ。なんせなにもないけど温泉量だけは由布岳向こうの別府に次ぐニッポン列島でも第2位というこの田舎町、どこを掘ってもジャブジャブ温泉が湧いて来ちゃうんで、地下駐車場なんてつくりたくても出来ないそうな。ラックホールの湿気問題も地盤に源泉があるから、なんて知らんけどな話も。うううむ…

あたしゃ、昨日から来週月曜まで新帝都なんで(なんせ、この数日の間に以前某賞の選考委員をしていたときに受賞者とさせていただいたチェリストさんがふたりも大きなコンサートをするし、来週温泉県盆地のオフィスに遊びに来ると言ってる某演奏家さんの来日公演があるし、9月のミュンヘンARDに出るという若い連中が纏めて弾いたりとかするので、原稿2本かかえて短期の新帝都滞在をせにゃならんのじゃわい)、残念ながら詣でられません。チケット買っといて、と連絡されてもダメです。とにもかくにも、土曜日、ご関心の向きは上の写真の電話番号075-791-3123へどうぞ。Qコードは読み取れるのかしらね。

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ブライト・シェン《紅楼夢》ライヴストリームあり [現代音楽]

10年代半ばにSFオペラが猛烈に力を入れて世界初演したブライト・シェンの《紅楼夢》が、日本時間の本日から戦勝記念オペラハウスで再演されます。こちら。
https://www.sfopera.com/on-stage/dream-of-the-red-chamber/

SFという地域がら、はたまた昨今の膨大にステージに出現しているアジア系歌手の扱いから、《トゥーランドット》や《蝶々夫人》にも匹敵する新しいアジア系をメインの据えられる作品が欲しい業界とすれば、政治的なテーマ抜きでやれてみんな知ってる中国の作品ですから、なんとか育てていきたいのでしょうねぇ。アフリカン・アメリカン系では《ポギーとベス》という決定版があるし、いざとなれば《トレもニーシャ》とかもあるわけだが、アジア系はやはり「トドメを刺す」という感じの作品は上述のふたつになっちゃうわけで。ま、あるだけ凄い、と考えるべきなだろーなぁ。

もとい、で、この《紅楼夢》、コロナを越えた今はすっかり当たり前になった「劇場からのライヴストリーミング」が行われます。初演の頃はまだまだ手探り状態でしたが、今回はいろいろやり方も安定してきてますから、安心して視られるでしょう。初日の舞台じゃなくて、日曜日のものが配信されるみたい。
https://donate2.app/sfopera/dream-of-the-red-chamber
$25って、今、おいくらくらいなんじゃいね?

今回のもうひとつの注目点は、指揮者にダレル・アンが起用されていること。このところ日本でもいきなり注目を浴びている(のかな?)シンガポール人指揮者のひとりですな。エスプラネードの外の飯屋で挨拶したことあったような。
https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/nkyo/interview_soloist/96_2.html
うううむ、こうしてみると、日本の若い指揮者さん、すっかりアメリカ合衆国でのキャリアを作る気がなくなってるのが心配だなぁ…

ま、お暇な方はこの週末にご覧あれ。

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地獄の水無月やっと半分終了 [売文稼業]

なんでこんなことになったんじゃ、と呆れるしかない水無月の日程もなんとか半分終了。一昨昨日の終列車で温泉県盆地オフィスに戻り、一昨日に梅雨の晴れ間に敢行された馬鈴薯デストロイヤー(マジ、そういう名前の品種だそうな)初収穫だったのだけど
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誰がどう見ても過労と判断されるらしいやくぺん先生ったら、庭師さんからあっさり戦力外告知を受け、北の大地から運び込んだ白アスパラがぼーっと煮上がるのを眺めてただけの役立たずっぷり。卵黄と溶バターを混ぜて、檸檬搾って湯煎しながらグルグル回しているだけで、もう全パワー消耗でありまする。ほいっ。
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閑話休題。世間では「自分の日程はSNS上にアップするな」という常識があるようですけど、佃にも温泉県盆地にも盗まれて困るのはやっと出てきた西瓜とメロンの花芽くらいしかないあたくしやくぺん先生ったら、平気で地獄の日程をfacebook上に公開で貼り付けたら
https://www.facebook.com/yawara.watanabe
出向くあちこちで捕まえて用事申しつけようという方々が続出。なるほど、それならこっちにも、と当電子壁新聞にもやくぺん先生の世を忍ぶ仮の姿の出歩く先を列挙しておきましょ。まずは、水無月前半過去編から。ペトっ。

5月31日:札幌キタラ小 エク札幌定期
6月1日:上野文化小 21世紀音楽の会新作初演弦楽四重奏等
6月2日:飛行船シアター ヴィオラ・スペース
6月3日:藝大奏楽堂 リゲティ特集
6月4日:作業日(相模湖交流館 ヴィルタスQを予定していたのですけど、どうしても作文仕事が溜まり行けませんでした、ゴメン)
6月5日:札幌キタラ小 ダネルQ
6月6日:武蔵野市民文化会館大 モーツァルトハウスQヴィーン
6月7日:サントリー小 アトリウムQ
6月8日:サントリー小 葵トリオ
6月9日:びわ湖ホール小 ダネルQ「ショスタコーヴィチの弦楽四重奏」レクチャー
6月10日:びわ湖ホール小 ダネルQ、フェニックスホール プラジャークQ
6月11日:直方美術館 エク
6月12日~14日:温泉県盆地オフィス馬鈴薯初収穫&作文仕事

ううむ、この間の長距離移動のみを記せば、温泉県盆地→札幌→新帝都→札幌→新帝都→神戸→京都→浜大津→大阪→糸島→直方→温泉県盆地

で、後半はこんなん。次の温泉県盆地オフィス帰着まで記せば…

6月15日:桃航空大分昼便で新帝都へ サントリー小 酒井あっちゃん
6月16日:紀尾井 エベーヌQ
6月17日:錦糸町NJP吉松交響曲第6番、豊島 古典Q
6月18日:サントリー小 CMGフェロー発表会
6月19日:豊島マリーコンツェルト アミティQ
6月20日:上野文化小 大友肇無伴奏
6月21~25日:ジェット★で温泉県盆地へ、華の都からの来訪客&作文仕事
6月26日:茅野 エク
6月27,28日:某所で作文作業に専念
6月29日:鶴見Qアマービレ、ハクジュひばりQ
6月30日:神奈川県民ホール小 エク&とこさんら
7月1日:初台 Music Tomorrow
7月2日:銀座 Qインテグラ
7月3~12日:温泉県盆地オフィス

後半の長距離移動は、温泉県盆地→新帝都→茅野→新帝都、だけだから、前半ほど酷くはない。とはいえ、温泉県盆地オフィスに遠来のお客さんをお迎えするというのがあるからなぁ…

ちなみに、今年はちょっと畑が遅くて、馬鈴薯の本格収穫は文月に入ってからになるそうな。なんだかあっという間に9月頭のミュンヘンになっちゃうわい。

こんな無茶が出来るのもあと数年。頑張れ、やくぺん爺さん!

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ユトレヒトでニッポン若者作品初演 [現代音楽]

来る6月18日、オランダはユトレヒト音楽院でオランダ弦楽四重奏アカデミー設立20周年を記念した音楽祭が開催されます。
https://www.nska.nl/
わ、まさかのオランダ語だらけじゃんかぁ。皆様、今時、オランダ語なら英語ドイツ語への無料マシン翻訳でほぼ完璧ですから、なんとかしてください。これが当日の流れ。ちゃんと英語翻訳で出るのかしら。
file:///C:/Users/yawar/OneDrive/%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97/Jubileum%20%E2%80%93%2018%20juni%20-%20Nederlands%20StrijkKwartet%20Academie.html

一応、英文翻訳の演説をまんま貼り付けると、以下。


NSKA String Quartet Festival – Saturday 18 June
TivoliVredenburg

An ode to the string quartet! The Dutch String Quartet Academy (NSKA) celebrates its 20th anniversary on Saturday 18 June 2022 with a vibrant String Quartet Festival full of performances, presentations, music performances and lectures. From a very young Utrecht quartet and up-and-coming subject students to the international world top.

何を隠そう、数ヶ月前、このアカデミーの中心講師たるダネルQのマーク氏から突然電話があり、弦楽四重奏教育のラウンドテーブルやるから日本やアジアの状況を喋りに来い、なんて無茶苦茶な話があった。どうやら、これね。

What makes an ensemble successful? What are the critical factors that cause a young ensemble to break through and take its place in the professional landscape?
Cécile Gouder de Beauregard, classical music programmer at TivoliVredenburg Utrecht
Emmanuel Hondré, general director of the Opéra National de Bordeaux
Francesca Moncada, General Director of the Associazione Le Dimore del Quartetto (Milan)
Tobias Niederschlag, Head of the Concert Office of the Gewandhaus (Leipzig)
Sonia Simmenauer, director Impresariat Simmenauer (Berlin)

それはわしじゃなくて大阪国際室内楽コンクールのチーフ・プロデューサー氏辺りがいいんでないの、俺は座って突っ込む役回りに行くくらいなら吝かではないとはいえ、6月の半ばなんてニッポン列島から出られるかまるで判らないなぁ、残念ながら現状、行ける確証はないなぁ、って返事しか出来なかった。ああやっぱりそういう感じか、でね、もうひとつ話があるといい、「フェスティバルで俺のところのアダムQって若いのが、世界各国の若い作曲家6人に1楽章づつ委嘱する作品の世界初演をやる。誰か日本に良いのいないかね、締め切りは…」って、相当に無茶な話になった。

なんせ時間はないし、ギャラとか条件は電話では話せるような内容ではない。なんのかんのあったんだけど、最終的には日本の20代作曲家と深い繋がりがあり、作品を通しいろいろご存じで、更には自分も作曲をする打楽器の會田瑞樹さんに相談したところ、ユトレヒト側の条件に合いそうな作曲家さんをひとり紹介していただけた。無論、音大の作曲科の先生に尋ねればいろいろと名前が挙がるでしょうけど、やっぱり実際に実践者として楽譜を処理してきている経験が多い、更には世代的にも作曲者さんと近い人の言葉がいちばん信用出来るだろう。というわけで、ユトレヒト側に話を繋いで、やくぺん先生の役回りはそれっきり。どうなったかも知らんままに冬は過ぎ、春になって、夏至も近付く初夏となり…

で、去る日曜日に札幌でやっと来日出来たダネル氏に会えて、あの話はちゃんと進んだんだよね、と訊ねると、あああ連絡してなかったっけ(してねーよーっ!)、作品はみんなちゃんと出来て…

かくて、フェスティバルでこんな演奏会があります。

YOUNG COMPOSERS PROJECT
Throughout the day, the ADAM Quartet (NL) will play six new works by young composers from all over the world:

Amarante Nat (Netherlands; i.s.m. Gaudeamus)
Renaldo Ramai (Trinidad & Tobago)
Natsumi Yamamoto (Japan)
Egor Savelianov (Russia)
David Azaglo (Ghana; i.s.m. Gaudeamus)
Vinthya Perinpanathan (NL / Sri Lanka), in the evening concert

どうやら「6人の作曲家がひとつづつ楽章を担当した6楽章の曲」というのではなくて、短い6つの弦楽四重奏小品、ということになったのかしら。

ま、どういうことになったかは判らんけど、ともかく、無事に山本菜摘さんの新作、上演されるようです。どうもライブストリーミングなどは内容なんで、ここで聴けますよ、とは言えないのですが、何らかの形で聴ける形にはする、とマーク氏は申しておりまする。

皆々様にご迷惑かけましたが、このような状況になっております。明後日、びわ湖ホールの終演後にもうちょっと詳しい話が聞けるかしらね。

オランダ在住の方、誰か聴きに行ってくれないかなぁ。マジ。

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