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In a Summer Garden [ゆふいんだより]

ちょっとばかし早すぎる夏休み真っ最中。
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今回の2週間弱の温泉県盆地オフィス滞在、目的と言えば、盆地から延々と大分川沿いに下った豊後国府は大分市内で開催される一般財団法人地域創造のステージラボ・セッションへのお嫁ちゃまのお通いのお付き合い。かつて地域創造創世記にステージラボのファシリテーターとして、今やすっかり偉くなった演奏家さんたちと付き合ってニッポン各地あちらこちらの公共文化施設を動き回っていたうちのお嫁ちゃまはお局様みたいなオブザーバーとして参加、お弟子やら、はたまたまだチーフなんぞやってるかつての同僚らの働きっぷりを見物する。その通勤拠点として、久大線で1時間と自転車で10分弱のところの盆地オフィスに泊まり込んでいた次第。

ま、そっちはそっちで台風が直撃する中に開催され、いろいろあったりなかったりだったようでありまするが、それはそれ。やくぺん先生ってば、この滞在中に原稿ふたつとテープ起こしひとつやれば良い、ってなかなか緩い隠居っぽい日程だったわけでありまする。

地域創造ステージラボが無事に終了、かつて目白に庵を結んでいた頃にはそこを会社として使っていた今や長老講師連中が押しかけてくるかと危惧していたら、台風だなんだでそれどころではなく、ま、一安心。その後、些か無茶な原稿入れて純粋作文とテープ起こしになってから、〆切がまだ先ということもあってすっかり気分が緩んでしまい、そこにもってきて驚天動地の元首相襲撃殺害なんてリアリティ皆無な騒動が起きたりしてあれこれあれこれ…

とはいうものの、なんせ地上波テレビも紙の新聞もないここ温泉県盆地オフィス。世間がどんなおかしな空気になっているか知るよしもなく、はたまた知る気もなく、新帝都中枢を大川向こうに見晴るかす大川端縦長屋なんぞにいなくてホントに良かった、と神様に感謝していた次第。

※※※

てなわけでこの滞在、頭ん中ってば、ちょっと早い夏休みになってもーたわぃ。
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テラスに食卓から椅子とテーブルを引っ張り出し、久大本線と田圃の間に新帝都ならちっちゃな住宅二軒くらいは建ちそうな我が開墾途中の畑に向け、「満州に地形がそっくり」という理由で昭和初期から使われ続けている北側の山の向こうの日出生台演習地側から緑を抜けて吹き下ろしてくる涼風にあたり、収穫終えた馬鈴薯の畝やら、今を盛りと葉っぱが生い茂るサツマイモやら、はたまたにょきにょきと伸び始めた細い枝が風に揺れて倒れそうになってるアスパラガスをあのままでいいかと眺めつつ
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ボーッと純粋作文の内容をあれやこれや脳内推敲している夏の庭の午後。

天気ってば、「曇りときどき晴れときどき驟雨」という典型的な山のそれ。湿気ているとはいえ、動いている限りはそれなりに過ごせなくはない夏の盛りへと向かう田圃の空気に、ドンドンと作文仕事をしようという気分は失せていく…

この場所に終の庵を結び、遙か福岡帝国は伊都国から通ってきて下さるスーパー庭師さんにおんぶに抱っこで土を弄るなんて仕事のまねごとを始めると、なにもなく草ボウボウ一歩手前の庭も、嫌になるほど沢山の大きな小さな生き物たちが動き回っているとてつもなく広大な宇宙に見えてくる。

ちっちゃな方々といえば、農作物だろうが雑草だろうが構わずに我が世界となさってるこんなぴょんぴょん跳ぶ方とか
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その親戚筋でどう見てもショッカーの改造に失敗した仮面ライダーみたいなこんな方とか
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共に体長1センチにも満たぬも、そのお体の数倍を一気に飛び跳ねる元気者たちだバッタバッタ。

とはいえこれらの者たちも、周囲気にせずお気楽に跳ねようもんなら、目の前の動くものはなんでも喰っちゃう我が畑の陸の王者、20ミリにも満たぬ小さなお体を冷たく光らせるニホンアマガエルさんの餌食となるのであーるケロケロ。
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地を這いまわり跳び回るそんな連中なんざ無縁とばかり、吹き下ろす風に乗ってなのか流されてなのか、ノンビリ浮かんでるのはこの方々。
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この季節、盆地最大の観光地となってる名旅館の庭に無数に舞い、眼から涼を漂わせてくれる方々は、こんな観光とは無縁の田圃の中にもいらっしゃいまする。

飛んでいるものといえば、やくぺん先生んちではちょっと困ったことになってるこんな方々も。
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キボシアシナガバチというお名前の団体様。性格は温厚な方々だそうなんですけど、なんせ畑とは反対の田圃側の玄関脇の楓におうちをお作りになり、女王様以下、すっかりお働きになり始めてしまい、どうしたもんか、と。今は温厚ながら、秋口になると些かナーバスになられるそうで、庭師さんからは玄関使用禁止、秋が深まり巣の使用が終わるまで勝手口から出入りするよう指令が出ておるのでありまする。うううむ…まあ、馬鈴薯やサツマイモの葉っぱを喰らっちゃう小さな虫さん達を御飯にしており、「益虫」というニンゲンの勝手な言い方が適応される方々だそうなので、この夏は楓の木をお貸しするしかないのだろーなー。

もひとつ飛ぶ方々といえば、この辺りの主はこのお方。
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線路向こうの高級温泉宿と軍隊官舎の辺りから隣の田圃、やくぺん先生んちの畑から、表の社長さんのお菓子工房にかけてを縄張りとしている百舌鳥さんでありまする。日出生台からの風が平野に吹き下ろすこの辺りはなんか知らんが百舌鳥さん天国。ちっちゃくてもかなりコワい百舌鳥さんのフィールドとあって、由布岳の麓辺りにはいくらでもいらっしゃるカラ類は全く寄りつかず。それぞれの百舌鳥さん、数百メートル毎に縄張りをしっかりキープなさっており、春の終わり頃にはこの世界へと出てきたばかりの百舌鳥っ子達が盛んに追いかけっこをしていた。今は子供たちは自分らの場所を探して独り立ちしたらしく、百舌鳥母さんがまた自分の領地を守ってるだききききっ!

そんな夏の枝の間を跳び回っているのが、ぎゃーぎゃーぎーぎーヒヨちゃんっ子たち。二人ぐらいで仲間になって、枝の間から葉陰を抜けてアクロバティクな飛行を繰り返し、ヒヨちゃん族が誇る複雑にして高度な空中マニューバーの訓練してます。
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青く固い実が付いた梅の木にとまり、梅の実つついて落としてるのはこいつらだぎゃあああ!

そして、由布岳麓の盆地の空のもっと上を我が物顔で舞うは、強烈な吹き下ろしを受けてなのか、盆地の真ん中を突っ切り町内で話題の星野リゾート上空をかすめて大分道向こうのヘリポートに降りていく陸自チヌークくん。
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パーシモンゲートを跨いで朝にやってきて、夕方には久大線に沿って遙か有明海と吉野ヶ里遺跡望む塒へと戻っていくその通勤風景、高度といい動きといい、まるで葛飾巨大柿ノ木上空を木更津から朝霞やらへ通ってく騒々しい姿を懐かしく思い出せてくれるなぁ。

古い木製テラスに置いたiPhoneのYouTubeから流すディリアスの響きは、思った程にはこの小さな宇宙に似合ってくれない。

なんせ向こうの杉林から田圃にかけて叫んでるホトドギスさん、緯度の高い欧州のノンビリした郭公さんとは相当に違うけたたましさでありましてぇ。かくてこの庭に似合う生き物たちの歌ってば…やっぱり、カエルくんたちの大合唱かしらねぇケロケロ。

由布岳の隣の活火山の噴火警報がレベルアップされ立ち入りが規制された、って。そんなローカルネタも、どこぞの物騒な騒動にかき消されてしまい、未だ続報はないままに夏の庭は暮れていく。

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