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まるまる2年ぶりの… [音楽業界]

「音楽業界」ってよりも、「たびの空」カテゴリーがホントのところなんだけど、現実としてはたびの空ではないトーキョーベッタリ状態なんで、このカテゴリーにしておきます。無意味な駄文なんで、読む必要はありません、お忙しい貴方には時間の無駄ですっ!

木曜日には遙かトーキョー都下は谷保まで行き、金曜日は梅雨入り前の大雨の中を決壊しそうな大川六郷川鶴見川跨いで鶴見に向かい、ほのQの実質上の帝都の目利き聴衆前へのデビュー演奏会をマチネで見物。オフィス無しの居候状態縦長屋ではちょっとやれないきつい徹夜ありの作文をやっつけるためにそのまま京急鶴見駅向こうの国道1号線が深夜まで騒々しいシティホテルのビジネスルームとやらに宿泊(わずか€10程度のアップグレードで、机がちゃんと仕事できるだけの広さがあり、作文作業に耐えるだけの椅子も完備!)、崎陽軒生姜焼き弁当喰らいながら作文作業を敢行。土曜日朝には金曜締め切りだった原稿を編集部に投げ込み、JR鶴見駅から目の前のホームがなく通過する相鉄直通を恨めしげに眺めつつ川崎駅乗換で武蔵小杉に向かい、この街には絶対に住みたくないなぁ、と思いつつ東横線に乗り換えて、初夏っぽい湿った空気にオリンピックは他人事みたいな柿の木坂のワクチン接種会場隣のホールに到着。昼過ぎから延々と8時過ぎまでクセナキスの音に晒され、頭ガンガン、前頭葉崩壊の海胆頭怪人状態で途中の地下鉄乗換えを間違えながら、なんとか五輪準備粛粛と進む湾岸は縦長屋に戻って参りました。あけて本日日曜日朝、お嫁ちゃまは朝から夕方までオンラインで学会みたいなもんをやってるんで、さっさと塒を追い出されておりまする。

なんせ、本日から、ってか、今月に入ってからの日程を列挙すると…

1日:Qインテグラ(鶴見)→サーリアホ作品ワークショップ(上野)
2日:作文作業
3日:クセナキス音楽祭プレイベント(谷保)
4日:ほのQ(鶴見)
5日:クセナキス音楽祭本番(柿木坂)
6日:サーリアホ日本初演本番(上野)→イェルサレムQベートーヴェン初日(溜池)
7日:イェルサレムQ第2日(溜池)
8日:イェルサレムQ第3日(溜池)
9日:葵トリオ(与野本町)
IMG_E2087[1].jpg
10日:イェルサレムQ第4日(溜池)
11日:イェルサレムQ最終日(溜池)
12日:予備日(イェルサムQ+Qアマービレ?)
13日:エク定期(上野)

って、もうぐちゃぐちゃの大連チャン。冷静に見れば、この日程って、「5月の終わりに成田か羽田を出て欧州のどっかに入り、時差調整を兼ねて4,5日の間、シーズン終わりの歌劇場が出す特殊な現代オペラやら、一足早く始まった田舎のフェスティバルに知り合い団体に挨拶がてらに顔を出し、頭と体調を欧州モードに直しておもむろにコンクール開催都市に乗り込み、一週間の間、延々とセッションを眺める」って、2週間の初夏の欧州コンクール取材たびの空、まんまじゃんの。

セッションが進む真ん中辺りに休みが1日あって別のジャンルのマチネが用意されてる、なんてのもまるっきりコンクール取材日程だし、終わった翌日にまだホントは眺めなきゃならん演目が予定されてるんだが、とてもじゃないがその時点でまともに頭が生きているとは思えないので現時点では未定にしてきましょ、ってのも毎度おなじみのコンクール取材パターン。

冗談では済まないのは、やるかやらないか最後まで判らなかった北イタリアはレッジョ・エミリアのボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクールが、どうやら付帯事業というか、同時に開催される世界音楽コンクール連盟総会も含めて本日から開催されることになったようで、この日程がまんま「成田を5月末に出て、ブリュッセルに入ってベルギーオランダドイツなどを数日ウロウロし、アルプス越えてボローニャ化ベルガモに入ってレッジョまで行き一週間べったり滞在、終わったミラノ出てスカラ座眺めて…」って2週間の3年に一度のツアーを、まんまトーキョーでやってるような錯覚がしてくるぞ。実際、庶民の意向など無視して五輪強行の御上は粛粛と開催準備を薦め、地元とすればもう実際は始まってる五輪など無縁に、別の世界のたびの空、って感じの曇り空なのであーる。

このたびの空から戻ったら、いよいよ冗談では済まないことになってるオフィス移転作戦に本格再着手し、なんとかトーキョー湾岸ご当地五輪悪夢の強行騒動に巻き込まれないようにしたいものじゃが…受け入れ先も緊急事態で動けない状況が少しでも好転するよう、fingers crossed…

さて、英訳の「羽衣」台本読みながら、そろそろ上野に向かうべぇかい。2021初夏のトーキョーツアー、いよいよ本格開幕じゃ!

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欧亜境界近くで「ディアギレフ・フェスティバル」開催 [音楽業界]

毎朝起きると世界のあちこちから「なんでこんな案内が届くんねん?」ってメールがいっぱい配達されてるのを右から左へとゴミ箱に投げ込むのが日課なのでありますがぁ、今朝はそんな日常作業中に手が止まるリリースがありましたので、ゴミ箱に突っ込む前に電子壁新聞に貼り付けておきます。

来月10日から20日、遙かシベリアを飛び越えた向こう、アジアと欧州を隔てるウラル山脈の西の麓のペルミで、「ディアギレフ・フェスティバル」なるイベントが開催されます。リリースをまんまPDFにしましたので、下に貼り付けます。ほれ。あ、ロシア語じゃなくて英語だからご安心を。
Teodor Currentzis Supervises the Diaghilev Festival in Perm on June 10 – 20[15976].pdf
何が興味深いって、無論、へえええロシアって、こんな国際イベントやれるんだぁ、って吃驚。それになによりも、芸術監督がニッポンでもだああああっとトップスターへの道を駆け上っている真っ最中にコロナになっちゃった若きニューヒーロー、今、この人を褒めておけば「意識高い」と鼻高々になれること必至のクルレンツィスが、音楽祭の監修を務める、というところ。平時だったら、一部熱狂的なマニアさんたちがアエロフロートに飛び乗って、いそいそとシベリア越えそうなイベントでしょ。

中身としては、ディアギレフ芸術祭とはいえ、特にストラヴィンスキー没後50年をフィーチャーしたわけではなく、今時のヨーロッパの総合芸術祭ですけど、音楽は重要な中心になってるようではありますな。ま、関心のある方はじっくりリリースをお読みあれ。流石に写真などをこんな電子壁新聞に貼り付けるわけにはいかんでしょうから、それはしません。ちなみに、こちらが公式のページなんで、こっちを眺めていただいた方が良いかな。英語版を出しておきます。
https://diaghilevfest.ru/en/

てなわけで、お暇な方はどうぞ…って、誰も行けっこないけどさぁ。それにしても、ペルミって、成田羽田から太陽を追いかける昼便でずーっと昼間から夕方のままでシベリアを越えるとき、モスクワ上空ビーコン拾う様な南寄りの行路を取ったときにはウラル山脈越えて見えてくることもある、馴染みといえば馴染みの街の名前だけど…生涯、行かんだろーなぁ。

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群響定期は週末午後4時開演になりました [音楽業界]

高崎駅発18時47分の高崎線上野東京ライン、ガラガラの2号車ロングシートをひとつ占拠し、梅雨の初めの大雨のようなザアザア降りの中を新帝都中央駅に向かってます。次は籠原で、後ろに5両繋げるのかな。なんにせよ、新帝都中央駅到着は20時39分。雨が降ってたら都バスに乗っちゃうだろうから、大川端縦長屋には9時頃には戻れるでしょう。

いかな聖霊降臨祭が近づく昼の長い北半球とはいえ、流石に外はすっかり夜。土曜の宵の上り列車でガラガラのコロナ緊急事態のニッポン、客車の窓は薄く開けて、湿った空気がガンガンに流れ込んでます。なんせ、日没直前くらいに会場を出たら、まるで嵐のような大雨で、芸術劇場から駅までのプロムナードに設置された狭い雨よけの下は渋滞しそうな勢いでありましたから。
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思えば、トーキョーcityから越境するのは、連休終わりの子供の日に相模国は相模湖駅から戻ってきて以来。ホントならば今日は大分にいた筈が、アルゲリッチ様が極東の島国は温泉県に入れずに演奏会がキャンセル。用事があったゆふいんでも、由布市内の小学校でクラスターが発生してしまい近寄れる感じではなくなり、去る金曜日から来週前半の日程がすべて吹っ飛んでしまった。うううむ、Zoom画面でやったインタビューのテープ起こしなんて面倒なお仕事はあるものの、なんだかボーッとしてしまい、なにもやる気が無く、大川眺めていると急に東京駅からどっかに行きたくなり、都バスに飛び乗り、在来線ホームに向かい、高崎行きに飛び乗ってしまったのが昼過ぎのこと。延々と曇り空の関東平野に麦の秋がやってきているのを眺め、群馬交響楽団の定期演奏会当日券最後の天井桟敷貧乏人切符を現金3000円也で買ってしまったのであーる。

本日のニッポン首都圏ったら、初台と横浜でマーラー4番、池袋と川崎でピアソラ生誕100年、紀尾井町ではストラヴィンスキー没後半世紀、更には柿の木坂でバロックオペラまでやってる、ってオソロシー状況で、これが「非常事態」宣言下とは後の歴史記述者は絶対に信じまい、って勢い。遙か大阪ではオーケストラ以下、すべての舞台がストップしているというのに、なんなんねん。んで、緊急事態宣言の対象外とはいえ、ぐんまちゃんの故郷高崎では、マーラーの5番でありまする。やくぺん先生とすれば、翌日には葛飾オフィスからすべての家財が撤収され、半世紀過ごした(ことになってる)実家で寝る最後の日に、コロナ後最初に首都圏プロオケが鳴らすマーラーの大曲たる第6番《悲劇的》を聴き人生を考えるべく高崎にやってきたのは、今を去ること丁度2ヶ月前のことであった。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2021-03-20
この時節、なにやら1番やら4番は大はやりだけど、コロナ禍真っ只中の定期で5番6番って並べて客入れてやってるプロのオーケストラなんて、中国を除けば世界中にないんじゃないかしら。なお、一昨日だかに飛び込んだ訃報を受け、「葬送行進曲」で始まるマーラーは群響名誉指揮者マルティン・トゥルノフスキー氏に捧げられておりまする。
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演奏の中身は、そうねぇ、些か微妙な言い方になりますけど……「都内各地にクラシック専用ホールと謳う会場が次々とオープンし、オケがそれぞれにフランチャイズなどの活動を始めた頃の在京オケ」って感じでんな。

全くネガティヴな意味ではなく、さあこれからいよいよやるぞ、って言葉の良い意味でのローカルな高揚感で浮き立っていたバブル末期のトーキョーの勢いを感じましたです。無論、マーラーの5番なんぞの超名曲、ソリスト級の腕っこきを首席にズラリと並べた著名ヴィルトゥオーゾオケを著名指揮者が振りまわしたピシ、パシっ、どっかーん、すげーだろー、って「名演」は、今時はディスクやら映像でいくらでも簡単に手に入る。だけど、それはそれとして、やっぱりライヴよね、って思わせてくれる「俺たちのオケのマーラー」感がビシバシに伝わってくるもんでありましたね。特に3楽章のホルンを上手のハープの横に立たせて微妙にソリスト扱いで見せたりして、おらがスター前面押し、って。

高崎駅を降りて反対側の県庁の足下まで延々と歩いていた戦後モダニズムの音楽センターがなくなり、今時のガラスピカピカの新しい大ホールが出来ることになり、いろいろな議論があったもののオープンした新ホールで鳴った我が街のオーケストラの音にあらためてみんな吃驚して、なんか嬉しくなっちゃって…って、良い循環が起きているような。聴衆も、今の在京メイジャーオケのマニア系ご隠居しかいないような客席ではなく、お高い席はそれなりにオシャレした老夫婦、貧乏人席にはマーラーやブルックナーで感動し青春の魂を燃えたぎらせたいような若い世代がそれなりに顔を揃えている。
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九州もそうだけど、今やいちばん熱心にこのような旧来型のシンフォニー・オーケストラを聴いているのは、人口数十万くらいの拠点地方都市なんじゃないかしら。

無論、このホールのオープンにまつわるいろんな面倒な話はあったことも、良かった良かったで忘れるわけにはいかんけどさ…
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2019-11-24

※※※

…ってな話は実は前置きで、そんな勢いと地元の盛り上がりを反映する、群馬県民ではない周辺地域住民、特に新帝都首都圏住民には興味深い改革を群響事務局は敢行しました。以下、実質、本論。

日本国独自のカレンダーに従い4月から始まった2021-22新年度シーズンで、群響は新拠点高崎芸術劇場大ホールでの定期演奏会の日程を変更しました。
http://www.gunkyo.com/hp/wp-content/uploads/2012/01/05f7f6b480780be54bfebebcd54e6226.pdf
まずは演目に目が行っちゃうけど、極端にレパートリーが限られたコバケン御大の名曲プロみたいな特殊な回を除けば、マーラーの2番と5番、ブルックナーの5番と8番、それにショスタコやって、伊福部やら矢代やらやって、という、堂々たるメイジャー大オーケストラのプログラムで、ホントに90年代のブルックナーマーラー流行爆発が始まった頃の在京オケみたいだなぁ。

それはそれとして、もっと重要なのは開演時間と日付の変更です。ほれ。
http://www.gunkyo.com/info/2021-2022%EF%BC%882021%E5%B9%B4%E5%BA%A6%EF%BC%89%E5%AE%9A%E6%9C%9F%E6%BC%94%E5%A5%8F%E4%BC%9A-%E9%96%8B%E5%A0%B4%E6%99%82%E9%96%93%E5%8F%8A%E3%81%B3%E9%96%8B%E6%BC%94%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AB/
ご覧になってお判りのように、10月のコバケン回を除き、すべて月の後半の週末土曜日か日曜日の午後4時開演に揃えてます。

これねぇ、高崎までのアクセスがその気になれば1時間以下くらいのところに住む首都圏住民とすれば、かなり重要な変更なんですわ。なんせ、マーラーの6番でハンマーぶったたいて終わった全シーズンまでの定期は、週末でも開演は午後7時でした。つまり、終演は高崎で9時です。新幹線が出来てからは往復$100出していいなら問題なく首都圏在住者なら行ける時間ではあったけど、やっぱりちょっと遠いよねぇ、という感じだった。それが、「群響定期は高崎で午後6時には終演になる」という感覚が定着すれば、都心の午後2時開演の感じで出かけ、都心の午後7時開演で戻ってくる、ってことが出来るようになります。

実際、高崎芸術劇場真ん前、ホール出口から徒歩15秒の長距離バス乗り場には、こういう時刻表が出ている。
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本日のように終演が6時20分にもなる長い演奏会はダメだけど、ブルックナー5番だけ、8番だけ、マーラー2番だけ、なんて演奏会なら、4時開演で6時の池袋行きバスに悠々で乗って帰ってこられるんですわ。

この時刻表を眺めていたら、バス停の事務所の中からオジサンが出てきて、「群響ですか、6時のバスがありますよ。チケットは4枚綴りで660円安くなるよ」と声をかけてきました。判ってるじゃん、バス会社の営業さん。だってさ、これなら、池袋12時半にバスに乗って、群響の会場真ん前に2時15分に到着し、当日券販売が2時半からで、終演したら拍手そこそこに階段ひとつ降りてくれば午後8時前には池袋に戻れる、って日程だもん。芸劇行くのと同じじゃんかぁ。

さあああ東京都民よ、群響はもう貴方のオケじゃ。これからの20年で劇的に変貌していくであろう「日本のバーミンガム市響」たる群響、要注目!

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『バイエルの刊行台帳』という本 [音楽業界]

「音楽業界」なのか「売文家業」なのか、ちょっと微妙な話。

もう何年前になるのか、安田寛先生の著作『バイエルの謎』がベストセラーになり、この類いの書物としては珍しくも数年で新潮文庫にまで入ったという驚異的な事件(としか言い様がない)がありました。当電子壁新聞でも無論、そこまでの大騒ぎになる前に話題にさせていただきましたっけ。ああ、もう9年も前の今頃だったのかぁ。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2012-05-27

月日は流れ、世界がとんでもない状況になっているこの春、前作の正当な続編たる『バイエルの刊行台帳』が出版されましたです。こちら。
https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail_sp.php?code=212590

早速、読ませていただきました。っても、周囲あれこれバタバタで、一気に読み上げるというわけには行かず、大川端ノマド場でドバや子雀と遊びながら、はたまた本書に曰く「2%の富める大作曲家」の中にあって最も神格化された大バッハ先生の最も神格化された《ブランデンブルク協奏曲》全曲なんぞの演奏会を前に遙か天樹を眺める公園で、
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ダラダラとちょっとづつ、拝読させていただくことになったのでありまする。

で、以下、正直な感想を申します。快刀乱麻、って感じで「バイエル」という存在の秘密をスッパリ暴いた感があった前作と比べますと、今回の続編は、「ミステリー」としてはちょっと難しいです。ハッキリ言っちゃえば――以下ネタバレ、と記すべきなんでしょうけど――本書を敢えて娯楽ミステリーの知的エンターテインメントとして読むと、最初に掲げられた今回の謎、「何故マインツのショット本社の回廊にバイエルの肖像画が掲げられているのか?」という疑問に対するタネ明かしとして、そのわけを綴った社長の手紙が出てきたとか、当時の新聞記事が発見され関係者の発言があったとか、そんな意味での明快な答えは示されておりません。

無論、本書を謎解き娯楽エンターテインメントとして読む方が悪いんで、そもそもそういうもんではない、というだけのことなんですけど。

本書は、「何か正しい正解を教えて貰える」本ではありません。2020年代の頭くらいに、日本語文化圏の読者にとって所謂「西洋音楽史」がどのようにあり得るのか、ひとつのあり方を探っていくプロセスを記述したエッセイです。

その意味では、現代の音楽学の流れや、誤解覚悟で言えば「流行」がどのようなものなのか、良く判る書物です。ふたりの共著者が、「私」というまるで今時のラノベみたいな一人称単数人格を仮構し、「バイエルが出版され、受け入れられた状況」を、ショット社から譲渡され今はミュンヘンのオペラハウスの向こうの州立図書館に納まるオリジナル資料を紐解いてあたっていく。そのプロセスで、「私」はあれやこれや考えた、というもの。最終的に、ロマン主義的な「英雄中心に語られる歴史」の問題性(このような言い方はなさってませんけど、つまりそーゆーこと)が、この先の「私」のテーマとして浮かび上がってくる。いろいろ判ったものの判らないこともいっぱいあり、何故判らないかはなんとなく判ったような…

売文業者として技術的に最も興味深かったのは、「共著」という形をとりつつ、「私」という登場人物を出して記述するスタイルをお採りになったことでした。前作は安田先生が語っている以外に誤読のしようがなかったけど、今回は共著となり再び登場した「私」は果たして前作の語り手と同じキャラクターなのか?なんだかまるで「記述構造そのものが謎解きの最大トリックだった」という類いのミステリーみたいな言い方ですけど、やはりどうしてもそう感じてしまうのは、前作からの愛読者とすれば致し方ないでありましょう。お許しあれ。

ま、そういう作文テクニックの問題はそれとして、へえええ、そーなんだぁ、と思いながらページを繰っていく限りは、興味深い時間を過ごせることは確実であります。

それにしても、やっぱり気になるのは、「バイエルは超一流の売れっ子編曲者だった」という本書で明かされる事実の裏にある「編曲はやった者勝ち、出版した者勝ち」という歴史状況が、バイエル没後半世紀ちょっとして守銭奴リヒャルト・シュトラウスの大活躍で著作権なるものが確立し、まるでなくなってしまう、という史実。本書で論じられようとした、はたまた次の書物で論じられることになるであろう「作品のコミュニズム」としての音楽史の見直しは、つまるところ現代日本の「YouTubeに溢れる素人のリミックス作品VS悪のラスボスJASRAC」みたいなところにまで繋がるのか…

バイエルという人を軸に、いろいろあれこれ前頭葉を刺激される著作であります。前作程気楽に「必読」というのはちょっと難しいかもしれなけど、知的刺激を受けたい方は是非お読みあれ。

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ピアチェンツァでコロナ追悼《ヴェルレク》 [音楽業界]

昨日日曜夕方、日本時間では早朝というか深夜の月曜午前1時、エミリア・ロマーニャ州の北西の端っこ、ポー川鉄橋を越えればもうロンバルディア州で特急ならミラノまであと一駅という北イタリアの川口みたいな古都ピアチェンツァの市立劇場で、コロナ犠牲者追悼のヴェルディ《レクイエム》が演奏され、ライヴで無料配信されました。こちら。

ご覧のように、なんと指揮はドミンゴ御大という豪華版、オケはパルマから州のオケたるトスカニーニ管が来てますな。

ライヴで眺めようと頑張ったけど寝ちゃって、今、起きてサイトに行ってみるとちゃんと眺められます。いつまで写るか知らないけど、お暇ならどうぞ。なお、始まってまず、このようなときには圧倒的に場違い感が漂う陽気で元気なイタリア国歌斉唱があったあと会場は暗転し、コロナで亡くなった方々への追悼の医療従事者の活躍を描くモノクロ映像があり、追悼演奏本編は13分くらいから始まります。

映像を眺める限り、客席はひとり空け着席でマスク必須。演奏する側は、弦楽器はピットを下げてその中に入り、マスク使用。管楽器は高くなった舞台の上に並び、奥の打楽器はマスク着用。合唱団は舞台の奥に立ち、それなりに間隔を保っているようですが、フェイスマスクやらシールドはないみたいですな。

バイエルン州某市の評論家さんから教えて貰ったイベントで、その方は昨今のドミンゴ御大の活動にはもの凄く批判的なんだけど、ま、これはこれでありでしょう。確か、ご本人もコロナを経験したわけだしねぇ。演奏そのものは、なんせ歴史的名演キラ星の超名曲だけに、いろいろ仰りたい方も多いでしょうが。
https://www.asahi.com/articles/ASN3R32YVN3RUHBI00P.html

やくぺん先生とすれば、この演奏会が気になる理由はもうハッキリしていて、ピアチェンツァという街が来月第一週から始まる予定になっているボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクールの舞台となるレッジョ・エミリアと同じ州にある、という事実に尽きます。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2021-05-13

なんせ、ミラノ中央駅から「走れば速いぞ」で知られるトレニタリアに乗りレッジョに向かうと、若きモーツァルトがミラノに入れずに長逗留となり暇つぶしに最初の弦楽四重奏曲を書いたローディを過ぎ、ポー川の大鉄橋を越えたらピアチェンツァ。そこからは「イタリアの高崎線」と呼ばれるヨーロッパでもいちばんつまらん車窓が続き、次はパルマだっけ。そこまで来れば、レッジョまでもうちょっと。新幹線駅はあったっけか。

ま、ともかく、そのような場所でこの規模のイベントが本日の時点で開催されているということは、2019年9月のバンフ以来のメイジャー弦楽四重奏専門大会たるレッジョのボルチアーニ大会も不参加団体続出覚悟での強行は出来る、ということなんでしょうか。エミリア・ロマーニャ州は活動規制が最も緩い場所という話もあるし。

コンクールが出来ようが出来まいが、レッジョのコンクールスタッフがみんな元気でありますように。

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パンデミック下の「国際オペラ賞」発表 [音楽業界]

昨日朝から、欧州方面オペラ・カンパニーの広報さんから、盛んにプレス・リリースが送りつけられております。3月終わり頃からオフィスがなく、インターネットのストリーミングやらを含めオーディオへのアクセス環境がまるでないやくぺん先生、このパンデミックのご時世にライヴしかダメって、もうまるっきり商売にならない環境は暫く変化する見通しがなく(転居予定先がパンデミックが始まって以来最悪の状況になっており、当初の予定では連休明けは現地に張り付いていろいろ動く予定が、それどころではなくなってしまっております)、最もレトロなメディアたる紙の本を大川端で紐解くという大都会隠居爺状態になってしまっております。

かくて、この秋のシーズンからはやるぞ、って勢いになってる欧州各地や北米のオーケストラやオペラカンパニー、室内楽主催者がやたらと盛り上がったリリースを送りつけるイースター明けから初夏になってきたといえ、すっかりワクチン後進国となり、選手村周辺住民どころか選手だって来たくないのにオリパラなんて夢物語を語るお花畑御上のニッポン、何処の世界の話なんだろーなー、と遠い目で来たメールを開けもせずにゴミ箱に放り込む日々が続いてる。

とはいえ、昨日朝にマドリッドのオペラハウス広報さんからファンファーレ付きみたいな凄い勢いで来たメールは流石になんだろうと思ったら、なーるほど、こういうことでありました。こちら。
http://www.operaawards.org/news/winners-announced/
http://www.operaawards.org/archive/2020/

International Opera Awardsが2020-21の結果を月曜日に発表した、そこでテアトロ・レアルが「今年のオペラ・カンパニー」に選ばれた、ということです。午後になって、バーミンガム・オペラの広報さんからもメールが来たのは、《マクベス》のプロダクションに関連していくつもこの賞を獲った、ということでありました。
https://mailchi.mp/70d1de3c5dbe/birmingham-opera-sweeps-the-international-opera-awards-3297082?e=a07932341a

ノミネート舞台のリストなどを眺めるに、実質上、ニッポンのシーズン感覚からするとパンデミックが始まる前の年の話をしているようにも思えるのですが、どうも講評を眺めるとそういうわけでもないのかしら。よーわからんです。なんであれ、初台の西村新作が「世界初演」部門のノミネートに入ってるのだから、一応、英語圏に君臨し世界の情報を未だにコントロールする大英帝国はロンドン拠点の賞として極東も視野には入れてますよ、ということなんでしょーかねぇ。これなら、来年は藤倉が新作大賞採れるんじゃないのかしら。参考までに、この部門のノミネート作品を貼り付けますと、以下。北米もちゃんと視野に入れてるぞ、ってかね。
García-Tomás: Je suis narcissiste (Teatro Real)
Glanert: Oceane (Deutsche Oper Berlin)
Kats-Chernin: Whiteley (Opera Australia)
MacRae: Anthropocene (Scottish Opera)
Nishimura: Asters (New National Theatre Tokyo)
Reid: p r i s m (Beth Morrison Projects)
Schreier: Schade, dass sie eine Hure war (Deutsche Oper am Rhein)
Venables: Denis & Katya (Opera Philadelphia)

ま、些か他人事感は漂うものの、パンデミックの年に頑張ってこういう賞をいただけたので、マドリッドやらバーミンガムのスタッフは大喜びでありましょうぞ。おめでとうございます。頑張ってくださいな。来年は是非とも「ストリーミング作品大賞」という部門を作っていただきたいですね。

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1世紀と10年余が経っても… [音楽業界]

毎日の日課のひとつとなっている「青空文庫」の新作更新を数日しておらず、昨晩、なにやら周囲がバタバタする中で久しぶりに行ったら、興味深い作品がアップされておりました。こちら。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001341/files/59298_73052.html

永井荷風の作品(このフォーマットが「作品」なのか良く判らぬけど)の中でも決してメイジャーではないであろう、洋行から戻り半年くらいの秋の終わりから翌年初めまで、あれやこれや言いたいこと綴った日記であります。

帰朝直後の、定職も無くブラブラ、文字通りの高等遊民をしてた30代になったばかりの荷風坊ちゃまが住んでいたのは、誰もが知ってるサントリーホール裏やら、晩年を過ごした京成八幡駅北の田舎ではなく、湘南に引っ込んでいる親の実家の「一番町の屋敷」。イタリア文化会館近くだと思うが、このBlog記事に引用されている記述との整合性はどうなるのやら。
https://blog.goo.ne.jp/asaichibei/e/f24fa89a5940076d8e6a6157370fc4f9
思い立って新橋駅まで行ける、という辺り。ショパンのソナタの「葬送行進曲」楽章を公開で弾いたという青年會館というのも、神宮外苑の日本青年館が出来る前だから、恐らくは丸ノ内とかかしらね。なんにせよ、大川端のやくぺん先生縦長屋の視野に入る中に蟄居なさっていたのでありましょう。

この日記、21世紀は20年代のコロナ禍で鬱々と暮らすわしらが今読んでも、あれこれとイタいというか、頭抱えちゃう、まるで「激辛」とか「毒舌」とか言われる業界関係者のBlogかtwitterの書き込みを眺めてるんじゃないかい、と思うようなものでありまする。まんま引用すると、こんなん。

「劇場は石と材木さへあれば何時でも出來ます。然し日本の國民が一體に演劇、演劇に限らず凡ての藝術を民族の眞正まことの聲であると思ふやうな時代は、今日の教育政治の方針で進んで行つたら何百年たつても來くるべき望みはないだらうと思ふのです。日本人が今日新しい劇場を建てやうと云ふのは僕の考へぢや、丁度二十年前に帝國議會が出來たのも同樣で國民一般が内心から立派な民族的藝術を要求した結果からではなくて、社會一部の勢力者が國際上外國に對する淺薄な虚榮心無智な模倣から作つたものだ。つまり明治の文明全體が虚榮心の上に體裁よく建設されたものです。それだから、若し國民が個々に自覺して社會の根本思想を改革しない限りには、百の議會、百の劇場も、會堂も、學校も、其れ等は要するに新形輸入の西洋小間物に過ぎない。直ぐと色のさめる贋物いかもの同樣でせう。あなたの、大學の方にだつて隨分不平な學者があるでせう。」(1908年12月2日)

いやはや…

他にも、塔之澤に今もある福住楼に行って日本の美とやらに絶望したり、私立音楽学校を創った男がギャラは殆ど出せないが講師陣に名前を出させてくれとムシの良いお願いに来たのに怒りまくったり、いやはやいやはや、の連続でありまする。業界関係者は、是非ご一読あれ。

大川端のノマド場で、足下に「くれないのくれないの」と寄ってくるドバたちを相手にしながら、携帯画面でこのような文章に浸っていると、目の前に広がるトーキョーがみるみる時間の彼方に溶け出し、さあ今日は永代橋の東詰でPANの会、そう五月だもの、って思えてくる…わきゃないわい。

永井荷風という方のバイオグラフィーで今のわしらには最も想像に難いのは、後期ロマン派爛熟期の夢のような時代にマンハッタンでメト通いをして過ごし、マーラーがニューヨークに渡ってくるのと入れ違いのように欧州に向かい、今のわしらにとっても最も人気がある最初期の伝説のアーティストたちが現役バリバリだった欧州に触れる7年だかを20代に過ごしながら、葛飾野の地で独居し寂しく没するまでのその後の半世紀という長い時間に二度と「洋行」をしなかった、という事実であります。

羽田や成田から半日でフランクフルトやらニューヨークに届くのが当たり前だった21世紀初頭の日常が奪われ、たかがまだ1年を超えただけでもこんなにおかしくなりそうなのに、これが半世紀も続く中を生きるって…

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急告:別府アルゲリッチ音楽祭中止 [音楽業界]

急告です。5月6日午後1時に別府アルゲリッチ音楽祭事務局からメールが来ました。まだホームページなどは更新されていないようですが、報道関係者向けとはいえコンフィデンシャルなことではないので、急いで内容をコピペします。やくぺん先生は22日の大分いいちこホールの室内楽を天井桟敷から眺める予定でしたが、状況が読めないので宿飛行機は手配しておりませんでした。やはり、というか…うううむ。

※※※


報道各社の皆様へ
平素より弊財団の活動に温かいご支援とご協力を賜り、誠にありがとうございます。

◆【謹告】第22回別府アルゲリッチ音楽祭 開催中止のお知らせ
第22回別府アルゲリッチ音楽祭については、アルゲリッチ総監督の入国をはじめとして、感染対策を徹底するなどの対策を取りながら開催できるように準備を進めてまいりましたが、大分県内における新型コロナウイルス変異株の感染拡大を受けて、2021年5月8日から6月22日に開催を予定しておりました第22回音楽祭の全公演について、中止させていただくことになりました。5月14日の東京公演につきましても、緊急事態宣言が延長されるとの報道を受け、お客様、アーティスト、関係者の安全安心を総合的に判断して中止とさせていただきます。
昨年に続き、今年も開催が叶わず、音楽祭を心待ちにされていた皆さまには、大変なご迷惑おかけいたしますことを心からお詫び申しあげますと共に、事情をご賢察いただき、ご了承賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
 また、ご支援いただいておりますご寄附、ご協賛の皆さま、そして、開催に向けて準備等ご協力を賜りました関係者の皆さまにも厚く御礼申し上げますとともに、謹んでお詫び申しあげます。
音楽祭の中止に伴いまして、今年の音楽祭チケットをご購入いただきました皆さまには、払い戻しをさせていただくことにいたします。払い戻しの方法については、後日当財団ホームページ等にてお知らせをさせていただきます。お手元のチケットは大切に保管いただきますようお願いいたします。

 第22回音楽祭の報道、取材をご検討いただいておりました皆様には追ってご連絡させていただきます。
 なにとぞご理解いただきますようお願い申し上げます。 

♪♪♪------------------------------------♪♪♪
 公益財団法人アルゲリッチ芸術振興財団
 〒874-0903
 大分県別府市野口原3030-1しいきアルゲリッチハウス
 TEL:0977-27-2299 FAX:0977-27-2301
 Argerich Arts Foundation
 Shiiki presents Argerich’s Haus
 Noguchibaru 3030-1, Beppu-shi Oita-ken
 MAIL: info@argerich-mf.jp
 URL: https://www.argerich-mf.jp
♪♪♪------------------------------------♪♪♪      

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上海の春国際音楽祭は共産党100年がテーマ [音楽業界]

恐らくはどの日本語メディアも報道しないであろうニュースです。

昨日(多分)、「第37回上海の春国際音楽祭」が上海音楽庁で開幕しました。こちらをご覧あれ。
https://klassikom.blogspot.com/2021/04/major-western-institutions-endorse.html?fbclid=IwAR0MqWnqCfFFotcHOeMjIVjpzWN-5TWvQRjG7BIRJajeUQH1LT0WV9jNMwI

今年のテーマは「中国共産党100年記念」だそうな。以下、面倒なんで、まんまコピペします。英文ですから大丈夫。

The stage of the Shanghai Grand Theatre was dominated by an official emblem of the Party's centennial celebration in both Chinese and English. Beneath the emblem, artists from major performing troupes in Shanghai including Shanghai Ballet, Shanghai Conservatory of Music, Shanghai Chinese Orchestra and Shanghai Opera House performed on stage. They were joined by musicians from Opera Australia Orchestra and Israel Camerata Orchestra Jerusalem under the baton of Avner Biron with pre-recorded video.

The gala opened with a video address from heads of major international musical institutions, among them Philharmonie de Paris, Royal Opera House Covent Garden, Opera Australia, Bayerische Staatsoper endorsing the opening of the festival which was suspended last May due to the pandemic.

This year, the festival carries the theme "Sing the centennial, homage to the classics".

「オペラ・オーストラリア管とイェルサレム・カメラータ管の事前に録音された映像と共演」って、どういうことなんでしょうねぇ。下にある隠し撮りみたいなクォリティの映像眺めても、よく判らんです。祝辞を寄せているのがフィルハーモニー・ド・パリ(オンドレ御大なんだろーなぁ)、コヴェントガーデン、オペラ・オーストラリア、バイエルン国立歌劇場の偉いさんがヴィデオ・メッセージでお祝いの挨拶をした、ってのが興味深いですな。上海なら、上海響と関係の深いNYP、はたまた上海フィルと関係の深いフィラ管だっけ、からの挨拶があっても良いような。都響なんて元コンマスが上海響のコンマスだったわけだから、なんか挨拶とかありそうなものだが。

てなわけで、すっかりニッポンが鎖国となって世界のことが判らなくなっている間にも、いろんなことが起きてます、って話でありましたとさ。上海、羽田から2時間ちょい、長崎から船で一晩で到着するんだけど、遙かなり…

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連日の上野通い [音楽業界]

世間では大阪は大変だの、首都圏にも緊急事態三度目の発令だの、すっかりコロナ対策落ちこぼれ三等国になりバタバタの新帝都なれど、先週末の荒れ模様はどこへやら、この数日は新帝都の空ったらすっかり晴れ渡り、ドバたちは新たな命を求めて追いかけっこ、雀らも口に葉っぱくわえて新緑の桜の間を飛び回り、ムクらは可愛らしい声あげて地面突っつき、おっと、まだ帰らないつぐみんやらシロハラさんも藪の中でゴソゴソ。さあ、イースターも開けて、すっかり春だ春だ、もう夏もそこまで…

って不思議なノンビリ陽気に浮かれて、ってわけでもないんだけど、6年ぶりだかに中央区民に復帰、人生初の居住地が縦長屋になったお嫁ちゃまのお宅に居候状態のやくぺん先生ったら、この数日はまるっきり東京の春の音楽祭状態で、連日上野に通っておりまする。てなわけで、コロナの日常の中の上野界隈の雑談あれこれ。

※※※

現時点では固定オフィスがなく、資料類は倉庫に入ってしまって実質上は出せないやくぺん先生、そうはいっても有り難いことに細々と商売仕事は来るわけで、なんとか通常業務を処理していかねばならぬ。んで、ひとつ曲目解説でベートーヴェンの作品18のベーレンライター版の頭に記された、かのバリー・クーパー大先生の解説を確認せねばならなくなったんだが、おお、引っ張り出すには猛烈に面倒な手続きとお金がかかる豊洲の倉庫に入ってる。だが大丈夫、僕ら都民には強い味方、上野東京文化会館資料室があるじゃないかぁ。

ってなわけで、ちゃりんちゃりんと大川越えて、人形町通りの路面店でチャリの上からおねーさんに声をかけて人形焼き買って、アキバ東口の雑踏を恐怖しつつ抜け、首都高上野線の下を延々と、JR上野駅のかつての皇室御用達貴賓室前に設置された公共有料自転車置き場へと向かった次第。おいおい、いつの間にか微妙に値上げになってるじゃあないかい。それにしても、駐車場で眺める限りは、新帝都での自転車利用者の数はやっぱり増えてる感じだなぁ。311直後、一気に帝都内の自転車が増えたけど、あれに似た感じ。まあ、みんな満員電車に乗るのは怖いもんねぇ。

日も暮れて時短の宵ともなれば大量のマスク無し外のみ軍団がたむろし上野界隈でも有数の危険地帯となる駅上歩行デッキを抜け、文化会館に向かいます。なんせ住所が変更になったので、新しい保険証を提示して、新しい利用カードを作っていただきます。資料室は、コロナ騒動が始まって長い閉館状態を終え、やっと再開したといえ、この場所の利用者のかなりの数を占めていたであろう試聴室は未だクローズしたまま。使えるのは自由にアクセス出来る図書館部分と、スタッフのおにーさんたちにお願いして出して貰う図書資料、楽譜資料のみであります。てなわけで、席使用制限などがあって入れなかったら困るなぁ、という不安は杞憂に過ぎず、ぶっちゃけ、ガラガラでありました。

おやっ、カード式の伝統的楽譜検索のコーナーはビニールシートで覆われております。「あそこ、使って良いんですか?」と尋ねると、手指の消毒をしてからシートを捲ってお使い下さい、とのこと。うううむ、とはいえここまでピッシリ貼られていると、下の方はともかく、上の辺りはカードボックスを引っ張り出すだけでも一苦労じゃわい。
IMG_1434.jpg
んで、BのQの辺りを引っ張り出し、調べるがぁ…ないっ。おいおいおい、天下の文化会館資料室、もう10年以上前にリンゼイやらエンドリアンやらがクーパー先生やらとバタバタやってた校訂譜、入れてないんかい!無論、全音からブライトコップフから、昔馴染みのものはいくらでも収まっているけど、なんせ今やオリジナル譜面がボンのアルヒーフで誰にでも貴方のパソコンで視られます、って時代。次から次へと楽譜出版社が出してくる新校訂版を全部買っていくなんて、とてもじゃないが付き合えない。貧乏ながらも税金納める都民とすれば、貴重な公共専門ライブラリーにはきちんと入れていただきたいんだけどなぁ…

などと悄然と夕方の空を眺め、まさかと思いつつ、一応は試してみるか。6台のうち2台しか稼働していないパソコンの前に移動し、検索してみると、なんとなんと、あっさり出てきました。無事に、ちゃんと熊ちゃんマークの現物も出てきましたとさ。

カード検索は出来ないんでね、とスタッフのおにーさんに言うと、「新しい楽譜はカードに整理してないんです」とのこと。うううむ、まあ、版の違いで検索しに来るような奴は、最新のテクノロジーをまず活用するべぇに、ということなんでしょかねぇ。

以上、文化会館資料室、利用上のちょっとした注意、でありましたとさ。なお、現時点では資料室は実質的に月の半分くらいしか稼働しておりません。退去するときに、おにーさんが「明日明後日は休みですので」と声をかけて下さいました。

※※※

かくてしっかり必要なお仕事済ませ、階下の大ホールに座って新帝都のティンパニー関係者が学生から巨匠まで勢揃いしたんじゃないかって客席で都響首席さんがアホのティンパニー協奏曲を鳴らし、後半には「東京に来ないで下さい」という都知事の後の歴史に残る絶叫に喧嘩売るかのような先週末の大阪名古屋ツアーでも演奏されたという16型ベルアップホルン起立の《巨人》が高らかと響き渡り、夜の上野は前夜のムーティ御大喝采に続き連夜の熱狂に包まれるのであった。

終演後、上野の杜から大川端まで延々と5キロちょい戻る午後9時をまわったチャリの道、目撃した開店中の飲食店はわずか6店ほど。うううむ、なんと素晴らしき都民の自主規制、世は全て事も無し…なんじゃろかね。

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