音楽祭がいなくなる [音楽業界]
軽井沢大賀ホールに２日続けて通うことになった。でも、新幹線開通と信越線ぶった切り以降、すっかり東京圏郊外化しちゃった一人勝ちの軽井沢にだけは泊まりたくない。で、軽井沢駅から旧信越線をノコノコと半時間余り、小諸に宿を取った次第。
しなの鉄道小諸駅前の午後6時過ぎ。千曲川に低く雲がかなかり、切れ切れの雨雲が赤強めにフォトショップしちゃったみたいに世界を真っ赤っかぁに染めてる時間なのに、駅前ロータリーにはもう夜の帳が下りてます。長野新幹線開通以後、この宿場町はすっかり没落した旧家の面持ち。駅前に広がる町の丸ごとが、昨今みんなが大好きなレトロです。わんさか人気が出ても良い気もするけど、「懐かしき良き昭和」とはちょっとテイストが違うみたいだから、やっぱりダメなのかしら。なにせ、ロータリーの反対は、そのものズバリの「懐古園」、島崎藤村の世界。ここまで筋金の入ったレトロだと、若い女性が「きゃあ、なつかしいいぃ！」と叫ぶわけにもいかんじゃろ。
このままでは食いっぱぐれると、閉店しかけの蕎麦屋に飛び込み、誰もいない店内に響く「ぎんめだるぅう！」やらの絶叫の下、やたらとしょっぱい天麩羅蕎麦750円也をすすりつつ信濃毎日をひっくり返す。所謂全国紙ほど世界大運動会広報紙化してないのはエライぞ！
で、後ろから3枚目くらいを捲ったところで、箸が止まりました。えぇ、知らんかったぞ、こんな話。
信濃毎日の見出しを引用すれば、「「最後の音楽祭」開幕 アフィニス開催地変更で 市民に惜しむ声」
記事を要約します。
今年で20回目を迎えるアフィニス夏の音楽祭ちゅーもんがあります。毎年、長野県の限りなく遠州寄りの飯田を舞台に開催されていた。故萩元晴彦プロデューサーの出身地で、その関係で「萩元ホームタウンコンサート」なんてものも行われていて、小生も何年か前にえっちらおっちら飯田線を岡谷から南下して上海Qの演奏会を聴きに行ったことがある。流石に余りのノンビリさに呆れ、帰りは高速バスであっさり新宿に戻ったですけど。この音楽祭も、松本から足を伸ばしたことがあったっけ。で、その音楽祭が、来年からは広島と山形の交互開催になる、とのこと。
理由は、両都市ともオーケストラがあるから。皆様ご存じのように、この音楽祭は数多転がってる夏の音楽祭の中では例外的に趣旨がハッキリしたイベントだった。目的は地域振興でもなければ観光誘致でもない、「オケメンバーの能力アップのためのセミナー」です。主にドイツの放送響クラスの首席奏者が講師となり、日本のオケ連加盟団体から団員が数人づつピックアップされ、夏の飯田に派遣されてくる。オケマンという人たちは、指揮者や独奏者からいろいろ学んでいるとはいえ、案外と普通の意味での「お勉強」をする機会は少ない。まあ、会社に就職しているわけですから、それも当然だとは思うが、どーやら、それではいけない、とアフィニス財団は考えたらしい。で、ここでドイツ語圏オケの先輩に経験を学びつつ、室内楽を中心にアンサンブルをみっちり勉強し直す、という趣旨です。
ですから、正直言えば、飯田である必然性はまるでない。広響や山響をベースに、いろいろなオケのメンバーがやってきてお勉強する、という形の方が合理的という考えもある。それだったら完全持ち回りにすれば良いじゃないか、と突っ込みたくなるけど、まあともかく、アフィニスさんとしてはこういう結論にしたようだ。決断に至るまでにどういう議論があったか、誰が決定したことなのか、詳しく知りたいなぁ。
かくて、アフィニス夏の音楽祭は飯田から去っていく。市民ベースの音楽祭を残したい、と地元の方が仰ってるそうです。まさしく「言うは易く…」。煙草屋さん（って言うと叱られる）の持つ膨大なCSＲ予算のバックなしには絶対に成り立たない、お金が出てく一方の音楽祭でありますからねぇ。全く違う形にするにしてもそれはそれで、金があるか、さもなければ、知恵と勇気があるか、どっちか。さて、どーするんじゃろ。
音楽祭が多すぎる、という話の次に並べるに相応しい、音楽祭がなくなる、というお話でした。なお、ここ小諸の宿ではネットが繋がりませんので、アフィニスのウェブサイトに挙がってるだろう公式発表は、明日の晩、厄偏庵に戻ったら追記いたしましょ。
信濃毎日のウェブに、記事が挙がってました。
http://www.shinmai.co.jp/news/20080819/KT080818SJI090014000022.htm
広島市のサイトにこういうデータがあります。
http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1212396543255/index.html
あとは面倒なんでアフィニス財団のページをご覧あれ。いろいろ書いてある筈。
http://www.affinis.or.jp/
しなの鉄道小諸駅前の午後6時過ぎ。千曲川に低く雲がかなかり、切れ切れの雨雲が赤強めにフォトショップしちゃったみたいに世界を真っ赤っかぁに染めてる時間なのに、駅前ロータリーにはもう夜の帳が下りてます。長野新幹線開通以後、この宿場町はすっかり没落した旧家の面持ち。駅前に広がる町の丸ごとが、昨今みんなが大好きなレトロです。わんさか人気が出ても良い気もするけど、「懐かしき良き昭和」とはちょっとテイストが違うみたいだから、やっぱりダメなのかしら。なにせ、ロータリーの反対は、そのものズバリの「懐古園」、島崎藤村の世界。ここまで筋金の入ったレトロだと、若い女性が「きゃあ、なつかしいいぃ！」と叫ぶわけにもいかんじゃろ。
このままでは食いっぱぐれると、閉店しかけの蕎麦屋に飛び込み、誰もいない店内に響く「ぎんめだるぅう！」やらの絶叫の下、やたらとしょっぱい天麩羅蕎麦750円也をすすりつつ信濃毎日をひっくり返す。所謂全国紙ほど世界大運動会広報紙化してないのはエライぞ！
で、後ろから3枚目くらいを捲ったところで、箸が止まりました。えぇ、知らんかったぞ、こんな話。
信濃毎日の見出しを引用すれば、「「最後の音楽祭」開幕 アフィニス開催地変更で 市民に惜しむ声」
今年で20回目を迎えるアフィニス夏の音楽祭ちゅーもんがあります。毎年、長野県の限りなく遠州寄りの飯田を舞台に開催されていた。故萩元晴彦プロデューサーの出身地で、その関係で「萩元ホームタウンコンサート」なんてものも行われていて、小生も何年か前にえっちらおっちら飯田線を岡谷から南下して上海Qの演奏会を聴きに行ったことがある。流石に余りのノンビリさに呆れ、帰りは高速バスであっさり新宿に戻ったですけど。この音楽祭も、松本から足を伸ばしたことがあったっけ。で、その音楽祭が、来年からは広島と山形の交互開催になる、とのこと。
理由は、両都市ともオーケストラがあるから。皆様ご存じのように、この音楽祭は数多転がってる夏の音楽祭の中では例外的に趣旨がハッキリしたイベントだった。目的は地域振興でもなければ観光誘致でもない、「オケメンバーの能力アップのためのセミナー」です。主にドイツの放送響クラスの首席奏者が講師となり、日本のオケ連加盟団体から団員が数人づつピックアップされ、夏の飯田に派遣されてくる。オケマンという人たちは、指揮者や独奏者からいろいろ学んでいるとはいえ、案外と普通の意味での「お勉強」をする機会は少ない。まあ、会社に就職しているわけですから、それも当然だとは思うが、どーやら、それではいけない、とアフィニス財団は考えたらしい。で、ここでドイツ語圏オケの先輩に経験を学びつつ、室内楽を中心にアンサンブルをみっちり勉強し直す、という趣旨です。
ですから、正直言えば、飯田である必然性はまるでない。広響や山響をベースに、いろいろなオケのメンバーがやってきてお勉強する、という形の方が合理的という考えもある。それだったら完全持ち回りにすれば良いじゃないか、と突っ込みたくなるけど、まあともかく、アフィニスさんとしてはこういう結論にしたようだ。決断に至るまでにどういう議論があったか、誰が決定したことなのか、詳しく知りたいなぁ。
かくて、アフィニス夏の音楽祭は飯田から去っていく。市民ベースの音楽祭を残したい、と地元の方が仰ってるそうです。まさしく「言うは易く…」。煙草屋さん（って言うと叱られる）の持つ膨大なCSＲ予算のバックなしには絶対に成り立たない、お金が出てく一方の音楽祭でありますからねぇ。全く違う形にするにしてもそれはそれで、金があるか、さもなければ、知恵と勇気があるか、どっちか。さて、どーするんじゃろ。
音楽祭が多すぎる、という話の次に並べるに相応しい、音楽祭がなくなる、というお話でした。なお、ここ小諸の宿ではネットが繋がりませんので、アフィニスのウェブサイトに挙がってるだろう公式発表は、明日の晩、厄偏庵に戻ったら追記いたしましょ。
追記
信濃毎日のウェブに、記事が挙がってました。
http://www.shinmai.co.jp/news/20080819/KT080818SJI090014000022.htm
広島市のサイトにこういうデータがあります。
http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1212396543255/index.html
あとは面倒なんでアフィニス財団のページをご覧あれ。いろいろ書いてある筈。
http://www.affinis.or.jp/
地味〜な記事で恐縮ですが、「音楽の友」8月号付録コンサートガイド欄３頁（7月18日発売のため既に店頭にありません）にもちらりと既報でした。ちらりすぎて何の役にも立ちませんでしたが。
by 公園管理人 (2008-08-23 17:22)
公園管理人さま、公演ばかりか「音友」管理まで、お疲れ様です。うううん、まさかそんなところに情報があるとは。あの小冊子、どっかいっちゃうんですよねぇ。スイマセン、ちゃんと眺めていないで。
でも、ちゃんとした記事にはならんのか。来月売りでどうなるのか。
by Yakupen (2008-08-23 20:18)
うーむ。この企画書、櫻ちゃんっぽいですね。
児玉真
by shink (2008-08-25 12:04)
いろいろとおおっぴらに出来ないような話が流れてますんで、広響のラインで情報取って下さい。山形の方はまるで情報がありません。
by Yakupen (2008-08-25 13:56)