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しんかんせんコンサート! [音楽業界]

恐らくは新帝都を含めキューシュー島に関わりの無い皆々様には全く判らんことでしょーが、今、キューシュー島は「シンカンセン」で盛り上がっておりますっ!ホントに盛り上がってるのか、この春に特急大幅値上げと駅の人員大幅削減をやらかしたJR九州さんが、もうなにがなんでも盛り上げようと必死になっているのか、なんとも判らんけど、ともかくJR駅なんぞは大いに盛り上がってるよーに見えるわけですは。この新しい線に最も冷たい筈の佐賀駅でも、ほれ、こんな。
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本日、お盆休みは終わってもまだまだ夏休み値段の公共交通、お嫁ちゃまが温泉県盆地から新帝都は大川端に戻ろうとして、最もお安い方策は、なんとなんとジェット★やら桃さんではなく、佐賀空港発のSpring Japanさんなのであった。で、朝からお見送りでせっせと一緒に田圃と遠浅の海の真ん中の将来のニッポンミサゴホームベースへと出かけたのでありまする。で、駅のホームを降りて空港バスに向かおうとすると、上のような告知が改札横に掲げられていたのでありました。

正直、この「キューシューしんかんせん」とやら、鳥栖から佐賀を経て武雄温泉までの長崎本線、佐世保本線の間はシンカンセンとして繋がっておらず、100キロにも満たない盲腸線、というか、断片です。どうやって新鳥栖と繋げるか、喧々囂々、こんなものが出来てもなんの利益にも成らぬ佐賀周辺は冷たい目で騒ぎを眺めている。ぶっちゃけ、この新線、「新幹線」と思うから行けないので、なんのことはない、在来線としてもいろいろと問題があり過ぎる長崎本線の新線が出来たと考えるべきなんでしょう。今更この場所に新線を作るなら在来線ではなく、新幹線フォーマットで作ってしまえ、ということ。どうやって現在の新幹線網に繋げるかなど、考えてない!だって、ともかく今の備前山口からの海沿い線は、余りにも不便すぎるんだから…

ま、そんなこんないろんな思惑はどうあれ、来月末には新線が出来てしまう。佐賀駅でも、こんな手作りポスターを階段に張ってます。
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うううん、佐賀駅のJR九州職員さんは、どんな思いなんでしょうねぇ。なんせ、実質的に駅が開設されたときからずっと当たり前にあった「長崎行き特急」が、あと1ヶ月でなくなってしまうなんて、シシリアンライスから肉がなくなっちゃったよーなもんではありませんかっ!

いろんな思いが交錯するSagaなれど、新線のジャンクションとなる武雄温泉周辺は大いにもりがっているよーで、ぬぁんとおぉ、こんな演奏会がありまするっ!
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http://www.city.takeo.lg.jp/information/2022/07/011371.html
新線開通の前日、長崎本線に特急かもめが走る最後の日(武生温泉駅には来ないけど)、市内の文化会館に九響が高らかに発信ラッパを鳴らすのだぁ。

なんかチケットが猛烈に安いし、今ひとつ判らん演奏会だけど、やくぺん先生ったら、この日は翌日が竹田の室内アンサンブルの第3回定期公演で温泉県盆地に居る予定なんで、マジ、ちょっと覗いてみようかしら…っても、裏九州文化圏からすれば、延々3時間もかかる遙かな向こうなんだよなぁ…

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ベルリンフィルの上海レジデンシィはどうなったのか? [音楽業界]

温泉県盆地オフィスで草刈りをする予定が、妙に作文仕事が立て込んでしまい、サツマイモに取り付かれてしまったカメムシ軍団駆除している時間もなく虚しく畑を眺める文月も終わりの今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

ある古いメールを検索していて、こんな案内をあらためて発見してしまったのですがぁ
http://www.wupromotion.com/index.php?option=com_acymailing&ctrl=archive&task=view&mailid=166&key=95b1c507175e8fe8492752ae6540a730&subid=9345-8fedbbc68f36229d644314b523574637&tmpl=component

必要な英文部分をまんまコピペすると、以下。

Together with Wu Promotion, the Berliner Philharmoniker is planning a residency project in Shanghai at two-year intervals, beginning in June 2022.

The performances in June 2022 are part of the celebrations of the 50th anniversary of the diplomatic relations between Germany and China.

Under the baton of chief conductor Kirill Petrenko, the orchestra will give four concerts during this first residency as part of a “Festival of the Berliner Philharmoniker”. Chamber music activities are also planned, as well as master classes, concert introductions and other outreach and community projects. In the course of this longer residency, the orchestra attaches great importance to a direct exchange with the musical and social life in Shanghai and encounters with local conditions.

With their new residency in Shanghai in 2022, the Berliner Philharmoniker will begin an exclusive partnership with Wu Promotion.

この話、当然ながら日本語メディアでは一切話題にもならず、実際に先月にこんなイベントが上海であったとは思えない。なんせ、お嫁ちゃまの生徒で2年間も来日ペンディングになっていた上海の奴が、やっと先週上野に来られたと大喜びをしている状況。先月、ベルリンフィルが上海に行ったなんてまずあり得ないだろうしねぇ。

上海万博のシュタンツ指揮ケルンの《リング》全曲を招聘し、中国本土にやっとまともな音楽事務所が出来た、ひとつ時代が代わったと言われたのも大昔に感じる今日この頃、情報鎖国とコロナ封じ込めに専念する大陸は、一体どうなってることやら。ここ温泉県盆地の上は、毎日上海やらからの貨物便が頭の上を横切って往来しているんだけど、長崎から船で一晩、飛べば1時間の上海に生身の体が運べる日があるとはまるで思えない。

前々首相が元軍人の手製銃で殺され、コロナ患者が世界でいちばん多いニッポン列島、まだまだ鎖国は続く…のか。

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ファン・ズウィーテン男爵邸のK.550のこと [音楽業界]

昨晩は、新帝都は溜池の大きなコンサートホールで、天下の東京都交響楽団を前代ニューヨークフィル監督が指揮して、モーツァルトの後期3大交響曲を一晩で披露する、という演奏会を拝聴してまいりましたです。
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3574

21世紀20年代の今、2000人収容するオーディトリアムで管はともかく弦楽器はたっぷり入ったモダン楽器で著名指揮者がこの3曲を演奏するって、なかなかありそうでない機会。あるとしたら、ヤルヴィ指揮ブレーメン室内管とか、ハーディング指揮マーラー室内管とか、はたまたエラス=カサド指揮セント・ルークス室内管とか。まあ、狙いに狙ってペトレンコ指揮ベルリンフィル、なんてのはあっても不思議ではないですけど。

20世紀最後の「レコードの巨匠時代」終焉期には、アメリカ合衆国のメイジャー・オーケストラはこういうものを録音したくてもユニオンとの関係でコストがかかりすぎて無理、という話は盛んに聞かされたものです。そんな文字通りの「大人の事情」を逆手に取るように、所謂HIP大流行となって、こういう形のメイジャーオーケストラでの大編成モーツァルト交響曲は特殊ジャンルとなってしまった。今回、2週間弱の新帝都滞在最後をこの演奏会で締めることにしたのも、正直、珍しいからです。身も蓋もない言い方だなぁ、いやはや。

ま、中身に関しましては、マニアさんからモーツァルト好きの方、はたまた同業者さんなど含め既にあちこちでいろんなことが言われているでしょうから、関心のある方はそちらへどうぞ。やくぺん先生ったら、あああティンパニーがぁ、とか、木管のバランスはこーゆーもんなのかぁ、とか、ポリフォニックな線の見せ方って、とか、ぶっちゃけ、あれこれ脳内補正して聴いている始末で、いかに我が前頭葉がHIPに浸食されまくっているか、今更ながらに驚きまくるという貴重な体験をさせていただいたのでありましたとさ。

さて、それはそれとして、興味深かったのは当日プログラムの解説でありまする。日本語版は寺西先生、英語版は当電子壁新聞ではお馴染みの(かな?)ロバートが書いていて、別の原稿。トーキョーとモントリオールという太平洋と北米大陸隔てた10000キロ向こうから送られてきた2つの作文の基本的なスタンスが、極めて似ている。寺西先生のものは上の都響URLから読みに行けますので、ご関心の向きはどうぞ。

で、隣に座った敬愛する同業者氏に「いやぁ、こういう曲解って、難しいですよねぇ」などと世間話に毛が生えたような会話をしていて、ひとつ興味深い情報を提供していただきました。

モーツァルトのK.550ト短調交響曲ですが、寺西先生もロバートも「モーツァルトの生前に演奏されたようだが…」という毎度ながらの持って回った言い方をしている。で、もの凄く信頼出来る同業者氏に拠れば、これに関してはもう10年くらい前に書簡が発見されている。モーツァルトはファン・ズウィーテン男爵邸でのこの作品の演奏を聴いて、怒って出て行ってしまった、という手紙が公開されているとのこと。何故かこの話は日本語の媒体では定説としては取り上げられていないようで…とのことでありました。

教えていただくがままにソースとなる文献を漁ると、いやぁ、恐ろしい世界になったなぁ、あっという間にPC画面に英訳で出てくるじゃないのさ。

ホントはここでURLを貼り付ければ良いんでしょうが、流石にこの論文を読みたいという方はもうちょっと手間を取っていただくべきであろうと思うので(立ち読みなさってる方々の利便など欠片も考えてませんからね、当無責任電子壁新聞は)、この論文、という題名だけを記しておきます。こちら。

A Performance of the G Minor Symphony K. 550 at Baron van Swieten’s Rooms in Mozart’s Presence, in: Newsletter of the Mozart Society of America, vol. XVI, Number 1, 27. January 2012, S. 1-4, 17.

もう発表されてから10年も経っているのに、日本語文献ではまだ殆ど取り上げられていないのには、やはり学問的な裏付けが希薄、事実として語るにはまだちょっと…ということなんでしょうかねぇ。

なにはともあれ、モーツァルトの後期交響曲の作曲背景やら演奏を巡って、やっぱりまだまだ判らんことだらけ、ということは判りますな。個人的には、曲目解説などに盛んに語られる「モーツァルトが委嘱もされないのにこんな大作を書くのは珍しい」という話は、うううん、そーかー、と思ってしまう。なんせ、あの《ハイドン・セット》という究極の委嘱無し、勝手に書きたくて書いた作品群がある人ですからねぇ。ファン・ズウィーテン男爵周辺のサロンのためなら、それくらいやるだろーに、って思っちゃうけどなぁ。うううむ…

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グラーツ大会の結果 [音楽業界]

一次予選はオンライン、二次とファイナルを夏休み真っ盛りのグラーツで開催する、という些か特殊な形で行われた「フランツ・シューベルト&現代国際室内楽コンクール」、所謂「グラーツ大会」ですな、第11回目となる今回は3つあった科目の中から弦楽四重奏がなくなるという残念な状態でしたが、とにもかくにも先程結果が出ました。こちら。表記を含め、オフィシャルをまんまコピペします。

[☆] Piano Trio [☆]
1st prize Trio Orelon
2nd prize Trio Unio
3rd prize Soleri Trio

[☆] Lied Duo [☆]
2nd prize DUO ADAMOVA/SCHAFER and BALEIRO/COSTA
3rd prize KAYAKI/EBINA

声とピアノの二重奏は1位を出さなかったわけですね。日本のチームが3位に入ってますから、この辺りはもう来年くらいから夏のサントリー・サマーフェスティバルの貴重な出演者要員としてリストアップされてくることでありましょう。こちらがヴェーベルンの演奏。

で、直接いろいろ関係ありそうなのがピアノ三重奏であります。なんせ、この科目の次の最もメイジャーな国際コンクールは来年5月の大阪ですから、もうこれは他人事ではない。優勝団体を含めたファイナリスト、セミファイナリストの半分くらいは絶対に応募してくるでしょうし、ことによると3つや4つの団体が大阪はいずみホールまで来ることになるでありましょう。

とにもかくにも、勝ったイタリア拠点の連中はしっかりホームページもあるキャリアを始めている奴らみたい。ケルンが拠点みたいで、わしがミュンヘン居る頃にケルンの辺りで演奏会やっとるわい。うううむ、ちょっとババリア首都から日帰りするには遠いか。
https://www.trio-orelon.com/?fbclid=IwAR39iMklpj0UK8j2IG9I7RJT9dIfClMAWVndrXJUEvmypprWYS7p_Mz3yVs

てなわけで、セミファイナル、ファイナルの映像は遺っているようなので、お暇な方はご覧あれ。

うううむ、毎度ながら、暑い暑いと言ってる間に勉強せにゃならんことがいっぱい溜まってるなぁ。

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昼間のコンサートでレーガーを聴く人々 [音楽業界]

線状降水帯というよーわからん言葉が普通に使われるようになったニッポン列島の夏、まるで南洋のような空の下、遙々横浜の元祖近郊住宅地区、JR根岸線で終点大船から一駅戻った本郷台駅前、横浜市栄区民文化センターリリスに行って参りました。こういうもんを聴くため。
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https://www.lilis.jp/event/?id=1643888230-719955
舞台の上からお喋り上手の水谷氏が笑いを取りながら紹介したところに拠れば、「コロナの最中に何か出来ないかという気持ちで、東京首都圏の公的スポンサーを持たないオーケストラの僕たちが集まって、この会場で映像収録をしたことから始まったグループ」だそうな。←あ、老人の耳コピなんで一語一句正確ではないので、毎度の「書いてあることはみんな嘘、信じるな」でお願いしますです。

ご覧のように怱々たるメンツの演奏会で、演目も極めて興味深い。終演後に演奏家ご本人らに「ふつーならせめて《浄夜》でしょーに」と訊ねたところ、水谷氏がレーガーのクラリネット五重奏に大いに感銘を受け、自分らと同世代の頃に書かれたこの曲を演奏してみたかった、とのこと。なるほどねぇ。流石にこのスコールの大気には余りにも暑苦しいジューシー過ぎる作品の後にこのままでお帰りになるわけには行きませでしょうから、と苦笑しつつ《主よ、人の望みの喜びよ》のコラールを六重奏編曲で披露して下さいました。昼間っから濃厚すぎるステーキの後に、お口直しのシャーベット、ってかな。

無論、こういうメンツですから聴く側のハードルもどんどん上がってしまうのは否めず、ブラームスなどは終楽章コーダ前など、もうすこし時間があればいろいろと細かく詰めて作れたろうにともったいなさを覚えるあれやこれやも無かったわけではないものの、これだけの人が集まってこんな演目ですから、成る程今日はこうだったのか、と充分満足。願わくば本番がもう一度くらいどこかで作れればねぇ…ま、欲しがりすぎはよろしくないですな。

このコンサート、中身は$20でこれなんてありがとうございます横浜市民の皆様、としか言いようがないものだったんだけど、もうひとつ興味深いのは、その聴衆でありました。

メディアが大雨洪水に注意と朝から叫びまくる午後の根岸線、大雨での運行停止が頻発する悪名高い路線でありまする。ましてや夏の連休明けの火曜日昼間の午後2時で、空模様も怪しく雨が落ち始めている。ことによると終演頃には大雨で電車が止まってるかもしれない。そんな午後に、なんとなんと「満員御礼」です。担当者さんも、「もっと早く売り切れると思ったんですけど…」とうぁっはっはぁ顔ですし。なるほど、勝って当然、の企画なんですな。ブラームスの有名な方の(だろうなぁ…)六重奏はともかく、ヘタすりゃ切符貰っても敬遠されそうなレーガーの作品、それでこの余裕っぷりって、なんなんねん。

満員の客席を埋めるのは、極少数の明らかに「演奏家の関係者お友達」としか思えぬ楽器背負った若い人たちを除けば、全てが熟年ばかり。
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この250席くらいの、ヨーロッパなら「アンフィシアター」と言われそうな急傾斜の高齢者向きならざる会場が、横浜郊外の善きご隠居で埋まる。世代的にはブラームスは往年の名画「恋人たち」で用いられた…という世代でもなかろうしなぁ、今や。
https://www.youtube.com/watch?v=CK48EiWCheU
https://eiga.com/movie/65554/

この前も、ある中堅世代演奏家さんと話をいていたら、「今は平日であろうが昼間の方が良いんです」と主催者側から言われて、そんなもんなんですかねぇ、と真顔で訊ねられたっけ。ううむ、判らん、気楽に「そうなんですよ」とも言えないけど、この状況を眺める限り、やっぱりそうなのかなぁ。

コロナ後の世界では、所謂「クラシック」のライヴ演奏会とは高齢者ファンを相手とする「ホンモノに遭えるアイドル」のライヴイベント、要は高齢者向けAKBなのであーる、という暴言を某専門誌で吐いても、誰も文句言わんしとりたてて賛同する声も挙がらない、なんだかよーわからんけどジワリジワリといろんな状況が変化しているのは感じる夏の夜なのであったとさ。

それにしても、このオーディトリアムを満席にする人々の何十人もが「三原じゅん子」って書いているんだよなぁ…何が不満なんだろー、うううううむ。

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昭和饒舌体もどきパルシファル [音楽業界]

二期会さんがストラスブールの劇場と提携して出した夏の盛りの《パルシファル》を、貧乏人らしからぬ大枚€100くらいはたき、3階右3列目という素晴らしい席で拝見してまいったのであーる。
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思えば2019年12月にアムステルダムの運河沿いの劇場で眺めた《ヴァルキューレ》以来の、「あああ、欧州の千席少しくらいの規模の劇場で出るヴァーグナーを眺めたなぁ」という気分になっておりまする。以上オシマイ…

ってなわけにもいかんだろうから、毎度ながらの感想になってない感想。

そもそもこの演出、「ICEでライン越えて40分走ればカールスルーエ、1時間半でバーゼルやらマンハイム、シュトゥットガルトやフランクフルトだって2時間かからない」という、《パルシファル》の上演だったらそれこそ毎年ガチ保守本流ヴァグネリアンが集う今や世界で唯一のマンハイムの戦後バイロイト様式を意地で維持する60余年の伝統演出から、原発事故から環境破壊から男だらけの社会批判からキリスト教義否定からなんでもありの今時演出まで、ありとあらゆるビックリトンデモ舞台を見慣れている聴衆共が集まってくる場所での新演出であります。となれば演出家の最大の仕事は、激戦区《パルシファル》新演出プレミアに”Operanwelt”やらの「斬新な演出」を見飽きた評論家にはるばるライン西まで来て貰い、すれっからしの客共には終演後にビール飲みながら口から泡を吹かせる意味探索演出家罵倒の楽しい時間を提供する、ってところにあったのでありましょう。

つまり、そんな素敵な、いくらでも中身を突っ込める素材を用いたまるっきり中身のない演出だった、ということ。ロビーで悪い人から伝え聞くに、演出家さん本人は「パルシファルくんの成長物語」と仰っているそうなゴリゴリ。ま、そういう発言も含めて膨大に掘り投げたチャフのひとつなんでしょーし。あ、批判や皮肉ではなく、褒めてるんですよ、うん。

ともかく「意味」を指し示す道具が無数に用意されていて、そのどれに引っかかっても見る側が勝手に自分なりの「意味」を作ろうと思えば作れるようになっている。冒頭の鏡の前のヘルツェライデお母さんから始まって、ずっと出てくる子供パルシファル、モンサバート城でありクリングゾルの城でもある博物館…等々、書き出せはキリがない。それぞれにいくらでも「象徴」や「意味」を読み取って下さい、と次から次へと饒舌に繰り出され、真面目に眺めているともう頭はクラクラになっちゃう。

で、1幕の後半が始まって先王が生きるミイラみたいになって出てくる辺りから、すれっからしの聴衆は「あああ、これはもうどうにでも取って良いのだ」と気づいて、あとは気楽に素敵な音楽に浸れる、という仕組みですな。

つまり、演出家が深い意味やら政治的社会的な意図なりを一切言わないために、意図的に用いる饒舌なものいい、ということ。

なるほどねぇ、こういう舞台がトーキョーでも観られる今日この頃になったんだなぁ。

思えば、全く時を同じくして、作品としても似たもの同士の《ペレアスとメリザンド》を初台で出していて、それがどうやら「過剰な情報を繰り出して全て夢の世界にする」というテクニックを駆使しているという。という、というのはなんのことはない、この舞台のトレイラーやらエクスでの評判を小耳に挟むに、初台の巨大空間で舞台の意図やらをきちんと判るためには€100程度の席ではとても無理、最低でも€200は出さないとフラストレーションが溜まりイライラするだけの演出である、と判断して、貧乏人のやくぺん先生は見物を断念せざるを得なかった。だって商売で作文せねばならんわけではない単なる娯楽、ドーネーションが必要な民間の団体ならともかく、わしらの税金でやってる国立劇場に€200なんてとても払えませんからねぇ、残念ながら。

てなわけで、久しぶりの鎖国前ヨーロッパ€50くらいのそこそこ貧乏人席でのヴァーグナー見物気分に浸れたので、ま、よしとしましょか。今時の讀響さんとは思えぬ三幕のホルンさんの派手な事故はともかくとして…あちゃあああ。

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グラーツ大会真夏に開催 [音楽業界]

2020年春節からイースター頃に始まったコロナ禍、どうやら2022年夏の段階で、もう本土及び台湾の中華帝国を除き世界の「政府」は対策を止めたらしく、欧州各国はほぼ野放し、我らがニッポン国ったら入国管理の厳しさ維持するだけであとは自己責任、ワクチンだけは税金でやってあげるから罹る奴は勝手に罹りなさい、という状況になっておりまする。我らが同業者お友達も次々とこの半端な鎖国を突破し、フランスドイツの夏の音楽祭巡りをして参りました、イギリスに、はたまたヴェトナムに、あれこれ用事で行ってきました、なぁんて話が耳に入り始める今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

このコロナの時代にタイムラインが大影響を受け、更にはコロナ禍直前から国際コンクール連盟事務局を巡る内紛分裂騒動が起きていた国際コンクール業界とすれば、ギュウ詰めになったコンクール日程を連盟で調整するという本来業務がまるでやられず、もう実質上無秩序状態。結果、この秋の頭には、過去にも常に問題になっていたバンフとミュンヘンARDが完全にバッティングするという誰もが困ってしまう事態が勃発し、状況は「アジア予選付きのF-1とアメリカ国内予選突破した奴らのインディカー」みたいな大西洋挟んで同じカテゴリーでキャラ違いすぎのグランプリ同時開催となってしまっております。

そんな中で、ちょっとばかし違う立ち位置をキープし続けていたグラーツ音楽院主催の「フランツ・シューベルト&モダン国際室内楽コンクール」も、延期になっていた本選を行います。こちら、英語版を貼り付けておきましょ。
https://schubert.kug.ac.at/en/

なんと、これまではグラーツの寒い冬の日に音楽院のあちこちの教室と街中の豪華なカジノのホールなんぞで開催していた大会、過去の「弦楽四重奏、ピアノ三重奏、歌とピアノ二重奏」という3科目から弦楽四重奏を抹消、ピアノトリオと声楽に絞るという極めて特殊なイベントとなりました。今世紀の初頭にQアルモニコが優勝しているところです。ま、お陰であたしゃ、いかなくても良くなったから隠居の身には有り難いといえばありがたい。

とはいえ、来年の大阪でピアノ三重奏があるわけで、その前のほぼ唯一の前哨戦ということで、立場上、全く知らんぷりするわけにもいくまいて。なんせ、第11回目となる今大会、期間はなんとなんと7月20日から24日などという常識的にはあり得ない夏休みのど真ん中。こんな時期、学校に裏方スタッフがちゃんといるのか(なんせ、両科目ともピアノという主催者側のメンテが必要な楽器が関わりますからねぇ)、音楽院が主催する大会として聴衆になって貰いたい学生がいるのか(無論、いないわななぁ)、こんな時期のグラーツって宿とかどうなってるんだ、移動だってお高い時期じゃあないのかい、等々、判らぬことはてんこ盛りながら、PCの前に座ってオンラインで眺めている限りは特に困ったことはない。ま、時差の問題は毎度ながらですけど。ストリーミングはこちらからどうぞ。グラーツに集められた団体は全て「セミファイナリスト」扱いで、ステージは全て無料でライヴ放送されまする。
https://schubert.kug.ac.at/en/competitions/franz-schubert-and-modern-music-2022/programme/

幸か不幸かグラーツに招聘されたピアノ三重奏団には我らがニッポン国籍の方はひとりもいないようですが、リートとピアノ部門には純ジャパチームひとつと、ピアノに同胞がいらっしゃるようですね。ま、これなら昨今のどっか螺旋が外れたようなコンクール騒動は起きないでしょうから、安心して眺めていられるなぁ。←なんせ、隠居の身を奮い立て、肉体的金銭的な無理をしてもミュンヘンまでいかにゃならんのは、現場見てないでウェールズやらアマービレのときみたいな半端なことになったら困るからだもんね。

夏も盛りの文月20日過ぎ、涼しくなった深夜にグラーツからの中継で燃え上がりましょ…かな?

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ラヴィニア音楽祭は10日まで中止です [音楽業界]

アメリカ合衆国独立記念日パレードを見物していた客に無差別でライフル乱射、というとんでもない事件が報道されております。テレビがない環境なんで、日本語メディアがどれくらい取り上げてるかわからんですが、ともかくこれがその直後の地元への通達。
https://www.cityhpil.com/news_detail_T21_R892.php
で、その後のまとめ。
https://apnews.com/article/chicago-july-4-parade-shooting-92b50feb80c19afe7842b9caf08545cb

当無責任私設電子壁新聞がこのニュースを取り上げる理由は、もう極めて明快。この事件の現場が、シカゴ交響楽団の夏のホームベースたるラヴィニア音楽祭の会場の直ぐ近くだからです。近くというか、住所表示ではハイランド・パークという同じ町内というのか、同じ行政区。そんなわけで、当然のことながら、音楽祭からこのようなアナウンスメントが出ました。下に中身をまんま貼り付けます。
https://www.ravinia.org/HighlandParkStrong

Ravinia is closed through July 10

In light of Monday’s tragedy, and out of a deep respect for our community, Ravinia announces the cancellation or postponement of all concerts and events through Sunday, July 10.

This decision was made after careful consideration and in close consultation with many stakeholders, including neighbors, public officials, artists, and patrons. Our shared hope is that the reduced activity–both within the park and in the neighborhoods surrounding Ravinia–will give the community the space and quiet to reflect and heal.

We sincerely regret any inconvenience. Those holding tickets for the affected concerts will automatically receive a full refund by August 1st.

Ravinia stands in loving support of our Highland Park community. We wish comfort and peace to the victims, their families, and all those affected, and look forward to gathering together again soon.

RAVINIA FESTIVAL

来週末以降はどうなるのか、シカゴ響が出てくるのは22日からのようで、それまでは室内楽なんぞばかりみたいですけど…

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日本時間金曜日午後7時半からヴァインベルク・レクチャー [音楽業界]

日本時間の本日金曜日午後7時半から、オランダはユトレヒトからのオンラインでヴァインベルクの大きな評伝を書いている専門家さんがレクチャーをします。
https://www.facebook.com/events/1058383148445962?ref=newsfeed
Facebookにアクセス出来る方は誰でも参加出来るようです。こういう内容。

Mieczyslav Weinberg: the composer that survived both Hitler and Stalin and had a close personal and musical relation with Shostakovich.

This free online lecture will be by David Fanning, professor of music at the University of Manchester and an expert on Soviet music.Now finishing his new biography about Mieczysław Weinberg, he will talk about this particular composer whose quartets are partly premiered by and core repertoire of the Danel Quartet.

是非どうぞ。

これ、間に合うのか?

[追記]

日本時間の7時半から延々と2時間以上、ダヴィッド・ファニング先生がヴァインベルクについての概論と、弦楽四重奏の全体像を語りました。これがヴァインベルクの弦楽四重奏創作の時代分類、無論、異論はあるだろうが、とのこと。
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面白かったのは、ダネルQのマークとのやりとりで、現時点での決定盤たる全集以降の展開を訊ねたり。マークの作品評価として、「ヴァインベルクの過小評価は、7番以降のショスタコーヴィチと競争して弦楽四重奏を書いていた頃の作品から後ばかりが紹介され、初期の6曲が全く知られていなかったことにあるのでは」と言っていたのが興味深いです。また、現時点ではダネルQのみの全曲録音ですが、今、ロシアの団体とポーランドの団体が全曲の録音プロジェクトを始めているとのこと。

なお、チャットで「日本では去る4月9日にアマチュア団体が第2弦楽四重奏の演奏をしています、アマチュアですよ!」と情報を提供しておきました。こちらのこと。マークは、アマチュアにまで広がっているのは凄い、と申しておりました。

ライヴ・イマジン49 「緑のランプ」
14:00開演(13:30開場)

前田 秀、内田 明美子、亀井 葉子[ヴァイオリン]内田 吉彦[ヴィオラ]西村 淳[チェロ]佐藤 健[クラリネット]吉田 康子[ピアノ]

ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏のためのアレグレット~エレジー~ポルカ
ストラヴィンスキー/兵士の物語
バルトーク/コントラスツ
ヴァインベルク/弦楽四重奏曲第2番

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ヴァインベルク大流行? [音楽業界]

なんだか知らんけど、ロシア情勢のアヤシさを受けて、というわけじゃあるまいに、どうやらヴァインベルクがいよいよニッポン列島でも大流行の兆し…なのか?

それも、なんのかんのたまに演奏されるシンフォニーとか、かのコンドラシンのモスクワフィルでの来日でマーラー9番日本初演やる前日に神奈川県立音楽堂で日本初演した室内交響曲とかじゃなく、室内楽だからビックリしてしまう。

なんのかんので最後はすっかり出社してなかった前のすみだの社長さん、元気になったらいきなり天下の讀賣さんに客演し、こんな演目でピアノ弾いちゃうし
https://yomikyo.or.jp/concert/2022/03/post-627.php#concert
「ヴァインベルクの時代が来た」だか刷り込んだ仮チラシなんか撒いちゃったりして、やる気満々のようです。

そればかりか、ただいま温泉県に滞在中の女帝様も、新帝都ではなんとなんと、盟友クレメルとこんな演目を予定。https://www.kajimotomusic.com/concerts/2022-argerich-kremer/
クレメルはある意味でヴァインベルクの専門家だから当然とはいえ、アルゲリッチってこの曲がレパートリーだったのかしらね?ホントに弾いてくれるのやら、なんか心配だなぁ。このお値段では貧乏な隠居爺たるやくぺん先生にはとても行けませんんし、そもそもこの日は隣の小ホールの予定なんだけど…

んで、オソロシーことに、クレメル&アルゲリッチが溜池でヴァイオリンとピアノのソナタを披露しているその時間、遙か北海道は札幌では、我らがダネルQがこんな演奏会の真っ最中。
https://www.kitara-sapporo.or.jp/event/event_detail.php?num=4609
ニッポン列島でヴァインベルク作品が同じ時間に披露されるって、地球が誕生してから初めてのことじゃああるまいかね。

そのダネルQですが、ニッポン列島でヴァインベルクを弾かせて貰えるのは相変わらず札幌だけのようです。もっと聴きたい、という方には、こちらをどうぞ。
https://www.westcorkmusic.ie/artists/2022/quatuor-danel/
6月27日から7月3日まで、ダネルQがもう何度目になるか判らぬヴァインベルク弦楽四重奏全曲演奏会を行います!場所はちょっとばかし遠く、アイルランドはWest Corkです。とはいえ、お金持ちで暇な方は、お金を払うに値するイベントですから、是非どうぞ。パヴェル・ハースとかベルチャとかも聴ける音楽祭だから、もうこれは行くしかないでしょ。←虚しい発言…

てなわけで、みんなヴァインベルク弾いてますよ。そろそろニッポンの皆さんも、ショスタコばっかりじゃなくて、ヴァインベルクもやらにゃマズいでしょーに!

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