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3月の指輪 [音楽業界]

昨年イースターから初夏のロックダウン期には、もう目が潰れる、視力が明らかに落ちる、って程に世界中からの配信のオペラ舞台を眺めまくっていたけど、オフィス撤収が決まった頃から画面を数時間も眺めるなどという作業はまるでやる気がなくなり、もうZoomコンファランスなどを見物に行く気もなく、ホントに隠居爺になりつつある今日この頃。それはマズいだろうと思いつつも、相変わらずあちこちから「こんなんやるぞ」という連絡は来ても中も開けずに、はいはいそうですかぁ、と削除しちゃう状況。うううむ、現役復帰が出来なくなりつつあるぞ…

そんな中、これくらいは世間に知らしめないとマズいかな、って情報です。先程、サンフランシスコ対日戦勝記念オペラハウスの広報さんから送られてきたリリース。ほれ。
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https://sfopera.com/opera-is-on/ringfestival/

3月の頭から3週間くらい、完全ヴァーチャルで《指輪》フェスティバルをやるそーな。一種の教育プログラムなのか、なんであれ有料で2018年のサイクルが順番に全曲放映される。このサンフランシスコの《リング》、ヨーロッパでは凄い田舎まで情報が流れるニッポンのヴァーグナー・マニア業界の中にあってすっかり無視の北米系なんで、あまり知られてないかも知れませんが、恐らくはWebイベントとしての作り込みは期待出来るんじゃないかしらね。英語だからアクセス出来る人も多いでしょうし。3月9日には、アレックス・ロスが出てきて喋るんだなぁ。16日の「21世紀のリング」というレクチャーは、関心のある人はみんな視た方が良いんじゃないかしらね。

イースター明けまではまともに世界中のオペラハウスが動いていないような状況で、こういうやり方で盛り上げていくのはおおいにあり得るのでしょうね。なんせこの劇場、大きな新作初演などが出るときには、新書本一冊くらいの量の充実した特設Webサイトをつくるところですから、これくらいはお手の物、ってかな。

演出は、神様たち、なかなか楽しそうだしぃ
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ブリュンヒルデの御就寝をみんな映像で観てるのかな、コロナ時代の先取りみたいだなぁ。
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てなわけで、ニッポンでは初台で《ヴァルキューレ》、マドリッドでは《ジークフリート》が出てる3月の指輪、貴方のPCでもじっくりお楽しみあれ。それにしても、サンフランシスコはなんでこのタイミングでやるんだろーか?

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新しい日常のための舞台劇 [音楽業界]

今年2021年はストラヴィンスキー没後半世紀の記念年でありまする。一昔前なら、「さあ、著作権がフリーになるからジャンジャンやれるぞ」という記念年だった没後半世紀なのに、いつの間にやら没後著作権がドンドン伸び、地域の特殊事情などもあるし、今やもう訳が分からぬことになっており、実利的なお祭りではなくなってしまったのが残念であります。

なんにせよ、「没後半世紀」というのは、その創作家さんがホントに社会的なアイコンとして定着しているかを判別するひとつの指標としては便利な長さではあります。というのも、このくらいの時間が経つと、その作家さんと直接の知り合いだったり、演奏へのアドヴァイスを貰っていたり、あるいは創作に関わっていたような人は流石にもう世を去っている。再現芸術の場合、もう「作家を知っている」というアドヴァンテージがある人もいなければ、逆にハンディキャップのある人もいない。みんな横並び一線で楽譜なり戯曲なりに取り組めるわけですな。とはいっても、まだまだ半世紀前ならその時代の空気を知っている人は山のように生き残っていて、リアリティを感じられる人も多い。若い頃にどっぷり浸った、なんて人も、老人になったとはいえまだまだ文句を言ったり、あれまぁと驚いたりも出来るし。

「20世紀の音楽史に最も影響力があった作曲家のひとり」と言われ、まあそうなんだろうなぁ、とみんななんとなく思ってるストラヴィンスキーが、没後半世紀の厳しい歴史の洗礼を受ける年…の筈が、なんとまぁコロナ禍が始まってまる1年になろうというのに収まる気配すらなく、庶民にとっては実質鎖国ニッポンの音楽業界も、組織を維持するために無理しても公演を作らねばならぬオーケストラやオペラはぐぁんばってるけど…という惨状。ちっとも記念年の盛り上がりなどないのは、皆々様お感じのとーりでありまする。

そんな中、コロナ騒動が一段落付いたように感じられた昨年の初夏くらいから、みんな想い出したように取り上げているストラヴィンスキー作品がありまする。そー、今から100年ちょい昔、第1次大戦末期から直後の戦乱とスペイン風邪で劇場なんてまともに機能しなくなっちゃった状況を前提に創り出された、《兵士の物語》でありまする。

どういう経緯で創られ、どのように上演されてきたか、ま、いろんな人がいろんな風に語っている作品ですから、調べたい方はてきとーに調べて下さい。舞台の規模が小さいだけでなく、かなり造りが緩いアングラ上演向けの作品だから、上演史をきっちりフォロー出来ている研究などは存在しないでしょうけど。

実際、昨年の初夏くらいに欧州の劇場がおそるおそる再開したとき、最初に新作プロダクションとして出てきて話題になったのが、シュトゥットガルト歌劇場が駅の東辺りの公園で野外劇として上演した《兵士の物語》でしたっけ。
https://www.b-academy.jp/hall/play_list/060055.html
ううむ、いかにもな演目だなぁ、と納得したものでありました。

鎖国ニッポンでも、たまたまか予定してか、日本フィルが気鋭のメディアプロデューサー落合陽一氏とコラボする秋の演奏会でも、この作品を取り上げました。これがまぁ、会場にいては起きていることの半分も判らないインターネット中継に特化したプロダクションだったようで、芸劇に座ってたやくぺん先生には評価のしようがないものでありましたっけ。これもまた、コロナの新たな日常の中での舞台、なんでしょうねぇ。
https://www.classica-jp.com/event/17586/
https://www.tpam.or.jp/program/2021/?program=76

ストーリーだってあるんだか無いんだか、テーマだってどうにでもなる、それどころかメインが音楽なのか舞踏なのか、演劇なのか、それすらどうにでもなるなんとも自由な設計図でしかない《兵士の物語》というミニ総合芸術作品、コロナの時代の制約や新しいテクノロジーなどをいくらでも持ち込める。舞台制作ばかりか鑑賞にも様々な制限制約がかかりまくる2021年には、ストラヴィンスキーの舞台作品の中では、《道楽者の成り行き》やら《夜鳴き鶯》やらを遙かに凌駕し、世界中でいろんなやり方で上演されることでありましょう。

そんなひとつの事例が、明日、現在ニッポンのどこよりもコロナ対策が厳しく、公共文化施設の活動に制約がかかっている地域のひとつ、横浜市で示されます。こちら。
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https://peatix.com/event/1695057

本来ならば今日明日のかなっくホールでの公演だった筈が、一般のライヴ鑑賞はなく、明日のネットでの配信チケットのみになったようですな。ご覧のように、「狂言と舞踏と音楽」というやり方での再現で、コロナ対応に関してはこちらが詳しいのかな。
https://peatix.com/event/1652455/view

まだまだ配信チケットは申し込めるようですので、お暇な方は是非どうぞ。1時間くらいの作品ですから、ツルッと観られますよ。

かなっくホールがどこにあるか、なんて説明はしなくても良いのは、なんか寂しいなぁ。

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ストラヴィンスキー没後50年なのじゃ [音楽業界]

あっという間に1ヶ月が過ぎてしまい、北京五輪まであと1年と迫った2021年。コロナの騒動未だに続き、残念ながらトーキョーはどう考えても無理なのは、選手村近隣住民に復帰するやくぺん先生の実感なのでありまするが、ま、それはそれ。

2021年は、運動会なんぞよりも余程大事な記念年がふたつもありまする。ひとつは言わずと知れた、ピアソラ生誕100年!なんとこちら、100歳のお誕生日が東日本大震災の当日って、ニッポンではちょっと困ったことになっているわけなのでありまして…うううむ、それはそれで大変だろーなぁ。

んで、もうひとつは業界的にはもっと大きな、恐らくはベートーヴェン250年にも匹敵する、はたまたもっと大きな記念年たり得るネタ。ストラヴィンスキー没後50年でありまする。

本来ならば花祭り前、ってか、イースター休み頃の4月6日の半世紀の命日に向け、そろそろいろいろと盛り上がってくださっていても構わない頃の筈で、世界のあらゆるオーケストラが《火の鳥》やら《春の祭典》やり、《詩篇交響曲》含めた三大交響曲全曲一挙演奏なんてコンサートがあちこちであり、世界中の弦楽四重奏団がアンコールに《3つの小品》を弾き、あちこちのバレエカンパニーが《ペトルーシュカ》とのダブルビルで《アゴン》ばかりかピアノごっそり並べた《結婚》どかどかやり、オペラハウスも《放蕩者の成り行き》の力の入った新演出を出す、小劇場系は最新テクノロジーを駆使した《兵士の物語》のあれやこれやの演出が嫌になるくらい出てくる…なーんてことになっていたのやも知れないけどさ。

現時点でのトーキョーで発表されている命日頃のイベントは、このふたつくらいかな。うううむ、両方とも、やれるんだろーか?それにしても、春までに日本で一度も《春の祭典》が鳴らないなんて、とんでもない事態になってるなぁ。
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/iolanta/
https://www.tokyo-harusai.com/program_info/2021_stravinsky/

そんなコロナ禍のお祭りがやれない現実の中で、頑張ってるのが出版社さんです。ストラヴィンスキーの出版事情って、修士どころか博士課程の論文になるくらいめんどーくさい話があるのは皆様ご存じの通り。ロシアからフランス、アメリカ合衆国へと時代に翻弄され流れ流れた個人の歴史がまんま世界史と結びついてるわけで、非常に興味深いもんです。そんな興味深い作曲家を世間に少しでも知っていただこうという意図か、ストラヴィンスキーの楽譜の多くを扱っているBoosey&Hawks社さんが、こんなサイトを立ち上げてくれてます。
https://boosey-news.com/p/2kd7-3dd/stravinsky-connections-podcast?utm_campaign=2866377_Stravinsky%20Podcast%20launch%20London%20b2b&utm_medium=Dotmailer&utm_source=Email%20Marketing&dm_i=2KD7%2C1PFPL%2C7L7AXE%2C5TOE7%2C1

能書きをまんま貼り付けておくと

Boosey & Hawkes presents a series of audio podcasts in honour of the 50th anniversary of the death of Igor Stravinsky, one of the 20th century’s most iconic composers. The five weekly episodes, commencing 29 January, are hosted by Jonathan Cross, a respected authority on Stravinsky, who invites listeners to explore this colossus of modern creativity.

だそうですわ。やってるのは、オックスフォードの音楽学の先生で、2015年にストラヴィンスキーの英語での大きな評伝を書いてる、世界でいちばん影響力がある言語圏でのこの作曲家の第一人者さんですから、まずは没後半世紀のこの作曲家像の定番中の定番をちゃんと出しておきましょう、ということですな。5回のシリーズでそれぞれ10分くらい、滅茶苦茶聞きやすいまともな英語でのナレーションですので、大丈夫。

第1回は、数年前に発見されて大ニュースになり、あっという間に普通のレパートリーに定着しつつある《葬送の歌》から、いかにも没後50年にやりそうな《レクイエム・カンティクルス》やらを聴かせつつ軽く概論をやってくれてます。でも、やっぱり最後はハルサイなんだわなぁ

他にもいろいろな記念のクリップなどがあるでしょうけど、まずはこの辺りから、ということでご紹介。やくぺん先生の当面の日程表の中に、残念ながらストラヴィンスキーは皆無。うううううううむ…

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緊急事態下午前11時に始まるフルコンサート [音楽業界]

コロナ感染再爆発で一都三県に緊急事態が発令されるなか、埼玉県の県庁所在地も近い与野本町は埼玉芸術劇場で、平日午前11時スタートの新シリーズが始まりましたので、葛飾巨大柿の木下を9時過ぎに出て、京成電車と京浜東北、埼京線乗り継いで拝聴に参りましたです。

目に見えないウィルスがあちこちに俟っていようが、哀れ我らニンゲンの目にはすっきりと晴れ上がった関東地方の冬の空。今日は習志野空挺団跳び始めということで、朝から葛飾巨大柿の木の上空はアベ弟ちゃん大臣を迎える時間待ちするチヌークの編隊や、永田町から習志野への最短距離を突っ走る韋駄天VIPピューマくんの編隊やら、なかなか賑々しい新春っぷり。与野本町で降りると、遙か大宮上空を入間方向から「♪ひーらりひらりぃ、そ・ら・か・ら・軍神がぁ」って歌いながら先鋭習志野落下傘部隊を満載したC-130がふたつ、習志野演習場方向に向かってら。C-2じゃないんだなぁ。木更津で蟄居してる日の丸ミサゴくんも出番なしなのかい。

午前11時というのは県外から届くにはなかなかしんどく(佃から来たとしても、東京駅効果が特にある駅ではなく、まあ時間は似たようなもの)、ホール入口に辿り付いたのは10時45分くらい。で、演目は、こんなん。
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ナビゲーターの林田氏が出演者を選んでるのかは知らないが(今の時期、ホールで見知った関係者や裏方に声をかけていろいろ尋ねる、というわしらの商売の基本が全くやれないのでありまする)、曲目は波多野さんが選んだそうな。ま、ゆうじさんが選ぶとは思えないしね。

そもそもこの演奏会、本来ならば「イレブン・クラシックス」なる新シリーズの第2回目だった筈が、コロナで第1回がキャンセルになり、結果としてシリーズ一発目となってしまったとのこと。平日の昼間、挙がっている演目だけを眺めると1時間で終わるハーフサイズのコンサートなのかと思いきや、今や「21世紀のくろきょーさん」って感じの業界内位置付けの林田氏と出演者のトークを挟み、しっかり途中休憩もあり、終演は午後1時前。たっぷりフルのコンサートでありました。

中身は、いかにもこの演奏家さんたちらしい「埼玉アーツシアターはシェイクスピアを連続上演しているところだから…」というところから始まった演目で、前半はシューベルトの「ハムレット」絡みの作品を英語訳で、それと《冬の旅》からいかにもゆうじさんが弾きそうな3曲。後半はショスタコーヴィチやらフィンジやら、高橋悠治に至るシェイクスピアの「死」をテーマにした歌が並びます。別に意図的に「死」をテーマにしたわけではなく、エリザベス朝期には死が極めて身近なテーマだったからこううことになった、と波多野さんはトークの場で仰っておりましたです。

ま、こう記すとものすごくハイブロウな、なんだかウィグモアホールっぽい演奏会みたいですけど…確かにそういう感じがなくはなかったものの、朝からヘビーなもんを聴かされたなぁ、というしんどさはありませんでした。それはもう、肩の力が抜けきった、というか、常に内角高めに外してくる、ってピアニスト兼作曲家のおじいちゃんのキャラなのかな。

興味深いのは聴衆で、コロナ拡大の緊張が低くなっていた秋の頃にチケット販売が始まったからか、席もひとり空けではなく指定席で、フルで売ってました。入口からロビーはコロナ仕様で、物品販売もなしの会場、6割くらいの入りの殆どは、当然のことながら熟年ご隠居さんばかり。波多野さんのお弟子さんだか関係者だかの40代くらいまではちらほら、あとは老夫婦と高齢者おひとりさま、そして圧倒的に目立つのはおばちゃんたちのお友達グループでんな。ふたりから3人くらいでやってきて、並んで座り、マスクは流石に外さないけど、いつもと変わらぬお喋りをなさってる。コロナ禍再開後の夜の演奏会はとても静かなんだけど、そこそこ賑やかな午前中の彩の国埼玉劇場音楽ホールでありましたとさ。

舞台に目をやれば、最前列から3列だかは潰していて、ステージからの飛沫対策はしているもののトークの間もマスクはなく、フェイスシールドもアクリル板もなし。ま、トークイベントとしてはやたらと遠く座ってるなぁ、って感は否めなかった。今時はこんなもので見慣れてしまってるし、マスクがないのが逆に新鮮でしたね。これが終演後の時差退場風景、後ろ半分を先に退場させてるところ。
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この出演者で、この演目で、こういう聴衆がこういう時期であれそこそこやってくる。与野本町の午前11時シリーズ、まずは大過なくスタート、というところでありましょう。

来年6月には、我らが葵トリオが登場します。乞うご期待。
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…っても、どんな初夏になっているのやら。

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これもコロナ禍? [音楽業界]

がっつり年を跨ぎ、ヘタすりゃ大阪万博の日程まで影響されそうな長期戦化必至のコロナ禍(なんせ、ドバイ万博が今年ホントにやれるのか、全然判りませんからねぇ)、世界の各地から「この音楽事務所が潰れた」「あのマネージャーが廃業した」という話は伝わるものの、現在実質鎖国中のここ極東の島国の新帝都では、案外と具体的な話は聞かなかった。ところがここにきて、世に言う「年が越せない」という表現を絵に描いたように、立て続けに廃業倒産の話が入ってます。

ひとつはこれ。
https://www.fukeiki.com/2021/01/tokyo-chamber-opera.html#:~:text=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%8C%BA%E5%85%9C,%E6%98%8E%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
いやはや、「不景気com」というド直球なサイト名も凄いけど、ま、判りやすいのでこちらから引用しておきます。

室内歌劇場といえば、一昔前はお堀端の旧第一生命ホールを常打ち小屋に、様々な意欲的作品を取り上げていた団体。第一生命館が取り壊しになった後は、渋谷のパルコ下のジャンジャン隣の教会で《ダニエル物語》やったりとか、流浪の団体みたいになってる印象があるのは爺だなぁ。極一部でのみ通じる「我らがベックメッサー」竹澤さん(やくぺん先生のお宅では、永遠のベックメッサーです!)が、一頃は代表やってたりしたんじゃなかったっけ。

数年前に補助金不正受給騒動で手入れがあり、世間の話題になったりしておりましたが、その後もなんとかやっているようで、葛飾シンフォニーヒルズで日本歌曲と寅さんメドレー、なんてのを聴いた記憶も。

この報道、どういうことかと思ったら、現存する「一般社団法人東京室内歌劇場」さんの公式サイトに、こういう説明があります。
http://www.chamber-opera.jp/News/view/137
コロナ禍で、室内歌劇なんて真っ先にダメになるジャンル、なんとか頑張っていただきたいものでありまする。22日の旧奏楽堂、いっちゃおうかしらね。日本歌曲とか、日本の室内オペラとか、はたまた懐メロ歌謡とか、この団体でなければやれないことはいっぱいあるわけだし。

もうひとつはこちら。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b0f63bd9022c6651348b8a4b2725590516ebcb8
おいおいおい、佃縦長屋、やくぺん先生の大川端ノマド場から見える場所にあったんじゃないかぁ。知らなかった。

この音楽事務所、正直、「海野さんとか安川先生の事務所」という印象のところで、殆どの音楽ファンには「まだご健在だったんだぁ」と思われることでありましょう。甘利音楽事務所とか、昨年没した小尾さんのミリオンとか、60年代くらいに輝いていた若手演奏家をやってるところ、って感じ。

何度も似たようなことはあったわけで
https://mainichi.jp/articles/20190327/org/00m/200/001000d
今は安川先生の遺産を守っていくところ、ってのが大きなお仕事だったようです。あれ、あの方もそうだったのか、というお若い名前もあるけど。

ぶっちゃけ、凄く困る、という音楽ファンはあまりいらっしゃらないでしょう。とはいえ、コロナの時代が長引き、こういうところから亡くなっていくのだなぁ、と思わざるを得ません。

やくぺん先生の事務所移転後の老後仕事も、あれこれ見えてくるなぁ、ってぼーっと思いつつ松飾りの片付けを眺める、正月終わりの妙に暖かい朝でありましたとさ。

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2020年を代表する3人の作曲家? [音楽業界]

湯気が立ち上る暖かいお風呂にプカプカ柚が浮かぶ冬至の晩、皆様、いかがお過ごしでしょうか。あたしゃ、遙か神田川沿いの大曲から都バスで上野まで出て、京成電車に乗って荒川放水路向こうの新開地までやっと戻ってきたところ。なるほど、こういうルートがあったんだなぁ。何を隠そう、半世紀も昔の高校時代に通っていた土地勘のある場所なんだが、台風が来れば氾濫して通りに鯉が泳いでた神田川を潜り開通したばかりの営団地下鉄有楽町線で池袋に出て、山手線で大塚辺りから富士を眺めつつ、日暮里経由で京成電車に乗ってたっけ。まあ、小さな印刷所や取次店だらけの大曲から後楽園辺りへとごみごみした路裏道ばかりみたいなところを抜けるバス通りなんて、あの頃はなかったからなぁ。

果たして激動の年2020年に何度足を運んだやら、久しぶりのトッパンホールでありましたが、ま、入ってしまえばスタッフの顔ぶれも、座ってる聴衆も、いつもと同じ。ただ、コロナ前と大いに違うのは、ステージ上や客席に、やたらとヴィデオカメラが並べられていること。

おっと、話が前後してしまった。こんな演奏会でありまする。
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https://www.toppanhall.com/concert/detail/202012211900.html

《藤倉 大、イェルク・ヴィトマン、ベートーヴェン!》って、とても演奏会のタイトルとは思えぬ直球過ぎる名前が並んでビックリマークが付いてる。ご覧のように、演目も文字通りで、ベートーヴェンは最初と最初の絶頂期のピアノ・ソナタ。ヴィドマンはいちばん有名で、恐らくこの作曲家の弦楽四重奏のみならず室内楽作品の中では最も頻繁に演奏され、あらゆる若手弦楽四重奏団が競って取り上げる21世紀にこのジャンルで書かれた中でも最大のヒット作。そして藤倉大の若書きとちょっと前の、いかにもなパワー系の作品。

うううむ、不思議と言えば摩訶不思議な演奏会。休息後の後半にプロデューサーのN氏が舞台に出て来たので、この演目の絵解きでもしてくれるのかと思ったら、手を痛めて休演、三味線奏者さんが代演となった若きチェロくんを紹介し、ゴメンナサイ,2月にはここで予定されていた藤倉作品弾きますから、と喋るのを紹介するだけでした。ま、なんでこの演目、この3人、というのは、演奏を聴いて自分で考えたり感じたりしろ、ってことなんでしょうな。

てなわけで、つらつらやくぺん先生なりに考えるに…ベートーヴェンはどうこう言うもない。正に「今年の作曲家」でありまする。演目は、敢えて後期を外し、パワーみなぎるもんを並べてきた。ヴィドマンは、そうねぇ、些か穿った見方になっちゃうけど、ホントは3月にここ大曲に登場し、エクが本日弾かれた《狩》を弾き、これまた盛んに演奏されるクラリネット五重奏をヴィドマンご本人のクラリネットで披露されるという演奏会があったわけで、それがコロナでなくなっちゃったプロデューサーとしてのリベンジ、かしらね。で、藤倉氏は、もう「2020年の作曲家」を挙げるならば問題なくこの人、という今年大活躍した時の人。コロナのお籠もりの間はWeb上で対談から新作発表から,画面をはみ出さんばかりの大活躍。そして11月には、圧倒的な賞讃から「なんでいまさらあのリブレット」といういぶかしげな声まで、各方面での話題となった新作オペラを初台で初演なさっている。

確かに、「この3人が2020年の作曲家ですよ」と言われても、なるほどねぇ、とは思ってしまう。そりゃ、こんなコロナのお籠もりの年だから癒やし系の心優しい音楽を、と考える方も多かろうが、敢えて時代の状況を真っ正面から受け止めて闘うぞ、いぇい、って連中が並んでるのは、これはこれでひとつの考え、なのかな。

全くどーでもいいことなんだけど、アマービレの連中はヴィドマンを全員がタブレットで、更にはチェロ以外はみんな立って弾いて、へええ、ニッポンの若手もこうなってきたかと思ったら、続く第1ヴァイオリン篠原嬢のヴィドマン独奏作品は、ずらりと何本も譜面台横一列に並べ、楽譜をべえええええっと並べ、演奏者が移動しながら弾いていく、というゲンダイオンガク演奏会伝統の手法を採っておりました。タブレットに楽譜入れちゃえば、あんなことしなくても良いと思うんだけど、もしかして作曲家が楽譜のデータ化、タブレットへの読み取りを禁止でもしているのかしら。タブレット楽譜って、ああいう作品のためにこそあるような気がするんだけど。

ま、それはそれ。パワーの作曲家ばかり3人、ドカンドカンと並べる冬至の晩、250年前のベートーヴェンさんのお誕生日が夜がドンドン深くなっていく真っ只中だったというのは、なんだかとってもこの作曲家さんらしい。闇から光へっ!

明日から、日が長くなる。もうすぐ春がやってくる…筈だ。

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公開リハーサルは曲目解説ではない [音楽業界]

昨晩、新浦安駅前の浦安音楽ホールで、クァルテット・エクセルシオが「ベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏会公開リハーサル第2回」を開催いたしましたです。
https://www.facebook.com/QuartetExcelsior
んで、やくぺん先生の世を忍ぶ仮の姿が、「公開リハーサルの司会解説」なんて珍妙な役回りで舞台上手に控えることになったのでありまする。

公開リハーサルというのは、演奏会シリーズやフェスティバルでは一種の定番イベント。なにやら珍しいものでもない。やくぺん先生も、室内楽からオーケストラ、オペラまで、様々な「公開リハーサル」を眺めてまいりましたがぁ…そうだなぁ、公開リハーサルを眺めて「ああそうかぁ」と膝を打つ、みたいなことは、実は、あんまりありません。オーケストラの場合には、現実的には「支援者や関係者、学生に無料で演奏の一部を聴かせる」みたいなことになるのが殆ど。ホントにリハーサルをやってる内容をきちんと聴衆に伝えようと、マイクを使って指揮者の発言を拾ってみたりとか、いろいろ努力をするところは屡々眺めるものの、それによって「なるほど、この指揮者さんはこういうことをさせたいのかぁ」などともの凄く腑に落ちて、翌日の本番の演奏内容が猛烈に良く判った、なんて例は、ぶっちゃけ、あまり記憶にはありません。

室内楽でも、今でも想い出すのは90年代の始め、カザルスホールでグァルネリQが公開リハーサルをやったんだが、これがもう、完全に「リハーサルっぽい事を見せるショー」でしたね。ネガティヴな意味で言ってるのではありません。これはこれ、でした。でも、ホントに彼らが練習をしているところを見せるのではなく、練習でやってることの一部を凄く強調して、ある意味、わざとらしく、舞台で再現してみる、ってものでした。きけば、グァルネリQはリハーサルを公開することなどめったになく、どうやらこのイベントも萩本総合プロデューサーが相当無理を言ってやって貰ったとのこと。なかなかショーマンやねぇ、おじいちゃん達。

ともかく、リハーサルで行われていることをギャラリーがぼーっと眺めていても、殆どなにも判らぬ。それをなんとか判らせよう、練習で起きていることを可視化しようと、昨今ではテクノロジーを用いてろいろな試みも成されている。どうやらいちばん可能性があるのは、「演奏家たちが練習しているところをライヴで映像と音を収録、解説者やコメンテーターがニコニコ動画の画面書き込み機能などを用いて実況するのをスクリーンやスマホ画面で眺める」というものみたいですな。日本語文化圏でも、デジタル・ディヴァイスに対する抵抗が少ない30代以下の世代では、そんな試みも始まっているようですし。

さても、いずこも同じ高年齢聴衆さんが多い浦安音楽ホールさんでも、コロナでスタートが遅れたとはいえ、実質2020年シーズンに新帝都首都圏で唯一になってしまったベートーヴェン弦楽四重奏全曲チクルスの付帯事業として、「公開リハーサル」をやることにした。でも、ただリハーサルを公開したって、スコアにしがみついて眺めたとしてもやってることがどれほど判るやら。リハーサルって何をやっているのか、ちょっとでも納得出来るような方法で示せないだろーか…

というわけで、今を去ること数週間前、ともかくやってみて、いろいろ批判苦情文句が来たら少しでもフィードバックする形で良くしていきましょう、ってベートーヴェン的イケイケ気分で、最初の「公開リハーサル」第1回をやってみたわけです。これが公開リハーサル第1回のリハーサル風景。
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舞台にはエクが座り、後ろに大きなスクリーン。上手に司会者というか、要は突っ込み役のやくぺん先生と、解説及び投影画面譜めくりという重要なお仕事担当のカッセル(だったと思う)の劇場で何年か弾いて日本に戻ってきて、今は室内楽や教育活動をなさっているヴァイオリンの高橋渚さんとが座っている。エクの4名は、何食わぬ顔で、まるで聴衆なんていないかのように、普通に練習を始める。一応、喋っている声はマイクで拾えるようになってます。

渚さんは、「ながらの春音楽祭」でエクのセカンドを弾いたこともあり、自分でもエクとして練習や本番を行ったことがある経験者でありまする。要は、「5人目のエク」ですな。ですから、勿論、急に音楽を止めてボソボソっと誰かが何かを呟いても、それがどういう意味で、何をしようとしているかは判ります。とはいえ、わしら聴衆には判らぬぞ。んで、手元のパソコンで今エクが議論しているところのページを追いかけてくれている渚解説委員に、「今、なにやってるんですかぁ?」とやくぺん先生がアホな質問を投げ、それに「今、この音にもっと重さが欲しい、と言ってます」「重さって、音量が足りない。ってことですか」「いえ、音色というか、響きの質というか、弓の速さとかでも違ってきますし…」って。

そんな風にして、1曲につき30分弱、エクの練習とはなにをやっているのかを、演奏者の視点からお伝えしようとしたわけですわ。無論、この時間ではひとつの楽章の3分の1も終わらない。ホントに、練習のごくごく一部を除いていただきました、ってこと。あまり見せたくないけど、これが抜粋。
https://www.youtube.com/watch?v=vb5D29WTEKs

そんな最初の試みの後、練習室に座って見下ろす熱心な数十人の聴衆から、様々な声をいただきました。「解説や突っ込みが煩くて、エクの喋っていることがきこえない」「エクがやろうとしていることに集中できない」とか、散々な評判だったわけでありまする。

皆様からの批判非難の声にどうお応えするか。昨日の第2回を前に、やくぺん先生としては決断をしました。それ即ち、「出来るだけ喋らない、曲の説明は一切やらない」って2点。

この「公開リハーサル」で聴衆の皆さんが知りたいのは「演奏を創るときにエクが何を考え、何に気をつかっているか」を知ることでありましょう。「今演奏されているのが冒頭のモチーフから引き出された第1主題の前半部分なのである」とか「このスビトピアノはなぜかヴィオラのパートには書いていない」とか、そんなことじゃない。そんなの、自分で勉強してくれば判ることです。ベートーヴェンの弦楽四重奏なら、今時、曲の説明はググればいくらでも出てきます。楽譜だってよりどりみどり。オリジナルの自筆譜ですら、ボンのベートーヴェン・ハウスのアルヒーフにアクセスすれば貴方のパソコンで無料で眺められます。そういうとんでもない世界になっている。

だから、もう曲について喋るのは止めましょ。ともかく、エクが何をやってるかを、実際に弦楽四重奏を弾いている人が教えてくれる。それで十分じゃないか、ってこと。

ぶっちゃけ、第1回では作品127の冒頭を「説明」しようとしてしまい、「最初のEs-durの和音が楽章で調が変わりながら3回出てきて、3度目はC-durになるですよぉ、ほぉら」…なんて喋ってしまい、エクがやろうとしていた和音の響かせ方の微妙な質の違いの練習を、聴衆の皆さんに聴き取り難くしてしまったやも。あれはマズい。今回はしゃべらんぞぉ、つっこまんぞぉ…

さても、どういう結果になったか、正直、なんとも言えないところです。が、まあ、とにもかくにも《ラズモフスキー第2番》冒頭と、作品135終楽章の最初の3ページくらいを、リハーサルのリハーサルでエクがやってることを把握し、そこで出ていた問題が聴衆の皆さんにも共有できれば良い、という気持ちで臨んだのですが…

なんと、リハーサルのリハーサルの時は、「《ラズモ2番》頭の和音の二つ目のチェロと他の楽器の音の厚みの違いをどうやってバランス良く響かせるか」、「長いクレシェンドの中で和声が切り替わっていくところをどうやってきちんと聴かせるか」なんぞをやってるな、よおおおおし、なぁんて思ってたら、リハーサルの本番(?)では全然違うことをやってくれるじゃないのさ、エクの皆さん!作品135に至っては、「4楽章冒頭に書いてあるEs muss seinについては今日は説明しませんから、皆さん、自分で曲目解説とかみてください」なんてあたくしめが客席に喋っちゃったのに、いきなり「この2音目のmussの母音の重さってさ…」なーんてバリバリにそこの話を始めちゃうエクだったしぃ、いやはや。

そんなこんな、どんなに練習箇所が動いてもきっちり譜面をめくってフォローしてくださった高橋渚さんにはもう、ひたすら感謝しつつ、今回も試みは試みとして道半ば、という感じでありましたとさ。

ま、なんであれ、聴衆の皆さんには「弦楽四重奏の練習って、アンサンブルが合うとか合わないとかだけじゃない、もの凄く細かい、微妙なことをやってるんだなぁ」とお判りになっていただければ幸いなんでありまするが。

次回はまだまだ正月気分の1月8日、いよいよ、《大フーガ》のリハーサルです。譜めくり特訓をせねばっ。

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ドラマトゥルクのいるダイク [音楽業界]

コロナの日常がどーなっているのか、政権が変わってからどうやら人々は気にしないことに決めたのか、良く判らない今日この頃だけど、ともかく秋になってもかつての御上が許した朝鮮半島オランダ出島からの渡来人みたいな音楽の都維納の楽人を除けば未だ実質鎖国状態が続くニッポン列島、それでも極めてローカルに、もの凄く健全に、「ベートーヴェン生誕250年記念」に向けた盛り上がりは始まっているわけでありまして、去る日曜日の楽聖のヴァイオリン・ソナタ全曲を北九州で拝聴、とって返してた月曜には新帝都マッカーサー橋の袂で特別参加みたいにブラームスのヴァイオリン・ソナタを全曲聴き、昨日はニッポンのコロナ騒動発祥の地の横浜で、「メモリアルイヤーに試みる2つのアプローチ 驚愕の第九そして革新の第九」というとても公立ホールの主催事業とは思えぬもの凄い煽りの演奏会に行って参ったでありまする。こちら。
https://mmh.yafjp.org/mmh/recommend/2020/11/btvn2020-2.php

なんだか、今、ほんの一部では話題の「市長お気に入りのバレエ団のための2500席バレエ専用劇場建設騒動」で揺れる横浜みなとみらいとは思えぬ、なんだかコロナのソーシャルディスタンスやら合唱の飛沫やらはどこへ、浮世離れした古楽器オケの演奏会で、どうやらコロナ後初のニッポン列島での第九全曲演奏だったようでありまする。

とうとう年末に向けてダイクがやれたなんてそれだけでも目出度いことだし、合唱の間にアクリル板立てたりするコロナ対策がどんなだったか、木造家屋の柱になりそうなコントラファゴットがどんな音がしたか、ブロードウッドのオリジナル楽器が巨大ホールでどんな音で響いたか、等々、それぞれの関心でいろいろ議論することが可能な、相当に奥深い演奏会でありました。演奏会としても、後ろにこんなデッカいスクリーンが持ち出され
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カメラ3台くらいスイッチングしてト長調協奏曲でフォルテピアノの鍵盤がいっぱいに使われてるところを真上から見せてくれたり、不思議なギミックがありました。やくぺん先生としましては、シラーの歌詞が対訳どころかドイツ語ですらも刷られていないとてつもない当日プログラムに腰を抜かしそうになってたんですけど。平野先生、やってくれるなぁ。

この演奏会、いちばん興味深いのは、こちら。
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お判りでしょうか、当日プログラム裏のスタッフ一覧表のいちばん上に、「ドラマトゥルク」という役職が挙げられているのですよ。

「ドラマトゥルク」という役職、どういうものなのか、お知りになりたい方はググってみたりすれば簡単に説明は出てくるのでしょうが…正直、どういう職種なのか、あれこれ言われても良く判らないと思います。何を隠そう、やくぺん先生も、未だに良く判ってません。無論、ドイツの劇場システムの中での横文字で記された役職はそれなりに理解はしておりますが、それがなんでピリオド楽器の第九演奏会にこうやって記されているのか、ぶっちゃけ、判りません。誰かスタッフに尋ねたくても、なんせ「ホール内での会話はお控えください」で、スタッフもフェイスシールドの向こうでお辞儀するだけで何も話せない。どうやら横浜では、先頃、県立音楽堂なんぞでセミステージ形式で上演されたバロックペラでも、我らが菅尾友氏が「ドラマトゥルク」として挙がっていましたっけ。
https://www.japanarts.co.jp/concert/p847/
ま、これはこれで納得しないでもないけどさぁ。

オペラの世界ではカタカナ表記で普通に使われるようになってきたこの言葉、というか、役職、今後はいろいろと時代考証や設定が必要になってくるコンサートでも使われるようになるのかしら。なんだか凄く偉そうだけど、「文芸関連情報提供雑用」にしか思えぬところもあるのだが。

ドラマトゥルク、ニッポン語文化圏に投げ込まれると妙にラスボスっぽい響きが醸し出されるなぁ、ううううむ…

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「げーぶん」が30年経って… [音楽業界]

昨晩、池袋は西口、東京芸術劇場上層階のコンサートホールに出向き、賑々しくもお目出度くも開館30周年を祝う野田秀樹版《フィガロの結婚》を見物させていただいたでありまする。
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中身に関しましては、一言で言えば「人口10万から30万人くらいのICEが停まるくらいのドイツ地方都市の、劇場とオペラハウスが一緒になって、自前の歌手と合唱団、50人くらいのオーケストラがあるムジークテアター系の市立劇場で、オペランヴェルトの今年の劇場ノミネートを狙ってるくらいの勢いがあるところが、気鋭の演出家で自前のスタッフキャストで出したプレミア」ってテイストの舞台でありましたね。

いろいろなことをやっていて、当然ながら賛否両論、ってか、接した人が接した人それぞれの関心から好き勝手なことを言ってワイのワイの盛り上がれているようです。やくぺん先生も、いつもの「感想になってない感想」を始めれば、がががががががぁ、っていくらでも書き流していけますわ。つまり、「ローカル・ガヴァメントがやってる劇場での、公金を使ったプロダクション」としては成すべき仕事をきちんとやった、ということ。

今から30年前、池袋の立教大学側のしょーもない場所に長距離エスカレーターを備えたガラス張り建築
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上層階に据えられた音楽専用ホールに収まるオルガンは表裏回転、なんてアヤシげな都立の新文化施設「げーぶん」(当初は東京芸術文化会館という名前だったので、業界ではげーぶんと呼ばれており、未だに爺はげーげきじゃなくてこっちで呼んでしまう)が出来たとき、これは一体なんじゃらほい、と思わざるを得なかったものです。やたらと楽屋がデカい大ホールはあるものの、下層階には室内楽ホールなどではなく規模を違えた劇場スペースがいろいろあるようだし、同じ財団が運営するなら上野との棲み分けがどうなるのか、都響がここに移ってきて上野はオペラハウス専門になるのか、だって二国、出来るんでしょ…

シノポリ指揮マーラー全曲演奏会で賑々しくオープンし、《嘆きの歌》はなあんとなんと、当時はまだナクソスに駆逐されておらずやたらと権威があった天下のDGから晋友会が歌うライヴが発売されるビックリ仰天もあった。とはいえ、いろいろ噂があったレジデントのオケが来るでもなく、都響が常駐する様子もない。

やくぺん先生とすれば、20世紀末から世紀転換期の数年、西武線沿いの目白に庵を結んでいたこともあり、ある時期は自宅から歩いて通える、ってか、池袋方面から戻ってくるときには横を通るホールになっていた。とはいえ、根津に居た頃に上野文化会館に通ったように足繁く訪れることもなく、人と待ち合わせに使うには良い場所なんですけどねぇ…ってかさ。

そんな「げーげき」が、いつの間にやら演劇の方から活性化されていき、それに引っ張られるように上のコンサートホールでもオペラっぽい企画が始まったり。ふと気付くと、ニッポンのポンピドーセンターを狙っていた筈のオペラシティの向こうを張るような「ゲンダイオンガク」企画もそれなりに出されるようになったりして。

かくて時流れ30年、世界の超一流の舞台を札束積み上げて引っ越し公演するんじゃなく、「ホールオペラ」のひとつの集大成として、この劇場の芸術監督が自ら演出したニッポン文化圏以外では作れない、それでいてイロモノではなくまともな、オペラ演出史の流れに沿った議論にも値するプロダクションを、きっちり出せるまでになった。あらゆる面から眺めて完成度が高い、というわけではなく、カンパニーを持たないプロダクションとしての限界をあちこちに感じさせるでこぼこのある舞台であることが重要。まだまだダメだ、という伸びしろがあちこちに感じられるステージ。

いやぁ、まさか、あの「げーぶん」がこんな場所になるとはねぇ。生きてみるもんだなぁ。

祝、げーぶん30年。

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初の国内仕様「北京音楽祭」無事終了 [音楽業界]

ちょっと纏まった大きさの原稿をやっていて、世間の動きをフォローしていない間に、コロナの世界の秋はドンドン深まり、せめて「やってるよ」というくらいのお知らせはしようと思っていた第23回北京音楽祭も終わってしまったじゃないかぁ。

今年は世界いずこも同じパンデミックの中、期間も10月10日から20日と短めに設定され、この音楽祭の最大の売りであるロン・ユー監督の人脈で世界のメイジャーな団体や演奏家、オペラプロダクションを持ってきて北京市民に提供する、というやり方とはちょっと違うものに鳴らざるを得なかった。こちら。
https://blogcritics.org/beijing-music-festival-2020-virtual-covid-19-10-day-online/?fbclid=IwAR2SbjITcA6Mxv4vFcBSqUunipaqOCcV5Htys_HrNlSu2SbfG7d89M_ZlSE

恐らく、外国団体や著名外来演奏家、指揮者がいない「北京音楽祭」って、始めてなんじゃないかしら。やくぺん先生は、数年前の「NYフィル新監督指揮香港フィルがピットに入るザルツブルク音楽祭カラヤン演出《ヴァルキューレ》復活上演」というこれ以上派手な演目も考えられないもんを見物に行ったっきりなんですけど、その後も一昨年は《Written on Skin》アジア地区初演やったり、いろいろ頑張ってました。今年の演目は、上のURLから英語の紹介記事をご覧になっていただけばお判りになるように、メインはオンライン。初日に武漢響が披露する「2020年に捧げるシンフォニー」というベートーヴェンの第九編成に近い委嘱新作があったり。勿論、コロナ関連作品ですな。こちら。全曲聴けますよ。
https://www.facebook.com/BeijingMusicFestival/videos/2636183796598481

とはいえ、やはり最も興味深いのは、中国の若いヴァイオリニストだけを集めてベートーヴェンの10曲のヴァイオリンとピアノのためのソナタ全曲を演奏する、という演奏会じゃないかしら。いろんな意見はあろうが、ともかく北京で、というか、中国で、これだけの数の時前の若い演奏家が出てきて、これだけのことが出来るようになっている。有名な外国人演奏家が来なくてもここまでやれるようになった、ってこと。

これが今時のこの国らしい「愛国的」なイベントなのか、なんとも判らぬけど、「西洋クラシック音楽」のこれだけデカいフェスティバルが時前の演奏家でやれるようになったんだから、今年生誕100年がすっかりすっ飛んでしまったアイザック・スターンが上海Qの李兄弟を発見したり、小澤氏がオケの誰もまともに弾いたことないブラームスのニ長調交響曲を北京で奏でたりしていた文革直後から半世紀、こういう世界になったのだなぁ。

こちらのFacebook公式ページから、コロナ交響曲世界初演からベートーヴェンのソナタまで、全て視聴可能です。コロナ交響曲は、23rd Beijing Music Festival: Opening Concertってとこをスクロールして探してちょ。
https://www.facebook.com/BeijingMusicFestival
「中国共産党が第九禁止」なんて良く判らぬ情報が流れてビックリしていた皆様も、これらを眺めて少しは安心する…かしらね。

それにしても、やはり北京は遙かに遠し。

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