SSブログ

ガザ戦場化が伝わる中でショスタコーヴィチ第4番を聴く [弦楽四重奏]

ショスタコーヴィチ第4番とはいえ、交響曲ではありません。弦楽四重奏の第4番です。

昨晩、ルーテル市ヶ谷センターで、古典四重奏団がこの秋から始めた何度目かのショスタコーヴィチ弦楽四重奏全曲演奏サイクル第2回目の後半を拝聴してまいりましたです。なんで「後半」なのかは、ま、武士の情け(うーむ、使えん副詞句だなぁ)、尋ねんで下さいな。現在絶賛進行中、「秋も深まる新帝都首都圏勝手に弦楽四重奏ウィーク」一連の演奏会のひとつでありまする。
IMG_E0153.JPG
紹介記事はこちらをどうぞ。
https://ebravo.jp/archives/147638

てなわけで、このシリーズの経緯などは「ぶらあぼ」さんの記事をご覧になっていただくとして、ここには記されてないけど、いつものように「胴体に弦が張ってあれば何でも弾いてしまう」マルチ弦楽器奏者田崎氏のレクチャーがあり、ショスタコ関連作品やらなにやらを弦楽四重奏編曲であれこれ解説なさってくれた後の演奏会であります。

興味深いのは、「田崎さんは演奏家であり、ショスタコーヴィチやロシア音楽の専門研究者ではない」ということですね。こういうレクチャー、基本はやはり「これから演奏される作品について、最新鋭の情報をアップデートしている専門家にお話を伺う」ということになり、先頃無事に終了したエクのチクルスでも、この情勢下にペテルスブルクやらに行かれて研究なさってきた専門家の先生に来ていただき、最先端のショスタコーヴィチ研究情勢からのお話をしていただきました。

古典Qのこのシリーズでは、やり方がちょっと違う。田崎さんはあくまでも「そこにある譜面を音に再現する」のが仕事の演奏家で、その意味ではショスタコーヴィチもベートーヴェンと何一つ違うところがない。ひとりの演奏家として、今、この瞬間に楽譜に対面し、感じるところを語って下さるわけです。

実を申しますと、諸事情でレクチャー部分は遅刻しました。で、昨晩のレクチャーで田崎さんが以下の問題についてお触れになったか、知りません。ゴメン。つまり、あくまでも純粋にやくぺん先生の心情としてどうなのか、というどーでもいい感想でありまするので、その点を誤解なさいませんよーに。なお、シリーズは今年はこれで終わりで、来年、再来年と総計6公演で完結するとのこと。請うご期待。

1、4、5番を演奏した昨晩の古典Q、レクチャーの後に1番と5番を披露し、休憩を挟んで4番を弾く、というやり方でした。いつものように譜面台はなく、小さな東京の町場の教会、とはいえ立派なオルガンが後ろに控える前での演奏は、吊り下げられた十字架のオブジェがまるで録音マイクのように見える。弟子の作曲家との秘めたる(?)愛やら抽象的な作風に踏み出した第5番の後、本日のメインのように展開された第4番、みんなが大好きショスタコ節アレグロが弦楽四重奏にも姿を見せた第3楽章から切れ目なく繋がる第4楽章、逃げも隠れも出来ないユダヤテーマが堂々と繰り広げられる楽章でありまする。

ショスタコーヴィチとユダヤ音楽の問題って、みんな口にするけど、案外と「どうして?」って素朴な疑問にちゃんと答えてくれる人がいなくて、昨晩も「あああ、この頃はユダヤ運動家の義父をKGBに暗殺されたヴァインベルクとはもう親友だった筈だし、周囲にユダヤ系の関係者がいたのかなぁ」なんて毎度のことを無責任に妄想するわけですが、やはりどうしてもそれだけでは終わらぬ。なんせ、朝っぱらにはこういうニュースも伝えられていたし。
https://tempoprimo.co.jp/archives/8541

バービ・ヤールの谷がまた戦場になり、迫害されたユダヤ人がパレスチナ人を迫害し、憎悪が憎悪を呼ぶ世界の中で、自分の命も危機にある作曲家がユダヤ人の節を弦楽四重奏に託す。そして、悪循環がまた殺戮という最悪の形で晒されている今、受難のイエスが見下ろす空間で、70余年昔の(もしかしたらあるのかもしれない)メッセージに耳を傾けた晩。
IMG_0154.jpg

田崎さん、わしは何を感じたらいいんじゃろか…

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

R18のモーツァルト [弦楽四重奏]

先週金曜日から始まった1週間の「新帝都首都圏秋も深まる弦楽四重奏週間」、東北入口で震災原発事故十三回忌を悼むヴィルタスQによるバーバーの慟哭に始まり、コロナ禍を越え登場した新鋭ほのQ&前学長の若さと円熟の刻み、今や巨匠のやり放題ハーゲンQ、これまた日本拠点で実質初の「巨匠」と呼べる域に達しつつある古典Qの貴重なライヴ、正に今が盛りの頂点のカザルスQの果敢な挑戦、と21世紀20年代前半現在のこのジャンルの様々な姿を首都圏聴衆に示し、最後は翌日からの日韓友好演奏会に向かう脂の乗り切ったQエクセルシオ壮行で終わる、壮大な「勝手に俺だけプチフェスティバル」でありまする。

ちなみに2週間後に向かう実質たった10日の「欧州戦後のオペラ名曲選ツアー」でも、現代最高峰Qエベーヌの現在と、0年代末から10年代初頭にやくぺん先生一押しだったけどいろいろあってなかなか世間に出切らない感が残念なQザイーデの2公演は拾ってます。うううむ、ジュリアードQもQベルリン・東京も聴けず、第一線を退いたとはいえ、まだまだわしもしぶといのぅ。

さても、昨日はフェスティバルの世間的には頂点と看做されるでありましょうこちら。
IMG_0139.jpg
赤く輝く「売り切れ」が、天下のDGが最期に抱えた弦楽四重奏団としての栄光を輝かせておりますなぁ。400席のヴェニュといえ、3公演満杯ですからねぇ。田舎者隠居爺やくぺん先生としましても、ボルチアーニ・スキャンダルを引きずって内田光子推薦で登場してからメンバーの事故や急逝を経てのカルミナQや、東京Q以来の未だ「超難関」だったミュンヘンARD優勝を目にしたところから活動終了まで見切ることになったアルテミスQ、とまでは言わぬまでも、ニッポンではある時期から大曲のディレクターさんが腹を据えたことで内外各地でいろんな姿を観ることになったハーゲンQ(コンクール時代はまだやくぺん先生が業界に参入しておらず、シュミット氏加入前のロンドンやバンフは聴いてません。初めて聴いたのは案外遅くて、もうすっかりグラモフォン若手アーティストとしてロッケンハウスなどの常連バリバリになっていた90年代半ばくらいだったかなぁ)、昨晩の大曲初日の舞台を接するに、「あああああ、こういう風に巨匠芸になっていったかぁ」と感慨に浸るばかりの爺なのであった。

以下は自分への商売にならんメモとして記すものでありまして、読者対象はおりません。ですから、お忙しい方はここで帰って下さい。ここから先は読んでも時間の無駄にしかなりませんから。いいですねぇ。

さても、昨晩のトッパンハーゲン祭り第一夜、ぶっちゃけ、「これまでに大曲はトッパンの400席の会場で展開されてきたこの団体の芸を、良くも悪くも行くとこまで行かせ、個々人のメンバーのキャラをリミッターギリギリにまで突っ込んで普遍性が損なわれる直前で踏み止まった音楽」でありました。些か皮肉っぽくいえば、欧州の評論家さんが嬉々として翌日のレビューに書きそうな「個性」を前面に押し立てた演奏ですわ。終演後、江戸川橋駅まで神田川沿いを歩く道で信号待ちするチェロを背負ったお嬢さんとヴァイオリンケースのイケメンくんが交わしていた「濃厚だったねぇ」という会話は、プロの卵とすれば極めて正直な感想なのでありましょう。

《セリオーソ》ではいろいろ「おやおやぁ」と感じるところもあり、後半のラヴェルは「なるほど、そうでしょうねぇ」って半分「苦笑」で楽しめばいいや、ってもの。問題、というか、頂点はK.387で、これを本気で聴けばあとは娯楽でOKでしたな。

とにもかくにもK.387に限れば、猛烈に話がしやすい、譜面に「2023年神無月晦日の大曲でハーゲンQはこうやりました」というのを全部書き込めるような演奏。この日のハーゲンのやったK.387の耳コピを練習室でやろうとする若い連中も出てくるんじゃないか、って思うようなもの。カーネギーホールでルビンシュタインが《火祭りの踊り》を弾くと、翌日のジュリアード音楽院では学生達がみんな真似して弾いてた、って伝説がありますけど、ま、ある意味、それを彷彿とさせるようなもんでありました。どーでもいいけど、こんなん。
https://www.facebook.com/watch/?v=1585651008266009

第1楽章冒頭から「おいおいおい、どうしてこのフレーズをふたつに切ってうしろをそこまで極端な弱音にするんじゃい」、「おっと、アッチェルランドの指示前にそこまでルバートしますかっ!」、「calandoってのはそういう意味なのかぁあ」って、譜面に記される表情付けをこれでもかと拡大してきっちりやってくるんで、思わずのけぞりそうになる程のダイナミックスとアゴーギクの嵐が吹きまくる。

こういう「個性的」な表現というのは巨匠指揮者やらピアニストなら往々にしてあり得るもので、それが年輪を重ねた人だけが許される至芸となるわけです。ですが、譜面にソロと記される箇所や、ヴィブラートや弦の圧力や弓の速さで個々人のテイストでコントロールも出来る音色感とは異なる、音楽の大きな枠組みでの即興っぽさの強調は、まともな弦楽四重奏演奏としてはやりようがない。ちゃんと4人が判って、納得してやってみていること。

うううむ、これが弦楽四重奏の巨匠技なのかとビックリし、確かにこの曲って一音毎にフォルテとピアノの切り替えがいっぱいあるよなぁ、ってボーッと思い出している中で、冒頭楽章がこれでもかというピアニッシモで終わる。で、次の楽章になってもこの調子が続き、この人達ったら、「古典派の楽譜に記されたダイナミックスは実音指示ではなく表現の問題なのである」という古典は再現の大原則に敢えて堂々と立ち向かい、実音のダイナミックスでどこまで表現が深まるかの実験をやってみてるんじゃないか、と思えてくる。そう、ここはハーゲンQが頻繁に演奏会場として使う場所としては最も小さく、普通の意味で最も「音響が良い」ヴェニュだもんね。ましてやライヴ録音やら今時流行のネットでのストリーミング有料配信をしているわけでもない。やりたいことが自在に出来る瞬間なんだから。

なんだか思い出しているだけでも疲れてくるような譜面再現で、この作品の頂点たる人類史上最高のポリフォニーとホモフォニーの融合たる終楽章ったら、もしやくぺん先生が商売もんでこの演奏を表さねばならぬヒョーロンカなら、「ベートーヴェンの《大フーガ》の世界を予見する解釈で、弦楽四重奏の賢人らのこの連続3夜の演奏会の意図がハッキリと示されるものであった」なーんて偉そうに記すかもね。ま、なら、第2夜は《ラズモ》の2番じゃなくて3番で終わるべきじゃろ、って突っ込まれるだろーけどさ。

この団体はどうやって「巨匠」になっていくのかと思ったら、こういうやり方だったかぁ、と大いに感銘を受ける晩でありました。大きな身振りとは対極の、猛烈に繊細な雄弁さ。

なお、会場にたくさん押し寄せていたプロのクァルテット奏者の皆さんの中にいらした長老クラスの方にそーっと尋ねたら、舞台で今起きているダイナミックスの変化は、演奏の技術で実際はそれほどあるわけではない音量の幅を大きく感じさせていたわけではない、倍音のコントロールがスゴイので、とのことでした。となれば、ヴィーン・ムジークフェラインのブラームス・ザールやコンツェルトハウスのモーツァルト・ザール、はたまたヴィグモア・ホールくらいまでがギリギリ。ザルツブルクのモーツァルテウムのホールやら、パリは国立高等音楽院向かいのシテ・ド・ラ・ムジークなどではちょっと無理かもしれないことをやってことになる。

いやぁ、トーキョーの聴衆、もの凄く幸せ者だなぁ。とはいうものの、沢山いた実際に演奏する若い人たちとすれば些か刺激が強すぎる、結成18年以上を経た団体になるまでやってみちゃダメ、ってR18の演奏であったことは否めない。

さても、本日のモーツァルトのニ短調、全ての弦楽四重奏奏者に突きつけられた永遠の正解のない課題、冒頭楽章の「アレグロ・モデラート」なる指示をどんなテンポとして捉えるか、どうなることやら。それから、ピチカートの上の第1ヴァイオリン独奏で、モダン楽器では難しい倍音がどこまで響くか。もう1曲聴いたらオシマイ、って再現になるだろーなぁ。

ゴメン、売り切れだそうです。録音も放送もありません。

[追記]

第2夜のK.421ニ短調だけを聴かせていただきましたが、正直、拍子抜けといっては失礼ながら、想像の範囲に収まるものでありました。第1楽章のテンポ設定は比較的ノーマルながら、テンポそのものよりも第1主題提示のオシマイあたりから微妙にリタルダンドして、第2主題を微妙にテンポを上げていくのが面白かったです。確かにK.387みたいなベートーヴェンっぽいダイナミックスへの偏執っぷりは、さほど示していない楽譜ではありますが。なお、もうひとつの注目点だった第3楽章トリオのピチカート伴奏での第1ヴァイオリン独奏部分、やはり「古楽器」っぽい和声や倍音の響きの強調はなかったけど、そもそも倍音をテクニックとして駆使してるからなぁ。関係者の皆様、ありがとう御座いました。勉強になりました。

やはり古典はオモシロい。最近、もうロマン派は娯楽で何があっても「ああそうじゃのぉう」と鷹揚に割り切ってしまう偏屈爺なのじゃ。


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ジュネーヴは今回も総取り… [弦楽四重奏]

本日早朝というか、深夜というか、遙かレマン湖の畔90年代末までのメイジャー大会だったエヴィアンの麓たるジュネーヴで、エヴィアンがボルドーに移った今世紀に復活した歴史ある総合国際コンクールの弦楽四重奏部門ファイナルが開催され、結果が出ました。以下です。公式は毎度のようなもんなんで、早速アップされているThe Stradの記事でどうぞ。あれ、限定かな。
https://www.thestrad.com/news/novo-quartet-wins-at-the-2023-concours-de-geneve/17208.article

ご覧のように、ファイナルで最後に弾いたノヴォQの優勝。セミファイナルでいちばん素晴らしかったで賞を除き、聴衆賞、ジュネーヴ近郊の若い聴衆賞、ジュネーヴ大学生賞、お寺で演奏させてあげま賞、など各賞総取りですな。面倒なんで、貼り付けます。ご覧あれ。

SPECIAL PRIZES

AUDIENCE PRIZE: CHF 1,500.-
Novo Quartet
The Audience Prize is awarded by the spectators of the Final Rounds. The finalist who receives the most ballots is the winner of this prize.

YOUNG AUDIENCE PRIZE: CHF 1,000.-
Novo Quartet
The Young Audience Prize is awarded by a group of students from public and private schools in Geneva, having formerly received a specific training. Their eval- uation asses the two Final Rounds.

STUDENTS' PRIZE: CHF 1,000.-
Novo Quartet
The Students’ Prize is awarded by a group of students from the Faculty of Music and the Department of Musicology of the University of Geneva, who evaluate both Finals. It is integrated in their official curriculum. The Students’ Prize is offered by Ms. & Mr. Hervieu-Causse.

CONCERTS DE JUSSY PRIZE: CHF 4,000.-
Novo Quartet
The “Concerts de Jussy” Special Prize is awarded to the winner of the String Quartet Competition and consists in a concert on October 30th at the Temple de Jussy.

FONDATION ETRILLARD PRIZE CHF 5000.–
Quatuor Elmire
The “Fondation Etrillard” Prize is awarded by the Jury to the quartet finalist who has presented the most remarkable personal artistic project during the semi-final round.

我らがハナQは同率2位で、3位はなし、という結果。審査員さんたちがなかなか優しかったですね。前回以来のジュネーヴの特徴というか、目玉として、「地域の一般中高校生と、ジュネーヴの大学生とがそれぞれ最もアピールした団体に特別賞をあげる」という奴があるけど、前回はこの賞をヴィジョンQが総なめ、今回もノヴォQが同様に、という結果になってますね。「地域や開催都市の若い人たちにコンクールに関心を持って貰う」という意味では有効でしょうし、なんせここは参加者を民泊させているわけでそのボランティアがいなくなると運営が困る。だから、やる意味はあるんでしょうがぁ…この2度の結果を見ると、ちょっとやり方を変える必要もあるんじゃないかなぁ。

セミファイナル以前にどう対応しているかを含め、ホントに審査員の誰かにちゃんと話を聞かないとなぁ、と思ってしまうのは現役の感覚が残りすぎておるわい。来月、ヴィーンでエベーネQ聴くけど、ツアー最中だから楽屋でガブリエル捕まえてそんな話は出来んし、うううむ。

ま、とにもかくにも我らがハナQが業界内でチェックされるポジションをなんとか確保出来たのは良かったでしょう。正直、結果だけから見ると圧勝だったに思えるけど、ファイナルをストリーミングで聴き、メンデスルゾーン2番の第1楽章までで「ああ、もういいや」と思って寝ちゃったいーかげんな無責任聴衆とすれば…なるほど真っ当といえば真っ当ですな、という感じでした。メンデルスゾーンの2番だけをファイナルで弾いて勝った団体って、過去のメイジャー大会ではなかったんじゃないかぁ。隠居爺の感覚からすると、いろいろ問題を感じてしまうなぁ。現場にいたら、個人的には荒れたか、呆れたかだろーなぁ(前回もそうだったけど)。

ハナQ、ヴィオラさんもケルンのオケに乗っているというし、ドイツの大手マネージメントはオケに入ってるメンバーがいる若手は原則契約しませんから、なかなか難しい道が待っていることは自分らも判っているでしょう。前回のメルボルン優勝でベルリンフィル団員以下独都の若いオケメンバーを揃えたノガQが、結局は「ライジングスター」に出てこられてないのもそれが理由ですから、さてどうする。コロナ以降、常設弦楽四重奏団の存在がもう無理ではないかとすら言われているドイツでも、「若い頃からオケのメンバーで生活を安定させながら、常設弦楽四重奏団を目指す」という日本式の弦楽四重奏団運営が表に出てくるのかなぁ。

てなわけで、2023年のメイジャー大会はこれでオシマイ。コロナ時代は一段落、なのかはまだ判らんですな。こちらからラウンドの全ての演奏が視られますので、お暇な方はどうぞ。
https://www.concoursgeneve.ch/


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

本日ジュネーヴ大会本選です [弦楽四重奏]

いつの間にやら神無月もオシマイ。本日日曜日、遙か欧州はジュネーヴの大会
https://www.concoursgeneve.ch/section/competitions/string_quartet_2023/
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2023-10-10
いよいよ本選でありまする。

詳細は上の公式URLからご覧になっていただけばいいとして、一応、ファイナリストを記しておくと

QUATUOR ELMIRE, France
David Petrlik, Yoan Brakha (Violins)
Hortense Fourrier (Viola)
Rémi Carlon (Cello)

QUARTETT HANA, Germany
Fuga Miwatashi, Gyurim Kwak (Violins)
Emiko Yuasa (Viola)
Johannes Välja (Cello)

NOVO QUARTET, Denmark
Kaya Kato Møller, Nikolai Vasili Nedergaard (Violins)
Daniel Śledziński (Viola)
Signe Ebstrup Bitsch (Cello)

ま、順当なところですね。アストQってお嬢さん達、まさかこれだけの為にソウルから来たわけじゃないんだろうなぁ。欧州拠点じゃなかったらキツいわなぁ、これって。

ちなみに本選は現地時間の午後2時(日本時間午後10時)から、順番と演目は以下。

ハナQ:メンデルスゾーン 第3番 ニ長調
Qエルミーレ:ベートーヴェン《ラズモフスキー第2番》
ノヴォQ:メンデスルゾーン 第2番 イ短調

ネットライヴはあると思うんだが、ゴメン、めっからないぞ。問題のオンラインリサイタル・セッションは、こっちで視られます。
https://www.concoursgeneve.ch/section/2023_string_quartet

それにしても、ファイナルでメンデルスゾーンの2番だけとかって、うううむ…そういう時代なんですかねぇ。ま、そのうちどっかでウィリアムでも捕まえて、なんか喰わせて話をちゃんと聞かんとなぁ。

とにもかくにも、ここまできたら、頑張れ我らがハナQ!

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

気付けばクァルテットの秋なのであった [弦楽四重奏]

一昨日にミサゴ舞飛ぶ温泉県盆地から戻り、昨日はここで聴いておかないといつ聴けるかわからんと一念発起し突然のいわきへの1泊プチたびの空。今、未だに夏と冬が喧嘩しているようなアヤシい天気の東北の外れから北関東を延々と常磐線で南下し、上野へと向かっておりまする。周囲は北関東から新帝都に遊びに行く若い人ファミリー爺婆でいっぱい、関東は賑わっておるなぁ。

なんのかんので結局のところ実質10日間となった今回の新帝都滞在、来月は半分以上ニッポン列島を離れているし、その後はその後の処理で温泉県盆地に籠もる予定なんで、年末の長逗留までの最後の長期新帝都滞在。なんせハイシーズンとあって、当然ながらほぼ毎晩どっかの演奏会場やらに繰り出していることになり、佃縦長屋で夕飯食えるのは…2日くらいしかないかも。で、以下、今更なんの用事もなかろうが、やくぺん先生の世を忍ぶ外の人を捕まえる必要がある方のために、出没メモでありまする。

10月27日:いわきアリオス音楽小ホール ヴィルタスQ
28日:東京文化会館小ホール ほのQ&澤和樹
29日:ハクジュホール 東京クライス・アンサンブル ヒンデミット八重奏曲など
30日:東京文化会館大ホール 都響定期
31日:トッパンホール ハーゲンQ
11月1日:ルーテル市ヶ谷センター 古典Q ショスタコーヴィチ・シリーズ
2日:浜離宮朝日ホール カザルスQ 《フーガの技法》
3日:東京文化会館小ホール エク定期

4日から5日は、結局エクの韓国地方公演には付き合わないことにしたんで(スイマセン…)新帝都におりまするが、当初は日本を離れている予定だったんでまだ日程を立ててません。ゴロゴロしていたい気もするがなぁ…そういうわけにもいかんじゃろのぉ。

って眺めると、おおお、久しぶりにとーきょー・クァルテット・ウィークじゃないかぁ。残念ながら第2ヴァイオリンのMrリンカーン以外はひとりも知らないメンツになってしまったジュリアードQは全く拝聴出来なかったものの、そもそも演奏会が凄く少なくなってるハーゲンQが一度聴けるわけだし、カザルスQの切り札演目(ヴィオラはどーするんだろー…)がなんとか聴けるし。オケもひとつくらいちゃんと聴いておかないとね、って感じだし。案外とロートル爺らしいラインナップではないかい。

そこから先の、爺とは思えぬ怒濤の日々、東京→ソウル→大分→ヴィーン→パリ→フランクフルト→パリ→東京→千葉某真言宗寺亡父十三回忌、という地獄の日程、果たしてこのところ突然右肩が痛みで上がらなくなる老体が持ちこたえるのやら…

ともかく、もう暫く生きていこう。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

エク韓国公演発表 [弦楽四重奏]

以下、本日の浦安でのエク公演でNPOエクプロジェクトブース辺りに地味に貼り付ける告知です。昨日の大森さん同様、商業ベースでガンガン宣伝するという今時のクラシック音楽業界とは異なる仕組みのイベントなので、当無責任私設電子壁新聞でのみ勝手に告知します。ご関心の向きは、ソウル公演、今ならチケットの手配も可能です。昌原公演は既に売り切れだそうで、残念ながら手配出来ません。悪しからず。
エクセルシオ 韓国公演.jpg
エクセルシオ 韓国公演.pdf

なにせソウル公演は、「ソウルのサントリーホール」たるロッテホール(小ホールはないので、大ホールです!)で、政府関係者も来るの来ないのという大事になっているみたい。どうなることやら。

なお、雑用やくぺん先生はボランティア・カメラマン(&ことによるとツアーガイド)としてソウルには馳せ参じます。昌原は当初は行く予定だったのですが、流石にその後の欧州ツアーと日程が近すぎバタバタしていて、現時点では無理そう。温泉県盆地オフィスからだと、単純直線距離だと岡山より近いくらいなんだけどねぇ。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ジュネーヴ大会もう始まってます [弦楽四重奏]

室内楽の歴史に残る(?)「国際レベルのピアノ三重奏コンクール三連発+α」という異常な2023年がトロンハイムで幕を閉じたと思ったら、大阪、メルボルンに続く今年最後のメイジャー(うううむ、開催史は長いと言え、今のボルドー大会がお隣エヴィアンでやっていた頃の実質中断期間もあるので、「メイジャー」のひとつと言うにはちょっと微妙ながら…)弦楽四重奏大会たるジュネーヴ国際音楽コンクール弦楽四重奏部門も既に始まっておりました。今月末開催で、残念ながら来月欧州渡航の際についでに覗けないなぁ、と思っていたんだけど…

ミュンヘンARD同様に「いろんな課目の中から数年おきにいくつか選んで開催」というデパート型のやり方で、今年はフルートと弦楽四重奏。とにもかくにも弦楽四重奏部門の公式ページをご覧あれ。
https://www.concoursgeneve.ch/section/competitions/string_quartet_2023/
「第77回ジュネーヴ大会は10月23日から11月4日に開催されます。メンバーは35歳以下で合計年齢は120歳以下です。」って書いてあるじゃん、まだ始まってないじゃん、って思うでしょ。でもぉ、なんだか様子が変なんですね。だってさ、「参加団体」とあって、ポチョっと押すとずらずらっとエントリーリストが出てきて、15団体も並んでら。ああ、相変わらず、ニッポン拠点の連中は誰もおらんなぁ。

ALBERO QUARTET, Korea
Kaewon Ma, Yeojin Lee (Violins)
Woojin Lim (Viola)
Yejin Kim (Cello)

ANIMATO QUARTET, Netherlands
Inga Våga Gaustad, Tim Brackman (Violins)
Elisa Karen Tavenier (Viola)
Pieter De Koe (Cello)

AST QUARTET, Korea
Sungmoon Kim, Minju Park (Violins)
Jinju Yang (Viola)
Eunju Cheung (Cello)

ATENEA QUARTET, Spain
Gil Sisquella Oncins, Jaume Angelès i Fité (Violins)
Bernat Santacana i Hervada (Viola)
Iago Domínguez Eiras (Cello)

ELAIA QUARTETT, Germany
Iris Günther, Leonie Flaksman (Violins)
Francesca Rivinius (Viola)
Karolin Spegg (Cello)

QUATUOR ELMIRE, France
David Petrlik, Yoan Brakha (Violins)
Hortense Fourrier (Viola)
Rémi Carlon (Cello)

QUARTETTO EOS, Italy
Elia Chiesa, Giacomo Del Papa (Violins)
Alessandro Acqui (Viola)
Silvia Ancarani (Cello)

QUARTETT HANA, Germany
Fuga Miwatashi, Gyurim Kwak (Violins)
Emiko Yuasa (Viola)
Johannes Välja (Cello)

KANDINSKY QUARTET, Austria
Hannah Kandinsky, Evgenii Artemenkov (Violins)
Ignazio Alayza (Viola)
Antonio Gervilla Díaz (Cello)

QUATUOR MAGENTA, France
Ida Derbesse, Elena Watson-Perry (Violins)
Claire Pass-Lanneau (Viola)
Fiona Robson (Cello)

MODULOR QUARTET, Switzerland
Gregor Hänssler, Beatrice Harmon (Violins)
Mila Krasnyuk (Viola)
Milena Umiglia (Cello)

MOSER STRING QUARTET, Switzerland
Kanon Miyashita, Patricia Muro Francia (Violins)
Ariadna Bataller Calatayud (Viola)
Lea Galasso (Cello)

NOVO QUARTET, Denmark
Kaya Kato Møller, Nikolai Vasili Nedergaard (Violins)
Daniel Śledziński (Viola)
Signe Ebstrup Bitsch (Cello)

QUATUOR WASSILY, France
Marine Faup-Pelot, Vincent Forestier (Violins)
Clément Hoareau (Viola)
Raphaël Ginzburg (Cello)

なのに、その直ぐ下に「セミファイナリスト」とあって、またポチョ、っとすると…

AST QUARTET, Korea
ATENEA QUARTET, Spain
QUATUOR ELMIRE, France
QUARTETTO EOS, Italy
QUARTETT HANA, Germany
NOVO QUARTET, Denmark

って6団体の名前が挙がってます。なんなんねん?

どうやら、今年のジュネーヴは…

20 April : 参加受け付け終了
8 – 9 May : ヴィデオ審査
10 May : 参加団体決定
10 July : オンライン・リサイタルのヴィデオ〆切
18 – 20 September : オンライン・リサイタル放送
21 September : セミ・ファイナル参加者発表
25 September : オンライン・ワークショップ開始 ←今ここ
23 October : ジュネーヴ音楽院で開会セレモニー
24-25 october : 音楽院でセミ・ファイナル開始

ということになってます。これはもう中身的には、「ぐぁんばれ僕らのハナQ!」でしかないわけじゃなぁ。コンクールとしての運営の仕方としては、なんとなんと、「予備審査で大会参加者とされた15団体は、その後、自分らでヴィデオで1次予選の演奏を収録しジュネーヴ大会に送り、大会はそれを公開し審査、6団体を選び、今月23日にジュネーヴに集まって貰って、セミファイナル、ファイナルをライヴで開催する」ということでんな。

なんのことはない、実質的には「参加は6団体で、15団体まで絞られたテープ審査の最終ステージを一般公開でオンラインで行う」ってことですわ。

ええええええ、って腰を抜かすでしょ。そりゃ、これをやれば経費は一気に削減されるし、1次予選で40分弾く為にチェロ含め実質5人が14時間飛行機乗ってジュネーヴまでやってきて、はいオシマイ、ってどう考えても無駄な、でもどうしようもないよねぇ、とコンクール関係者が常に頭を抱えている大問題が、あっさり解決されるわけですわ。

コロナ禍でのオンラインやテクノロジーの発達を前提に、タブーを破るとも言えるやり方で国際合奏コンクールの永遠の課題をクリアーしようとしているジュネーヴ大会。流石に第2次世界大戦中も開催していた唯一の国際コンクールだけある、とその割り切り方を賞讃すべきや、はたまたこれじゃダメじゃんと呆れるべきか?

審査員に今井信子さんやエベーネの第2ヴァイオリンくんもいるので、訊ねてみねば。

あ、ヴィーンのエベーネの切符、昨日発売じゃないかぁ、すっかり忘れてた!

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ベルチャQ第2ヴァイオリン決まりました [弦楽四重奏]

今年の春前から現場で目撃していた方からはいろいろな情報があったことで、あたくしめがなんのかんので聴けなかった去る4月のブーレーズ・ザールでの演奏会でもそうだったようですが、この半年ほどのベルチャQ演奏会が第2ヴァイオリン代理メンバーで行われておりました。

コロナ禍は弦楽四重奏の世界には非常に大きな影響を与えていて、それは若い団体だけではない。既存の、それも現役横綱の東と西を争うような普通の意味で「売れている」団体でも、4人のメンバーが同じようなモーティヴェーションと同じような方向性で音楽を続けるのは困難な時期が続き、その結果、新たなフォーメーションとなっている団体がいくつもあります。

ベルチャQに何があったかはホントに知らないけど、ともかく、創設メンバーのラウラが0年代の終わりにナッシュ・アンサンブルに転出した後の黄金時代を支えてたセカンドくんが抜け、新たなメンバーが決まったようであります。こちら。
https://www.belceaquartet.com/

なんせ猛烈に作り込むタイプの団体ですから、この秋からの新フォーメーションでのレパートリーは極めて限られたもののようですけど、イスラエルからトルコのツアーのあとに北米、それからドイツ、英国と、順調な活動は続いているようでありますな。流石に「常設弦楽四重奏団」が作られるための条件たる「結成から10年は嫌になるほど一緒にいて弾いている」という時代はとっくに過ぎていますから、演奏回数はそれほど多くはない。それでももう問題ない時期に入った円熟のアンサンブルとして、今やアーティスティックな意味ではなく経済的な意味でその存続が危機に瀕している「常設弦楽四重奏団」のトップとして、しっかり活動を続けてほしいものであります。

来年の初夏にニッポンを訪れ、いよいよトッパンやら、なんと鶴見などという猛烈な贅沢もあるそうな。請うご期待。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

弦楽四重奏の配置について [弦楽四重奏]

些かどころがガッツリ旧聞に属し、惚け老人候補やくぺん先生個人としても南の島シンガポールやら新帝都の祭りの彼方の記憶になりかけていることなんだけど、こういう演奏会がありましたです。
365936755_1394216547822551_8059128008172444032_n.jpg
演奏しているマイ・ハート弦楽四重奏団ひろしまについては、こちらをご覧あれ。
https://takashiokita.jp/

要は、そろそろ高齢者くらいの世代の広響ベテラン団員さんなどがやっている、オケベースのローカル団体です。当電子壁新聞を立ち読みなさるような酔狂な方なら、やくぺん先生が使う「ローカル」という言葉はネガティヴな意味ではないとご存じでしょうから、ま、どーのこーの言いません。この団体の活動やら評価やら、知りたかったら勝手に調べて下さいな。

んで、翌日に遙かシンガポールに向かうというこの日、わざわざ関空対岸の宿に仮眠みたいな宿泊をすることになっておったわけですがぁ、そんなときに大阪は伊丹空港最寄り阪急駅から15分くらいの川西能勢口駅南口真ん前の駅ビル「アステ市民プラザ」上層階に入ったアステホールなる半端に広いコミセン講堂みたいなところでこの団体がドヴォルザークの作品105なんぞ弾くとなれば、まさか知らんぷりもできまいて。かくて、朝っぱらに温泉県盆地からバスで熊本空港まで向かい、台風であちこち混乱、到着が遅れるANAさんのダッシュ8君に無事に飛び乗り、阿蘇眺めながら豊後竹田、大分半島先っぽ空港を眺め、瀬戸内海の島々を跨ぎ、今晩はあそこに泊まるんじゃなぁと関空島対岸の本来ならばツィンビルになる筈だった半分が大阪湾の光に逆行を晒すのを見下ろし、伊丹空港に着陸。なんとか開演時間に駆け込めた次第。

この団体には、知る人ぞ知るもの凄い特徴があります。それは、こちら。ほれ。
365988999_1336251733994254_3069910315788283176_n.jpg
お判りかな。配置であります。

弦楽四重奏の配置はどうあるべきか、永遠の正解のない議論でありまするがぁ、正直、歴史的には正解などない、というのが正解でありましょう。演奏するご本人らが弾きやすく、聴衆を想定している場合には聴衆にとって猛烈におかしなバランスになるとか物理的に聴こえないとか、そんな困ったことにならない限り、どんな風に座ろうが立とうが、はたまたヘリコプターに乗り込もうが、そのグループのお好きなように、はたまた作曲家さんが指定したいならまあ敬意を持って可能な限りはそれに従ってあげましょうか、って以上のことは言えません。

とはいえ、やはり結果として行われている配置にはいくつかのパターンが出来ているわけですが…このマイ・ハートQ という団体、恐らく一回こっきりの臨時編成ならともかく、メンバーの交代はあろうが数十年に渡って活動してきている団体としては唯一無二の、トンデモない座席配置で弾き続けているのですよ。

上の客席から眺めたスチール写真では、開演前にガチャガチャ椅子が置いてあるだけのように見えますので、動画でご覧あれ。ほれ。昨年の収録のようですね。
あれ、チェロさんがいつものメンバーじゃないような気がするけど、ま、そこはそこ。ご覧のような絵面ですわ。なかなか衝撃的ですよねぇ。弦楽四重奏にお詳しい方であればあるほど、この映像眺めて、頭がクラクラしてくるでしょ。なんじゃこりゃあああああ、ってね。

ちょっと斜め方向を向くように客席を向いた椅子が前後2列並んでいる。演奏家が出てくると、前列は客席から見て左が第1ヴァイオリン、右がヴィオラ。奥の列は左が第2ヴァイオリンで、右がチェロです。で、前列の2人は後列の2人を振り返って見ることもなく、みんな客席方向を向いたままで演奏します。つまり、第1ヴァイオリンとヴィオラは、第2ヴァイオリンとチェロとのコンタクトは完全に音のみ。アイコンタクトなどは一切ない、ということ。

動画では「へええ」って感じでしょうけど、これ、ライヴで眺めると、ちょっと驚きますよ。実際の音の出方は、下手から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、と半円で座っているスタンダードな配置と、見かけほど大きな違いはないんですけどねぇ。

なんでこんな配置をするのか、正に「誰もやらないには訳がある」だろうことを敢えてやっているのですから、演奏している方々にはハッキリと意図や意味があるのでしょう。その部分を突っ込んでる同業者さんの記事やら、演奏家さんたちが説明している文章などは、寡聞にして目にしたことがありませぬ。

じゃあ、お前、自分で尋ねろ、って言われるでしょうから、もうこれでこの話はオシマイ。関心のある方は、演奏会に出かけて、直接きいてみてくださいな。

この演奏会、もうひとつ極めて興味深いことが。当日配布の刷り物、ピラっと開くと、こういうページがありました。
IMG_E7870.JPG
お気づきかな。真ん中から下のところ、川西市長、広島市長の前に、「衆議院議員 岸田文雄」さんの祝辞が刷られてるんですね。

え…でしょ。さすがにこれは当日MC担当だった川西出身のヴィオラ奏者沖田氏も説明が必要だと思われたか、客席に向けて「内閣総理大臣という肩書きでこういうところに祝辞などをいただくには、官邸の面倒な手続きが必要でなかなか大変でして…」とのこと。そーり大臣になる遙か前から、広島選出の衆議院議員として支援してくれているので、そっちなら問題ない。で、こういうことになってるんだそーです。

いやぁ、世の中、いろいろ難しいことや判らないことがまだまだ沢山あるなぁ。ちなみにマイ・ハートQ、この演奏会の後に広島の三次市でドヴォルザークの作品105と106の録音をしたそうな。残念ながら、というべきか、録音パッケージになってしまうと、この配置 だと判らないんですよね。その方が良いともいえるんだろうけどさ。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

タンQ(唐四重奏)の30年 [弦楽四重奏]

大変に失礼ながら、寡聞にしてタンQが結成30周年を迎えていたとは知りませんでしたです。あらためて、御目出度う御座います。
https://www.tangquartet.co/

今、シンガポールをウロウロしていろんな人に遇ったりしてるわけでありまするが、昨晩、来年頭の室内楽フェスティバルの参加者のひとりとしてホーカーズで気楽に飯食った奴が、なんのことはないコロナ前までタンQのチェロを弾いていた創設メンバーのレスリー・タン氏だったわけでありまする。
IMG_7535.jpg
ちなみに一緒に真剣に話をなさっているのは、言うまでもなく、元ハレーSQチェロの我らが山本ゆーちゃんさんでありまする。前世紀の終わり頃という同じ時代にアジアで弦楽四重奏をやってたパイオニアの、遅すぎる邂逅でありますな。

90年代の初め頃、ヴィオラとチェロの唐兄弟らシンガポール響の若いメンバーが一念発起、このライオンの島で初の「常設弦楽四重奏団」としての活動を始め、オーブリンに留学したり、ヨンシュトウ音楽院発足後はそこでファカリティをしたりと、創設メンバーはコロナ前までメンバーを交代せずに活動を続けておりました。やくぺん先生ったら、なぜかハレーが東南アジアツアーをした1993年だかにたまたま昔のヴィクトリア・ホールでタンQの演奏会を聴いていて、ラズモの2番やったりしたのは今でも覚えてますわ。その話をしたら、ああああ遠い日の…とレスリーは苦笑してたけどさ。

コロナ禍が関係あるのかは知らんけど、事実としてコロナ禍を経て、創設以来の唐兄弟が団を離脱、今はチェロは1991年生まれのお弟子さんというもの凄く若い奴が入って、活動を続けているようです。ちなみにレスリーは今はバロックチェロを中心の活動にシフトしていて、来年1月に予定されている室内楽フェスティバルにもチェロ奏者として出てくるみたい。ま、その辺りはいずれまた。

遙か南の島にも、弦楽四重奏で生きていこうとしてきた奴らがいる。その記録を今、取り寄せ最中。果たして手に入るのやら。でもこれはやくぺん先生文庫には必須だなぁ。
https://www.tangquartet.co/tangat30.html

では、タンQの演奏をどうぞ。ちょっと前、創設メンバーのローカル作品です。ケリー・タンって、親戚かしら?

地球上に広がる弦楽四重奏の世界、まだまだ知らんことがいっぱいあるなぁ。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽