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大阪国際室内楽コンクール2023名称について [大阪国際室内楽コンクール]

大阪城公園を見下ろす某所で、大阪国際室内楽コンクール2023専門委員会が開催されましたです。
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コンクールなるイベントには商店街応援ソングを歌って踊るローカルアイドル選抜大会から優勝賞金一千万円のヴァイオリン競技会まで数あれど、メイジャーな国際大会と呼ばれるものになると、様々な人が関わってきて「権威」を作るための準備が周到に成されるわけであります。少なくとも室内楽コンクールとしては、各大陸にひとつ(アフリカと南米にはないなぁ)くらい存在する地域を代表する大会として機能している大阪も、音楽的にも運営的にも様々な「専門家」の意見を取り入れながら、独善に陥らないように開催されております。

無論、「審査委員長の独断と偏見」で全て決めてしまった方が良いという考えもありますが、それはあくまでも審査の段階での内容レベルの話であって、審査委員長が開催期間から課題曲から賞金分配まで全部ひとりで決めているメイジャー大会などあり得ない。そもそもひとりで出来るようなイベントではありませんからねぇ。

てなわけで、ちゃんとしたコンクールというものは、各界の専門家を集めて「うちの次の大会はこういう感じでやりますが、皆様、忌憚のない意見を仰って下さいませ」などということをするわけですね。大阪大会の会議に招聘されたのは、マネージメント関係者1名、在阪オーケストラ関係者1名、演奏家4名(全員が弦楽四重奏経験者で、うち2名は現役クァルテット奏者、1名は過去の大阪大会入賞経験者)、それに音楽ジャーナリスト1名、という顔ぶれ。既に参加団体の募集は始まっているので、タイミングとしては課題曲についての議論などはしようがなんですが、現在出されている運営案についてワイのワイの言い立てる。結論を纏めるというよりも、運営側に「これで大丈夫かなぁ」とか「このままではちょっと現場でヤバいことになるかもよ」とか、それぞれの立ち位置からの率直な発言が相次ぎ、正に大坂夏の陣でありました。

内容については流石にこんなところに記すわけにはいかんのですけど、ひとつだけやくぺん先生外の人関連の話題について、世間様に説明しておいた方が良いであろうことがありますので、サラッと事実関係のみ記しておきます。来年の大阪大会の正式呼称及び表記について。

※※※

来年5月に開催予定の大阪大会、当電子壁新聞を立ち読みなさってるよーな皆様はよーくご存じのように、本来ならば2020年5月に開催される筈の大会でありました。で、その大会の名称は「第10回大阪国際室内楽コンクール&フェスタ」でありました。

ところが今回、正式名称は「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ2023」だそうな。要は、公式名称に「第10回」とは入れていない、ということ。

コンクールや音楽祭などアニュアルイベントにとって、「この大会が何度目か」というのは歴史や権威を示すためには極めて重要であります。回数を記すだけで、ぽっと出のコンクールじゃないぞ、もう何十年もやっていて、卒業生もいっぱいいるんだぞ、という事実は無言で伝えることが出来ますからねぇ。逆に、回数が書かれていないと、「ああ、何回やってるのか教えたくないのか」といらん勘ぐりをされてしまったりしかねない。

恐らくは関心のある方は気付いていると思いますが、コロナ禍後に再開された世界のコンクールの多くが、「第○○回」という表記を避ける傾向があります。

理由はいろいろでしょうが、多くの大会とすれば、「開催年がズレてしまい当初予定されていたタイミングで行えていないが、当然ながら開催予定だった大会は告知や参加者応募はしてしまって舞台裏作業は進んでいたので、その大会をどういう扱いにすれば良いやら」って、頭を抱えているんですわ。欠番にするというやり方がいちばんスッキリするが、それはそれで混乱を与えかねない。はたまた予定通りのやれなかった大会をなかったことにして回数番号込みで開催年を移動させたことにしても、予定された大会で参加予定だった団体の経歴や出されてしまっている広報物を今から根こそぎ消し去ってしまうわけにもいかぬ。

てなわけで、今回は回数を表記せず開催年度だけにして、判る人には「開催される回数としては10回目ですけど、参加者や審査員を含め2020年開催予定第10回大会をまるまる延期したのではなくて、全く別の大会として開催しますので、悪しからず」と伝える、という方策を採らざるを得ない。

ま、要は「今回は第10回大会とは記しません。あくまでも2023大会で、次回以降はまた考えます」ということ。最も誠実な対応でしょうね。

そんなことどうでも良いじゃないか、とお考えかもしれませんが、そうでもないのです。なんせ、室内楽のコンクールというのは大阪に来ても良いよと言われる団体は10ほどしかない。つまり、一次予選で涙を呑んだとしても、「大阪というメイジャー大会に参加が許された」という事実は充分にその団体の経歴に記すに値する結果なのです。その年に世界中でプロを目指しているであろう数十から100くらいの室内楽グループの中で10位以内に入っている、ということですから、もう充分に「入賞」なのでありますよ。

大会そのものはいずみホールのステージで開催されなくても、第10回大会は既に始まっており、参加が許された団体は大阪に至る最初の関門を突破していた。それだけでもう、充分に褒めて貰っても良い結果なんです。もしも来年の大会を「第10回」としてしまうと、2020年に大阪に来ることを許された連中は、舞台での演奏は実らなかったとはいえそこまでは辿り付いた自分らの結果を、どう扱うべきなのかわからなくなる。

コンクールは、ある意味、教育機関です。若い団体のキャリアに関し、そこまでの配慮をする必要もある。それが出来てこその「メイジャー」大会。

てなわけで、当電子壁新聞でも、腹の中では「第10回大阪大会」と思いつつ、「大阪2023」と記すことにいたします。以降、そんな事情だということをご了承下さいませ。

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