SSブログ
弦楽四重奏 ブログトップ
前の10件 | -

レッジョの結果 [弦楽四重奏]

日本時間の午前7時前、現地時間の日曜日深夜、第12回ボルチアーニ顕彰国際弦楽四重奏コンクールの結果が発表になりました。以下。

第1位:なし
第2位:バローデッドQ&レオンコロQ
第3位:アドルフィQ
細川作品演奏賞:アレテQ
聴衆賞:レオンコロQ

以上です。なるほど、細川作品はアレテのやり方が評価された、ということですな。劇的に作る、というやり方とは違う、ってことね。この結果に現場にはいかなった細川氏の意見が反映されているのかは判りません。

聴衆賞が興味深いですね。へえええ…って感じ。どういう現場の空気だったんだろうなぁ。

ということで、まあそんなところかしら、という結果ではあります。さても、次のメイジャー大会がいつどこであるのか全然判らない今、当面オープンになっていて既に参加者が決まっている大会は9月の終わりのトロンハイム。レッジョに来ていた連中もごっそり北に向かいます。ニッポンの若者が国際大会に参加出来るようになるのは、一体いつのことやら。韓国は一足先にオープンになってるみたいだけど。
https://www.ticc.no/artikkel/ticc+2021+participants+.html

…ま、コンクール取材引退宣言をした隠居のあたしにゃ、関係ないこととせにゃならんわな。

[追記]

日本時間の夕方になって、公式ページにアナウンスが出ました。以下、貼り付けて起きます。お疲れ様でした。

PREMIO BORCIANI 2021 NOT AWARDED

At the end of last night’s final round at the Teatro Municipale Valli in Reggio Emilia, the jury of the XII International Competition “Premio Paolo Borciani” chaired by Emmanuel Hondré awarded the second prize of € 10,000 ex aequo to the Balourdet and Leonkoro Quartets, the third prize of € 5,000 to the Adelphi Quartet, which also receives the Under 20 prize of € 1,000. The jury decided not to award the first prize.

The Audience Prize of € 2,000 was awarded to the Quartetto Leonkoro, while the Quartet Arete receives the Special Prize of € 3,000 for the best performance of UTA-ORI. Weaving Song for string quartet, new composition for string quartet commissioned to Toshio Hosokawa, and the € 6,000 scholarship offered by Jeunesses Musicales Deutschland.

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

レッジョのファイナリスト出ました [弦楽四重奏]

遙か北イタリアはレッジョ・エミリアの市立劇場で開催されております第12回パオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール、日本時間の本日日曜日午前2時くらいに、何故か市立劇場の公式Facebookが最初に本選出場団体を公表しました。こちらが、そっちから行ける告知映像。
https://www.facebook.com/iteatri/videos/325706025629306

てなわけで、ご覧のように

アデルフィQ
バローデットQ
レオンコロQ

です。ニッポン唯一の参加、我らがフラウ近衛も本選進出です。

なお、ベルギーからの団体が「隔離の理由」でコンクールを離脱せねばならなかったことは、11日の時点で発表されていました。
We are terribly sorry that the #KarskiQuartet had to leave the competition for sanitary reasons. All the staff of I Teatri di Reggio Emilia and #PremioBorciani embrace you strongly and wish you all the best. We are sure we will see you soon in Reggio Emilia for many other great moments of music, all together! [黒ハート]?[ムード]

細川氏がでっかい画面から参加し8団体に事前質問に対応したというニュースもアップされてます。ううむ、なぜこういうのが大会公式ページではなく劇場のページで発表されてるんだろーなぁ。つまり、ここが実質上の公式速報ページ、ってことになってるわけだ。ま、なんとなく状況は判りますが…

まだ、今晩演奏される作品のリストは出てません。公式が数時間後には更新されるでありましょう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

現時点でのレッジョの進行状況 [弦楽四重奏]

本日は溜池のイェルサレムQはお休みで、アマービレとのオクテットの練習をしてるそうな。で、やくぺん先生ったら、遙か与野本町に葵トリオを朝から聴きに行き、先程グダグダになって湾岸縦長屋に戻って参りました。おうちでご家族と夕飯喰らうって、何日ぶりのことか。明日からまた土曜まで溜池近辺でカレーパン食ったり饂飩食ったり…

あたくしめがどーなっていようがそんなことにゃ関係なく、遙かシベリアの彼方、北イタリアは連所・エミリアでは粛粛とセッションが続いております。本日で4日目、作品18の2第1楽章とハイドン若しくはモーツァルトの成熟期作品をひとつ弾く古典セッションの第1ラウンド、メンデルスゾーンかシューマンかブラームスをひとつ弾くロマン派セッションの第2ラウンドが終わり、どうやら「好きな曲を弾いていいですよ」ということらしい第3ラウンドが始まってます。ベートーヴェン弾く奴、ハイドン弾く奴、はたまたタイユフェールとヴィドマン弾く奴、とかいろいろ。

なんとか無事に進行しているようであるものの、実のところはいろいろ面倒なことが起きているようなのは、こんな状況で世界各地のパスポート持った連中が集まる大会なんだから当然のこと。で、第2ラウンドが終わった時点での参加者状況を整理しておきましょうか。あくまでも自分のためのメモです。

あ、ひとつ先に申しておきますと、このレッジョの大会、今世紀というか、10年代以降のメイジャーなアンサンブル大会のひとつの大きな流れとなっている「参加は10団体くらいに絞り、招聘した時点で実質上の一次審査通過のプレステージを与え、審査会場まで来た連中は可能な限りたくさん弾いて貰う」というやり方をしています。ある世代以上の審査員や運営側理事にはこのようなやり方は凄く抵抗もあるようですが、ぶっちゃけ、今やロンドンやバンフが採用し、レッジョも追随した主流のやり方ですな(ボルドーみたいに、もう完全にコンクールのあり方を変えちゃったところもあるくらいですから)。

ですから、今回も一次予選二次予選、という風にどんどん参加団体が減らされていく、というやり方ではありません。第1ラウンドから第4ラウンドまで、キャラクターの違うステージが用意され、全参加団体が4回ステージに登場します。で、そのなかから土曜日の夜に3団体が選ばれ、日曜午後6時からの本選が行われる、ということ。以下に述べる対応が可能になっているのも、コンクールが一昔前のやり方とは違っているからです。そこんとこ、まず、ご理解あれ。

さても、現状ですが、結局、12団体が参加を許され、そのうち3団体が参加辞退となり、去る日曜日の段階で参加は9団体となってます。で、恒例のくじ引きがあり演奏順が決まったのでしょう。ここレッジョは、参加団体のアルファベット順で演奏することになってて、演奏順決定とは「どの団体が最初に弾くか」を選ぶだけなんで、あっという間に終わる。んで、どうやらカリスキーさんたちが一番籤を引き当てたらしく、彼女らが日曜日最初に演奏を始めた。その時点で、フランスから来るアガーテという連中が「隔離上の理由」で月曜日に弾けないことになっており、10日に第1ラウンドをやります、と告知されていました。

そしたら、火曜日を前に第2ラウンドも最初に登場する筈だったカリスキーQが、「隔離の理由で」出場停止となった。ここまでは既にお伝えした通りです。

その後も淡々とプログラムは進行し(公式ページの演目が間違ってたりするのは、毎度ながらのご愛敬)、いよいよ3日目も終わりになる最後のステージになって、第2ラウンドからは登場する筈だったアガーテQはまだ出てこられず、このラウンドも10日に予定されます、との告知がライヴストリーミングの画面に映し出される。
IMG_2164.JPG
そして本日4日目、いよいよ午後の部から第3ラウンドに突入したわけですけど、ここでもまた最初に登場する予定のカリスキーQは第2ラウンドと同じ理由でキャンセル。
https://app.idagio.com/live/event/12th-international-string-quartet-competition-premio-paolo-borciani-third-round-day-1?utm_medium=social&utm_source=artist&utm_campaign=GlobalConcertHall&utm_content=PremioPaoloBorciani&utm_term=external
この団体に関しては「別の日にセッションを設ける予定です」という告知がないままで第2と第3ラウンドに登場していないばかりか、既に第4ラウンドも出ないと言う告知がされてしまってますので、普通に考えれば実質的「棄権」ということなのでしょう。うううむ。

で、明日10日ですけど、もうなんか我らが、って感じがしてきちゃってるアガーテQの皆様、どうやら無事に登場するようです。
https://www.premioborciani.it/en/eventi/giorno-5-2/
午前中に第3ラウンド演目のドビュッシーを弾き、午後のラウンドの最後、恐らくは現地時間の午後8時くらいから、第1ラウンドの作品18の2第1楽章と《五度》を弾くとの告知が出てます。更に、金曜日には、これまた最後に第2ラウンドのブラームス第2番を弾くとある。
https://www.premioborciani.it/en/eventi/giorno-6-3/
どうもアガーテQの連中は無事に隔離を脱し、大会に参加出来たようです。

というわけで、現時点では第12回ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール、参加8団体で争われることになりそう。この週末に向けて、世界音楽コンクール連盟の総会がレッジョ・エミリアで開催されるために、欧州のコンクール関係者がインパーソンで現地に集合しつつあるとのこと。コンクール運営の専門家たちですので、何が起きているか、いろいろな情報が多面的に入ってくることでありましょう。

とにもかくにも、こんな非常時で、なんとか北米とアジアからの参加団体までもちゃんと招いた「国際大会」を開催している努力は、もうなんとも頭が下がるものであります。無事に日曜日まで大会が開催されますように。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

今更ながらにイェルサレムQのこと [弦楽四重奏]

去る日曜日午後から溜池で始まっている夏のお庭恒例の中堅実力派団体に拠る(長老団体の年が一度だけあったけど)ベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏会シリーズ、1993年だか結成で創設メンバーが3人も生き残っていて、最も新しい若手ヴィオラ君になってから既に11シーズン目というイェルサレムQが安定の演奏を繰り広げ、既に本日で中日の3日目となりました。
IMG_2106.jpg
連日、「初期+中期+後期」って滅茶苦茶判りやすい、ある意味でもうどーにでもなれ、って感じのプログラミングで展開、作品18と《ラズモフスキー》は無事に2曲を終え、なかなか微妙な並べ方をしてきた後期も作品127の初日に続き昨日は意外にも作品130+大フーガを持ってきた。じゃあ本日は作品18の3と、《ラズモ》3番と、それに作品131なのかなぁ、と思ったら、全然違うぞ。うううむ…

そんな演奏順の意図をあれやこれや探る楽しみを含め、なかなか壮大な娯楽となっているサイクルであります。客席はまだまだ空いているのだけど、入場者数制限の売り止めなのかもしれないので、皆さん、今晩は溜池にいらっしゃい、と気楽に言えないのが残念。当日券が出ているのか、ご関心の向きはホールのチケットセンターに問い合わせてくださいな。スイマセン。

さても、そんなイェルサレムQでありますが、ぶっちゃけ、ホントに公演が出来るか判らない情勢だったこともあってか、過去の溜池夏祭りで展開されたような事前広報が成されてはおりません。これはもう、広報担当者自らちゃんと判ってるわけで、誰を非難しても仕方ない。やれて良かったね、とみんなで慰め合うしかないコロナ禍ですっかりお馴染みとなった風景ですな。

公式のホームページにも、いつもならば参加団体が力の入ったコメントやらヴィデオクリップやらをアップするわけですが、そういうことも不可能だったし、なによりも団体の基本的な紹介もそれほどはない。なんせこの団体、2004年の秋にもの凄く気に入ったテレビマンユニオンの伝説のプロデューサー大原れいこさんの肝いりで来日し、大原美術館の倉敷コンサートなどにも出演したわけですが、その後は創設メンバーでは2007年だかに来て、それからずーっと日本には来ていなかった。やくぺん先生ったら、余りにも来ないんでメンバー交代後の音を知りたくて厳冬の釜山のアホみたいにデカいホールにまで行ったりした記憶があるなぁ。ともかく寒い会場だったという記憶ばかりが…
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2013-01-26
その後もパリのビエンナーレなどでは聴いているものの、それほど熱心にお付き合いしていたわけでもなく、やっと一昨日昨日の《ラズモ》2曲と、なによりも昨日の作品130を聴いて、「ああああなるほどねぇ、こういう人達なのね」と膝をポンと叩いた、という情けなさであります。まさかまさか、冷静に考えればそうなんだけど、「21世紀の北米時代ブダペストQ」だったとはなぁ。敢えて断言しますが、21世紀20年代の今、世界の現役団体で、あのような「2000席のホールに隅々まで響き渡らせるためのピアニッシモ」を作る団体は、恐らく、他にないんじゃないかしら。世間の顰蹙を買うこと百も承知で言えば、やってる音楽の中身含め、ブルーローズじゃなくてサントリー大ホールで聴くべき団体です。こういう団体って、まだこの地球上にあるんだなあ!

って、吃驚呆れている午後、遙かレッジョエミリアからはこんなとんでもない話が伝わってきて
https://www.premioborciani.it/en/eventi/giorno-3-2/
何があったのか、最初のラウンドは弾けた団体が二度目のステージを前に隔離になったって、陽性反応が誰かに出ちゃったってことかい、おいおいおい、裏方などPCR再検査必至だろーに、ともの凄く心配になってくるぞ。

もといもとい。で、イェルサレムQです。この団体について、2010年に創設ヴィオラがベルリンフィルの首席ヴィオラに栄転して、逆にベルリンフィルやら東西詩譚管にいたヴィオラが加わった頃から、それまでに行っていた広報の仕方をすべて切り替えて、若手団体の広報から、今更団体についての説明は不要な成熟した団体の広報のやり方になった。ンで、今回も「イェルサレムQとはどういう由来の団体なのか」という広報は全くなされてません。

そんなわけで、一昨日から本番に接している皆々様に情報を提供する、というお節介な無責任勝手連で、やくぺん先生の人間体がこの団体の初来日のときに大原さんからの依頼で書いた紹介文を以下にまんま貼り付けます。正直、なんの媒体に書いたかはまるっきり記憶がありません。ハードディスクの過去原稿ファイルを検索して出てきたもの、そのまんまです。では、どーぞ。繰り返しますが、2004年夏に書いた旧稿ですので、ヴィオラ奏者は今とは違ってます。

※※※※※

弦の国から~イェルサレムQあれこれ

◆主要コンクールを経験せずに
 音楽ジャーナリストとして弦楽四重奏を中心テーマとしているので、世界にさほど数が多くない弦楽四重奏の国際コンクールに可能な限り顔を出している。弦楽四重奏の世界は狭く、バンフ、ロンドン(旧ボーツマス)、ボルチアーニ、ボルドー(旧エヴィアン)、ミュンヘン、メルボルン、大阪などの主要国際コンクールのどれをも経験せずに世界マーケットに乗った団体など、1990年代以降、恐らくはひとつとしてなかろう。
 が、正直にいうと、筆者はイェルサレム弦楽四重奏団をライブで聴いたことがない。
 そもそも、オーケストラのコンサートマスターや首席奏者などの安定した地位を狙えるほど腕達者で、敢えて弦楽四重奏などという金にならぬ代物に青春を捧げようとする酔狂な奴らなど、この世にそれほどはいない。それゆえか、室内楽のコンクールは、ピアノやヴァイオリンのそれとまるで性格が異なるのだ。国際コンクール会場は、あっちを向いてもこっちを見ても、どこかで見たような顔ばかり。受ける連中は顔見知りで、顔ぶれだけで相手の水準もだいたい判っている。ある時点を過ぎると、若手の室内楽志望者が総員勢揃いしたフェスティバルのような雰囲気が流れる。なんとも不思議な場所なのだ。
 イェルサレムQは、そんな主要コンクールを経験していない希有の存在だ。本当のエリート。事情がどうあれ、この事実だけでも充分に注目すべき団体なのである。

◆なぜイスラエルから若手団体が出ないか
 というわけで、イェルサレムQはとても気になっていた。EMIのデビューシリーズでディスクが出たときも、イスラエルからこんなに若い、それも男ばかりの常設弦楽四重奏団が生まれられるなんて、到底信じられなかった。なにしろ常時戦時下のあの国には徴兵制度というものがあり、余程特別な理由がない限り若者は兵役を逃れられない。若い室内楽団が育ち始めても、誰かが兵役に引っかかりキャリアが中断される。傑出した若いアンサンブルなど、育ちようがない社会構造なのだ。
 ソ連崩壊前後、旧ソ連からユダヤ系の有能な若手音楽家が大量にイスラエルに移住した。イェルサレムQメンバーも、そんな人々である。徴兵は難問だ。かつてパリでトランペットのナカリアコフとインタビューしたときも、どうやって徴兵免除を乞うか深刻に悩んでいたっけ。2年前のボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクールで、17歳平均のイスラエルの団体が本選まで進んだことがある。のちに小耳に挟んだところでは、まだまだ未熟な彼らを最終ステージまで残した理由は、「徴兵でこの先も続けられるかどうか判らない彼らに、少しでも多く演奏の機会を与えてやるため」の審査員の配慮だったという。
 弦の国と呼ばれ、世界に冠たるイスラエルフィルを有し、テル・アヴィブ美術館には高水準の室内楽シリーズがあり、名高いイェルサレム音楽センターやアイザック・スターンのセミナーが存在するイスラエルなのに、過去に有望な若手常設弦楽四重奏が出現していない。そんな中でイェルサレムQが登場したのは、偶然ではなかった。1993年にイェルサレム音楽センターでクァルテットを結成し、メキメキと上達する若き4人を前した音楽センターのディレクターが、政府に掛け合い、ほんの少し年齢の異なる4人を同時に徴兵するよう求めた。要求は受け入れられ、1999年までの2年半、4人は同じ宿舎で暮らし、兵舎で練習を重ねたという。徴兵という非常事態を逆手に取り、集中的な練習期間にしてしまったのだ。兵役の良し悪しはここで問うまい。与えられた環境を自ら目指すもののために利用し尽くした強かさに、ただ舌を巻くばかり。

◆内田光子のお眼鏡に適った3代目
 1980年代の終わり頃から、ピアニストの内田光子が共演するクァルテットは比較的限られている。一頃はカルミナQ、このところ数年はブレンターノQとの共演ばかりだった。音楽をあらゆる要素に分解し再構築する内田の強靱な精神に付き合うのは、並大抵なことではない。スイスのカルミナQはクァルテット界のアルノンクールと比喩される超辛口だし、ブレンターノQは何も知らずに聴いたらNYの団体とは誰も信じない「クァルテット弾きのためのクァルテット」。共通するのは、考え抜き、計算し抜いた挙げ句に、やっとアンサンブルを創り上げる団体であること。
 イェルサレムQは、この秋から内田光子との共演を始める。内田が選んだ若手の3代目だ。彼らのディスク、特にハイドンを聴けば、さもありなん。とてもあの若さとは信じられない成熟したアンサンブル表現と、猛烈に素直な素材の美しさとの共存。そう、まるで大人顔負けの声色で「リンゴ追分」を唄う天才少女美空ひばりみたい…なんて、素っ頓狂すぎる物言いかしら。
 なんにせよ内田が選んだ音楽家だ。素直なだけでは済むまい。この世代、ドイツのクスQ(イェルサレムQと共にブイトーニ財団の支援を受ける)、アメリカのパシフィカQ、日本のクァルテット・アルモニコ(イェルサレムQが唯一参加し優勝したグラーツのコンクールの彼らの次の回に優勝)、同じくイスラエルのアヴィブQ、デンマークのパイツォQなどなど、有望な若手が横一線。現時点でここまで成熟した響きを聴かせるイェルサレムQがこの先どう変貌するか、誰にも判らない。ま、未来はどうあれ、今のイェルサレムQを聴けた皆さんが将来鼻を高くできることだけは確かだろう。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ボルチアーニ大会始まりました [弦楽四重奏]

日本時間の昨日夕方、遙か北イタリアはイタリアQ第1ヴァイオリンのパオロ・ボルチアーニの生誕地レッジョ・エミリアの市立劇場から、第12回パオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクールのインターネットでのライヴ中継が始まりました。パスワードの登録が必要ですが、無料で視られます。これが昨日開催された1次予選というか、第1ラウンドの4団体。
https://app.idagio.com/live/event/12th-international-string-quartet-competition-premio-paolo-borciani-first-day-morning?utm_medium=share&utm_campaign=idagiolive&utm_source=pcl
https://app.idagio.com/live/event/12th-international-string-quartet-competition-premio-paolo-borciani-first-day-afternoon?utm_medium=share&utm_campaign=idagiolive&utm_source=pcl

この大会、結果的に9団体が参加で、本日の演奏が予定されている昨年のフィショッフ優勝のボストンのカッツ教室の「アメリカ系」団体を除けば、すべてが欧州に拠点を置いている団体ばかり。ぶっちゃけ国際大会というよりも、「ベルリン系(ABQ&アルテミスQ弟子筋)」「ザルツブルク系(バーゼルのライナー・シュミット含めハーゲンQ弟子筋)」「フランス系(プロクァルテット関係筋)」とも呼ぶべき、21世紀10年代の欧州弦楽四重奏教育のいくつかの流派を辿ってきたり、あちこちに顔を出している連中による「全欧f2選手権」って感じですね。10年代に本格的に始まったハイデルベルクの春音楽祭のコンクールや、パリのクァルテット・ビエンナーレのショーケースが、そろそろ若手発掘の場として機能し始めてるようなのも興味深いですな。

これら20代後半くらいの欧州で学ぶ世代となると、20世紀の終わりから今世紀初頭を席巻「アマデウス系」や「ラサール系」世代はもう審査員に入る側にまわっていて、その次が出てきているなぁ、と思わされます。時代はしっかりと動いている。

ただ、案外、というか、やはり「イタリアQという戦後のひとつの趣味を作った団体を顕彰するコンクール」という場所だからか、オランダベルギーやパリなどでひとつの勢力としてはっきり台頭してきているピリオド系、はたまた勢力としてはまとまったものにはなっていないものの北米では大きな流れとして確実に存在しているポスト・クロノス系の団体は、全く入っていません。

昨日今日の最初のラウンドは、このコンクール毎度お馴染みの「ベートーヴェン作品の冒頭楽章ひとつ」という課題曲は今回は作品18の1の第1楽章。それに、ハイドンかモーツァルトの成熟期作品を1曲まるまる、という、一昔前のフィギュア・スケートで言えば「規定競技」みたいなラウンドで、ぶっちゃけ、団体の地力を知るに理想的なステージであります(ここまで明快に古典ステージを設定する主要大会って、案外、ないんですよねぇ)。やくぺん先生ったら、上野でサーリアホのオペラを聴いて、サントリーでイェルサレムQのベートーヴェン初日を聴く合間にANAホテル足下のドトールでPC慌ててセッテイングし、最初の団体と2番目の団体をちょっとだけライヴで聴いたんですが
IMG_2100.jpg
勿論、ネットでの中継は途中にいくつかの処理が入るので、判らないことはいろいろあり、何より困るのが音のボリューム感(単純な音量とはちょっと違うんだわなぁ)が全然判らんこと。とはいえ、やはりこういうラウンドは有り難いなぁ、と思いましたです。最初の団体のハイドンなんぞ、「おいおいおい、どの先生にならったんだぁ」と苦笑しながらプロフィルひっくり返したり、近衛の血を引くお嬢さん(「おやかた」からすれば、曾孫世代ですな)がヴィオラに座る次の団体をかつての近衛邸ほど近くで聴く事実に妙に感じ入ったり。シュミット弟子のザルツの団体が、今風の古楽も知ってますよ、って片鱗を見せてるけど、なんせ名にし負う「音程フェチ」の先生のお弟子ですから、HIPというよりもそういう方向からの趣味かなぁ、とも。

今月半ばまで聴けますので、お暇な方はどうぞ。

[追記]

本日7日月曜日、日本時間の午後6時くらいから弾く予定だったフランスのアガーテQという連中が「隔離上の理由で、可能ならば10日に最初のセッションを延期」だそうです。

うううん、何があったのかしら。隔離の期間など最初から判っているだろうに。まあ、今は大会事務局に興味本位で尋るわけにもいきませんので、いずれまたなにか判れば、ということにしましょ。なお、プラハの春で勝った韓国の団体や、ボストンのカッツ教室の若いのは来ているので、「ヨーロッパ選手権」にはならずに済みそうですな。

nice!(2)  コメント(1) 
共通テーマ:音楽

遅ればせながら若者達の季節 [弦楽四重奏]

世間がコロナだ五輪だで大騒ぎのうちに、いつのまにか皐月も過ぎ、水無月となってしまいましたぁ。梅雨入り前の新帝都抜け、六郷川と鶴見川渡ってやってきた鶴見駅前ロータリを見下ろしながらコンビニで買った大人のガリガリくんパイン味なんぞペロペロ舐めてると、カラッとし切ってるわけではないけど充分に爽やかな風が吹き抜け、体に感じる空気や目に入る太陽の光は、まるでシーズンオフにコンクール行脚でICEが停まる駅に降り立ってさあ明日からどないしょ、ってボーッといてるときみたいな気分にすらなってくるぞ。

なんせ午後2時から、21世紀10年代に「ニッポン首都圏の弦楽四重奏の聖地」となってしまった鶴見はサルビアホールで、こんなシリーズが始まるのであった。
IMG_2018.JPG
本日はトップバッター、クァルテット・インテグラの皆さん登場じゃ。当電子壁新聞で敢えて宣伝しなかったのは、意外にも、というと失礼なんだけど、チケットがそれなりに動き、こんなご時世、溢れるようなことになったら困るかな、と思ったから。実際、100席の豪華過ぎる、弦楽四重奏には理想的過ぎる小さな会場にほぼ満員の聴衆が集まったのだから、これはもう、それだけで特筆すべき出来事ではあるまいかっ!

このミニシリーズ、もうお判りの方はお判りのように、当無責任電子壁新聞のカテゴリーとすれば「大阪国際室内楽コンクール」にしても全く問題ないラインナップ。なにしろ、本来ならこの5月の大阪で世界の若者に交じって闘っていたニッポンを代表する三団体が、大阪に向けて鍛えたら演目ドカンと並べ、日本いちばん口煩い聴衆達の前で競い合おうというのでありまする!実質上の幻の大阪大会国内本選みたいなもんですわ。

トップバッターとなったインテグラ、ベルク、シューマン、作品131って、逃げも隠れもせん演目を並べ、堂々の大演奏を繰り広げて下さいました。終演後は、大拍手!
IMG_2006.jpg
勿論、言いたいことはいろいろあったけど、ま、それは終演後に直接ご本人たちに言ったから、ここに記すようなものではありませぬ。正直、ベルクとシューマンのイ短調って、音楽としては似たようなものだし、作品131はいろんな意味で余りにも特殊な作品なんで、「若者よ、よくやった」としか言い様がないことも確かなんだけど…アンコールにチャイコフスキーの《アンダンテ・カンタービレ》をやってくれたお陰で、「あああ、なるほどこういう第1ヴァイオリンさんだからそうなるのね」って納得させてくれたから、今日のお仕事としてはやるべきことはやったんじゃないかしらね。

ただ、このサルビアホールという空間、ホントに怖いとあらためて思わされましたです。ともかく、本人達がそのつもりがあるかどうかにかかわらず、舞台の上でやってる細かいことがみんな聞こえてしまうわけで…

いろいろと場数を踏み、自分らのやりたいことをしっかり探してって欲しいものであります。なお、インテグラの皆さんに関しましては、ひとつ大きなニュースがあるのですが、秋の風を感じる頃になるまではまだ公表出来ません。乞うご期待、とだけ記しておきましょうぞ。

さて、次は金曜日のほのQですぅ。昼間に暇してる貴方、県境を越えるかを自主判断した上で、鶴見まで来たれっ!

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

もの凄く判りやすい弦楽四重奏編曲 [弦楽四重奏]

もの凄く暇なご隠居状態の昨今、ちょっとしたこちらのミスで昨日今日に予定していたクラリネットとピアノの些か特殊な演奏会に行けなくなってしまい、仕方なくというわけではないのだが、手元にあるホントに数少ない商売仕事をやってる湿っぽい日曜日の昼、皆様におきましてはいかがお過ごしでありましょうか。見下ろす大川の向こう、人形町の区民会館ではメサジュの《お菊さん》なんてもんをやってるそうだが、どうもそういう超珍品を喰らいに行くだけの精神のパワーもなく…

てなわけで、CDもオーディオもアクセス出来ないところに持ってきてコロナで公共音楽図書館が閉まっているこの瞬間、オフィス無し環境の唯一にして最大の味方たるNMLに数日ぶりにアクセスし、必要な音源を探そうとしたら、今月の新譜コーナーに引っかかってしまったぞ。へえ、オーマンディ指揮フィラ管の《運命》とか、凄いもんが入ってきてるなぁ、ああ天下のドイツグラモフォンの黄色いジャケットでロン・ユー御大指揮上海響の《カルミナ・ブラーナ》って相変わらずDG中国市場突っ込みは凄いもんじゃわい、バツェヴィチのポーランド語のオペラ全曲なんてどんだけ需要があるんだろーか…なーんて他人事みたいに眺めていく中で、ひとつの新譜に目が留まってしまったぞ。NMLはここでURLを貼り付けてもどーしよーもないので、Chandosrレーベルのオフィシャルページを貼り付けます。5月28日にリリースされたばかりで、もうNMLでは聴けますし、ダウンロードでの購入は出来ます。お皿が日本やら東京の輸入レコード屋さん店舗にまで届いているかは、ゴメン、知りません。
https://www.chandos.net/products/catalogue/CHAN%2020162
なんとなんと、解説のブックレットは無料でPDFがダウンロード出来るという太っ腹ぶり。ほれ。
https://www.chandos.net/chanimages/Booklets/CH20162.pdf

もうこれを読んでいただければオシマイなんだけど、一応、最低限のことだけを記しておけば、「皆様お馴染みのブロドスキーQ、ヴィオラ奏者さんはいろんな作品の弦楽四重奏編曲者としても知られている方でありますが、彼がバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全3曲を弦楽四重奏に編曲、ブロドフスキーQが演奏しました」というものでありまする。

思えば、バッハの作品って案外と弦楽四重奏への編曲がされていて、《フーガの技法》は20世紀半ば頃からの定番で、ヴィオラどうするんねん、っての含め、いろんな楽譜や録音が山のように出ていますな。ボロメーオQのニックが《平均律》全曲やら《ゴールドベルク変奏曲》を編曲して自分のとこでやったり、日本でも松原かっちゃんが五重奏に編曲したり、あれやこれやある。無伴奏弦楽器作品でも、《シャコンヌ》はいくつかの編曲があり、やくぺん先生も実際の舞台で耳にしたこともあります。わざわざ録音で聴く気はあまりしないけど、どういう編曲でやってもそれなりに格好は付くなぁ、と思わされる。あ、セント・ペテルスブルクQがヘンシェルQの音楽祭にゲストで呼ばれ、《シャコンヌ》弾いたっけ。その頃の演奏がYouTubeに上がってますな。
https://youtu.be/BJ3I39dptgo

そんないろんな編曲ものの中にあって、このブロドスキーのヴィオラ御大の編曲は、なかなか良く出来てます。ってか、全く違和感ありません。実際に楽譜も眺めずにチョロっと音だけをヘッドフォンで聴いてみるに、違和感は1ミリもなし。こういう弦楽合奏曲なんですよ、と言われれば、ああそうなんですか、としか思えぬもんになってます。特に、各曲の2楽章に置かれるフーガ楽章なんかは、もの凄く判りやすくなっていて、正直、判りやす過ぎないか、って感じちゃうほど。どうやらYouTubeにアップされてるみたいなんで、ご視聴あれ。これは公式な広報用としてのアップなのかしら?
https://www.youtube.com/watch?v=m-js_u3r8L4
まずこれを聴き、どういう曲か勉強し理解してからオリジナル楽譜をやってみましょうね、ってガイドブックみたいな音楽になってます。お仕事のながら視聴にはちょっと勿体ないちゃんとしたもんですわ。

弦楽四重奏のレパートリー拡大も、古楽奏法(HIP、というのが今風なのかな)が若い世代に常識になった今や、バッハより向こうに向けての発掘がドンドン進み、多声音楽であればなんでもあり状態になりつつある。そんな中で、今や重鎮クラスの団体がこういうもんをちゃんとレパートリーにし、コンサートでも弾いてくれるのは、有り難いことでありますな。

それにしても、ブロドスキーはハレーと、ペテルスブルクはイグレッグと、最後から3つ前と2つ前の民音室内楽コンクールで争って共に2位だった団体、ってのはなんの因縁なんだろーなぁ。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

元ペンギンがドヴォルザーク・チクルスやってます [弦楽四重奏]

忙中閑あり、の真逆、閑中忙あり、って妙な感じになってる梅雨入り前の梅雨っぽい皐月の終わり、カレンダーも大阪大会で埋まっていた(お陰でガラガラになっていた)日々が過ぎ、本日の初台を皮切りに昨年来のコロナ禍の中にあってもそれなりに頑張ってこの瞬間にやれる中での成果を着実に上げ続けている「現代音楽」業界のイベントが、水無月初めまでギュウギュウに立て込んで来ております。デュサパン→クセナキス→サーリアホと続き、その間に大阪崩れのニッポン代表若手弦楽四重奏団シリーズが鶴見で始まり、ちゃんとやれるのか未だ心配な初台の室内楽お庭へと雪崩れ込んでいく。

これがずーっと「緊急事態」が宣言される下、というのだから頭がクラクラしてくるぞ。

天皇ならぬIOCのお告げをひたすら唱えつつ狂気の夏へと突き進む特攻ニッポンはどうあれ、欧州はシーズンオフから夏にかけ、秋のシーズン通常再開に向けてそろりそろりと動き始めてる。オペラやらオーケストラやら、はたまたコンクールやら、派手な話はいろいろとパソコン画面通して伝わってまいりますし、地味でローカルな室内楽も再開されつつあります。クスQからは数日前に「コロナ禍になってから初の客を入れたライヴがあるぞ」という報告があった。当電子壁新聞では元ペンギンとして皆さんよくご存じのツェムリンスキーQからも、昨日、こんなメールが舞い込みました。面倒なんで、まんま、必要な部分を貼り付けます。ほれ。

Today, on Wednesday May 26, 2021, at 7:30 pm (Czech time), we will perform the small but lovely Movement F major B120, and then the first of the "mature" Dvorak quartets -string quartet no. 8 E major op. 80. The third piece today is a handful of joy and optimism - the famous string sextet op. 48. Today, we will have two special guests - one of the most famous Czech violinists of this time Pavel Sporcl, and also his brother Petr Sporcl. Both are great musicians, and the spirit of the sextet is very light and enjoyable. And, to explain how a quartet could engage a violinist for a sextet - our first violinist Frantisek enjoys playing viola from time to time! :-)

Just to tell you - since two days, the corona regulations in Czech Republic allow the audience in the concerts (50% of the capacity of the hall)!!! So, today after many months again, we will be able to welcome the audience in the hall! Thanks to that, the athmosphere of the concert will be different and I think that everyone in the hall will enjoy the concert so much today... :-)

The link to buy the tickets for the online stream is here:

https://goout.net/en/listky/zemlinske-kvarteto/jmii/

The price of the ticket is 149 CZK (cca 6 EUR). After the payment, you would get an e-mail with confirmation of the payment, and with the link for the concert. The concert will be always available in the website then, so if you do not manage to be online today, you can watch it any time later.
(Should you have any trouble with the payment, please write back to me!)

Thank you very much for all your support, and please stay safe and healthy!
Yours,
Petr Holman
Zemlinsky Quartet

チェコも、やっと半分の聴衆が入れられるようになったんですねぇ。

お暇な方はご覧あれ。それにしても、ホントならば、生誕150年の記念年を祝って世界のあちこちでツェムリンスキー弦楽四重奏全曲演奏会などをやりたいだろう元ペンギンなのに、残念だなぁ。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

「弦楽四重奏曲」という題名の管弦楽曲 [弦楽四重奏]

驚くなかれ、「緊急事態」下にある2021年5月もあと1週間を切ったところで、やくぺん先生ったら「弦楽四重奏」というフォーマットのライヴ演奏をひとつも聴いておりませんっ!もう言うのも哀しい、本来ならば今月は大阪大会で、最低でも10団体、演奏会の数としてはなんのかんので少なくとも2ダース以上の力の入った本番に接する筈だったわけで…ま、それが「コンクール」というものなんだから当たり前なわけだけどさぁ。

もといもとい。んで、それらがなくなっても、緊急事態宣言と言いながら地下鉄浅草駅に降りる人がひとりもいなかったような昨年の同じ頃とは様相は様変わり、演奏会はなんのかんのやってる。特に、「演奏会やオペラの開催に補助金を出す」というニッポン独自の文化助成制度のお陰で、既存のオーケストラやオペラ団体などは客席がどうあれともかく公演を行わねばならぬという世界に類例のない奇妙な事情があり、その類いの音楽は(がっつり禁止されている大阪を除き)鳴り渡ってるのは皆様ご存じの通り。

だけど、弦楽四重奏の演奏会は全国的にほぼ壊滅で、予定されていたものは前の日曜日の故岡山先生のご自宅サロンでのエルディーディQとか、去る土曜日のつくばでのアマービレのちょっと特殊な演奏会とか、数える程しかなかった。んで、どっちも諸事情で行けてない。

このままじゃあ、これだけ演奏会があるのに「弦楽四重奏曲」が全くない皐月かな、って思ってたら、いえいえ、あるじゃあないかぁ。そー、この演奏会があったぞ。
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=14358
ご本人は勿論、パリから遙か極東の島国まで来られる筈もなく、出演者も当初の発表からはあれやこれやの変更があったようですが、どうやら無事に開催されるようでありまする。んで、そのプログラムの中に、「弦楽四重奏曲第6番」なる題名があるじゃあないかい。

ああ、なんとか今月もひとつくらいは聴けるかぁ、と思えば、妙な副題がある。曰く、「~弦楽四重奏とオーケストラのためのハパックス」。そー、この作品、世にも奇妙奇天烈なことに、「弦楽四重奏曲」と謳いながら、なんのことはない、実態は弦楽四重奏とオーケストラのための協奏曲なのでありまする。

この作品、数年前の夏のサントリー音楽財団フェスティバルでデュサパン特集をやり、サントリーが委嘱した新作として初演を前にしていた《ペンテジレーア》の抜萃を出してきたという委嘱した側とすればちょっとムッとするようなことをされてしまったときに、遙々初演のアルディッティQを招聘して日本初演されてます。
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20140821_M_3.html
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2014-08-20
それほど昔のことではないので、覚えてらっしゃる方も多いことでありましょう。やくぺん先生とすれば、日本初演の前のパリの弦楽四重奏ビエンナーレでも聴いてるのはやっぱりアルディッティ御大で、別の奏者での演奏は明日が初めてなわけか。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2014-01-18

なんであれ、幸いにも明日の初台でチェロ務める猛烈お忙しの山澤氏が、ご自身のtwitterにデュサパン御大の解説をアップなさっているので、ご覧あれ。
https://twitter.com/operacity_hall/status/1397512854010466306/photo/2
うーむ、「なんであんたはこの曲を弦楽四重奏曲と呼ぶんねん?」という素朴な疑問に、腑に落ちるような答えがあるかはなんとも言えぬですが、こんな形態で二度と書く気はない、とはっきり仰ってますな。残念ながらパリでも映像収録はしていなかったようで、YouTubeにも音しかありません。こちら。

デュサパンって、正直、なんだかニッポンの音楽学校の優等生が卒業制作で書いて学内最優秀賞を獲得したり、芥川賞の候補作として演奏されたりするような昨今の若く才気溢れる作曲家さんが書きたがるような曲のお手本みたいな感じがあり、所謂「現代音楽」を聴き慣れた方なら、妙に懐かしさすら感じるような響きがするのだけど、この作品も全く抵抗感、ないでしょ。なんでこれ、弦楽四重奏曲なんじゃ、という疑問は、やっぱり残り続けるでしょうけど。

なんであれ、弦楽四重奏とオーケストラの協奏曲といえば、シュポアに始まり、エルガー、シェーンベルクの擬似バロック、くらいしか定番はなく、あとはガンサー・シュラーと、最近のヒット曲で我らがアタッカQの持ちネタたるアダムスの《アブソリュート・ジェスト》があるくらい。新作はそこそこあるものの…やっぱり、誰がどう見ても管弦楽曲でしかない楽譜を「弦楽四重奏曲第×番」などと堂々と名告ってるのは、古今東西デュサパン御大しかおらんみたいだわなぁ。

てなわけで、お暇なら、話のネタに明日の初台にいらっしゃいな。蛇足ながら、初台で「弦楽四重奏」が演奏されている丁度同じ瞬間、溜池でも「弦楽四重奏」が鳴ってます。
https://www.nhkso.or.jp/concert/20210527_2.html
こっちは、弦楽四重奏の弦楽合奏版。どーしてみんな、妙な変化球ばっかり投げるんじゃいっ、素直に4人で弾いてくれよぉ!

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

続・レッジョはホントにやれるのか? [弦楽四重奏]

嗚呼、ホントなら今日は大阪はいずみホール裏の宿舎滞在も1週間、コンクールの中身的にはハイライトになる弦楽四重奏二次予選が繰り広げられる筈…

なぁんて、もう毎朝恒例となった死んだ子の歳を数える妄想で目覚め、今日も今日とて早過ぎる梅雨空が広がる新帝都大川端、これまた朝恒例のメールチェックと定例Webサイト更新確認巡回をしていると、ああああ…

いよいよ開催が3週間後に迫った北イタリアはエミリア・ロマーニャ州レッジョ・エミリアの第12回ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール、もうひとつ参加辞退団体が出ました。
https://www.premioborciani.it/en/admitted-quartets/
現時点では、最も実績ある団体だった我らがシンプリーQに続き、ザルツブルク・モーツァルテウムのジャヴスQが2団体目の辞退となってしまったわけであります。

この団体、結成が2013年という今回の参加が許された団体の中では比較的長い経歴がある連中で、タイミングとしても「そろそろ勝ち所」というくらいのキャリア。学んでいる先生も蒼々たるものでありまする(まあ、この大会に出てくるクラスの欧州拠点連中は、どれもがこういう方々やらこういう弦楽四重奏育成組織でしっかり習って来ているのが当たり前、そうでないアジア拠点なんぞの連中の方が例外なわけだけどさ…)。そして、なによりも重要なのは、チェロがあのハーゲンQ第1ヴァイオリンと、おねーちゃんが弾けないときは代演としてレギュラーで出てくるその嫁さんの息子、というところ。つまり、ハーゲン家の遺伝子を21世紀半ばに繋げる名門団体、と言う事実でありまする。いまどきはあっさり音も出てくるもんで、ほい、これが2020年の演奏で、シューベルトの断章。
https://www.youtube.com/watch?v=3zMh6QrmQb8

遺伝子や血統が弦楽四重奏団をつくるわけではないのは百も承知だけど、やっぱり音楽をする環境、そしてなによりも音楽業界との繋がりの濃さというのは否めないわけでありまして、配信の音を聴いてもセミファイナルくらいまでは問題なく辿り着けそう。そういうクラスの団体が敢えてメイジャー国際大会を辞退するのは、それなりの深慮があってのことなのでありましょう。

現時点で参加10団体となったレッジョ、昨年のフィショッフ大会シニア部門優勝団体、先頃のプラハ優勝団体を含め、まだまだ注目すべき参加予定団体があります。みんな、開催の希望を捨てず、頑張って細川作品を練習するのじゃぞっ!

[追記]

日本時間5月21日早朝、公式ページが久しぶりに更新され、新たに日程表がアップされました。
https://www.premioborciani.it/en/eventi/

辞退団体はその後は増えていません。なお、現在、某審査員さんに個人的に別件メールでさりげなく「レッジョって、どうなってるの」と問い合わせておりますが、返事はなし。ううううむ…

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽
前の10件 | - 弦楽四重奏 ブログトップ