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寿司とはなにか? [マンハッタン無宿]

昨晩、寝ようと思ったらウクライナ上空(ってか、どのメディアも当たり前過ぎて言わんのだろうけど、ソチから直ぐの所だぞ)でマレーシア航空が撃墜されたという一報を知ってから、BBCサイトのこのニュースの報告が次々流れ込んでくるところに張り付いてしまい、3時過ぎまで眺めてしまった。サライエボ事件から100年目の夏に、また猛烈に面倒な大惨事がぁ…。キエフにいる日本国外務大臣と大手メディアの同行記者諸君は、結局、なーんにも出来ずに邪魔してるみたいですねぇ。これがいちばん情けない、と言うと不謹慎かな。今晩聴きに行くツィンマーマンの曲、大審問官の言葉が空に響いているようであります。

というわけで、世の中で起きている大変なことは脇に置いておいて、どーでも良い話を敢えてしましょうぞ。当電子壁新聞の「たびの空」カテゴリーの隠れたテーマのひとつ、世界各国寿司情勢の新ネタ。

去る日曜日だか、ヴァインベルクのオペラに行く前にマンハッタン厄偏庵近くのブロードウェイに面したスーパーに出かけ、オペラが跳ねて戻って来てから喰いましょうとお弁当を買ってきましたです。ええ、それが、こちら。これで20ドル弱くらいかな。寿司は高いから、しょーがないですなぁ。
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奥は、胃がない(比喩ではありません)うちの奥さんの喰える海老と卵。真ん中は日本ではともかく北米ではお馴染みの海老フライ巻き、んで、問題は手前です。

何だか判りますか。アップにしてみましょう。
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です。そーです、「鮪の外にとびこをまぶし、全体を胡瓜で巻いたもの」です。

これ、寿司、だそうです。無論、米は全くありません。

半世紀を超え残すところあと10数年という感じの我が短くも儚き生涯の中で、「米の一切使われていない寿司」を目にするのは初めてのことでありましたぁ。

ってかさ、これ、寿司なんでしょーかねぇ?

ぶっちゃけ、食感は、まるで寿司じゃありません。当たり前です。皆々様がご想像の通りで、特になにか仕掛けがあるわけでもありません。胡瓜は単に胡瓜を薄く切って巻いただけで、なにかの仕込みがあるわけでもありません。ピクルス化されてるわけでもなく、単に、生です。基本、しゃきしゃきな食感です。

ええ、もうどうこう言うつもりはなく、こういうものがこの地球上には存在しているのだなー、というだけのことでありまする。作るのはご自宅でもとても簡単ですので、いかがですか奥様、今晩、食卓に出してみて、週末のご主人のビールのお供にかが?「お寿司ですよ」と並べたら、ご家族の皆々様が受け入れてくれるものやら…

この世は広く、寿司もまた広し。

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塔がひとつになった街 [マンハッタン無宿]

奥さんがブリーカー・ストリートのクラブで6年間ディレクターやってる奴と話をするんで、「そこの猫がいつも昼寝している角を曲がって、燕のお家になってる家のところからちょっといったとこ」という様な調子で世界の位置関係を把握しているなんとも頼りないうちの奥さんが迷ったら大変なので、連れて行ってきたです。マンハッタン厄偏庵からこの辺りの劇場にセミナーで1週間くらい通ってたこともあるのに、「だってあれは冬だったから、全然違って見えるもん」とおっしゃる。うううん…

さても、M5のバスで延々と南下すれば良いと思ったら(これで行くと、奥さんが冬にブリーカー街とワシントン広場の間の劇場にセミナーで通ってたときに使ってた赤い地下鉄とは反対側から通りにアプローチすることになるんで、我が愛するお嫁さんの脳内ナビゲーションシステムは壊滅であります!)、なんせ大西洋岸の7月には珍しい爽やかさ、気温も華氏80度までいかないくらい(もうめんどーなんで摂氏に換算して考えるのは止めてます、はい)、マンハッタンは足を剥き出しにしたおねーちゃんや、タットー腕で振り回すにーちゃん、Tシャツでどこでも入っちゃうようなお上りさんで溢れてて、バスが全然動かない。で、しょーがないなーとスパイダーマンのお爺ちゃんが殺されちゃった図書館の前で下りて、グランドセントラルまで走り、緑の地下鉄でだああっと南下して、ブリーカー街駅まで至り、わあああ遅刻だぁ、とここまで下ると2車線の普通のローカル通りになってるブロードウェイを渡って妙に緑溢れるブリーカー街を劇場探しながら半分駆け足。
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人が地面を占拠しちゃってるワシントン広場から逃げてきたのか、アパート前のちょっとした広っぱにも鳩やスズメたちに混じって栗鼠がうろちょろしてます。
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んで、まだかいな、こっちかいな、と通りの左側が開けたところで目を上げると、え、あれはなんじゃいな。
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ちょっとまえまでは無骨なぶっとくて四角いだけの柱がドカンと2本、スカイラインを切り取っていたところに、太めの高い柱が1本だけ聳えてら。もちょっと開けた学生街の入口にまで来ると、シカゴのシアーズタワーみたいにいじましくも細い尖塔が天を指してるのがよーみえる。
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なるほど、あれが911跡地にやっと完成したリバティタワーなるもんなんね。へえええ。

地元民とすればもう錦糸町から眺める東京天樹みたいに見慣れたものになっちゃってるんだろーが、こんなとこに来るのは年に1度くらいのお上りさんやくぺん先生とすれば、へええええええ、でんがな。この辺りはマンハッタンでも珍しくワールドカップを本気になって眺めてるラテン系の若い衆やオヤジ共がいっぱいいるらしく、通りにはこんなもんも出てる。
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決勝は明日の夕方、もしかして3位決定戦をやってたのかな。それにしても、ブラジル応援団はこの状況でどういう風に盛り上がるんでしょーかっ。

んで、迷いながら到着したクラブ「赤い金魚」には、こんなポスターが貼ってある。その辺のコピーコップで大量に吸ったようなカラーコピーです。
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へぇ、アマネットQ、頑張ってるなぁ。まだセカンドとチェロの夫婦が中心でやってるんだろーか。なんせ最後の民音コンクール優勝団体なわけだから、もうここも結成四半世紀になるんだわなぁ。

てなわけで、霧なんてかかってない爽やかなブリーカー街、街は変わり、人は変わるも、なんかやっぱりいつも同じ、という場所でありましたとさ。

でももう、西に抜けた先に住んでたエリオット・カーター翁はいない。ツィンタワー崩壊の瞬間をアパートから眺めたという翁は、新しいタワーが先端まで伸びるのを見届けたのだろうか。♪ほりーほり~ぃ


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NYバアチャン今日も元気也 [マンハッタン無宿]

マンハッタン厄偏庵におります。昨年の5月以来なので、1年有効のメトロカードが切れてしまいリフィル出来ず、新カード発行で1ドル取られてしまい、なんか納得いかぬぞ。

さても、今、やっと空が夜になってきた8時半過ぎ。ちょっと行ったセントラルパークでは、ニューヨークフィルの無料コンサートをやってて、《ドンファン》とか大騒ぎのようで、行ってる人から「うちの町のオケ、すげええ鳴る!」なんてFacebookへの書き込みが成されてる真っ最中だけど、やくぺん先生んちは庵でゴロゴロしてます。昨日の夕方過ぎに太平洋と北米大陸越えてここまで来て、今日は昼に某こっちの芸術関係者とちょっと昼飯の筈が、なんか嫁さんが完全にお仕事モードに入ってしまい、ああこれはダメだ、これじゃもう今日は使い物にならんぞ、と思ったら案の定、カーネギーホール向かいの某日本関係団体の食堂からセントラルパーク南に入り、わあ夏の栗鼠さん達は毛が短くてちっちゃく見えるぞぉ、なんて公園の端っこ通り
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平成中村座の幟がメトロポリタン歌劇場のシャガールの前にはためくリンカーンセンター広場抜け
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マンハッタン厄偏庵に戻るや、うちのお嫁ちゃん、ちょっと寝るといってホントに寝てしまった。夕方にこっちにいる昔の嫁さんの生徒さんと会って一緒にセントラルパークに行く予定だったんだけど、これはもうダメじゃ、ってことで、今日はお休みですう。

んで、どーでもいいお話。今、カーネギー前から戻ってくるとき、流石に暑くて歩いてるとしんどいので、ちょっとだけだけどバスに乗ったですよ。このところバスに乗る話ばかりだけど、ま、いいや。

ご存知の方はご存知だと思いますが、NYのバスはデカイです。ってか、日本の市内運行バスが狭すぎると思うのだけど、ま、それはそれ。なぜあんなにおっきいのか?その理由のひとつは、車椅子や歩行補助装置を使用する人も利用することが前提になっているから。都バスの場合、「車椅子やベビーカーは2台まで」くらいの規程があるみたいだけど、どうもNY市バスにはそういう厳密な制限はないみたい。で、こんなです。
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横一列歩行補助装置のオバチャンがズラリです。当然、乗り降りは運転手さんがまずは車体を歩道側に傾け、運転席から出て、車椅子用の乗降スライド板を後ろの出口から出します。ですから、車椅子などの利用者があると、バス停での停車時間がかなり長くなります。後ろから次のが来てしまったりもする。

[このパラグラフ追記]今、土曜日の午後。リンカーンセンターの向かいでアタッカQの半分と昼飯食って戻って来ました。で、帰りのバスも爽やかな7月の土曜日らしく歩行補助装置軍団でいっぱいでした。今日のバスは違うタイプで、前から出入りします。ほれ。
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嫁さん曰く、「うちの死んだオヤジさんもあれ使ってたけど、あれで外に一人歩きしようなんて考えもしなかったよねぇ」とのこと。[追記終わり]

面白いのは、乗客は「バスというのはそういうもんだ」と信じているのか、特にイライラした様子もないこと。尤も昼間の乗客は殆どが老人ですから、自分ももうすぐああなるのだから文句を言う筋合いでもないと考えてるんでしょうかねぇ。

都バスでも昼間の時間帯はやくぺん先生以外の乗客全員が老人パス使用、ってことは珍しくないけど、どうもここNYCの老人さんたちは、身体が多少動かなくなろうが、ハンディキャップ扱いになろうが、平気で自分の行きたいところに出かけていくパワーが尋常では無い。上の写真のおばーちゃんたち、もう世間話で騒々しいこと。どっかに行くにはいろんなアシストが必要だけど、だから出かけるのは止めるなんて考えもしないようだ。

公共の行う老人福祉とは老人がやりたいということを可能な限り現実出来るような社会を造ることである、という当たり前の事実を再確認した夏の午後でありました。

じじばばも グイグイとばす 大林檎

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J列車で行こう [マンハッタン無宿]

マンハッタン厄偏庵に到着しました。まあ、昼間は東京の冬くらい。年明けの厳冬期に比べれば、まだまだ全然暖かい。

さても、本日は冬の初めらしくかなり偏西風が強く、成田からアンカレッジ真上を通ってカナダを横断、シラキュースやらの真上位を突っ切りロングアイランドに至る真っ当な大圏コースは後ろから数十マイルの風が押してくれて、対地速度だけを見ているとマッハに迫る勢い。成田を離陸し我が土地(おおおお!)を眺めつつ、爺さん婆さんとーちゃんかーちゃんに道中の無事をお祈りしてから大西洋の荒波がそこまで押し寄せるJFKに至るまで実質の飛行時間はなんと12時間どんぴしゃり。JFKのいちばん東側の滑走路への大西洋側からアプローチの下は、今月初めのハリケーンで酷い被害が出たところ。この鉄橋をA列車が走ってます。
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入国がそれなりに時間がかかる(単にひとりひとりに対する作業がノンビリしているだけで。対応はフレンドリーなんだけどさ)おかげで荷物はもう出てくるとグルグル回ってら。

んで、どうも我が同胞どころか同じ便でアジア極東地区から到着した奴は、誰も利用する気はないようなエアトレインに乗ります。なんだかこの空港敷地内鉄道、鳴り物入りで登場したけど、やっぱり電車に乗る習慣のない人たちには駄目なんかねぇ。寂しくなるような閑古鳥っぷり。夜は危険な乗り物になりそうだ。いちばん隅っこのアメリカン航空のターミナルで延々停車して、やっとターミナル区域外に出て、A列車のハワードビーチ駅まで行き、1週間パスが買えるキオスクが隅っこにしか置いてないというNY市交通局の悪辣な作戦に惑わされずにしっかり$29でパスを購入。さあ、これで今回の超短期滞在の期間中、バス地下鉄乗り放題だ、とホームにおりていくと、すぐにマンハッタン方面に向かうA列車がやってくる。

これは有り難い、ちゃんと走ってるじゃないの、と乗り込むのだが、おいおい、ちっとも発車しないよ。A列車という名ばかり有名なNYの地下鉄路線、マンハッタンを南にまっすぐおりて、イーストリバーを地下トンネルでくぐり、ブルックリンの地下を延々と東に向けて抜け、やっと地上に出たら直ぐに南に曲がり、JFKをかすめながら大西洋岸のビーチまでノンビリ向かう長っ走りの郊外列車。正直、空港アクセス線として機能するようになってはいるが、まあ、利用するのはジェットブルーなどJFKベースのLCCの職員(パイロットさんなんかもです)と空港で働く黒くてでっかくてつおそーなおにーちゃんなんかばかり。あまり乗客は利用してませんね。NYの地下鉄はまるでバリアフリーじゃないから、デカイ荷物があるとしんどいというのもあるけど、それだけじゃあないんだろうなぁ。

やくぺん先生は、基本的にエアトレインが出来てからは、JKFに到着したらハワードビーチ駅からA列車で延々と1時間くらいゆられてコロンバス・サークルまで来て、赤い1に乗り換える。なんせ乗り換え1回で済むし、コロンバス・サークルの乗り換えが意外にもホームの付き方が楽なんで、そんなに無理はない。本日もそのつもりで、iPodから小さい文字の「テンペスト」など読みながらだらしなく来るつもりだった。

だけど、これが全然走らない。どうもこの先、まだ先日のハリケーン被害から完全に路線が復旧していない箇所があるようで、さっき上空から眺めた辺り、海に向けては代行バスが出ている。で、実質、ハワードビーチ駅が始発になってます。まあ、それはそれで結構。やっと動き出したら、もう午前11時。タッチダウンしてから既に1時間半が経過しておりました。

動き出しても、まあ停まること停まること。海に向けた支線から本線に入るまでの2駅だかで、15分くらいかかってる。この調子じゃあマンハッタンまで2時間かかるぞ、と思ってたら、地下に潜って最初の急行が停まる駅、ユークリッド・アヴェニューだかいうところで、ぱったり動かなくなってしまう。暫くすると、「電源の供給システムがおかしくなって、マンハッタン方面行きの列車は全部運行中止になりました」などとアナウンスがある。車内にはおおおおおという怒号が巻き起こるも、ともかく先に行かぬというのだからしょうがない、みんな地上に出ます。まあ、バスはあるだろうし、なんとかなるだろう、と思うしかない。

地下鉄の駅というのは、どんなに頻繁に利用する線でもホントに自分の用事のある場所でないとまず下車することはない。当然、地上がどんなところなのか、何年利用しようが知らなかったりする。このユークリッドといのも同様で、こんな駅、初めて地上に出たぞ。こんなとこ。みんなバスを待ったりしてる。
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いかにも北米大都市郊外らしく、何とも殺風景な場所ですな。

どうも、半マイルくらい北に歩くと、別の地下鉄路線があるらしい。
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で、そっちに向かって歩く人を追いかけて、ぞろぞろとブルックリンの田舎を歩くです。いやぁ、なかなかNYらしいところですなぁ。一昔前のマンハッタンの北の端っこみたいな怖そうな感じはなく、ただ、貧乏そうなだけ。荒川放水路の直ぐ横とか、ロンドンのこの前のオリンピックやった辺りとかみたいな場所ですね。
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10分も歩くと、頭上に古い高架線が見えてくる。おお、これが地下鉄J線、マンハッタンからブルックリンを抜けてジャマイカに向かう線です。スカイトレインのもうひとつの接続駅で、E線なんかと同じ駅に入ってる線ですね。殆ど乗ったことないなぁ。
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駅は小綺麗にしようとしているし、車両も新型を投入していて、車内デジタル表示などあり、マンハッタンの古いナンバー線に比べるとそれなりに頑張ってるのだが、やはり基本の路線インフラの古さはどーしよーもない。このJ列車、地下鉄と言いながら全然地下に入らず、ブルックリンはずっと高架線で、それどころかそのままマンハッタンに向けウィリアムズバーグ橋を渡って入っていく。ハリウッド版マグロ喰ってるCGゴジラが殺されたマンハッタン橋のひとつ上流。
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先々週の大ストームで地下トンネルが軒並みやられたときもこの線は大丈夫だった、ってことかな。いやぁ、それにしても、空港からマンハッタンに鉄道橋で入っていくなんて、まるっきり初めての経験でありました。生きてるといろんなことがあるなぁ。ここでもう正午になってしまった。JFKからマンハッタンに至るまで、正味2時間半!なんなんねん…

マンハッタンに入るや地下に潜り、見慣れたような駅名になるので、まあこんなところだろいうというカナル・ストリート駅でクィーンズに向かう急行のQ列車に乗り換える。これ、このところ話題のベビーカーin NYC。みんなでっかいから、そんなにでかく感じないですね。
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42丁目とタイムズスクエア駅で赤い3の急行に乗り換え、一駅で、懐かしい我が72丁目の駅です。地上に上がると、目の前のトスカニーニマンション前のヴェルディ広場に、もう救世軍が出てました。
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世界一のスーパーの前には、「七面鳥のオーダーはこちら」などという看板が。そう、J.E.ガーディナーと革命時代管&モンテヴェルディ合唱団の第九&ミサソレ、それに続く弦楽四重奏マラソンで猛烈に濃厚なベートーヴェンの週末が終わると、サンクスギビングのお休みがやってくる。

マンハッタン厄偏庵で「やあ、やくぺん先生」と迎えられる頃には、もう1時も近い。結局、空港で入国が終わり荷物を拾ってからここまで、実質2時間以上。かかった費用は、エアトレインが5ドルと1週間パス29ドル。ちなみに、タクシーだとフラットレートで50ドルなんじゃないかな、今は。

やっぱり、こりゃ、誰もA列車ではマンハッタンに来ないわね。

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カーネギーが大変だぁ [マンハッタン無宿]

当初の予定ならば、今頃は成田空港第1ターミナルの南の先っぽの北米向けセキュリティ厳重区域で列に並んで、そろそろ搭乗が始まっているくらいの時間であったろう「古典の日」と「文化の日」に挟まれたブンカ文化しい秋の朝、皆様、ご健勝であらせられますでありましょーか。東京は東の新開地葛飾で、山のようなテープ起こしを処理しつつ遙か4万マイル彼方に思いを馳せる、いじましいやくぺん先生でありまする。ふううう…

とはいうもののこれもやっぱり神様の思し召し、今日の午前中にケネディに到着しても、果たして事態はどうなったおったであろーか。当電子壁新聞の左下、「読んでいるブログ」ってところにあるマンハッタン在住の音楽評論家アレックス・ロス氏のページもご覧あれ。ビシャビシャのイーストリバー川岸なんかの写真がアップされてます。ま、明日の午後のアタッカQのベートーヴェンのレクチャーコンサートはなんとかやっちゃうだろうけど、問題は明日の晩から来週にかけて3回で開催される予定であったベルチャQのベートーヴェン全曲演奏会の半分であーる。

マンハッタンの水辺地区やら対岸とつなぐトンネルが水浸しになろうが、カーネギーホールは関係なかろうに、まさかザンケルホールが水浸しなんかい、と思うでしょ。ところがどっこい、なんと、カーネギーの正面入り口がある西57丁目が通行止めになってるらしいんですわ。というのも、隣にOneNYというハイライズを建てていて、その建築のためのクレーンがハリケーンでやられ、ブラブラ状態。いつ通りに上からクレーンが落ちてくるか判らぬ、って状況になってる。

マンハッタンの面白さは、ものすごい繁華街でも平気で人がいっぱい住んでること。東京の都心感覚とは違う、大阪なんかに近いです。で、カーネギーから徒歩3分圏内にも、たくさんのハイライズ、日本語で言うところの「高層マンション」でんな、がある。昨晩、東京は上野で、強行軍ツアーにヘバヘバになりながらも上海Qと一緒にシューベルトのでっかい五重奏をパワフルに弾き切った原田先生が東京Q時代にお住まいになられてたアパートんところじゃんかぁ。並びには我が妻のNYの心の母たる某財団ご隠居プロデューサーさんもお住まいだし。周辺住民には避難勧告が出たというけど、どーなってるのか。業界関係者の宿泊も多い通りを挟んで反対側の某ホテルも、開店休業、ってか、休業だろーなぁ。詳細はNYTの記事をご覧あれ。
http://www.nytimes.com/2012/11/01/arts/music/dangling-crane-boom-keeps-carnegie-hall-off-limits.html?_r=0

マンハッタンのいろんな主催者からは、連日「今日は何がキャンセルになります」ってメール案内が送りつけられてくる。ずいぶんと平常に戻ったようで、例えばシンフォニースペースから昨晩来たリリースはこんな感じ。

Dear Yakupen,
As the city continues to recover from the storm, Symphony Space returns to normal this weekend. However, tonight's shows, How to Get Started with Oscar Hijuelos & Arturo O'Farrill and Artful Dining with Joyce Carol Oates, have been postponed due to transit conditions. (New dates will be determined shortly and all ticket-holders will be contacted.)
Artful Dining will continue Saturday with Robert Klein and Marshall Fine, and next Wednesday with BD Wong. This weekend also sees two delightful Family shows, including Fox and Branch on Saturday and Thalia Kids' Book Club: Rebecca Stead Liar and Spy on Sunday.
More highlights below or check the calendar.

NYPからは、一昨日にこんな案内が来た。要するに、交通が復旧していない、ってことでんがな。チケット振り替えの腹の据わりっぷりが良いですねぇ。まあ、でっかい会場で山のように定期演奏会なり何なりのコンサートをやってるから出来る乱暴なやり方で、東京のオケ程度の演奏回数ではちょっと無理だろーなぁ。

Today's Rush Hour Concert Has Been Canceled
Due to the continuing ramifications of Hurricane Sandy, we have regretfully canceled the Rush Hour concert scheduled for Wednesday, October 31 at 6:45pm, at Avery Fisher Hall at Lincoln Center. This decision has been made in the interest of the safety and well-being of the Musicians of the Orchestra, our audience, and additional personnel associated with the concert presentation.
If you are a ticketholder, you don't need to do anything with your tickets. We are placing complimentary flexpasses in your account which — starting tomorrow — you can redeem for any other subscription concert of your choice, including our performances tomorrow through Saturday of the same music as tonight's concert. These flexpasses are just like tickets: you can use them for any available seat for any subscription concert this season. They're easier to redeem online than trying to exchange your tickets, and there is no fee. If you prefer, you may also request a refund.
To use your flexpasses, log on your account at nyphil.org anytime after 10am tomorrow morning, Thursday November 1. You can also call Customer Relations at 212-875-5656.

んで、今朝起きてメール箱を開いたら、カーネギーからはこんな案内が。

We hope that you and your family are safe and have not been impacted greatly by Hurricane Sandy. Carnegie Hall’s Neighborhood Concert Series is continuing this month, and we hope you'll be able to join us for the following free concerts in New York City.

つまり、ホールはやれるかどうか判らぬが、カーネギー主催の無料アウトリーチはちゃんとやるぞ、ってことです。

「ヴェニュが駄目でも、ホールのソフトがちゃんとしてれば、アウトリーチからまず再開される」ってのは、いわきアリオスでもそうでしたねぇ。ぐぁんばれぇ、カーネギーのアウトリーチ・スタッフたちっ!君らが市民の心を盛り上げるのじゃ!会場までどうやっていくかは、まあ、なんとかしてくれっ!

人様の災難を棚に上げて虫の良いことを言えば…ベルチャQのベートーヴェンが初夏くらいに延期になってくれますよーに!

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セントラルパークに星も旅客機も光りぬ [マンハッタン無宿]

昼間に今回のツアーでいちばんお仕事っぽいお仕事を終えて、さあ、夜は娯楽だ。オペラだ。っても、ホントに自分の娯楽ならシンフォニースペースでマンハッタン室内管ちゅー団体が新作含めたアメリカ作品ばかりをやるのを聴きに行く方が娯楽に近いんだけどさ。

てなわけで、気を取り直して、ニューヨーカーがどんな風に気楽にオペラを楽しんでるかの見学です。この恒例のセントラルパークのシェドで毎年夏のシーズンに無料で名作オペラを街往く人たちに披露するイベント、38回目だかになるという。案外新しいんだなぁ、という気もするけど、ともかく続けられてるのがスゴイ。

会場は、NYPが毎年無料コンサートをやってる北の方の広場じゃなくて、66丁目と82丁目だかでバスがクロスタウンする道が横切るところの間、マンハッタン厄偏庵からだと72丁目の駅のところで公園の方に曲がり、いつも観光客で溢れるダコタハウスの前からストロベリーフィールドを抜けて公園の奥へと入っていきます。雪駄突っかけ歩いてくと、前に楽器背負ったオバチャンが歩いてるので、後を付けていく。
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夏は木立の緑が多くて発見しにくい栗鼠どもが走りまわってる開けた辺りで、池の南にシェドが見えてくる。思ったより全然小さいぞ。NYPの花火も上がる野外無料コンサートはでっかい仮設ステージにオーロラヴィジョンなんかがくっつき、万単位で人が動員できるようになってるけど、こっちはかなり慎ましい。ホントに公園の中にあるでっかいあずま屋を舞台にして、ともかくオペラやっちゃおうぜ、って感じ。流石にスピーカーは正面に配置されるものの、ハイテク感まるでない。イタリアの田舎っぽさすら漂うぞ。

ステージの真ん前は椅子があって囲われてる。どうやらこのオペラ団やイベントに資金提供をなさったドーネーターの席のようです。200席もあるかな。その後ろや周囲は特になんの設えもなく、早めに来た連中は勝手にビニールシートを敷いて座席を取ってら。
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ステージ下手に仮設トイレが3つほど。屋台はちょこちょこは出ているが、NYPみたいな派手な大イベントって感じではないのはちょっと意外。拍子抜け、ってのが本音。

小生は舞台よりも聴衆の動きや流れを眺めたいので、舞台を観ようとすると真ん中にでっかい木が入るリストリクティド・ビューのベンチに座り込み、ノンビリ、でもきょろきょろしてる。おっ、ここ空いてるじゃん、と隣に座る人が次々だけど、みんな「あれぇ、木で真ん中が全然観えないや」って、直ぐにどっかに行ってしまう。開演予定の7時半を15分も過ぎ、やっと団長さんが出てきて「世界にこんなイベントはない」なんて挨拶。続いてイタリア領事が誇らしげに演説します。故郷のオペラハウスが予算カットで大変なことになっていようが、やっぱりオペラはイタリアの誇りっ!

早く演説なんて終えて、オペラ始めてよぉ、って舞台そっちのけで弁当食ってるップルから漂うのは、お花見か花火見物でお馴染みの臭い。おお、きっちり酢飯の寿司弁当じゃーないの。わしは今、どこにおるんじゃ。
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そう、このイベント、限りなく花火見物なんかに近いです。

夏至を過ぎたばかりの北緯40度を超えるゴッサムシティは、まだまだ昼間。「トスカ」で最も音楽的に盛り上がる1幕最後のテ・デウムの頃になって、やっとセントラルパークに宵闇が迫る。
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音楽的には、良くも悪くもラテン系国の急行が止まるくらいの街のローカルオペラハウスの普通の上演、ってくらい。オケは50人いるかいないかだし、演出も猿でも判るまるで1960年代のNHKイタリアオペラみたいなもんだけど、歌手はそこそこちゃんとしてて、特に真っ黒いスカルピアなんかはまあローカル歌劇場とすれば立派。アフリカ系男性歌手さんって、テノールならオテロという究極の役があるけど、それ以外はシンドイもんなぁ。こういうところでしっかり頑張って欲しいものだ。
聴衆は全くオペラに縁のない、たまたま通りかかった人とか、イベントだから来た人とか。でも、後ろの方で腕組みしてスピーカーからの声にじっくり耳を傾けてるオッサンなど、態度が妙に慣れていて、ああこりゃシーズン中にはメトで10ドル切符に並んでる雀どもだな、って連中もおりました。オケはともかく、歌手は手が抜けないね、これじゃ。

上空にはヘリコプターやら(シュトックハウゼンの「光の水曜日」じゃないよっ!)、ラガーディア空港にアプローチする飛行機、はたまた公園内を走る清掃車やパトカーの音がひっきりなし。トスカが殺人を犯す前の泣かせどころアリアも、しっかりジェット機との二重唱。でも、ま、これでいいんねん。オペラって、ビックルするほど強いコンテンツなんだなぁ、と思わせてくれたのは収穫でした。いろいろ考えるところもありました。

では最後にオマケ。すっかり夜も更け、半月が光る中に謳い上げられた「星も光りぬ」をお聴きあれ。歌うは…あ、配ってたキャストとあらすじの紙、貰ってこなかったっけ。ゴメン、判りません。
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朝ならぬ夜の星が光り、ついでに旅客機の光も上空に輝く。かくて宵闇のセントラルパークは暮れゆく。2ドルちょっとでデカイ缶ビール買って、おうちに帰りましょ。

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無料の季節 [マンハッタン無宿]

梅雨空の成田を飛び立ち、爺さんばかりか3年前に加わった母親、それに父親にまでが墓の中から無事な旅をと手を振ってくれるのを眺め太平洋を横断、アンカレッジのちょっと南をかすめ、一気に北米大陸をエドモントンのビーコンまで南下、ICBMとB52がゴロゴロ並ぶマイノットやら、最近はアイスホッケーだかでも有名なグリーンベイ上空を横切り、ミシガン湖からえーちゃん懐かしのエリーの街に向けてエリー湖を突っ切り、だらしなく連なるアパラチア山脈を越え、マンハッタンの北でハドソン川を跨ぎ、一度大西洋に出てぐるりと旋回、半日と数十分のフライトはJFKに東から滑り込む。上空での待避旋回も予想される、なんて脅されてたんだけど、拍子抜けなほどあっさりと着陸し、昔は栄光のBAコンコルド専用スポットだった第7ターミナルの西側に入ります。誰も乗ってないエアトレインで鷺がノンビリ突っ立ってる湖沼群の中のハワードビーチ駅まで5ドル。いつの間にやら29ドルになってる1週間メトロカードを買い込み(1週間券が買える端末が4つ並ぶ中のひとつしかないのは、ニューヨーク市交通局の陰謀としか思えぬ)、A列車でマンハッタンに向かいます。
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貧乏人ばかりを乗せたA列車は、途中で真っ黒いもの凄い美人さんとか、イスラム帽子のオッサンとか、人類学博物館をライブでやってる状態は毎度ながら。いないのは白いビジネスマンのオッサンだけ。「文化のサラダボール」具合は成田からの京成電鉄の比ではないなぁ。

地下に入り、実験小説としての完成度がオソロシイほど上がってる筒井康隆の短編集を読みながらガタゴト揺られていると、そのうちにいつの間にかマンハッタンに入っていて、空気もちょっと変わってくる。コロンバスサークルまで正味1時間。赤い2番に乗り換えて、66丁目のリンカーンセンター駅の次が我が72丁目駅。えっこらえっこら階段を上れば、すっかり夏の緑がブロードウェイに被さり、いつも頭に鳩を乗っけたヴェルディ象もよく見えない。
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世界一のスーパーの前を抜け、いろんな人とあった角のギリシャ料理屋が潰れちゃってピザ屋になってるのに驚き、肩で扉を押して入っていくと、カウンターの向こうのいつもちょっと疲れた元イタリア系優男の社長が手を振って、「はーい、やくぺん先生、お元気」と声をかけてくる。昨年の1月末、「中国のニクソン」メト初演を見物に来て以来のマンハッタン厄偏庵に到着です。
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311があり、嫁ちゃんの親父さんが没し、嫁ちゃんの実家が厄偏庵近傍に引っ越してきて同居が始まり、その最初の晩に親父が死に、もうしっちゃかめっちゃかな半年とちょっと。思えば、今のやくぺん先生にとって、この場所は過去四半世紀で唯一変わってない拠点じゃないか。「あのギリシャ料理屋、一晩で居なくなったんだよ」と疲れた顔で笑う社長も、随分とオッサンになった。

さあ、NYPもメトもシーズンを終え、カーネギーも実質上休館中の夏のフェスティバルまでのつなぎの季節。なんにもやってなさそうなんだが、実は、いろんなことが起きている。ほれ、これとかさ。
http://rivertorivernyc.com/
そー、この時期のマンハッタン、野外パーフォーミングアーツの最盛期。無料の季節なんです。

マンハッタン島の南の全部無料の音楽演劇フェスティバル、イタリア系ねーちゃん作曲家のヴィジュアルアートとのコラボが中心となる一種のフォークオペラが7時半から市庁舎の向こうの音楽学校である(ちなみに、こういう無料若手中心フェスティバルでは、所謂クラシック音楽系のイベントはほぼ全て「現代音楽」です。現代音楽って、モダンアートと同じで、この街ではとりわけ難しいエリートのものとは考えられていません)。これは行かねばと思ったが、飛行機の中ではちゃんと寝られない我が身、ちょっとだけ寝ようと横になって、気付いたら夜の8時。おおおお、もう始まってら。アホじゃ。

しょーがないので、近くのスーパーに行き、今回は滞在が短いので食材というよりも食い物を買ってくる。
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そこそこの湿気の中、ホカホカのバッファローチキンがもの凄い臭いを醸し出しながら量売りデリに並ぶマンハッタン、紫アスパラが高級そうに鎮座する初夏の季節。

数ブロック向こうのセントラルパークでは、伝統の「野外シェークスピア」をやってる時間。これも勿論、無料です。明日はデュティーユの受賞記念演奏会でダメだけど、明後日はオライオンQのインタビューを終えたら、夜はこれまた伝統の「セントラルパーク野外オペラ」があるぞ。「トスカ」をきっちりと野外舞台でやって、これまた無料です。見物にでもいってくるべーかね。
http://www.vincentlaselva.com/pages/nygohome.aspx

初夏のマンハッタンは、アート無料の季節。部屋に篭もっていてもしょうがない。明日からは晴れるみたいだし。

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American Dream [マンハッタン無宿]

ストームならぬ冷たい雨が落ちてるマンハッタン厄偏庵です。
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東京からのEMSはとうとう到着しません。手ぶらでは某ホール広報さんに会いに行くわけにもいかず、本日はお勉強デーになってしまいました。考えようによっては、有り難いことで御座います。NYフィルの広報さんからは、「明日、来シーズンの記者発表会があるよ」って連絡があったけど、その頃はあたくしめは中西部のストームを飛び越えておりまするぅ。

今回のNYC滞在は実質2日間なんで、まさかスーパーで食材買ってきて煮込みを始めるわけにもいかぬ。で、しょうがないから、毎回、飯はスーパーの弁当です。高く付くけど、外で喰うよりはまだ安い。朝からパソコンのハードディスクに収めてあるデ・ワールト指揮の「中国のニクソン」全曲(これって、オケはセント・ルークス室内管で、演奏者にはマユキさんとか知った名前がいっぱい並んでるんだよなぁ)はもう耳に馴染み過ぎてるんで、ナクソス音楽図書館に入ってるオルソップの演奏で全曲を一度通しで聴き、さても腹も減った、弁当でも買ってくるべーか、と外に出ます。

と、街はシャーベットぶちまけたみたいになってる。この街の道はともかく手入れが悪い。ってか、恐らく、道路の補修に税金を殆ど使っていない。結果として、もの凄く凸凹です。普段は、まるでウズベキスタンなみに酷い道だねぇ、って呆れてれば良いんだけど、こういう非常事態になると、手入れの悪さがモロに響いてくる。

ご覧あれ、これがブロードウェイとW77丁目の交わるところ。雪の壁に付けられた獣道に、雨で溶けたシャーベット状態のグチャグチャが溜まり、池になってます。
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今日はいつものFスーパーじゃなく、気分転換でちょっと北に上がったブロードウェイと80丁目の角にある有名店ゼイバーズまでいったんですけど、世界一のベーグル屋の前もこんなことになってる。さすがに常駐しているホームレスの勝手にドアボーイ君も今日はいませんね。
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それにしても、H&Hベーグルがひとつ1ドル40セントになってた。高くなったなぁ。

で、ゼイバーズで当面の昼飯と、今日のアダムスのオペラは終演が深夜になるので戻ってきから喰らう夕飯を買い込んだわけです。ちょっとそこまでなのでちゃんとした靴を履いていかなかったら、あんよがビチョビチョになってしまったぁ。ええええん。

さても、これが今日のお昼。お寿司。
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ご覧のように、東京のコンビニとか、持ち帰り寿司屋さんで売ってるのと全く同じ。味も全然同じです。ちょっと米の量が多いかな、ってくらい。エビ、白身(なんじゃろね?)、赤身、サーモン、それに鰻巻き。これで7ドル76セントだから、ええと、650円くらいかな。ま、お値段も同じですね。SUSHIは高いというのが常識だが、随分と安くなってきてる。こういう寿司コーナーはどこのスーパーにもあって、普通に売れてる。カロリー高すぎないから、健康に良いんでしょ。同じ値段でチキンの弁当なんてかったら、カロリーは数倍あるわい。

ところで、このお寿司のセットの名前、何というかお判りかな。上の写真をじっくり眺めると分かるんだけど…そー、American Dreamです。冗談じゃないよ。

一体何の因果でこんな名前なのか。そもそもこのような取り合わせをそう称するのか、ゼイバーズの担当者がなんかの拍子にそんな名前を付けたのか?知りたいなぁ。
アメリカン寿司はもう完全に別の文化の食物で、ちゃんと調べると面白いエッセイというか、新書本の一冊くらいは書けるネタです(早い者勝ちの企画だぞ)。
ホントを言うと、やくぺん先生の最もお好みなのはドラゴンロールと呼ばれるもの。其れ即ち、エビフライ巻であります。腹持ち良くて、ヴァーグナーの前なんかには最高なのよ、これが。あ、ハードディスクの中に写真があったので、お見せしましょか。これ。
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あまりのゴージャスさにビックリして撮影した。一番上のジャブジャブの交差点からブロードウェイを渡り、アムステルダム・アヴェニュとぶつかった角、ミロQが911後にこの島に監禁状態になったときに通い詰めたという日本料理店のランチメニューのひとつです。これで12ドルくらいだったかな。エビフライまるまる2本喰らった程の量がある。

さて、開演は8時なんで、もうちょっと勉強しましょ。アダムスのオペラって、終幕に向かって話が纏まるというよりも、幻想の中に広がっちゃう傾向にある。昨日のオペラトークでの話しぶりでは、セラーズは今日の舞台で第3幕の演出を弄ってるみたいだったが、どう処理したのかしら。これが今日のNYTに出てた昨日のオペラトークの内容。記者君、記事にし易い話だけを拾ったな。あたしも記事にするならここを使うだろうなぁ、ってところが挙がってる。ホントに面白かったは、ピーター・セラーズが粗筋を説明したところでした。演出家がこの物語のこの部分を大事に思ってる、ってのが良く分かった。特に扱いにくい3幕について。
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2011/02/02/adamsnixon-a-kitchen-debate-on-portraying-a-president-in-opera/?ref=music
あの舞台でAmerican Dreamを担当するのは、やっぱりニクソンなんだろうなぁ。だってこの天下の俗物大統領が日本軍の空爆下で見る夢は、寿司ならぬハンバーガーなんだもん。

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大雪のニューヨークを歩くには [マンハッタン無宿]

ピート・ハミルまんまパクリのタイトルだなぁ。

昨晩から早朝にかけてブリザードが暴れたニューヨーク地区、朝になればすっかり天気も回復し、先月にやくぺん先生が東京に戻った直後に街を襲い市民や旅行者を大混乱に陥れた年末ストームの二の舞になってはたまらんとあれやこれや先手を打ったNY市当局の対応に天も納得なされたか、さしたる騒動にもならずに済みました。ローカルテレビ局NY1は、「今日は学校、やりますよ」と盛んに放送してます。休みを当て込んでたわんぱくなチビッ子たちはガックリかもね。

朝の9時からヴィレッジの劇場で「音楽キャリア・マネージメント担当者連絡会」なるコンファランスがあり、中心人物のひとりがうちの奥さんが翻訳書を出しているピンク本の著者、アンジェラさん。となれば、取るもの取りあえず駆けつけねばならぬ。幸いにもストーム吹き付ける事態はなくなったとはいえ、うちの奥様ときたら知る人ぞ知るきょーふの方向音痴。毎年行ってる劇場なのに、雪なんぞ積もろうもんならもーどこがどこやら判らない。んで、連れてっておくれなもし、と哀れな目でお願いされれば、愛する妻のため、雪の数インチなんぞなんのことあろーか。かくてあたしも、朝っぱらから遙か南はワシントン広場の向こうまで出かけたわけであります。

マンハッタン厄偏庵を出れば、積み上がった巨大可燃ゴミの上に雪が積もってる。ほれ。昨日の真ん中の写真と同じもの(反対側から撮ってるけど)。
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歩道は雪かきされてる。でもなんのことない、雪をゴミになったモミの木の横に積み上げただけじゃないの。

んで、地下鉄で延々と下り、グリニッジ・ヴィレッジの駅で地上に出たら、目の前の7番街をNY市が誇る最強兵器、除雪車軍団が列を成して通り過ぎる。全部で10台くらいの巨大コンボイだぞ。早朝にブロードウェイの方からデカイ音を立ててたのは、どうやらこいつららしい。スゴイぞっ、NY市!
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雪かきという作業で困るのは、どこに雪を捨てるかです。この巨大除雪車コンボイも、結局のところ、雪を路肩に除けているだけで、溶かしてるわけではありません。ですから、雪の壁が車道とか、ことによると歩道とかに、どんどん積み上がっていく。市民の雪かきだって、こんなものだし。
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そんな作業の結果、大阪や名古屋の道のように広いマンハッタンなんだけど、車道ばかりか歩道も、実質的に通れる場所が極めて限られてしまう。車道は実質1車線潰れちゃう。普通の通りでは歩道も使えるラインはひとつになって、別のラインを取ろうとすると高く積もった雪に足をずっぽりと突っ込まねばならなくなる。

これが困る。

ニューヨークの生命体ってのは、普段は「赤信号は自己責任で渡れ」と信じていて、歩き方も好き勝手。だから、歩道で取れるラインが1本だけになっちゃうと、もの凄く動きが不自由になるのですね。
特にマズイのは交差点近傍で、信号待ちからどう飛び出るか、信号でやってくる車にどう対処するか、普段は相手を見ながら非常に自由な動きをしている(つまり、臨機応変に滅茶苦茶、っこと)、上海とか北京みたいに「多数決が勝ち」って無茶さじゃなくて、ひとりひとりが誠に勝手に動いており、雪の壁の御陰でそんな動きが封じられるんで、もうみんなすごおおくやりにくそう。

大雪の後のニューヨークには、いつもと違った、借りてきた雪上の猫のようなお行儀の良い街が広がってる。半日もすれば、またいつもの好き勝手に風を切って闊歩するペンギンか白熊の群れになるんだろうけどさ。

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巨大可燃ゴミ [マンハッタン無宿]

無事にマンハッタン厄偏庵に戻ってきました。クリスマス休暇が終わり、マーチン・ルーサー・キングJr.記念日までのシーズンオフなんで(例年この時期に全米室内楽協会が例会をやるのも、施設使用料が安い時期だからでしょう)、宿もヒマらしく、最上階近くのスイートにしてくれましたぁ。正直、佃厄偏庵の1階と2階を合わせたくらいありますから、NY近郊の方、マンハッタンから帰れなくなったらひとりやふたりなら泊まれますよ。だって、窓の向こうのトスカニーニ&ホロヴィッツ・マンションの上空は、なんともアヤシイ雲行きだもん。
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どうやらアメリカ中西部上空からカナダにかけて巨大な雪の湿舌のようなものが大暴れしているらしく(そのためなのか、大圏コースの遙か南、ヴァンクーバーとシアトルの間で北米に上陸し、スポーケーン、グレートフォールズ、ラピッドシティ、ミネアポリス北、オンタリオ州ロンドン上空と、まるでメルカトル図法世界地図で成田からNYCまで真っ直ぐ線を引いた上みたいな道を飛んできた)、小生らのANAがなんてことなくJFKに着陸した数時間後に、大雪を予想して空港は閉鎖。明日水曜日の午前中は市内対降雪戒厳状態です。「朝の出勤時間にちゃんと交通が確保できるか保証しません。除雪車のために路肩駐車は避けるように」とのお達しが出ています。
http://www.ny1.com/content/top_stories/131997/city-readies-for-another-snow-storm

どうやら小生らが到着した昼前から既に空港は戒厳体制に入っていたらしい。そんなことも知らぬわしらは、入国審査待の長い列を慰めるラジオが「デトロイトは雪で凄いことになってます」なんて放送してるのを他人事のように聞き流し、地下鉄A列車のハワードビーチ駅に行く空港トレインが全然動かないのにプンプンし(毎度ながら空港職員さんしか乗ってないこの列車、周囲が妙にノンビリしていたのは、今思えば、午後からの空港閉鎖で本数を間引きしているのは承知の空港スタッフだったからなんでしょう。エア・トレインの溜まりには列車が深夜のようにいっぱいいましたから)、地下鉄乗り継いで延々空港から2時間7ドル半でマンハッタン厄偏庵に到着した次第。

先月に来た時には、切り出されたクリスマスツリーが街角で飛ぶように売れている季節で、年に一度のマンハッタン中が杜の匂いに包まれる時だった。エピファニーも過ぎた今、そんな「インスタント森」たちは、路上のあちこちで巨大な可燃ゴミになってら。
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あと数時間もすると、うち捨てられて路上交通を邪魔する膨大なモミの木たちも、白く包まれるんだろう。宿のエレベーターで乗り合わせた顔見知りのお掃除オバサンは、ひとりじゃ持ちきれないほどのでっかいゴミ袋に、「メリークリスマス」と書かれた帽子やら飾りやらをゴッソリ引きずってる。「これ、みんなひとつの部屋から出たのよ」と呆れ顔。

出発前に佃厄偏庵の「謹賀新年」張り紙はちゃんと剥がしてきました。

用済みの 路傍の杜も 雪を待つ

追記
結局、大ストーム対策は結果的に空振りでした。こんなもの。
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年末の大雪無策で市民から大批判を浴びた市当局が些か勇み足をやらかした、って感じ。でも、これだけ晴れてるんで、しっかり寒い。

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